第3章 製品概要

3.1. ボード概要

「Armadillo-EVA 1500」はARM Cortex-A15を2コア搭載したルネサスエレクトロニクス製アプリケーションプロセッサ「RZ/G1M」の評価ボードです。USB 3.0、PCI Express、シリアルATA等、多彩な周辺インターフェースに対応しています。

Armadillo-EVA 1500

図3.1 Armadillo-EVA 1500


3.2. 仕様

Armadillo-EVA 1500の主な仕様は次のとおりです。

表3.1 仕様

プロセッサ

ルネサスエレクトロニクス製RZ/G1M (R8A77430HA01BG)

ARM Cortex-A15デュアルコア

浮動小数点コプロセッサ(VFPv3)搭載

メディアプロセッシングエンジン(NEON)搭載

PowerVR SGX544 MP2

システムクロック

CPUコアクロック: 1.5GHz

源発振クロック: 20MHz

RAM

デュアルチャンネル DDR3L-1600 SDRAM: 2GByte

バス幅32bit x 2

フラッシュメモリ

eMMC: 8GByte

SPIフラッシュメモリ: 8MByte[a]

LAN(Ethernet)

RJ-45 x 1

10BASE-T/100BASE-TX、AUTO-MDIX対応

無線LAN

Armadillo-WLAN(AWL13)搭載可能[b][c]

シリアル(UART)

D-Sub9ピン(RS232Cレベル) x 1、USB Type B(USBシリアル) x 1

汎用入出力(GPIO)

最大142bit[d]

SD/MMC

SDスロット x 2

UHS-I(SDR50、最大クロック周波数97.5MHz)[b]、UHS-I(SDR104、最大クロック周波数156MHz)

USB

USB Type A x 2、USB Type B x 1

USB 3.0 Host(Super Speed)[e]、USB 2.0 Host(High Speed)[f]、USB 2.0 Function(High Speed)[f]

PCIe

PCI Express Mini Cardスロット x 1[e][g]

PCI Express Base Specification Rev2.0

シリアルATA

SATAコネクタ x 1[g]

Serial ATA Standard Rev.3.1

ビデオ

CMOS 24bit LCD出力

LVDS LCD出力

デジタルHD出力(HDMI Type A)

コンポジットビデオ入力RCAピンジャック

オーディオ

ヘッドホン用ミニジャック

マイク/ライン入力用ミニジャック

デジタルHD出力(HDMI Type A)

拡張インターフェース

GPIO、UART、I2C、I2S、SPI、Camera、CAN、PWM

拡張バス

16bitデータバス、20bitアドレスバス(最大27bit)[a]

カレンダー時計

リアルタイムクロック

外部バックアップ用電源入力コネクタ搭載

JTAG

20ピン、2.54mmピッチ(ARM標準コネクタ)

スイッチ機能選択スイッチ x 2、ユーザースイッチ x 4、リセットスイッチ x 1、SDブートデバイス選択スイッチ x 1、電源スイッチ x 1

LED

ユーザーLED x 4、電源LED x 1、警告LED x 1
電源電圧DC 12V±5%
使用周囲温度10~40℃(ただし結露なきこと)
基板サイズ183 x 135mm(突起部を除く)

