アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、VMware仮想マシンのデータイメージを提供しています。このVMware仮想マシンのデータイメージをATDE(Atmark Techno Development Environment)と呼びます。ATDEの起動には仮想化ソフトウェアであるVMWareを使用します。ATDEのデータは、tar.xz圧縮されています。環境に合わせたツールで展開してください。
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仮想化ソフトウェアとして、VMwareの他にOracle VM VirtualBoxが有名です。Oracle VM VirtualBoxには以下の特徴があります。
Oracle VM VirtualBoxからATDEを起動し、ソフトウェア開発環境として使用することができます。ただし、UVCガジェットの動作確認など、本書に記載されている内容のうち一部について適用できない場合があります。十分ご注意の上で作業してください。
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ATDEは、バージョンにより対応するアットマークテクノ製品が異なります。Armadillo-810に対応しているATDEは、ATDE5 (ATDEバージョン5)です。
ATDE5はDebian GNU/Linux 7.0(コードネーム wheezy)をベースに、Armadillo-810のソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-810の動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。
ATDE5を使用するためには、作業用PCにVMwareがインストールされている必要があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)を参照し、利用目的に合うVMware製品をインストールしてください。また、ATDE5は tar.xz圧縮されていますので、環境に合せたツールで展開してください。
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VMwareは、非商用利用限定で無償のものから、商用利用可能な有償のものまで複数の製品があります。製品ごとに異なるライセンス、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)が存在するため、十分に確認した上で利用目的に合う製品をご利用ください。
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VMwareやATDE5が動作しないことを未然に防ぐため、使用するVMwareのドキュメントから以下の項目についてご確認ください。
ホストシステムのハードウェア要件
ホストシステムのソフトウェア要件
ゲストOSのプロセッサ要件
VMwareのドキュメントは、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から取得することができます。
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表4.1「ATDE5の種類」に示すATDE5のアーカイブのうちいずれか1つを作業用PCにコピーします。ATDE5のアーカイブはArmadilloサイト(http://armadillo.atmark-techno.com)または、開発セット付属のDVDから取得可能です。
表4.1 ATDE5の種類
ATDE5アーカイブ | ベースのDebian GNU/Linux |
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atde5-[version]-amd64.zip | 64-bit PC(「amd64」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7.0 |
atde5-[version]-i386.zip | 32-bit PC(「i386」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7.0 |
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作業用PCの動作環境(ハードウェア、VMware、ATDE5の種類など)により、ATDE5が正常に動作しない可能性があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照して動作環境を確認してください。
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ATDE5のアーカイブを展開したディレクトリに存在する仮想マシン構成(.vmx)ファイルをVMware上で開くと、ATDE5を起動することができます。ATDE5にログイン可能なユーザーを、表4.2「ユーザー名とパスワード」に示します[]。
表4.2 ユーザー名とパスワード
ユーザー名 | パスワード | 権限 |
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atmark | atmark | 一般ユーザー |
root | root | 特権ユーザー |
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ATDEに割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、ATDEをより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。
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VMwareは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VMwareを起動しているOS)とゲストOSで同時に使用することができません。そのようなデバイスをゲストOSで使用するためには、ゲストOSにデバイスを接続する操作が必要になります。
Armadillo-810の動作確認をおこなうためには、表4.3「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。
表4.3 動作確認に使用する取り外し可能デバイス
デバイス | デバイス名 |
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開発用 USB シリアル変換アダプタ(Armadillo-800 シリーズ対応) | Future Devices FT232R USB UART |
Armadillo-810 USBインターフェース(CON4) | g_uvc_acm_ether |
作業用PCの物理シリアルポート | シリアルポート |
4.2.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動
ATDE5で、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDE5で実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。
GNOME端末を起動するには、図4.1「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のメニューから「端末」を選択してください。
図4.2「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。
4.2.4. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用
シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.4「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomを起動する端末の横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。
表4.4 シリアル通信設定
項目 | 設定 |
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転送レート | 115,200bps |
データ長 | 8bit |
ストップビット | 1bit |
パリティ | なし |
フロー制御 | なし |
minicomの設定を開始するには、図4.3「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。
minicomを起動させるには、図4.4「minicom起動方法」のようにしてください。
minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。その後、以下のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。
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Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。
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ジャンパの設定を変更することで、Armadillo-810の動作を変更することができます。ジャンパの機能を表4.8「ジャンパの機能」に示します。
表4.8 ジャンパの機能
ジャンパ | 機能 | 動作 |
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JP1 | 起動モード設定 |
オープン: OSを自動起動します。
ショート: ブートローダーを保守モードにします。
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JP2 | SD/JTAG設定 |
オープン: SDインターフェースを有効化します。JTAGインターフェースは無効化されます。
ショート: JTAGインターフェースを有効化します。SDインターフェースは無効化されます。
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JP3 | 起動デバイス設定 |
オープン: オンボードフラッシュメモリのブートローダーを起動します。
ショート: SDカードのブートローダーを起動します。
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各ジャンパは必要に応じて切り替えの指示があります。ここでは、全てのジャンパをオープンに設定しておきます。
ジャンパピンの位置は図4.7「Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)のインターフェースレイアウト図」で確認することができます。
| ジャンパのオープン、ショートとは |
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「オープン」とはジャンパピンにジャンパソケットを接続していない状態です。
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「ショート」とはジャンパピンにジャンパソケットを接続している状態です。
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viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。
viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。
本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。
viを起動するには、以下のコマンドを入力します。
file
にファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(file
が存在しない場合は新規作成)を行ないます。viはコマンドモードの状態で起動します。
文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表4.9「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。
表4.9 入力モードに移行するコマンド
コマンド | 動作 |
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i | カーソルのある場所から文字入力を開始 |
a | カーソルの後ろから文字入力を開始 |
入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードが分からなくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。
| 日本語変換機能をOFFに |
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viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーまたは、Shift+Spaceキーで行うことができます。 |
「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図4.22「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。
| viでの文字削除 |
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コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。 |
方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表4.10「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。
表4.10 カーソルの移動コマンド
コマンド | 動作 |
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h | 左に1文字移動 |
j | 下に1文字移動 |
k | 上に1文字移動 |
l | 右に1文字移動 |
ファイルの保存、終了を行うコマンドを表4.12「保存・終了コマンド」に示します。
表4.12 保存・終了コマンド
コマンド | 動作 |
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:q! | 変更を保存せずに終了 |
:w [file] | ファイル名をfile に指定して保存 |
:wq | ファイルを上書き保存して終了 |
保存と終了を行うコマンドは「:」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。":"キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。