製品概要

2.1. 製品の特長

2.1.1. Armadilloとは

「Armadillo(アルマジロ)」は、Armコアプロセッサ搭載・Linux対応の組み込みプラットフォームのブランドです。 Armadilloブランド製品には以下の特長があります。

  • Armプロセッサ搭載・省電力設計

    Armコアプロセッサを搭載しています。1~数ワット程度で動作する省電力設計で、 発熱が少なくファンを必要としません。

  • 小型・手のひらサイズ

    CPUボードは名刺サイズ程度の手のひらサイズが主流です。 名刺の1/3程度の小さなCPUモジュールや無線LANモジュール等、超小型のモジュールもラインアップしています。

  • 標準OSとしてLinuxをプリインストール

    標準OSにLinuxを採用しており、豊富なソフトウェア資産と実績のある安定性を提供します。 ソースコードをオープンソースとして公開しています。

  • 開発環境

    Armadilloの開発環境として、「Atmark Techno Development Environment (ATDE)」を無償で提供しています。 ATDE は Oracle VirtualBox 用の仮想イメージファイルです。 このイメージには、Linuxデスクトップ環境をベースにGNUクロス開発ツールやその他の必要なツールが事前にインストールされています。 ATDEを使うことで、開発用PCの用意やツールのインストールなどといった開発環境を整える手間を軽減することができます。

2.1.2. Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eとは

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eは、あらゆる用途に対応するスタンダードなIoTゲートウェイです。同様のコンセプトで開発された従来製品に比べ、 CPU処理能力が約3倍も高速になったことで、さらに幅広い用途で採用できます。

搭載する通信モジュールごとに各モデルが用意されています。

「Cat.1 bisモデル」は、新規格であるLTE Cat.1 bis対応の通信モジュールを搭載しています。 データ収集やソフトウェアアップデート(OTA)に必要となる実用的な通信速度と、 バッテリ駆動にも対応できる省電力性を両立することができます。

高い自由度と、開発のしやすさ、組み込み機器としての堅牢性をバランスよく兼ね備えており、オリジナルの商用 IoT ゲートウェイを市場のニーズに合わせてタイムリーに開発したい方に好適です。

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図2.1 Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eとは


  • 省電力モード搭載・バッテリー駆動の機器に最適

    省電力モードを搭載し、「アプリケーションからArmadillo-IoT ゲートウェイ A9E本体の電源をOFFにする」「RTC(リアルタイムクロック)のアラームで決まった時間に本体の電源をONにする」「省電力モードで動作させ、SMSの受信で復帰する (Cat.1 bis+WLAN モデルと Cat.1 bis モデルのみ対応)」といった細かな電源制御、間欠動作が可能です。

    必要な時だけ本体を起動するといった間欠動作運用が可能なので、バッテリーで稼動させるような機器に適しています。

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図2.2 間欠動作の例


  • RS-485や接点入出力を標準搭載

    LAN、USB2.0のインターフェースに加えて、多くの事例で利用されているRS-485シリアル通信(半二重)、接点入力2ch、接点出力2chを標準搭載しました。 また、筐体内の基板には更なる拡張インターフェース(UART/GPIO/I2C/CAN/TPM/他)が用意されており、幅広い目的に沿った拡張をすることができます。

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図2.3 様々なデバイスとの接続例


  • コンテナ型のArmadillo Base OSを搭載し、差分アップデートにも対応

    LinuxをベースとしたArmadillo Base OSは、コンパクトでセキュリティリスクが抑えられたコンテナアーキテクチャーのOSであり、標準でソフトウェアアップデート機能を有しています。アプリケーションソフトウェアはコンテナ上で動作し、コンテナのアップデートで新機能の追加やセキュリティ更新をすることができます。また差分アップデート機能にも対応しているため、アップデート時の通信容量を抑えることができます。

  • 各種クラウドIoTサービスに対応したゲートウェイコンテナを提供

    各種クラウドIoTサービス(Azure IoTやAWS IoT Core)に対応したゲートウェイコンテナを用意しました。従来のモデルでは、ユーザー自身が開発するアプリケーションソフトウェア上で、ゲートウェイとしての機能の他、通信障害時の対応、セキュリティ対応、間欠動作時の挙動などの難しい課題を自ら解決する必要がありました。

