「Armadillo(アルマジロ)」は、ARMコアプロセッサ搭載・Linux対応の組み込みプラットフォームのブランドです。
Armadilloブランド製品には以下の特長があります。
ARMプロセッサ搭載・省電力設計
ARMコアプロセッサを搭載しています。1~数ワット程度で動作する省電力設計で、
発熱が少なくファンを必要としません。
小型・手のひらサイズ
CPUボードは名刺サイズ程度の手のひらサイズが主流です。
名刺の1/3程度の小さなCPUモジュールや無線LANモジュール等、超小型のモジュールもラインアップしています。
標準OSとしてLinuxをプリインストール
標準OSにLinuxを採用しており、豊富なソフトウェア資産と実績のある安定性を提供します。
ソースコードをオープンソースとして公開しています。
開発環境
Armadilloの開発環境として、「Atmark Techno Development Environment ATDE)」を無償で提供しています。
ATDEは、VMwareなど仮想マシン向けのデータイメージです。
このイメージには、Linuxデスクトップ環境をベースにGNUクロス開発ツールやその他の必要なツールが事前にインストールされています。
ATDEを使うことで、開発用PCの用意やツールのインストールなどといった開発環境を整える手間を軽減することができます。
Armadillo-600シリーズは、フィールド向けの機器・端末のプラットフォームとして豊富な採用実績を持つ
小型・省電力でLinux採用の組み込みCPUボード「Armadillo-400シリーズ」の思想を継承しつつ、
処理能力と搭載メモリをともに大幅にグレードアップさせた、次世代のLinux組み込みプラットフォームです。
高性能ながら省電力性能を向上、さらに耐環境性を追求するなど、量産時の使いやすさを重視した堅実な設計が特長です。
i.MX6ULL搭載/Armadillo-440と形状互換で性能向上
Armadillo-640は、従来のArmadillo-440のコネクタ配置を踏襲したシングルボード型モデルです。
CPUコアクロックは528MHzにアップ、メモリはArmadillo-440の約4倍の512MB(DDR3-800)、
オンボードストレージは約4GB(eMMC)を搭載し、microSDカードスロットも備えています。
従来のArmadillo-400シリーズに比べてハードウェア性能が大幅に向上し、アプリケーション開発の自由度が高くなりました。
Armadillo-440向けと同じ形状のオプションケース(樹脂製・金属製)もラインアップしているので、
Armadillo-440から乗り換えるときも筐体を新規設計する必要がありません。
省電力モード搭載・バッテリー駆動の機器にも最適
省電力モードを搭載し、「アプリケーションからArmadillo-640本体の電源をOFFにする」
「RTC(リアルタイムクロック)のアラームで決まった時間に本体の電源をONにする」
といった細かな電源制御が可能です。
必要な時だけ本体を起動するといった運用が可能なので、バッテリーで稼動させるような機器にも適しています。
使用温度範囲-20℃~+70℃対応
Armadillo-640は使用温度範囲-20℃~+70℃をカバーしています。
シングルボード型ながら拡張性にも十分に配慮
Armadillo-640は、シングルボード型ながら多くの拡張インターフェースを搭載しており、
USB、LCD、シリアル、GPIO、I2C、I2S、SPIなどの拡張に対応します。
量産向けに、リード部品コネクタを搭載したモデルの他、リード部品非搭載のモデルも提供する予定です。
Armadillo Base OS搭載
「Armadillo Base OS」を搭載しています。
ユーザー自身がボードの機能を自由に設計・開発して書き込むことで、
多様な製品を作ることができます。
セキュアエレメント搭載
NXP Semiconductors 製のセキュアエレメント「SE050」を標準搭載しています。
これを使用することで、ハードウェアRoot of Trustによる高いセキュリティを実現できます。
2.1.3. Armadillo Base OSとは
Armadillo Base OSは、アットマークテクノが提供する専用ディストリビューションです。
Linux5.10をベースに、コンテナ管理機能、ソフトウェアアップデート機能、ネットワークマネージャーなどに対応。
機能を限定したコンパクトなOSで、安全性の高い運用を実現します。
OSのコンパクト化
OS基盤の機能を最小限にしたことで、セキュリティリスクを低減しています。
アットマークテクノが継続的にアップデートを提供するため、
高セキュリティなIoT機器として長期間に渡り運用することができます。
コンテナによるアプリケーション運用
アプリケーションを「コンテナ」単位でOSから分離して管理できるため、コンテナごとのアップデートが可能です。
サンドボックス化されることにより、悪意あるソフトウェアからの攻撃に対する機器全体の保護に有効性を発揮します。
製品開発を開始するにあたり、Armadillo Base OS に関してより詳細な情報が必要な場合は、
「開発前に知っておくべき Armadillo Base OS の機能・特徴」 を参照してください。
Armadillo-640の製品ラインアップは次のとおりです。
表2.1 Armadillo-640ラインアップ
名称 | 型番 |
---|
