第8章 無線LANの使用方法

本章では、Armadillo-800 EVAに搭載されている無線LANモジュール Armadillo-WLAN(AWL13)を、Debianで使用する方法について記載します。

無線通信をおこなうためには以下の作業が必要となりますが、Armadillo-800 EVAに標準でインストールされているDebianでは、udevによって1.および2.を自動的におこなうように設定することが可能です。

  1. カーネルモジュールをロードする

  2. ファームウェアをロードする

  3. 無線設定をおこなう

8.1. 準備

8.1.1. Debianの起動

Debianを起動させます。起動手順については7章Debian GNU/Linuxを起動を参照してください。

8.1.2. カーネルモジュール/ファームウェアロードの自動化

udevがAWL13を検出した場合に、自動的にカーネルモジュールをロードできるようにするために、depmodコマンドを実行します。

[Armadillo ~]# ls /lib/modules/`uname -r`
awl13
[Armadillo ~]# depmod
[Armadillo ~]# ls /lib/modules/`uname -r`
awl13              modules.dep      modules.softdep                               
modules.alias      modules.dep.bin  modules.symbols                               
modules.alias.bin  modules.devname  modules.symbols.bin

depmodコマンド実行後にArmadillo-800 EVAを再起動すると、次回Debian起動時に自動的にカーネルモジュールがロードされます。カーネルモジュールがロードされると、udevが自動的にファームウェアのロードをおこないます。起動ログに以下ように表示されるため、カーネルモジュールおよびファームウェアのロードに成功したことが確認できます。

awl13: Version 3.0.0 Load.
awl13: MAC is 00:1d:12:cf:29:65
[ティップ]

depmodコマンド実行後、Armadillo-800 EVAを再起動させずに、udevにAWL13を検出させたい場合は、以下のコマンドを実行してください。

[Armadillo ~]# udevadm trigger

[ティップ]

カーネルモジュールがロードされない場合は、「ディップスイッチの設定」を参照してSW1(ディップスイッチ)の設定を確認してください。CON14(AWL13 モジュールインターフェース)とCON8(SD2インターフェース)は排他になっており、どちらか一方しか使用することができません。AWL13を使用する場合は、ディップスイッチのSDHI1設定(SW1.5)をOFFに設定してください。

8.2. 無線設定

インフラストラクチャモードおよびアドホックモードの無線設定について記載します。より詳細な設定方法については、「Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアル」を参照してください。

[ティップ]

有線LANインターフェースを使用してネットワークに接続している場合、ネットワーク通信時に AWL13 が使用されない場合があります。確実に無線通信をおこないたい場合は、図7.5「ifdownコマンドによる有線LANの無効化」を参照して有線LANインターフェースを無効にしてください。

[ティップ]

使用環境によっては、AWL13が通信しづらい場合があります。そのような環境下では、外付けアンテナを取り付けることで問題が改善する場合があります。外付けアンテナに関する情報は、「Armadillo-WLAN(AWL13) ハードウェアマニュアル」をご覧ください。

8.2.1. 無線設定パラメータ

無線通信をおこなうための基本的な設定パラメータについて記載します。設定には、Wireless Tools[4]に含まれるiwconfig/iwprivコマンドを使用します。

8.2.2. インフラストラクチャモード設定例

AWL13 をインフラストラクチャモードに設定し、アクセスポイントに接続する設定例を示します。アクセスポイントの暗号化方式が WPA-PSK、または WPA2-PSKの場合は「インフラストラクチャモード: WPA-PSK/WPA2-PSK」を、WEPの場合は「インフラストラクチャモード: WEP」を参照してください。

8.2.2.1. インフラストラクチャモード: WPA-PSK/WPA2-PSK

WPA-PSK/WPA2-PSKに設定されたアクセスポイントに接続する例として、設定パラメータを表8.1「インフラストラクチャモード: WPA-PSK/WPA2-PSKパラメータ例」に、設定手順を図8.1「インフラストラクチャモード: WPA2-PSK(AES)設定手順」に示します。

表8.1 インフラストラクチャモード: WPA-PSK/WPA2-PSKパラメータ例

項目設定値
ESSIDmyessid
パスフレーズmypassphrase
暗号化方式WPA2-PSK(AES)

[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 essid myessid
[Armadillo ~]# iwpriv awlan0 set_psk mypassphrase
[Armadillo ~]# iwpriv awlan0 set_cryptmode WPA2-AES
[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 mode Managed
[Armadillo ~]# ifconfig awlan0 192.168.0.1 up

図8.1 インフラストラクチャモード: WPA2-PSK(AES)設定手順


8.2.2.2. インフラストラクチャモード: WEP

WEPに設定されたアクセスポイントに接続する例として、設定パラメータを表8.2「インフラストラクチャモード: WEPパラメータ例」に、設定手順を図8.2「インフラストラクチャモード: WEP設定手順」に示します。

表8.2 インフラストラクチャモード: WEPパラメータ例

項目設定値
ESSIDmyessid
WEPキー(WEP-64ビット)1234567890

[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 essid myessid
[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 enc 1234567890
[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 mode Managed
[Armadillo ~]# ifconfig awlan0 192.168.0.1 up

図8.2 インフラストラクチャモード: WEP設定手順


8.2.3. アドホックモード設定例

AWL13 をアドホックモードに設定し、アドホック端末接続する設定例を示します。

[ティップ]

アドホックモードでは、WPA/WPA2には対応していません。

8.2.3.1. アドホックモード: WEP-128ビット

WEPに設定されたアクセスポイントに接続する例として、設定パラメータを表8.3「アドホックモード: WEPパラメータ例」に、設定手順を図8.3「アドホックモード: WEP設定手順」に示します。

表8.3 アドホックモード: WEPパラメータ例

項目設定値
ESSIDmyessid
WEPキー(WEP-128ビット)12345678901234567890123456
チャンネル1

[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 essid myessid
[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 enc 12345678901234567890123456
[Armadillo ~]# iwconfig awlan0 mode Ad-Hoc
[Armadillo ~]# iwconfig rohm0 channel 1
[Armadillo ~]# ifconfig awlan0 192.168.0.1 up

図8.3 アドホックモード: WEP設定手順




[4] 標準でインストールされています。