第4章 ネットワーク

この章では、ネットワークの初期設定の説明や設定の変更方法、ネットワークを使用するアプリケーションの使用方法について説明します。

4.1. 初期状態でのネットワーク接続機構

初期状態のArmadilloは、DHCP接続またはZeroconf接続という手法で自動的にIPアドレスを取得し、ネットワークに接続できるように設定されています。作業用PCも、Armadilloと同じネットワークに適切に接続されるよう設定する必要があります。

4.1.1. DHCP接続

Armadilloがネットワークに自動接続する際、最初にDHCP接続を試みます。ネットワーク内にDHCPサーバーがある場合、DHCPサーバーによってArmadilloにIPアドレスが割り振られます。

PCは、同じようにDHCP接続することにより、必ずArmadilloと同じネットワークに接続されることになります。

4.1.2. Zeroconf接続

ArmadilloがDHCPサーバーを見つけられなかった場合、Zeroconf(IPv4LL)[4]という機構を使ってIPアドレスを取得します。

Zeroconfでは、特定のアドレス範囲(169.254.0.1~169.254.255.254)内のアドレスを使用し、サブネットマスクを255.255.0.0に設定します。なお、この範囲のIPアドレスはIANA(Internet Assigned Numbers Authority)によって予約されています。

Zeroconfで設定されたArmadilloと接続するためには、PCも同じネットワークに接続しなければなりません。PC側でもZeroconfを使うことができれば、当然問題なく接続できます。

PC側でZeroconfを使うことができない場合、Zeroconf接続と同じネットワークになるような設定を、固定IPアドレス設定で行うという方法もあります。169.254.0.1~169.254.255.254の任意のIPアドレスとサブネットマスク255.255.0.0の組み合わせをPCのネットワーク設定に使用することで、Zeroconfと同じネットワークに接続することができます。

こうして設定した任意のIPアドレスが、たまたまArmadilloが設定したIPアドレスと重なることがありますが、これについては問題になりません。ArmadilloのZeroconfは、自身と同一のIPを持つ個体からの発信を見つけると、すぐに自らIPアドレスを変更しますので、一定時間後にはお互いを認識可能になります。

4.2. ネットワーク設定の変更方法

ここでは、Armadilloのネットワーク設定の変更方法について説明します。

[警告]

ネットワーク接続に関する不明な点については、ネットワークの管理者へ相談してください。

4.2.1. Webブラウザからネットワーク設定を変更する

Armadilloは、Webブラウザからネットワークに関する各種設定を変更することができます。ネットワーク設定の変更方法は「AT Admin: System - Network」を参照してください。

4.2.2. Armadilloにログインしてネットワーク設定を変更する

Armadillo上の「/etc/config」以下にあるファイルを編集し、コンフィグ領域に保存することにより起動時のネットワーク設定を変更することができます。コンフィグ領域の保存については、9章コンフィグ領域 − 設定ファイルの保存領域を参照してください。

4.2.2.1. 固定IPアドレスに設定する

表4.1「固定IPアドレス設定例」に示す内容に設定変更するには、viエディタで/etc/config/interfacesを、図4.1「固定IPアドレス設定」のように編集します。

表4.1 固定IPアドレス設定例

項目設定
IPアドレス192.168.10.10
ネットマスク255.255.255.0
ネットワークアドレス192.168.10.0
ブロードキャストアドレス192.168.10.255
デフォルトゲートウェイ192.168.10.1

[armadillo ~]# vi /etc/config/interfaces
# /etc/network/interfaces -- configuration file for ifup(8), ifdown(8)

auto lo eth0
iface lo inet loopback
iface eth0 inet static
	address 192.168.10.10
	netmask 255.255.255.0
	network 192.168.10.0
	broadcast 192.168.10.255
	gateway 192.168.10.1