    あらかじめ用意されたゲートウェイコンテナを活用することで、これらの課題に対処することができ、短期間にIoTシステムを構築可能です。

  • 用途に合わせて複数のラインアップを用意

    Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eは、モバイル通信モジュールとWLANモジュール搭載の「Cat.1 bis+WLANモデル」、 WLAN モジュール非搭載の「Cat.1 bisモデル」、モバイル通信モジュール非搭載の「WLANモデル」、 モバイル通信モジュールとWLANどちらも非搭載で、 最もシンプルな「LANモデル」をラインアップしています。

設置環境や用途に合わせて製品を選ぶことができます。

2.1.3. Armadillo Base OSとは

Armadillo Base OSは、アットマークテクノが提供する専用ディストリビューションです。 Linux5.10をベースに、コンテナ管理機能、ソフトウェアアップデート機能、ネットワークマネージャーなどに対応。 機能を限定したコンパクトなOSで、安全性の高い運用を実現します。

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図2.4 Armadillo Base OSとは


  • OSのコンパクト化

    OS基盤の機能を最小限にしたことで、セキュリティリスクを低減しています。 アットマークテクノが継続的にアップデートを提供するため、 高セキュリティなIoT機器として長期間に渡り運用することができます。

  • コンテナによるアプリケーション運用

    アプリケーションを「コンテナ」単位でOSから分離して管理できるため、コンテナごとのアップデートが可能です。 サンドボックス化されることにより、悪意あるソフトウェアからの攻撃に対する機器全体の保護に有効性を発揮します。

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図2.5 コンテナによるアプリケーションの運用


  • アップデート機能を標準搭載

    ネットワークやUSBメモリ、microSDカード、Armadillo Twinによるアップデート機能を標準搭載しています。 正しく署名されたソフトウェアのみアップデートできる仕組みや、差分アップデート機能も用意されています。 OS・ブートローダー・コンテナ部分は、安全性を担保するため二面化し、リカバリー機能を備えています。 万が一アップデートに失敗した場合でも、作業前の状態にロールバックすることができます。

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図2.6 ロールバックの仕組み


  • 堅牢性の向上

    安定性の高いファイルシステムで、ストレージへの書込みを減らして消耗を抑制するなど、 高い堅牢性を有します。運用ログの記録機能も標準搭載しています。

  • セキュリティ機能の向上

    コンテナにアクセス権限を設けて管理することができます。 デバイス証明に利用できるセキュアエレメントを搭載するほか、セキュア環境「OP-TEE[4][5]」を利用 可能な状態で提供しています。

2.1.4. Armadillo Base OSのメンテナンスポリシーとアップデートの推奨

Armadillo Base OSは Armadillo Base OS搭載製品のサポート期限にしたがって、アットマークテクノがセキュリティアップデートの提供、既存機能のバグ修正、今はない便利な機能の追加を継続的に行い、ユーザービリティの向上に努めます。緊急時を除き月末に "製品アップデート" としてこれらをリリースをし、Armadilloサイトから通知、変更内容の公開を行います。ユーザー登録を行うことで通知をメールで受け取ることもできます。

ArmadilloをIoT機器としてネットワークに接続し長期に運用を行う場合、継続的に最新バージョンを使用することを強く推奨いたします。 最新バージョンを使用しない場合の注意点については「ソフトウェア使用に関しての注意事項」の「ソフトウェアのアップデートについて」を参照してください。

2.1.4.1. 後方互換性について

Armadillo Base OSは、原則、abos-ctrlコマンド等の各種機能や、sysfsノード、コンテナ制御をするためのpodmanコマンド等のAPI後方互換を維持します。また、Armadillo Base OSとコンテナ間でサンドボックス化されていることもあり、互いのlibc等のライブラリや、各種パッケージなどの組み合わせによって互換性の問題は発生しません。 このため、Armadillo Base OSをアップデートしても、これまで利用していたアプリケーションコンテナは原則的にそのまま起動・動作させることができます。

しかし、Armadillo Base OS内のLinux-Kernelやalpineパッケージ変更によって、細かな動作タイミングが変更になる場合があるため、タイミングに大きく依存するようなアプリケーションをコンテナ内部に組み込んでいた場合に、動作に影響を与える可能性があります。 まずは、テスト環境でArmadillo Base OS更新を行い、アプリケーションコンテナと組み合わせた評価を行った後、市場で動作しているArmadilloに対してアップデートを行うことを推奨します。

