Debian GNU/Linux(以降、単にDebianと表記します)を起動させる場合の起動OS設定の変更について説明します。
ブートローダーを保守モードで起動し、起動OS設定の変更をおこなうことで起動するOSを変更することができます。Armadillo-800 EVAに電源を投入する前にディップスイッチの起動モード設定(SW1.1)をONに設定し、Armadillo-800 EVAに電源を投入するとブートローダーが保守モードで起動します。
ブートローダーを保守モードで起動すると、ブートローダーのコマンドプロンプトが表示されます。
Debianを起動するには図7.1「起動設定の変更手順(Debian)」のように起動設定を変更します。
以上で起動設定の変更は完了です。bootコマンドでDebianを起動することができます。
| |
---|
Armadillo-800 EVAの電源を切断し、ディップスイッチの起動モード設定(SW1.1)をOFFに設定すると、電源投入後自動的にDebianが起動するようになります。
|
Debianを有効に利用するには、パッケージ管理システム(後述)を利用します。パッケージ管理システムは、インターネット上のDebianサイトにアクセスし、パッケージ情報を集約し、パッケージの検索やインストールなどの一連の制御を提供してくれます。このシステムを利用する為には、インターネットへアクセスできる環境が必要となります。ここでは、インターネットを利用するための1つの手段「有線LAN」を利用可能にします。
工場出荷状態のDebianは有線LANが無効になっています。ifupコマンドを使用して有線LANを有効化する手順を、図7.4「ifupコマンドによる有線LANの有効化」に示します。
ifupコマンドを使用して有効化された有線LANを再度無効化するには、ifdownコマンドを使用します。手順を図7.5「ifdownコマンドによる有線LANの無効化」に示します。
| |
---|
ifupおよびifdownコマンドは、/etc/network/interfacesに記述された動作をおこないます。工場出荷状態では、DHCPサーバからIPアドレスを取得するよう設定されています。interfacesを変更することで、静的IPアドレスの設定や、起動時に自動的に有効化することができます。詳しくはinterfacesのマニュアルページを参照してください。
|
システムクロックが大幅にずれた状態で、パッケージ管理システムを利用すると警告メッセージが出力される場合があります。事前に本項を参照してシステムクロックを合わせてください。
リアルタイムクロックを設定しておくと、電源を切断/接続した場合でも起動時にリアルタイムクロックの値がシステムクロックに設定されるため、システムクロックを再設定する必要が無くなります。電源を長時間切断する場合は、RTC外部バックアップインターフェース(CON9)に電池を接続する必要があります。
工場出荷状態のDebianには動作に必要な最低限のパッケージしかインストールされていません。しかし、パッケージ管理システム APT(Advanced Packaging Tool)を使用することで、簡単にパッケージを追加することができます。以下にAPTの基本的な使用方法を示します。
| |
---|
APTは、/etc/apt/sources.listに記述されている場所から利用可能なパッケージのインデックスを取得します。デフォルトの設定では、HTTPサーバが指定されているため、APTを使用するにはArmadillo-800 EVAがネットワークに接続されている必要があります。「有線LANの使用方法」または、8章無線LANの使用方法を参照してネットワークを有効にしてください。
|
カメラモジュールインターフェース(CON1)に搭載されたカメラを動作させてみましょう。カメラから映像を取得してLCDへ表示させるには、GStreamerを利用します。また、GStreamerからLCDへの直接描画はできないため、Xサーバーをインストールして描画させてみます。
Xサーバー(xserver-xorg-core)とGStreamerをインストールするには、次のようにコマンドを実行します。
Xサーバーを起動するには次のようにコマンドを実行します。Xサーバーが起動するとLCDに図7.9「Xサーバー起動画面」のように表示されます。
GStreamerを使用して、カメラから取得した映像をLCDに出力します。次のようにコマンドを実行します。アプリケーションを停止するには、Ctrl+cを押下してください。
オーディオを動作させてみましょう。オーディオの再生・録音にもGStreamerを使用します。インストールされていない場合は、図7.7「XサーバーとGStreamerのインストール」を参照してインストールしてください。
また、事前にモノラルマイク入力インターフェース(CON10)にマイクを、ステレオヘッドホン出力インターフェース(CON11)にスピーカやヘッドフォンを接続しておく必要があります。
Armadillo-800 EVAのオーディオ機能は、ALSAデバイスとして実装されています。オーディオデバイスは以下の機能を有しています。
サンプリング周波数 48k, 32k, 16k, 8k Hz
フォーマットSigned 16/24 bit, Little-endian
任意の音声ファイルを再生する手順を図7.11「音声ファイルの再生」に示します。音声ファイルはカレントディレクトリ以下にあることを想定しています。ここで使用する音声ファイルは、サンプリングレートが48kHz、ステレオのWAVファイル(sample.wav)を想定しています。
マイクの音声をそのままスピーカに出力する手順を図7.12「マイク入力をスピーカに出力」に示します。
| |
---|
音声ファイルのサンプルには、gnome-audioパッケージに含まれるファイルを利用することができます。パッケージに含まれる音声ファイル(WAV)は、44.1kHzでサンプリングされているため、48kHzにリサンプリングする必要があります。
|