図4.1 固定IPアドレス設定


4.2.2.2. DHCPに設定する

DHCPに設定するには、viエディタで/etc/config/interfacesを、図4.2「DHCP設定」のように編集します。

[armadillo ~]# vi /etc/config/interfaces
# /etc/network/interfaces -- configuration file for ifup(8), ifdown(8)

auto lo eth0
iface lo inet loopback
iface eth0 inet dhcp

図4.2 DHCP設定


4.2.2.3. DNSサーバーを指定する

DNSサーバーを指定する場合は、viエディタで/etc/config/resolv.confを編集します。

[armadillo ~]# vi /etc/config/resolv.conf
nameserver 192.168.10.1

図4.3 DNSサーバーの設定


4.2.3. 接続を確認する

ここでは、変更したIP設定で正常に通信が可能か確認します。

まず、設定を反映させます。設定後、コンフィグ領域を保存し再起動した場合は必要ありません。

[armadillo ~]# ifdown -a
[armadillo ~]# ifup -a

図4.4 設定を反映させる


同じネットワーク内にある通信機器とPING通信を行ってみます。

[armadillo ~]# ping 192.168.10.1

図4.5 PING確認


4.3. ファイアーウォール

Armadilloでは、簡易ファイアーウォールが動作しています。設定されている内容を参照するには、図4.6「iptables」のようにコマンド実行してください。

[armadillo ~]# iptables --list

図4.6 iptables


4.4. ネットワークアプリケーション

ここでは、出荷時のデフォルトユーザーランドに収録されているソフトウェアのうちネットワークに関するアプリケーションの操作方法を説明します。

4.4.1. Telnet

4.4.1.1. Telnetサーバ

他のPCからネットワーク経由でログインし、リモート操作が可能となります。表4.2「telnetでログイン可能なユーザ」に示すユーザでログインすることができます。

表4.2 telnetでログイン可能なユーザ

ユーザ名パスワード
guest(なし)

4.4.1.2. Telnetクライアント

telnetを使用して、他のPCにリモートログインすることができます。telnet使用するには、図4.7「telnet」のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# telnet [TELNET SERVER]

図4.7 telnet


4.4.2. FTP

4.4.2.1. FTPサーバ

他のPCからネットワーク経由でファイルの転送ができます。表4.3「ftpでログイン可能なユーザ」に示すユーザでログインすることが可能です。

表4.3 ftpでログイン可能なユーザ

ユーザ名パスワード
ftp(なし)

4.4.2.2. FTPクライアント

ftpを使用して、他のPCとファイル転送ができます。ftpを使用するには、図4.8「ftp」のようにコマンドを実行してください。

[armadillo ~]# ftp [FTP SERVER]

図4.8 ftp


4.4.3. SSH

4.4.3.1. SSHサーバー

他のPCからネットワーク経由でログインし、安全にリモート操作が可能となります。sshサーバーは、自動起動しないように設定されています。sshサーバーを起動する場合は図4.9「sshdの起動」のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# sh /etc/init.d/sshd

図4.9 sshdの起動


[警告]

sshdを使用するには公開鍵が必要です。公開鍵を作成していない場合には自動的に鍵生成が行なわれます。この処理には数分程度の時間がかかります。

ログイン可能なユーザーは表4.4「sshでログイン可能なユーザー」を参照してください。

表4.4 sshでログイン可能なユーザー

ユーザー名パスワード
guest(なし)

4.4.3.2. SSHクライアント

sshを使用して、安全に他のPCへリモートログインすることができます。sshを使用するには、図4.10「ssh」のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# ssh [USER]@[SSH SERVER]

図4.10 ssh


4.4.4. Webサーバー

Armadilloでは、Webサーバーが動作しています。PCなどのWebブラウザからArmadilloのURL(http://[ArmadilloのIPアドレス])[5]にアクセスすると、Webサーバーのトップページが表示されます。