製品開発を開始するにあたり、Armadillo Base OS に関してより詳細な情報が必要な場合は、 「開発前に知っておくべき Armadillo Base OS の機能・特徴」 を参照してください。

2.1.5. Armadillo Twin とは

Armadillo Twin は、アットマークテクノが提供するクラウドサービスです。 Armadillo Base OS 搭載のデバイスを、リモートから運用管理することができます。 様々なタスクをリモートから実行できるようになり、 OS アップデートもサービス画面からの操作で行えるため、稼働中のデバイスは常に最新の状態を維持することができます。 また、バグ修正やセキュリティ対策などのメンテナンスのほか、機能追加や設定変更、アプリケーションのアップデートなども行えるため、 デバイスの設置現場に出向くことなく、計画的で効率的なDevOpsを実現することができます。

本書では、開発・量産・運用の各フェーズにおける Armadillo Twin の利用について記載しています。

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図2.7 Armadillo Twin とは


2.1.5.1. サービスの特徴

  • ソフトウェアアップデート (OTA)

    遠隔からデバイスのソフトウェアアップデートをすることで、長期的にセキュリティ性の高いシステムを保つと共に、新たな機能を提供することも可能です。本サービスで管理するデバイスに搭載されている Armadillo Base OS は、不正なソフトウェアへのアップデートを行わせない署名検証機能や、アップデートが失敗した際に自動で元の状態に戻るロールバック機能を備えています。そのため、安心してソフトウェアアップデートを利用することができます。

  • 遠隔稼働監視

    登録されたデバイスの死活監視をはじめ、CPU の使用率や温度、メモリの使用量、モバイル回線の電波状況、ストレージの空き容量や寿命を監視することができます。各値にはアラートの設定を行うことができ、異常を検知した場合はアラートメールを管理者に送信します。メールを受けた管理者は本サービスの遠隔操作機能を利用し、即座に対応を行うことができるため、システムの安定運用を行うことができます。 そのほか、本サービスに登録したデバイスは、自由にラベル名を付けたりグループを作成して管理することができるため、どのデバイスをどの場所に設置したか画面上で把握することが容易になります。また、デバイス本体に搭載されているセキュアエレメントを利用した個体認証により、不正なデバイスの登録を防ぎます。

  • 遠隔操作

    画面上で入力した任意のコマンドをデバイス上で実行することができます。本サービスは遠隔操作で一般的に使われる SSH(Secure Shell) のように固定グローバル IP アドレスの設定は不要です。そのため、通信回線の契約料金を安くできるだけではなく、インターネット上からのサイバー攻撃のリスクを抑制する効果も期待できます。 任意のコマンドは単一のデバイスだけではなく、グループ単位、また複数のデバイスを選択して一括して実行したり、時刻を指定するスケジュール実行にも対応しています。

2.1.5.2. 提供する機能一覧

Armadillo Twin は、下記の機能を提供します。

遠隔稼働監視

死活監視、アプリケーションコンテナ稼働状況、 CPU使用率・温度/メモリ使用率、ストレージ寿命、モバイル回線電波強度、モバイル回線基地局の位置情報[a]、アラートメール

遠隔操作

ソフトウェアアップデート(OTA)、任意コマンド実行、ソフトウェアバージョン確認、設定変更、グループ一括実行、スケジュール実行[a]

個体管理

デバイス登録(デバイス証明書を利用)、ラベル付け、デバイスグループ化機能

ユーザ管理

ユーザーの追加/削除、ユーザー権限の設定

お知らせ

セキュリティアップデート、システム障害通知

[a] サービス開始時には非対応の機能です。今後のアップデートで対応予定です。

2.2. 製品ラインアップ

モバイル通信モジュールとWLANモジュール搭載の「Cat.1 bis+WLANモデル」、 モバイル通信モジュール非搭載の「WLANモデル」、モバイル通信モジュールとWLANどちらも非搭載で、 最もシンプルな「LANモデル」をラインアップしています。

設計開発時には、開発に必要なものを一式含んだ「開発セット」、量産時には、必要最小限のセット内容に絞った「量産用」もしくは「量産ボード」をご購入ください。 「量産用」はケース有、「量産ボード」はケース無となります。

[ティップ]

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eは量産向けに、搭載するモジュールやケースの有無、 部品実装の一部変更、ROMイメージの書き込みなどを選択・指定できる BTOサービスを提供しています。詳細につきましては、 「アットマークテクノ BTOサービス」をご確認ください。

