3.2. Armadillo の初期化と ABOS のアップデート
まずは、お手元の Armadillo に搭載されている Armadillo Base OS(ABOS)を最新版にします。
このバージョンが古い場合、本マニュアルで紹介されている重要な機能を使用できない可能性があります。
そのため、以下の手順に従って、これらのアップデートを兼ねた Armadillo の初期化を行ってください。
初期化インストールディスクイメージをmicroSDカードに書き込み、初期化インストールディスクを作成します。
ここでは、Windows で作成する方法を紹介します。(ATDE や Linux で実施する方法については「ATDE・Linux でインストールディスクを作成する」を参照してください)
-
1 GB 以上の microSD カードを用意してください。
-
標準のインストールディスクイメージをダウンロードします。
Armadillo-900 開発セット インストールディスクイメージ から
「Armadillo Base OS インストールディスクイメージ」をダウンロードしてください。
ダウンロードしたzipファイルを展開します。図のとおり、zipファイルを選択して右クリックし、「すべて展開…」をしてください。
-
Win32 Disk Imager Renewal(https://github.com/dnobori/DN-Win32DiskImagerRenewal/releases/)をダウンロードして起動します。
-
PC に microSD カードを接続します。
[Image File] に先ほど展開したフォルダ内の img ファイルを指定し、[Device] からは microSD カードに対応するものを選びます。
![[警告]](images/warning.png) | |
---|
[Device]の選択には細心の注意を払ってください。他に接続されているデバイスに意図せず書き込んでしまった場合、そのデバイスのデータが上書きされてしまいます。
選んだ[Device]が目的の microSD カードなのかどうか、しっかりと確認してください。microSDカードやカードリーダーの挿抜による[Device]の表示の変化で確かめることもできます。 |
-
[Write] ボタンを押すと警告が出ますので、問題なければ[はい]を選択して書き込みます。
-
書き込み終了ダイアログが表示されたらインストールディスクの作成は完了です。microSD カードを取り外してください。
作成したインストールディスクを使用して、インストールを実施します。
以下の手順に沿って、 図3.3「Armadillo-900 開発セットを初期化する接続」 のとおりに接続します。
![[警告]](images/warning.png) | |
---|
電源を再投入する際は、コンデンサに蓄えられた電荷を抜くため、電源を切断後、一定時間以上待つ必要があります。
開発セット付属のACアダプタの場合に必要な時間は以下のとおりです。 -
DCプラグ側で電源を切断した場合 : 約5秒
-
ACプラグ側で電源を切断した場合 : 約1分
コンデンサに蓄えられた電荷が抜ける前に電源を再投入した場合、
電源シーケンスが守られず、起動しない等の動作不具合の原因となります。 |
Armadillo ではシリアルコンソールを通じてLinuxコマンドを直接実行させることができます。
本項では Windows 環境で Tera Term を使用したシリアルコンソールの操作方法について記載しています。(Linux や ATDE の場合は 「シリアル通信ソフトウェア(minicom)」 を参照してください。)
-
Tera Term(https://github.com/TeraTermProject/teraterm/releases)をダウンロード・インストールして起動します。
下図のように、[新しい接続]ダイアログにArmadilloを接続しているCOMポートを指定して[OK]をクリックします。ダイアログが表示されていない場合は、[ファイル]-[新しい接続]をクリックして表示します。
[設定]-[シリアルポート]をクリックして、Armadilloを接続しているシリアルポートの設定を下図のように行い、[OK]をクリックします。
電源を接続して Armadillo-900 開発セット を起動してください。
シリアルコンソールに以下のような起動ログが出力されます。
以下に起動ログの例を示します。
U-Boot SPL 2023.04-at3 (Apr 14 2025 - 05:58:59 +0000)
Normal Boot
ELE firmware version 1.0.0-344acb84
: (省略)
Starting kernel ...
[ 0.000000] Booting Linux on physical CPU 0x0000000000 [0x411fd040]
[ 0.000000] Linux version 5.10.236-0-at (builder@6c9022be5e1e) (aarch64-alpine-linux-musl-gcc (Alpine 14.2.0) 14.2.0, GNU ld (GNU Binutils) 2.42) #1-Alpine SMP PREEMPT Mon Apr 14 01:01:38 UTC 2025
[ 0.000000] Machine model: Atmark-Techno Armadillo-900 module EVA Board
: (省略)
Welcome to Alpine Linux 3.21
Kernel 5.10.236-0-at on an aarch64 (/dev/ttyLP0)
armadillo login:
既に起動している場合は、Enterを1回押すことで armadillo login:
が表示されます。
起動が完了するとログインプロンプトが表示されます。
初期状態では「root」ユーザーと、一般ユーザーである「atmark」ユーザーが存在しますが、「atmark」ユーザーは初期状態ではロックされていますので、「root」ユーザーでログインしてください。
(「atmark」ユーザーでログインする方法は 「ログインできるユーザーについて」 を参照してください。)
パスワードを設定します。
armadillo login: root
You are required to change your password immediately (administrator enforced).
New password:
Retype new password:
Welcome to Alpine!
|
新しいパスワードを入力します。設定するパスワードには大文字のアルファベット、小文字のアルファベット、0から9までの数字、その他(記号・句読点など)を含める事ができます。
|
|
新しいパスワードを再入力します。
|
![[注記]](images/note.png) | |
---|
Armadillo BaseOS ではルートファイルシステムに overlayfs を採用しています。
そのため、そのままではシステムが終了するとパスワードの設定内容も消え、起動する度にパスワードを設定する必要があります。
設定内容を反映させるためには、設定後に以下のように persist_file コマンドを実行してください。 [armadillo ~]# persist_file /etc/shadow persist_file コマンドに関する詳細は「persist_file について」を参照してください。 |
eMMC や USB メモリ等に書き込みを行っている時に電源を切断すると、データが破損する可能性が有ります。
安全に終了させる場合は、次のように poweroff コマンドを実行し、「Requesting system poweroff」と表示されたのを確認してから電源を切断します。
armadillo:~# * WARNING: clock skew detected!
local | * Stopping local ...zramswap | * Deactivating zram swap device ...podman-atmark | * Stopping all podman containers ... [ ok ]
: (省略)
The system is going down NOW!
Sent SIGTERM to all processes
Sent SIGKILL to all processes
Requesting system poweroff
![[警告]](images/warning.png) | |
---|
haltコマンドで終了させた場合、「reboot: System halted」と表示されてから約128秒後、Armadilloは自動的に再起動します。確実に終了させるためにもpoweroffコマンドを利用してください。 |
![[警告]](images/warning.png) | |
---|
電源を再投入する際は、コンデンサに蓄えられた電荷を抜くため、電源を切断後、一定時間以上待つ必要があります。
開発セット付属のACアダプタの場合に必要な時間は以下のとおりです。 -
DCプラグ側で電源を切断した場合 : 約5秒
-
ACプラグ側で電源を切断した場合 : 約1分
コンデンサに蓄えられた電荷が抜ける前に電源を再投入した場合、
電源シーケンスが守られず、起動しない等の動作不具合の原因となります。 |