4.4.5. NTPクライアント

NTP(Network Time Protocol)クライアントを使用して、タイムサーバーから時刻情報を取得することができます。図4.11「ntpclient」のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# ntpclient -h [NTP SERVER] -s
36525 42052.288   32712.0    321.0  320195180072231.5    259.4         0

図4.11 ntpclient


4.4.6. SMTPクライアント

SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)クライアントを使用してメールを送信することができます。図4.12「mail」のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# echo "[BODY]" | mail --subject="[TITLE]" --from="[FROM]" --smtp-host=[SMTP SERVER] [TO]

図4.12 mail


[警告]

/etc/hostsに現在のホスト名の記述が無い場合はメールを送信することができません。以下のコマンドを実行して現在の設定を確認してください。

[armadillo ~]# echo $HOSTNAME
armadillo420-0
[armadillo ~]# cat /etc/hosts
127.0.0.1       localhost
127.0.0.1       armadillo420-0

::1     localhost.v6

図4.13 ホスト名設定の確認


4.4.7. at-cgi

他のPCのWebブラウザから、ネットワークの設定や、ファームウェアの管理を行うことができます。

4.4.7.1. AT Admin: 管理画面

http://[ArmadilloのIPアドレス]/index.cgiにアクセスすると、Webブラウザに 図4.14「AT Admin: Overview」 のようにat-cgiのトップページが表示されます。

at-cgiのトップページは、AT adminの「Overview」です。AT adminには「Overview」、「System」が用意されています。

メニュー機能
Overviewシステム概要
Systemシステム設定

これら2つの機能は、必ずページ上方のメニュー内に表示されます。文字列をクリックすることで、各ページを開くことができます。

AT Admin: Overview

図4.14 AT Admin: Overview


4.4.7.2. AT Admin: 認証

AT AdminではSystemを選択する場合に認証が必要です。このときは 図4.15「AT Admin: System ユーザー名/パスワード認証」 のようにサブウィンドウが表示されます。

初期状態でのユーザー名およびパスワードは以下の通りです。

ユーザー名パスワード
adminadmin

ユーザー名とパスワードを入力し、OKボタンを押してください。認証が正しく行われた場合、選択した画面が表示されます。

AT Admin: System ユーザー名/パスワード認証

図4.15 AT Admin: System ユーザー名/パスワード認証


4.4.7.3. AT Admin: Overview

Overview画面の各部位について説明します。Overviewには大きくわけて3つの情報が表示されます。

  • Network

  • Uptime

  • Firmware

4.4.7.3.1. Network

Networkでは現在のネットワーク設定の概要が表示されます。表示される項目は以下の3つです。

IP Address

現在のIPアドレスが表示されます。IPアドレスの後ろに「(auto)」と書かれている場合は、DHCPまたはZeroconfにより自動的にIPアドレスの設定がされていることを示します。「(static)」となっている場合は固定IPアドレスが設定されていることを示します。

MAC Address

割り振られている固有のMACアドレスが表示されます。

Host name

設定されているホスト名が表示されます。初期状態はarmadillo420-0です。

4.4.7.3.2. Uptime

Armadilloが起動してからの経過時間が表示されます。時間表示は、日(days)、時(hours)、分(min)、秒(sec)で表されます。

4.4.7.3.3. Firmware

現在動作しているファームウェアについて表示されます。

Dist

使用しているディストリビューションのバージョンとプロファイル名が表示されます。

Kernel

Linuxカーネルのバージョンが表示されます。

4.4.7.4. AT Admin: System

4.4.7.4.1. AT Admin: System - System Overview

System OverviewではArmadilloに関する情報の設定および確認を行います。System Overviewには大きく分けて3つの情報が表示されます。