2.2.1. Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E開発セット

開発セットのラインアップは以下のとおりです。 設置環境や用途に合わせた開発セットをご購入ください。

表2.1 Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E開発セットラインアップ

名称 型番

Armadillo-IoTゲートウェイA9E Cat.1 bis+WLANモデル 開発セット

AG9130-C03D0

Armadillo-IoTゲートウェイA9E WLANモデル 開発セット

AG9110-C01D0

Armadillo-IoTゲートウェイA9E LANモデル 開発セット

AG9100-C00D0


内容物は以下のとおりです。

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図2.8 Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E開発セットの内容物


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Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E 本体
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LTE用外付けアンテナ[6]
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WLAN/BT/TH用外付けアンテナ[7]
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USB(Aオス-TypeC)ケーブル
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ACアダプタ(12V/2.0A)

2.2.2. Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E量産用

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E量産用は、内容物を製品本体(ケース有)とアンテナのみに絞った、量産向けのラインアップです。

ケースを組み立てせずに添付にする、ACアダプタを同梱する等の変更がBTOサービスで対応可能ですので、 変更をご検討の場合は、BTOサービスをご確認ください。

表2.2 Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E量産用一覧

名称 型番

Armadillo-IoTゲートウェイA9E Cat.1 bis+WLANモデル 量産用 (LTEアンテナ付属、WLANアンテナ付属)

AG9130-C03Z

Armadillo-IoTゲートウェイA9E Cat.1 bisモデル 量産用 (LTEアンテナ付属)

AG9120-C02Z

Armadillo-IoTゲートウェイA9E WLANモデル 量産用 (WLANアンテナ付属)

AG9110-C01Z

Armadillo-IoTゲートウェイA9E LANモデル 量産用

AG9100-C00Z


内容物は以下のとおりです。

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図2.9 Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E量産用の内容物


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Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E 本体
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LTE用外付けアンテナ[8]
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WLAN/BT/TH用外付けアンテナ[9]

2.3. 仕様

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eの主な仕様を 表2.3「仕様(Cat.1 bis モデル)」表2.4「仕様 (WLAN モデル、LAN モデル)」 に示します。

表2.3 仕様(Cat.1 bis モデル)

型番 AG9130-C03Z, AG9130-C03D0 AG9120-C02Z

プロセッサ

NXP Semiconductors i.MX 8ULP

ARM Cortex-A35 x 2

・命令/データキャッシュ 32KByte/32KByte

・L2 キャッシュ 512KByte

・内部 SRAM 64KByte

・メディアプロセッシングエンジン(NEON)搭載

ARM Cortex-M33 x 1

・命令/データキャッシュ 32KByte/32KByte

・内部共有メモリ 768KByte

システムクロック

CPU コアクロック(ARM Cortex-A35): 800MHz

CPU コアクロック(ARM Cortex-M33): 216MHz

DDR クロック: 528MHz

源発振クロック: 32.768kHz, 24MHz

RAM

LPDDR4x: 1GByte

バス幅: 32bit

ROM

eMMC: 3.8GB(3.6GiB) [a]

LAN(Ethernet)

100BASE-TX/10BASE-T x 1

AUTO-MDIX対応

無線LAN/Bluetooth/TH

WLAN+BT+TH コンボモジュール [b]

IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax and Bluetooth, TH

非搭載

モバイル通信

LTE Cat.1 bis モジュール [c]

SIMスロット: nanoSIM対応

USB

USB 2.0 Host x 1 (High Speed)

SD

microSDスロット x 1

入出力インターフェース

接点入力(電流シンク出力タイプに接続可能) x 2

接点出力(無極性) x 2

シリアル(RS-485)

2線式(Data+, Data-, GND) x 1

終端抵抗 120Ω内蔵 [d]

拡張インターフェース [e]

GPIO x 20、UART x 2、I2C x 2、CAN x 1、I2S x 1、TPM x 3、A/D x 7

カレンダ時計

リアルタイムクロック搭載

バックアップ用電池 CR1220接続可能

最大月差: 8秒(周囲温度-20℃~60℃、経年変化除く)

スイッチ

ユーザースイッチ x 1

設定用スイッチ x 2

LED

SYS(Green) x 1

APP(Green) x 1

WWAN(Green) x 1

メンテナンスポート

USB Type C シリアルコンソール

セキュアエレメント

NXP Semiconductors SE050

入力電源

DC 8~26.4V

消費電力(参考値)