[a] SPIフラッシュメモリと拡張バスのアドレスピンは排他利用となります。

[b] SDスロット(SDR50側)と無線LANコネクタは排他利用となります。

[c] Armadillo-EVA 1500評価セットにArmadillo-WLAN(AWL13)は同梱されていません。

[d] 他の機能を無効化して優先的に設定した場合の数となります。

[e] PCIeとUSB 3.0は排他利用となります。

[f] USB 2.0 HostとUSB 2.0 Functionは排他利用となります。

[g] PCIeとシリアルATAは排他利用となります。


3.3. ブロック図

Armadillo-EVA 1500のブロック図は次のとおりです。

ブロック図

図3.2 ブロック図


3.4. インターフェースレイアウト

Armadillo-EVA 1500のインターフェースレイアウトは次のとおりです。各インターフェースの配置場所等を確認してください。

インターフェースレイアウト図

図3.3 インターフェースレイアウト図


表3.2 インターフェース内容

部品番号インターフェース名形状備考
CON1JTAGインターフェースピンヘッダ20ピン(2.54mmピッチ) 
CON2拡張インターフェースピンヘッダ64ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
CON3拡張インターフェースピンヘッダ14ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
CON4SDインターフェースSDスロット 
CON5WLANインターフェースBtoBコネクタ34ピン(0.5mmピッチ)挿抜寿命: 50回
CON6SDインターフェースSDスロット 
CON7LANインターフェースRJ-45コネクタ 
CON8USB 2.0ホストインターフェースUSB 2.0 Type Aコネクタ 
CON9USB 2.0ファンクションインターフェースUSB 2.0 Type Bコネクタ 
CON10USB 3.0ホストインターフェースUSB 3.0 Type Aコネクタ 
CON11SATAインターフェースSATAコネクタ 7ピン 
CON12miniPCIeインターフェースPCI Express Mini Cardスロット 
CON13電源出力インターフェースペリフェラル電源コネクタ4ピン(5.08mmピッチ) 
CON14USBシリアルインターフェースUSB 2.0 Type Bコネクタ 
CON15拡張インターフェースピンヘッダ10ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
CON16シリアルインターフェースD-Sub9ピン(オス) 
CON17デジタルHD出力インターフェースHDMI Type Aコネクタ 
CON18ヘッドホンインターフェースミニジャック(φ3.5mm) 
CON21マイク/ライン入力インターフェースミニジャック(φ3.5mm) 
CON22拡張インターフェースピンヘッダ10ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
CON23LCDインターフェースFFCコネクタ50ピン(0.5mmピッチ)挿抜寿命: 20回
CON24拡張インターフェースピンヘッダ34ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
CON25LVDSインターフェースライトアングルコネクタ20ピン(1.25mmピッチ) 
CON26コンポジットビデオ入力インターフェースRCAジャック(黄色) 
CON30拡張インターフェースピンヘッダ50ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
CON31RTC外部バックアップインターフェース電池ボックス対応電池: CR2032
CON32電源入力インターフェースDCジャック対応プラグ: 内径2.1mm 外径5.5mm
CON33電源入力インターフェースピンヘッダ2ピン(3.96mmピッチ)コネクタ非搭載
CON34電源出力インターフェースピンヘッダ3ピン(2.54mmピッチ)コネクタ非搭載
JP2バイアスジャンパピンヘッダ 2ピン(2.54mmピッチ) 
JP3
SW1機能選択スイッチディップスイッチ(8接点) 
SW2
SW3ユーザースイッチタクトスイッチ 
SW4
SW5
SW6
SW7電源スイッチスライドスイッチ 
SW8リセットスイッチタクトスイッチ 
SW9SDブートデバイス選択スイッチタクトスイッチ 
LED1シリアルLEDLED(黄色、面実装) 
LED2
LED4ユーザーLEDLED(黄色、面実装) 
LED5
LED6
LED7
LED8電源LEDLED(緑色、面実装) 
LED9警告LEDLED(赤色、面実装) 

3.5. ソフトウェア構成

Armadillo-EVA 1500で動作するソフトウェアの構成は次のとおりです。

表3.3 Armadillo-EVA 1500で利用可能なソフトウェア

ソフトウェア説明
IPL1stブートローダーです。2ndブートローダーであるHermit-Atを起動させる機能を持っています。工場出荷状態では1stブートローダーイメージはSPIフラッシュメモリに配置されています。
Hermit-At2ndブートローダーです。Linuxカーネルを起動させる機能の他に、ダウンローダーと協調動作を行いSPIフラッシュメモリを書き替える機能など様々な機能を持っています。工場出荷状態では2ndブートローダーイメージはSPIフラッシュメモリに配置されていますが、IPLの機能によりSDカードに配置することもできます。
Linuxカーネルバージョン3.x系のLinuxカーネルです。工場出荷状態ではLinuxカーネルイメージはeMMCに配置されていますが、Hermit-Atの機能によりSDカードに配置することもできます。
Debian GNU/LinuxDebian Projectによって作成されたLinuxディストリビューションです。パッケージ管理システムを備えているため、Debian Projectが提供する豊富なソフトウェアパッケージを簡単に追加することができます。工場出荷状態ではDebian GNU/LinuxのルートファイルシステムはeMMCに配置されていますが、LinuxカーネルがサポートしているSDカードなどのストレージデバイスに配置することもできます。

3.6. メモリマップ

Armadillo-EVA 1500のSPIフラッシュメモリのメモリマップは次のとおりです。

表3.4 SPIフラッシュメモリ メモリマップ

アドレスパーティション名サイズ工場出荷状態で書き込まれているソフトウェア

0x00000000

0x0000FFFF

ipl64kByte

IPLブートローダーイメージ

0x00010000

0x0008FFFF

bootloader512kByte

Hermit-Atブートローダーイメージ

0x00090000

0x000CFFFF

fdt256kByte

Device Tree Blob

0x000D0000

0x007FFFFF

firmware7.1875MByte

armhfアーキテクチャ用OpenGL ES2ライブラリ[a]

armhfアーキテクチャ用OMXメディアコンポーネント

[a] 2014年10月現在では使用することができません。


Armadillo-EVA 1500のLinux起動時におけるDDR3-SDRAMのメモリマップは次のとおりです[3]

表3.5 Linux起動時のDDR3-SDRAM メモリマップ

物理アドレスサイズ説明

0x40000000

0x6FFFFFFF

768MByte

Linuxカーネルが使用

0x70000000

0x77FFFFFF

128MByte

予約領域(ルネサスエレクトロニクス製BSPで使用)

0x78000000

0x7FFFFFFF

128MByte

マルチメディアパッケージが使用


[注記]

linux-3.4-ae1500-at2以降で、表3.5「Linux起動時のDDR3-SDRAM メモリマップ」に示す通りのメモリマップになっています。linux-3.4-ae1500-at1では、Linuxカーネルが1024MByte全てを使用していました。

3.7. パーティション構成

Armadillo-EVA 1500のeMMCのパーティション構成は次のとおりです。

表3.6 eMMC パーティション構成

パーティションサイズファイルシステム工場出荷状態で書き込まれているソフトウェア

パーティション1

(/dev/mmcblk0p1)

約5GByteext3

Debian GNU/Linux

カーネルイメージ(/boot/Image.bin)

パーティション2

(/dev/mmcblk0p2)

2GByteext3

無し

ブートパーティション1

(/dev/mmcblk0boot0)

4MByte無し

無し

ブートパーティション2

(/dev/mmcblk0boot1)

4MByte無し

無し




[3] Linuxカーネルからは1024MByteを越えるメモリにアクセスすることができません。