  • Network Info

  • System State

  • Firmware

AT Admin: System - System Overview

図4.16 AT Admin: System - System Overview


4.4.7.4.1.1. Network Info

Network Infoにはネットワーク設定の詳細が表示されます。

IP Address

現在のIPアドレスが表示されます。IP番号の後ろに表示される文字列の意味は以下の通りです。

文字列意味
(auto)DHCPまたはZeroconfによる自動IP設定
(static)固定IPアドレスによる手動IP設定
MAC Address

Armadillo固有に割り振られているMACアドレスが表示されます。

Host name

設定されているホスト名が表示されます。初期状態はarmadillo420-0です。

Traffic

システム起動後にネットワーク送受信されたパケット数が表示されます。

Zeroconf

Bonjourによる自動的なデバイス検出が有効であるかどうかが表示されます。

また、さらに詳しいネットワーク情報は「show ifconfig」から参照することができます。Show ifconfigのページは ifconfigコマンドの出力をそのまま表示します。表示内容の詳細については ifconfigのマニュアルを参照してください。

4.4.7.4.1.2. System State

現在のシステム状況を確認することができます。確認できる情報は以下の3つです。

Load

システム負荷状態(Load Average)が表示されます。

Memory

メモリの使用状態が表示されます。

Uptime

Armadilloシステム起動時点からの経過時間が表示されます。

また、「show meminfo」および「show syslog」から、meminfoの情報とシステムログファイルの情報をそのままの状態で確認することができます。

4.4.7.4.1.3. Firmware

現在動作しているファームウェアについて表示されます。

Dist

ディストリビューションと使用プロファイルについての情報です。ユーザーランド(アプリケーション群)ソフトウェアのバージョンと種類について表示されます。

Kernel

Linuxカーネルのバージョンについて表示されます。

4.4.7.4.2. AT Admin: System - Network

Networkでは、ネットワークに関する各種設定を変更することができます。

Networkでは大きく分けて2つの設定を行うことができます。

  • IPアドレス

  • Hostname

AT Admin: System - Network

図4.17 AT Admin: System - Network


4.4.7.4.2.1. IPアドレス
AUTO IP

自動でIPアドレスの取得・設定を行いたい場合に選択します。初期状態ではこちらが選択されています。

ネットワーク内にDHCPサーバーがある場合、DHCP接続を行います。DHCPサーバーが見つからなかった場合、Zeroconfによって自動でIPが割り振られます。詳細については 4章ネットワーク を参照してください。

STATIC IP

固定でIPアドレスを設定する場合に選択します。

以下の項目について、手動で入力設定する必要があります。

Address

設定するIPアドレスを入力します。

Netmask

設定するサブネットマスクを入力します。

Gateway

設定するゲートウェイサーバーのIPアドレスを入力します。ゲートウェイを使用しない場合は、空欄にしてください。

DNS Server

設定するDNS(ドメインネームシステム)サーバーのIPアドレスを入力します。DNSを使用しない場合は、空欄にしてください。

4.4.7.4.2.2. Hostname

ホスト名の変更確認を行います。変更する場合はテキストボックス内に新しいホスト名を入力してください。初期状態では「armadillo420-0」となっています。Bonjourでは、この設定とデフォルトのネットワーク名である「.local」の組み合わせを使用するため、初期状態では「armadillo420-0.local」がArmadilloの名称となります。この名称は、Webブラウザのアドレスで確認することができます。詳細については 「Bonjour上のホスト名について」 を参照してください。

4.4.7.4.2.3. Update

設定を入力後「Update」ボタンを押すと、以下のような画面が表示された後、Armadilloは新しいネットワーク設定で動作を開始します。

AT Admin: System - Network Update

図4.18 AT Admin: System - Network Update


ネットワーク設定を変更している間は、ArmadilloのLED(赤)が点灯します。数秒~十数秒後に消灯します。消灯を確認してからArmadilloのトップページにアクセスしてください。

[警告]

設定を適用しただけでは、変更されたネットワーク設定は保存されていません。

変更した設定を保存し、次回起動時から有効にするためには、Armadilloのフラッシュメモリに設定を保存する必要があります。保存方法については、「AT Admin: System - Save & Load」を参照してください。