約3mW : シャットダウン時

約80mW : ディープスリープ時

約250mW : ディープスリープ時(SMS起床可)

約1,150mW : アクティブ時

約1,700mW : アクティブ時(LTE連続通信)

約2,000mW : アクティブ時(LTE/WLAN連続通信)

約2,900mW : 最大消費電力(LTE連続通信)[f]

約3,650mW : 最大消費電力(LTE/WLAN連続通信)[f]

約3mW : シャットダウン時

約80mW : ディープスリープ時

約250mW : ディープスリープ時(SMS起床可)

約1,100mW : アクティブ時

約1,650mW : アクティブ時(LTE連続通信)

約2,850mW : 最大消費電力(LTE連続通信)[f]

動作温度範囲

-20~+60℃ (結露なきこと)

外形サイズ(基板)

103 x 87 mm (突起部、アンテナを除く)

外形サイズ(ケース)

106.2 x 90 x 32.2 mm (突起部、アンテナを除く)

[a] pSLC での数値です。出荷時 pSLC に設定しています。

[b] 無線LAN/Bluetooth/TH通信を利用する時は、WLAN/BT/TH用外付けアンテナを接続する必要があります。

[c] モバイル通信を利用する時は、LTE用外付けアンテナを接続する必要があります。

[d] ディップスイッチの操作で抵抗の切り離しが可能です。

[e] i.MX 8ULP のピンマルチプクレスの設定で、優先的に機能を割り当てた場合に拡張可能な最大数を記載しています。

[f] LTEの電波強度が弱かつ周辺機器が未接続の時の参考値となります。電波環境や接続するデバイスにより消費電力は変化します。


表2.4 仕様 (WLAN モデル、LAN モデル)

型番 AG9110-C01Z, AG9110-C01D0 AG9100-C00Z, AG9100-C00D0

プロセッサ

NXP Semiconductors i.MX 8ULP

ARM Cortex-A35 x 2

・命令/データキャッシュ 32KByte/32KByte

・L2 キャッシュ 512KByte

・内部 SRAM 64KByte

・メディアプロセッシングエンジン(NEON)搭載

ARM Cortex-M33 x 1

・命令/データキャッシュ 32KByte/32KByte

・内部共有メモリ 768KByte

システムクロック

CPU コアクロック(ARM Cortex-A35): 800MHz

CPU コアクロック(ARM Cortex-M33): 216MHz

DDR クロック: 528MHz

源発振クロック: 32.768kHz, 24MHz

RAM

LPDDR4x: 1GByte

バス幅: 32bit

ROM

eMMC: 3.8GB(3.6GiB) [a]

LAN(Ethernet)

100BASE-TX/10BASE-T x 1

AUTO-MDIX対応

無線LAN/Bluetooth/TH

WLAN+BT+TH コンボモジュール [b]

IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax and Bluetooth, TH

非搭載

モバイル通信

非搭載

USB

USB 2.0 Host x 1 (High Speed)

SD

microSDスロット x 1

入出力インターフェース

接点入力(電流シンク出力タイプに接続可能) x 2

接点出力(無極性) x 2

シリアル(RS-485)

2線式(Data+, Data-, GND) x 1

終端抵抗 120Ω内蔵 [c]

拡張インターフェース [d]

GPIO x 20、UART x 2、I2C x 2、CAN x 1、I2S x 1、TPM x 3、A/D x 7

カレンダ時計

リアルタイムクロック搭載

バックアップ用電池 CR1220接続可能

最大月差: 8秒(周囲温度-20℃~60℃、経年変化除く)

スイッチ

ユーザースイッチ x 1

設定用スイッチ x 2

LED

SYS(Green) x 1

APP(Green) x 1

WWAN(Green) x 1 [e]

メンテナンスポート

USB Type C シリアルコンソール

セキュアエレメント

NXP Semiconductors SE050

入力電源

DC 8~26.4V

消費電力(参考値)

約3mW : シャットダウン時

約50mW : ディープスリープ時

約250mW : ディープスリープ時(SMS起床可)

約900mW : アクティブ時

約1,200mW : アクティブ時(WLAN連続通信)

約1,650mW : 最大消費電力(WLAN連続通信)[f]

約3mW : シャットダウン時

約50mW : ディープスリープ時

約250mW : ディープスリープ時(SMS起床可)