Armadillo-640ベーシックモデル開発セット | A6400-D00Z |
Armadillo-640量産ボード | A6400-U00Z |
Armadillo-640量産ボード(リード部品未実装・部品付) | A6400-B00Z |
Armadillo-640量産ボード(リード部品未実装) | A6400-N00Z |
2.2.1. Armadillo-640ベーシックモデル開発セット
Armadillo-640ベーシックモデル開発セット(型番: A6400-D00Z)は、Armadillo-640を使った開発がすぐに開始できるように、開発に必要なものを一式含んだセットです。
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Armadillo-640
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Armadillo-600シリーズオプションケース(樹脂製)
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USB(Aオス-miniB)ケーブル
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USBシリアル変換アダプタ []
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ACアダプタ(5V/2.0A, EIAJ#2準拠)
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ジャンパソケット
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ねじ
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ゴム足
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スペーサ
2.2.2. Armadillo-640量産ボード
Armadillo-640量産ボードは、Armadillo-640ベーシックモデル開発セットのセット内容を必要最小限に絞った量産向けのラインアップです。
リード部品実装(A6400-U00Z)、リード部品未実装、部品付(型番: A6400-B00Z)、リード部品未実装(型番: A6400-N00Z)の3種類あります。
Armadillo-640の主な仕様は次のとおりです。
表2.2 仕様
プロセッサ | NXP Semiconductors i.MX6ULL |
ARM Cortex-A7 x 1
・命令/データキャッシュ 32KByte/32KByte
・L2 キャッシュ 128KByte
・内部 SRAM 128KByte
・メディアプロセッシングエンジン(NEON)搭載
・Thumb code(16bit 命令セット)サポート |
システムクロック | CPU コアクロック(ARM Cortex-A7): 528MHz
DDR クロック: 396MHz
源発振クロック: 32.768kHz, 24MHz |
RAM | DDR3L: 512MByte
バス幅: 16bit |
ROM | eMMC: 約3.8GB(約3.6GiB) |
LAN(Ethernet) | 100BASE-TX/10BASE-T x 1
AUTO-MDIX対応 |
シリアル(UART) | RS232Cレベル x 1
3.3V CMOSレベル 最大 6 ポート拡張可能 [] |
USB | USB 2.0 Host x 2 |
SD | microSDスロット x 1 |
ビデオ | LCDインターフェース 最大1ポート拡張可能 []
最大解像度: WXGA (1366 x 768), 18bpp
タッチパネル対応可能 |
オーディオ | I2S 最大3ポート拡張可能 []
S/PDIF 最大1ポート拡張可能 [] |
GPIO | 最大 61 bit拡張可能 [] |
I2C | 最大 3 ポート拡張可能 [] |
SPI | 最大 4 ポート拡張可能 [] |
CAN | 最大 2 ポート拡張可能 [] |
PWM | 最大 8 ポート拡張可能 [] |
カレンダー時計 | SoC内蔵リアルタイムクロック []
I2C 拡張可能 |
スイッチ | ユーザースイッチ x 1 |
LED | ユーザー LED x 3 |
セキュアエレメント | NXP Semiconductors SE050 [] |
電源電圧 | DC 5V±5% |
消費電力(参考値) | 約1.1W(待機時)、約1.5W(LAN通信時) [] |
使用温度範囲 | -20~+70℃(結露なきこと) [] |
外形サイズ | 75×50mm(突起部を除く) |
Armadillo-640のインターフェースレイアウトです。
各インターフェースの配置場所等を確認してください。
表2.3 インターフェース内容
部品番号 | インターフェース名 | 形状 | 備考 |
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CON1 | SDインターフェース | microSDスロット(ヒンジタイプ) | |
CON2 | LANインターフェース | RJ-45コネクタ | |
CON3 | シリアルインターフェース | D-Sub9ピン(オス) | |