4.4.7.4.3. AT Admin: System - Password

Passwordでは、Packet ScanとSystem画面の認証で使用するユーザー名とパスワードの変更を行います。

AT Admin: System - Password

図4.19 AT Admin: System - Password


4.4.7.4.3.1. User and Password Details
Username

管理ユーザーの名前を入力します。初期状態では「admin」です。

Current password

現在のパスワードを確認のため入力します。初期状態では「admin」です。

New password

新しいパスワードを入力します。

Confirm new password

確認のため、もう一度新しいパスワードを入力します。

4.4.7.4.3.2. ユーザー名・パスワード設定の適用

設定を入力後「Update」ボタンを押すと、変更内容が適用されます。

[警告]

設定を適用しただけでは、変更された設定は保存されていません。変更した設定を保存し、次回起動時から有効にするためには、Armadilloのフラッシュメモリに設定を保存する必要があります。保存方法については、 「AT Admin: System - Save & Load」 を参照してください。

4.4.7.4.4. AT Admin: System - Firmware

Firmwareでは、ユーザーランド(アプリケーション群)およびLinuxカーネルのファームウェア更新を行うことができます。

AT Admin: System - Firmware

図4.20 AT Admin: System - Firmware


公式WEBサイトで公開されているイメージファイルに更新する場合 [6] 、まず「Get firmware options」ボタンを押してください。その下の「Applications(Userland)」「Kernel」の各ボックスに、存在するイメージファイルが表示されます。

4.4.7.4.4.1. Applications(Userland)

ユーザーランド(アプリケーション群)更新を行う項目です。

イメージ選択ボックス

サーバーに存在するユーザーランドイメージが登録されています。更新したいイメージを選択します。

URL入力ボックス

ダウンロードするユーザーランドイメージファイルのURLが表示されます。ボックス右側の「Edit」にチェックを入れると、このボックスに任意のURLを直接入力することが可能になります。

[ティップ]

「Edit」にチェックを入れた場合、URL入力ボックスへの直接入力が優先され、イメージ選択ボックスによる選択は無視されます。

「Update userland」ボタンを押すと、ユーザーランドイメージのダウンロードが始まり、その後フラッシュメモリの更新が開始されます。また、現在と異なるモデルのユーザーランドイメージに更新する場合は、「Update userland」ボタンを押す前に、「Allow all image types」にチェックを入れてください。

4.4.7.4.4.2. Kernel

Linuxカーネル更新を行う項目です。

イメージ選択ボックス

サーバーに存在するカーネルイメージが登録されています。更新したいイメージを選択します。

URL入力ボックス

ダウンロードするLinuxカーネルイメージファイルのURLが表示されます。ボックス右側の「Edit」にチェックを入れると、このボックスにURLを直接入力することが可能になります。

[ティップ]

「Edit」にチェックを入れた場合、URL入力ボックスへの直接入力が優先され、イメージ選択ボックスによる選択は無視されます。

「Update kernel」ボタンを押すと、Linuxカーネルイメージのダウンロードが始まり、その後フラッシュメモリの更新が開始されます。

4.4.7.4.4.3. イメージの更新

「Update userland」や「Update kernel」が開始されると、 図4.21「AT Admin: System - Updating Firmware」 が表示されます。

AT Admin: System - Updating Firmware

図4.21 AT Admin: System - Updating Firmware


ファームウェアの更新中は、Armadilloの電源を切らないでください。更新完了前にArmadilloの電源が切断された場合、Armadilloが起動しなくなる可能性がありますので、十分に注意してください。

更新完了後は、 図4.20「AT Admin: System - Firmware」 のFirmware画面に戻ります。ユーザーランド・カーネルの更新を連続して行いたい場合、続けて選択・入力を行ってから更新開始ボタンを押してください。

以前と異なる種類のファームウェアを書き込んだ場合、設定ファイルの初期化が必要となります。設定ファイルの初期化については、 「AT Admin: System - Save & Load」 を参照してください。