約900mW : アクティブ時

約1,050mW : アクティブ時(LAN連続通信)

約1,150mW : 最大消費電力(LAN連続通信)[f]

動作温度範囲

-20~+60℃ (結露なきこと)

外形サイズ(基板)

103 x 87 mm (突起部、アンテナを除く)

外形サイズ(ケース)

106.2 x 90 x 32.2 mm (突起部、アンテナを除く)

[a] pSLC での数値です。出荷時 pSLC に設定しています。

[b] 無線LAN/Bluetooth/TH通信を利用する時は、WLAN/BT/TH用外付けアンテナを接続する必要があります。

[c] ディップスイッチの操作で抵抗の切り離しが可能です。

[d] i.MX 8ULP のピンマルチプクレスの設定で、優先的に機能を割り当てた場合に拡張可能な最大数を記載しています。

[e] WLAN モデルと LAN モデルは WWAN LED をユーザーが自由に使用することができます。

[f] 電波環境や接続するデバイスにより消費電力は変化します。


2.4. インターフェースレイアウト

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E のインターフェースレイアウトです。一部のインターフェースを使用する際には、ケースを開ける必要があります。

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図2.10 Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E インターフェースレイアウト


表2.5 各部名称と機能

番号 名称 形状 説明

1

電源入力インターフェース

DCジャック

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eへの電源供給で使用します[a]。付属のACアダプタ(12V/2A)を接続します。対応プラグ:内径2.1mm、外形5.5mm

2

LANインターフェース

RJ-45コネクタ

有線LANを利用する場合に使用します。LANケーブルを接続します。

3

入出力インターフェース

端子台

絶縁入出力、RS-485通信する場合に使用します。Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eへの電源供給も可能です[a]

4

SDインターフェース

microSDスロット

外部ストレージが必要な場合や、ブートローダーを破壊してしまった時の復旧等で使用します。microSDカードを挿入します。

5

USBコンソールインターフェース

USB Type Cコネクタ

コンソール入出力を利用する場合に使用します。USB Type Cケーブルを接続します。

6

USBインターフェース

USB 2.0 Type-Aコネクタ

外部ストレージが必要な場合等に使用します。USBメモリ等を接続します。

7

nanoSIM インターフェース

nanoSIMスロット

LTEデータ通信を利用する場合に使用します。nanoSIMカードを挿入します。

8

RTCバックアップインターフェース

電池ボックス

リアルタイムクロックのバックアップ給電が必要な場合に使用します。対応電池: CR1220 等

9

拡張インターフェース

ピンヘッダ34ピン(2.54mmピッチ)

機能拡張する場合に使用します。2.54mmピッチのピンヘッダを実装することができます。

10

WLAN/BT/THアンテナインターフェース

SMAコネクタ

WLAN、Bluetooth、THデータ通信を利用する場合に使用します。付属のWLAN/BT/TH用外付けアンテナを接続します。

11

LTEアンテナインターフェース

SMAコネクタ

LTEデータ通信を利用する場合に使用します。付属のLTE用外付けアンテナを接続します。

12

システムLED

LED(緑色、面実装)

電源の入力状態を表示する緑色LEDです。

13

アプリケーションLED

LED(緑色、面実装)

アプリケーションの状態を表示する緑色LEDです。

14

ワイヤレスWAN LED

LED(緑色、面実装)

LTE通信の状態を表示する緑色LEDです。

15

ユーザースイッチ

タクトスイッチ

ユーザーが利用可能なタクトスイッチです。

16

起動デバイス設定スイッチ

DIPスイッチ

起動デバイスを設定する時に使用します。

17

RS-485終端抵抗設定スイッチ

DIPスイッチ

RS-485通信の終端抵抗を設定する時に使用します。

[a] DCジャックと端子台の両方から同時に電源供給することはできません。


2.5. ブロック図

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9Eのブロック図は次のとおりです。

images/block_diagram_ag9130.svg

図2.11 ブロック図(AG9130-C03D0, AG9130-C03Z)


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図2.12 ブロック図(AG9120-C02Z)


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図2.13 ブロック図(AG9110-C01D0, AG9110-C01Z)


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図2.14 ブロック図(AG9100-C00D0, AG9100-C00Z)


2.6. 使用可能なストレージデバイス

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E でストレージとして使用可能なデバイスを次に示します。

