本章では、Armadillo-800 EVAに搭載された内蔵ストレージ(eMMC)の内容を工場出荷状態に戻す(リカバリする)方法を示します。本章に示す手順を実行するためには、容量が1GByte以上のSDカードを必要とします。
Armadillo-800 EVAの内蔵ストレージのパーティション構成を示します。Armadillo-800 EVAの内蔵ストレージは、PC同様にいくつかのパーティションに分割されています。そのため複数のOSをインストールできるようになっています。
工場出荷状態の内蔵ストレージのパーティション構成を表10.1「内蔵ストレージのパーティション構成」に示します。
表10.1 内蔵ストレージのパーティション構成 デバイスファイル名 | サイズ | パーティションタイプ |
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/dev/mmcblk0p1 | 512MByte | 0b (Win95 FAT32) | /dev/mmcblk0p2 | 約5GByte | 83 (Linux) | /dev/mmcblk0p3 | 1GByte | 83 (Linux) | /dev/mmcblk0p4 | 1GByte | 83 (Linux) |
現行規格であるMMC 4.3では、eMMCデバイスに最大2つのブートパーティションを持つことが出来ます。Armadillo-800 EVAに搭載しているeMMCには、2つのブートパーティションが用意されています。
表10.2 eMMCのブートパーティション デバイスファイル名 | サイズ |
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/dev/mmcblk0boot0 | 約512kByte | /dev/mmcblk0boot1 | 約512kByte |
表10.1「内蔵ストレージのパーティション構成」および表10.2「eMMCのブートパーティション」に示す通り、内蔵ストレージを6つの領域に分けて使用しています。それぞれの工場出荷状態での用途を表10.3「内蔵ストレージ各領域の用途」に示します。
表10.3 内蔵ストレージ各領域の用途 パーティション | 用途 |
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パーティション1 (/dev/mmcblk0p1) | 主にAndroidのSDカード領域に使用します。VFATにフォーマットされています。 | パーティション2 (/dev/mmcblk0p2) | Debian GNU/Linuxがインストールされています。/boot/直下にはカーネルイメージが格納されています。ext3にフォーマットされています。 | パーティション3 (/dev/mmcblk0p3) | 予約領域[]です。ext3にフォーマットされています。 | パーティション4 (/dev/mmcblk0p4) | Androidがインストールされています。/boot/直下にはカーネルイメージが格納されています。ext3にフォーマットされています。 | ブートパーティション1 (/dev/mmcblk0boot0) | ブートローダーイメージが格納されています。 | ブートパーティション2 (/dev/mmcblk0boot1) | ブートローダーが使用するパラメータを保存しています。 |
eMMC全体をリカバリする方法を示します。
作業用PCで、リカバリをおこなうためのSDカードを作成します。このSDカードをリカバリディスクと呼びます。
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リカバリディスク作成時のコマンドは、ATDEで実行した場合の例です。Armadillo-800 EVAでも同様の手順でリカバリディスクを作成することができますがデバイスファイル名など一部異なるため、適宜読み替えてください。
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10.2.1.1. リカバリディスクの作成に必要なファイルの取得
表10.4「リカバリディスクの作成に必要なファイル」に示す、リカバリディスクの作成に必要なファイルを取得します。これらのファイルはアットマークテクノ ユーザーズサイト(https://users.atmark-techno.com)または、付属DVD-ROMから取得可能です。
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アットマークテクノ ユーザーズサイトからファイルを取得するためには、製品本体をご購入の上で「アットマークテクノ ユーザーズサイト」から「購入製品登録」をおこなう必要があります。
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表10.4 リカバリディスクの作成に必要なファイル ファイル | 説明 |
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recovery-image_a800eva_[version].tar.gz | eMMCに書き込むためのイメージファイルなどが格納されています | recovery-system_a800eva_[version].tar.gz | リカバリを実行するプログラムなどが格納されています |
「パーティションの作成」で作成したそれぞれのパーティションにファイルシステムを構築します。
作業用PCにSDカードを接続したまま、図10.3「ファイルシステム作成手順」のようにファイルシステムを作成します。
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ファイルシステムの構築にdosfstoolsを使用します。作業用PCにインストールされていない場合は、次のようにインストールをおこなってください。