すべての更新完了後、新しいファームウェアで動作させるためにはArmadilloの再起動を行う必要があります。AT Adminからの再起動方法については、 「AT Admin: System - Save & Load」 を参照してください。

4.4.7.4.5. AT Admin: System - Save & Load

Save & Loadでは、変更した各種システム設定のフラッシュメモリへの保存や、以前の設定状態の回復・初期化、システムの再起動などを行うことができます。

AT Admin: System - Save & Load

図4.22 AT Admin: System - Save & Load


4.4.7.4.5.1. Save & Load System Settings

システム設定の保存・回復を行うための項目です。

現在の設定をフラッシュに保存する(Save)

Network SettingsやPasswordで適用した設定をフラッシュメモリに保存します。保存した設定は、一旦Armadilloの電源を切断した後、次回以降の起動時にも有効になります。

現在のシステム設定を破棄し、フラッシュに保存されている元の設定に戻す(Reload)

現在動作している設定を破棄し、フラッシュメモリに保存されている設定を読み出して以前の状態に戻します。以下のような画面が表示された後、Armadilloは新しい(フラッシュメモリから読み出された)ネットワーク設定で動作を開始します。

AT Admin: System - Reload

図4.23 AT Admin: System - Reload


以前の設定に戻した結果、ネットワーク接続が変更された場合は、ArmadilloのLED(赤)が点灯します。LED(赤)の消灯を確認してから、Armadilloのトップページにアクセスしてください。

現在のシステム設定を破棄し、初期状態の設定にする(Restore Defaults)

現在動作している設定を破棄し、システム設定を動作中のファームウェアにおける初期状態にします。フラッシュメモリに保存されている設定についても初期化されます。

4.4.7.4.5.2. System Reboot

システムの再起動を行うための項目です。

システムを再起動する(Reboot)

Armadilloを再起動します。図4.24「AT Admin: System - Reboot」が表示された後、10秒程度でArmadilloが終了し、再び起動します。

AT Admin: System - Reboot

図4.24 AT Admin: System - Reboot


再起動後、ネットワーク接続を変更している間は、ArmadilloのLED(赤)が点灯します。10秒~数分後に消灯しますので、これを確認してから改めてArmadilloトップページにアクセスしてください。

4.5. Bonjourを利用する

Armadilloは、Bonjourに対応しています。このため、同じネットワーク上のBonjourに対応するPCから、Armadilloを容易に見つけ出すことができます。 [7]

(Apple社Webサイトより引用)

「Bonjour」について
「Bonjour」は、ゼロコンフィギュレーション・ネットワークとも呼ばれていますが、IPネットワーク上のコンピュータ、デバイス、およびサービスを自動的に検出するサービスです。「Bonjour」では、業界標準のIPプロトコルが使用されているので、IPアドレスを入力したりDNS サーバーを設定しなくても、デバイスが相互に自動的に検出されます。

4.5.1. Bonjourのインストール

4.5.1.1. Windows

WindowsでBonjourを利用するには、Bonjour for Windowsをインストールする必要があります。このソフトウェアは二次配布が許可されていないため、開発セットに付属していません。アップル社のWEBサイトからダウンロードしてください。

アップル - サポート - ダウンロード - Bonjour for Windows

ダウンロードした「BonjourSetup.exe」を実行し、表示される画面に従って適切にインストールしてください。

4.5.1.2. Mac OS X

Mac OS XではBonjourは標準搭載されています。

4.5.1.3. Linux

Linuxでは、Avahiおよびnss-mdnsライブラリを利用して、Bonjourを扱うことができます。詳しくは、お使いのディストリビューションのドキュメントなどを参照してください。

4.5.2. 動作確認

Bonjourを使ってArmadilloの検出を行います。ここでは例としてWindows環境を使います。他のOSで作業する場合はそれぞれの環境のマニュアルを参照してください。