表2.6 ストレージデバイス

デバイス種類 ディスクデバイス先頭パーティションインターフェース

オンボード eMMC

/dev/mmcblk0

/dev/mmcblk0p1

オンボード

オンボード eMMC (GPP)

/dev/mmcblk0gp2

なし

オンボード

オンボード eMMC (GPP)

/dev/mmcblk0gp3

なし

オンボード

SD/SDHC/SDXCカード

/dev/mmcblk2

/dev/mmcblk2p1

microSDスロット(CON4)

USBメモリ

/dev/sd* [a]

/dev/sd*1

USB ホストインターフェース (CON6)

[a] USBハブを利用して複数のUSBメモリを接続した場合は、認識された順に sdasdbsdc … となります。


[ティップ]GPP(General Purpose Partition)について

GPP は、eMMC の通常の記憶領域を割譲して eMMC 内部に作られた記憶領域です。 eMMC の通常の記憶領域とはアドレス空間が異なるため、/dev/mmcblk0 および /dev/mmcblk0p* に対してどのような書き込みを行っても /dev/mmcblk0gp* のデータが書き換わることはありません。

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9E では、8 MiB の GPP を4つ作成しています。各領域の用途を表2.7「eMMCのGPPの用途」に示します。

表2.7 eMMCのGPPの用途

ディスクデバイス 用途

/dev/mmcblk0gp0

ライセンス情報等の為の予約領域

/dev/mmcblk0gp1

動作ログ領域

/dev/mmcblk0gp2

動作ログ予備領域[a]

/dev/mmcblk0gp3

ユーザー領域

[a] 詳細は「ログ用パーティションについて」を参照ください。


2.7. ストレージデバイスのパーティション構成

Armadillo-IoT ゲートウェイ A9EのeMMCのパーティション構成を 表2.8「eMMCメモリマップ」に示します。

表2.8 eMMCメモリマップ

パーティション サイズ ラベル 説明

1

300MiB

rootfs_0

A/B アップデートのA面パーティション(Linuxカーネルイメージ, Device Tree Blob, Alpine Linux rootfsを含む)

2

300MiB

rootfs_1

A/B アップデートのB面パーティション(Linuxカーネルイメージ, Device Tree Blob, Alpine Linux rootfsを含む)

3

50MiB

logs

ログ書き込み用パーティション

4

100MiB

firm

ファームウェア用パーティション

5

2.5GiB

app

アプリケーション用パーティション

10

50MiB

secboot0

セキュアブート用のA面パーティション[a]

11

50MiB

secboot1

セキュアブート用のB面パーティション[a]

[a] セキュアブートを有効にした場合に署名済みLinuxカーネルイメージが格納されます。


Armadillo-IoT ゲートウェイ A9EのeMMCのブートパーティションの構成を表2.9「eMMC ブートパーティション構成」に示します。

表2.9 eMMC ブートパーティション構成

ディスクデバイス サイズ 説明

/dev/mmcblk0boot0

4 MiB

A/B アップデートのA面

/dev/mmcblk0boot1

4 MiB

A/B アップデートのB面


Armadillo-IoT ゲートウェイ A9EのeMMCのGPP(General Purpose Partition)の構成を表2.10「eMMC GPP構成」に示します。

表2.10 eMMC GPP構成

ディスクデバイス サイズ 説明

/dev/mmcblk0gp0

8 MiB

ライセンス情報等の為の予約領域

/dev/mmcblk0gp1

8 MiB

動作ログ領域

/dev/mmcblk0gp2

8 MiB

動作ログ予備領域[a]

/dev/mmcblk0gp3

8 MiB

ユーザー領域

[a] 詳細は「ログ用パーティションについて」を参照ください。


2.8. ソフトウェアのライセンス

Armadillo Base OS に含まれるソフトウェアのライセンスは、 Armadillo にログイン後に特定のコマンドを実行することで参照できます。

手順について、詳細は以下の Howto を参照してください。



[4] Armコア向けTEE(Trusted Execution Environment)実装の一つです (https://optee.readthedocs.io/en/latest/)

[5] ソースコードは imx-boot の imx-optee-os ディレクトリに入っています

[6] AG9110-C01D0/AG9100-C00D0には同梱されません

[7] AG9100-C00D0には同梱されません

[8] AG9110-C01Z/AG9100-C00Zには同梱されません

[9] AG9120-C02Z/AG9100-C00Zには同梱されません