第9章 ビルド手順

本章では、工場出荷イメージと同じイメージを作成する手順について説明します。

使用するソースコードは、開発セット付属のDVDに収録されています。最新版のソースコードは、Armadilloサイトからダウンロードすることができます。新機能の追加や不具合の修正などが行われているため、DVDに収録されているものよりも新しいバージョンがリリースされているかを確認して、最新バージョンのソースコードを利用することを推奨します。

[警告]

開発作業では、基本ライブラリ・アプリケーションやシステム設定ファイルの作成・配置を行います。各ファイルは作業ディレクトリ配下で作成・配置作業を行いますが、作業ミスにより誤って作業用 PC 自体の OS を破壊しないために、すべての作業は root ユーザーではなく一般ユーザーで行ってください。

9.1. Linuxカーネルをビルドする

ここでは、「Linuxカーネル」のソースコード」から、イメージファイルを作成する手順を説明します。

手順9.1 Linuxカーネルをビルド

  1. アーカイブの展開

    各ソースコードアーカイブを展開します。

    [PC ~]$ ls
    linux-3.14.38-at[version].tar.gz
    [PC ~]$ tar xf linux-3.14.38-at[version].tar.gz
    [PC ~]$ ls
    linux-3.14.38-at[version]  linux-3.14.38-at[version].tar.gz
  2. コンフィギュレーション

    Linuxカーネルディレクトリに移動してコンフィギュレーションをします。

    [PC ~]$ cd linux-3.14.38-at[version]
    [PC ~/linux-3.14.38-at[version]]$ make ARCH=arm x1_defconfig
  3. ビルド

    ビルドするには、次のようにコマンドを実行します。

    [PC ~/linux-3.14.38-at[version]]$ make CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- ARCH=arm
    [PC ~/linux-3.14.38-at[version]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- LOADADDR=0x80008000 uImage
            
  4. イメージファイルの生成確認

    ビルドが終了すると、arch/arm/boot/ディレクトリと、arch/arm/boot/dts/以下にイメージファイル(LinuxカーネルとDTB)が作成されています。

    [PC ~/linux-3.14.38-at[version]]$ ls arch/arm/boot/uImage
    uImage
    [PC ~/linux-3.14.38-at[version]]$ ls arch/arm/boot/dts/armadillo_iotg_g3.dtb
    armadillo_iotg_g3.dtb

9.2. ブートローダーをビルドする

ここでは、ブートローダーである「U-Boot」のソースコードからイメージファイルを作成する手順を説明します。

手順9.2 ブートローダーをビルド

  1. ソースコードの準備

    U-Bootのソースコードアーカイブを準備し展開します。

    [PC ~]$ ls
    uboot_2014.04-at1.0.0.tar.gz
    [PC ~]$ tar xf uboot_2014.04-at[version].tar.gz
    [PC ~]$ ls
    uboot_2014.04-at[version]  uboot_2014.04-at[version].tar.gz
  2. デフォルトコンフィギュレーションの適用

    U-Bootディレクトリに入り、Armadillo-IoT ゲートウェイ G3用のデフォルトコンフィギュレーションを適用します。ここでは例としてフラッシュメモリ起動用イメージを作成します。デフォルトコンフィグにはx1_configを指定します。SD起動用イメージを作成する場合は、x1_sd_configを指定してください。

    [PC ~]$ cd uboot_2014.04-at[version]
    [PC ~/uboot_2014.04-at[version]]$ make CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- ARCH=arm x1_config
  3. ビルド

    ビルドにはmakeコマンドを利用します。

    [PC ~/uboot_2014.04-at[version]]$ make CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf-
  4. イメージファイルの生成確認

    ビルドが終了すると、U-Bootディレクトリにイメージファイルが作成されています。

    [PC ~/uboot_2014.04-at[version]]$ ls u-boot.imx
    u-boot.imx