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「リカバリディスクの作成」で作成したリカバリディスクを使用して、リカバリを実行します。Armadillo-800 EVAに電源を投入する前に以下の準備をおこないます。
準備の完了後、SW3を押しながら電源を投入するとリカバリが開始されます。リカバリの進捗具合は、LEDの点灯パターンで確認できます。
表10.5 リカバリ進捗とLEDの対応 LED3 | LED4 | LED5 | LED6 | リカバリ進捗 |
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点滅 | 消灯 | 消灯 | 消灯 | eMMCのユーザーパーティションをフォーマット中 | 消灯 | 点滅 | 消灯 | 消灯 | eMMCのブートパーティションをフォーマット中 | 点滅 | 点灯 | 点灯 | 点灯 | eMMCのパーティション1にシステムを構築中 | 点灯 | 点滅 | 点灯 | 点灯 | eMMCのパーティション2にシステムを構築中 | 点灯 | 点灯 | 点滅 | 点灯 | eMMCのパーティション3にシステムを構築中 | 点灯 | 点灯 | 点灯 | 点滅 | eMMCのパーティション4にシステムを構築中 | 点灯 | 点灯 | 点灯 | 点灯 | リカバリが正常に完了 | 点滅 | 点滅 | 点滅 | 点滅 | リカバリが異常終了 |
全てのLEDが点灯するとリカバリは完了です。全てのLEDが点滅した場合、エラーが発生したことを示しています。手順を見直して再度リカバリを実行してください。リカバリ後、eMMCから起動するには、ディップスイッチの起動デバイス設定をeMMC(SW1.2をOFF、SW1.3をOFF)に設定し、 SDカードを抜いた後電源を投入してください。
10.3. eMMCの特定ルートファイルシステムをリカバリする
eMMCの特定ルートファイルシステムのみをリカバリする方法を紹介します。表10.6「リカバリ対象のルートファイルシステム」をリカバリの対象とします。
表10.6 リカバリ対象のルートファイルシステム ルートファイルシステム | パーティション番号 | ファイルシステム |
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Debian GNU/Linux | 2 | ext3 | Android | 4 | ext3 |
事前に9章SDブートの活用を参照して、Armadillo-800 EVAがSDブートしている必要があります。
10.3.1. Debian GNU/Linuxをリカバリする
eMMCのパーティション2に、Debian GNU/Linuxをリカバリする方法を示します。
10.3.1.1. Debian GNU/Linuxのリカバリに必要なファイルの取得
表10.7「Debian GNU/Linuxのリカバリに必要なファイル」に示す、Debian GNU/Linuxのリカバリに必要なファイルを取得します。これらのファイルはArmadilloサイト(http://armadillo.atmark-techno.com)または、付属DVD-ROMから取得可能です。
表10.7 Debian GNU/Linuxのリカバリに必要なファイル ファイル | 説明 |
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debian-squeeze_a800eva_[version].tar.gz | Debian GNU/Linux 6.0のルートファイルシステムアーカイブ | linux-a800eva-[version].bin | カーネルイメージファイル |
eMMCのパーティション4に、Androidをリカバリする方法を示します。
10.3.2.1. Androidのリカバリに必要なファイルの取得
表10.8「Androidのリカバリに必要なファイル」に示す、Androidのリカバリに必要なファイルを取得します。Androidのルートファイルシステムアーカイブはアットマークテクノ ユーザーズサイト(https://users.atmark-techno.com)または付属DVD-ROMから、カーネルイメージファイルはArmadilloサイト(http://armadillo.atmark-techno.com)または、付属DVD-ROMから取得可能です。
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アットマークテクノ ユーザーズサイトからファイルを取得するためには、製品本体をご購入の上で「アットマークテクノ ユーザーズサイト」から「購入製品登録」をおこなう必要があります。
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表10.8 Androidのリカバリに必要なファイル ファイル | 説明 |
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android-2.3.7_a800eva_[version].tar.gz | Android 2.3.7のルートファイルシステムアーカイブ | linux-a800eva-[version].bin | カーネルイメージファイル |
10.4. eMMCのブートローダーをリカバリする
eMMCのブートパーティション0に、ブートローダーをリカバリする方法を示します。事前に9章SDブートの活用を参照して、Armadillo-800 EVAがSDブートしている必要があります。
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