第1章 はじめに

このたびはArmadillo-420ベーシックモデル開発セットをお求めいただき、ありがとうございます。

Armadillo-420ベーシックモデルは、「Armadillo-420」CPUボードと「Armadillo-400 RTCオプションモジュール」から構成されています。

Armadillo-420は、Freescale社製ARM9プロセッサ「i.MX257」、LPDDR SDRAM、フラッシュメモリを中心に、シリアル、LAN、USB 2.0、microSD スロット、GPIO といった組み込みシステムに求められる機能を搭載した小型汎用CPUボードです。Armadillo-420は従来製品のArmadillo-220とピン互換を持ちながら、性能向上と低消費電力を同時に実現しました。

Armadillo-400 RTCオプションモジュールは、Armadillo-420またはArmadillo-440に接続することでRTC機能を追加することができるオプションモジュールです。

Armadillo-400 シリーズは標準OSにLinuxを採用していますので、Linuxの豊富なソフトウェア資産を利用することができます。また、C言語などのプログラミング言語を使用し、オリジナルのプログラムを作成して動作させることも可能です。ソフトウェアのカスタマイズ方法については、「Armadillo-400シリーズソフトウェアマニュアル」等を参照してください。

本書には、ご利用にあたっての注意事項や、ご購入時の状態で利用できるソフトウェアの機能について記載されています。Armadillo-420ベーシックモデル開発セットがお手元に届きましたら、ハードウェアの動作確認、およびデフォルトソフトウェアの使用方法について確認いただくようお願い致します。

以降、本書では他のArmadilloシリーズにも共通する記述については、製品名をArmadilloと表記します。

1.1. 対象となる読者

  • ハードウェアの動作確認をされる方

  • ソフトウェアの基本的な使用方法の確認をされる方

上記以外の方でも、本書を有効に利用していただけたら幸いです。

1.2. 本書の構成

本書では、Armadilloの基本的な使用方法について記載されています。

以下に主な項目を挙げます。

  • 接続方法

  • 起動と終了

  • 各種設定方法

  • 各種アプリケーションの使用方法

1.3. 表記について

1.3.1. フォント

本書では以下のような意味でフォントを使いわけています。

表1.1 使用しているフォント

フォント例説明
本文中のフォント本文
[PC ~]$ lsプロンプトとユーザ入力文字列
text編集する文字列や出力される文字列。またはコメント

1.3.2. コマンド入力例

本書に記載されているコマンドの入力例は、表示されているプロンプトによって、それぞれに対応した実行環境を想定して書かれています。「/」の部分はカレントディレクトリによって異なります。各ユーザのホームディレクトリは「~」で表わします。

表1.2 表示プロンプトと実行環境の関係

プロンプトコマンドの実行環境
[PC /]#作業用PC上のrootユーザで実行
[PC /]$作業用PC上の一般ユーザで実行
[armadillo /]#Armadillo上のrootユーザで実行
[armadillo /]$Armadillo上の一般ユーザで実行
hermit>Armadillo上の保守モードで実行

コマンド中で、変更の可能性のあるものや、環境により異なるものに関しては以下のように表記します。適時読み替えて入力してください。

表1.3 コマンド入力例での省略表記

表記説明
[version]ファイルのバージョン番号

1.3.3. アイコン

本書では以下のようにアイコンを使用しています。

[警告]

注意事項を記載します。

[ティップ]

役に立つ情報を記載します。

1.4. 謝辞

Armadilloで使用しているソフトウェアは Free Software / Open Source Softwareで構成されています。Free Software / Open Source Softwareは世界中の多くの開発者の成果によってなりたっています。この場を借りて感謝の意を表します。

1.5. 安全に関する注意事項

本製品を安全にご使用いただくために、特に以下の点にご注意くださいますようお願いいたします。

[警告]

本製品には一般電子機器用(OA機器・通信機器・計測機器・工作機械等)に製造された半導体部品を使用しておりますので、その誤作動や故障が直接生命を脅かしたり、身体・財産等に危害を及ぼす恐れのある装置(医療機器・交通機器・燃焼制御・安全装置等)には使用しないでください。また、半導体部品を使用した製品は、外来ノイズやサージにより誤作動や故障する可能性があります。ご使用になる場合は万一誤作動、故障した場合においても生命・身体・財産等が侵害されることのないよう、装置としての安全設計(リミットスイッチやヒューズ・ブレーカ等の保護回路の設置、装置の多重化等)に万全を期されますようお願い申しあげます。

1.6. 取り扱い上の注意事項

本製品に恒久的なダメージをあたえないよう、取り扱い時には以下のような点にご注意ください。

破損しやすい箇所

microSDコネクタおよびそのカバーは、破損しやすい部品になっています。無理に力を加えて破損することのないよう十分注意してください。

本製品の改造

本製品に改造[1]を行った場合は保証対象外となりますので十分ご注意ください。また、改造やコネクタ等の増設[2]を行う場合は、作業前に必ず動作確認を行ってください。

電源投入時のコネクタ着脱

本製品や周辺回路に電源が入っている状態で、活線挿抜対応インターフェース(LAN, USB)以外へのコネクタ着脱は、絶対に行わないでください。

静電気

本製品にはCMOSデバイスを使用していますので、ご使用になる時までは、帯電防止対策された出荷時のパッケージ等にて保管してください。

ラッチアップ

電源および入出力からの過大なノイズやサージ、電源電圧の急激な変動等により、使用しているCMOSデバイスがラッチアップを起こす可能性があります。いったんラッチアップ状態となると、電源を切断しないかぎりこの状態が維持されるため、デバイスの破損につながることがあります。ノイズの影響を受けやすい入出力ラインには、保護回路を入れることや、ノイズ源となる装置と共通の電源を使用しない等の対策をとることをお勧めします。

衝撃

落下や衝撃などの強い振動を与えないでください。

1.7. ソフトウェア使用に関しての注意事項

本製品に含まれるソフトウェアについて

本製品に含まれるソフトウェア(付属のドキュメント等も含みます)は、現状のまま(AS IS)提供されるものであり、特定の目的に適合することや、その信頼性、正確性を保証するものではありません。また、本製品の使用による結果についてもなんら保証するものではありません。

1.8. 商標について

Armadilloは株式会社アットマークテクノの登録商標です。その他の記載の商品名および会社名は、各社・各団体の商標または登録商標です。



[1] コネクタ非搭載箇所へのコネクタ等の増設は除く。

[2] コネクタを増設する際にはマスキングを行い、周囲の部品に半田くず、半田ボール等付着しないよう十分にご注意ください。