Windows PCでInternet Explorerを起動します。

Bonjourがインストールされると、Internet Explorer(以下、IE)のエクスプローラ バーにBonjourの表示をすることが可能になります。メニューバーの「表示(V)」→「エクスプローラ バー(E)」→「Bonjour」にチェックを入れてください。

Internet Explorerのエクスプローラ バー設定

図4.25 Internet Explorerのエクスプローラ バー設定


IE左側のエクスプローラ バー「Bonjour」を見てください。

エクスプローラ バー "Bonjour"

図4.26 エクスプローラ バー "Bonjour"


1行目は、Bonjourについて書かれたApple社WEBサイトへのリンクになっています。

その下に表4.5「Armadillo-420 Bonjourリンク」に示すいくつかのリンクが表示されます。これらが、Armadillo上で動作しているサーバへのリンクです。

表4.5 Armadillo-420 Bonjourリンク

表示リンク先 
AT Admin on armadillo420-X [00:11:0C:XX:XX:XX]at-cgiトップページへのリンク 
http on armadillo420-X [00:11:0C:XX:XX:XX]Webサーバートップページへのリンク 
Camera on armadillo420-X [00:11:0C:XX:XX:XX]ビデオサーバートップページへのリンク 

「http on armadillo420-X [00:11:0C:XX:XX:XX]」をダブルクリックすると、ブラウザにWebサーバーのトップページが表示されます。

Webサーバートップページ

図4.27 Webサーバートップページ


「AT Admin on armadillo420-X [00:11:0C:XX:XX:XX]」をダブルクリックすると、ブラウザにat-cgiのトップページが表示されます。詳しくは「at-cgi」を参照してください。

また、Armadillo-420にUVC対応Webカメラを接続した状態で「Camera on armadillo420-X [00:11:0C:XX:XX:XX]」をダブルクリックすると、ブラウザにビデオサーバーのトップページが表示されます。詳しくは「UVC対応Webカメラ」を参照してください。

エクスプローラ バーに「http on armadillo420 [00:11:0C:XX:XX:XX]」が表示されない場合は、 「BonjourからArmadilloを発見できない」 を参照してください。「AT Admin」が表示されない場合、 「初期状態でのネットワーク接続機構」 を参照してPCのネットワーク設定を適切に行ってください。

4.5.3. Bonjour上のホスト名について

Bonjourによるホスト名の表示は、Armadilloに設定されたホスト名(初期状態では「armadillo420-0」)と同じになります。また、Bonjourのネットワーク名は「.local」となっています。このため、Bonjourから開いたWebブラウザのURLは通常「http://armadillo420-0.local/」となります。

ただし、同じネットワーク上に同一のホスト名が存在した場合(初期状態のArmadilloを複数接続するなど)、この2台目以降のホスト名は、末尾の数字が変化します。例えば、初期状態の名称でこのような状態になると、2台目は「http://armadillo420-1.local/」、3台目は「http://armadillo420-2.local/」…となります。この場合2台目以降のArmadilloは、結果的に「AT Admin」上で設定されたホスト名とBonjourホスト名が一致しないことになりますので、注意してください。

このような場合でも、MACアドレスによって固体を判別することは可能です。Internet ExplorerのBonjourリストにはMACアドレスが表示されますので、本体添付シールとの比較で特定することができます。 図4.26「エクスプローラ バー "Bonjour"」 を参照してください。



[4] Zeroconfは、Windowsでは自動プライベートIPアドレシング(APIPA)とも呼ばれています。

[5] ArmadilloのIPアドレスが192.168.10.10の場合、http://192.168.10.10/ となります。

[6] 当機能を使用する場合、インターネットに接続可能である必要があります。

[7] PC側のネットワーク設定は、通常はOSが持っている自動IPアドレス取得機能を使用します。詳しくは「初期状態でのネットワーク接続機構」を参照してください。