CON4 | シリアルインターフェース | ピンヘッダ 10ピン(2.54mmピッチ) | コネクタ非搭載 |
CON5 | USBインターフェース | Type-Aコネクタ(2ポートスタック) | |
CON7 | LANインターフェース | ピンヘッダ 10ピン(2.54mmピッチ) | コネクタ非搭載 |
CON8 | 拡張インターフェース | ピンヘッダ 2ピン(2.54mmピッチ) | |
CON9 | 拡張インターフェース | ピンヘッダ 28ピン(2.54mmピッチ) | |
CON10 | JTAGインターフェース | ピンヘッダ 8ピン(2.54mmピッチ) | コネクタ非搭載 |
CON11 | LCD拡張インターフェース | FFCコネクタ 50ピン(0.5mmピッチ) | 挿抜寿命: 20回 [] |
CON12 | 電源入力インターフェース | DCジャック | 対応プラグ: EIAJ#2 |
CON13 | 電源入力インターフェース | ピンヘッダ 4ピン(2.54mmピッチ) | コネクタ非搭載 |
CON14 | 拡張インターフェース | ピンヘッダ 4ピン(2.54mmピッチ) | |
JP1 | 起動デバイス設定ジャンパ | ピンヘッダ 2ピン(2.54mm ピッチ) | |
JP2 | 起動デバイス設定ジャンパ | ピンヘッダ 2ピン(2.54mm ピッチ) | |
LED1 | LANスピードLED | LED(緑色,面実装) | |
LED2 | LANリンクアクティビティLED | LED(黄色,面実装) | |
LED3 | ユーザーLED(赤) | LED(赤色,φ3mm) | |
LED4 | ユーザーLED(緑) | LED(緑色,φ3mm) | |
LED5 | ユーザーLED(黄) | LED(黄色,面実装) | |
SW1 | ユーザースイッチ | タクトスイッチ(h=17mm) | |
Armadillo-640のブロック図は次のとおりです。
Armadillo-640 でストレージとして使用可能なデバイスを次に示します。
表2.4 ストレージデバイス
デバイス種類 | ディスクデバイス | 先頭パーティション | インターフェース |
---|
オンボード eMMC | /dev/mmcblk0
| /dev/mmcblk0p1
| オンボード |
オンボード eMMC (GPP) | /dev/mmcblk0gp3
| なし | オンボード |
microSD/microSDHC/microSDXCカード | /dev/mmcblk1
| /dev/mmcblk1p1
| microSDスロット(CON1) |
USBメモリ | /dev/sd* []
| /dev/sd*1
| USB ホストインターフェース (CON5) |
| GPP(General Purpose Partition)について |
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GPP は、eMMC の通常の記憶領域を割譲して eMMC 内部に作られた記憶領域です。 eMMC の通常の記憶領域とはアドレス空間が異なるため、/dev/mmcblk0 および /dev/mmcblk0p* に対してどのような書き込みを行っても /dev/mmcblk0gp* のデータが書き換わることはありません。 Armadillo-640 では、8 MiB の GPP を4つ作成しています。各領域の用途を表2.5「eMMCのGPPの用途」に示します。 表2.5 eMMCのGPPの用途 ディスクデバイス | 用途 |
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/dev/mmcblk0gp0
| ライセンス情報等の為の予約領域 | /dev/mmcblk0gp1
| 動作ログ領域 | /dev/mmcblk0gp2
| 動作ログ予備領域[] | /dev/mmcblk0gp3
| ユーザー領域 |
|
Armadillo-640のeMMCのパーティション構成を
表2.6「eMMCメモリマップ」に示します。
表2.6 eMMCメモリマップ
パーティション | サイズ | ラベル | 説明 |
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1 | 300MiB | rootfs_0 | A/B アップデートのA面パーティション(Linuxカーネルイメージ, Device Tree Blob, Alpine Linux rootfsを含む) |
2 | 300MiB | rootfs_1 | A/B アップデートのB面パーティション(Linuxカーネルイメージ, Device Tree Blob, Alpine Linux rootfsを含む) |
3 | 50MiB | logs | ログ書き込み用パーティション |
4 | 200MiB | firm | ファームウェア用パーティション |
5 | 2.7GiB | app | アプリケーション用パーティション |
Armadillo-640のeMMCのブートパーティションの構成を表2.7「eMMC ブートパーティション構成」に示します。
表2.7 eMMC ブートパーティション構成
ディスクデバイス | サイズ | 説明 |
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/dev/mmcblk0boot0
| 31.5 MiB | A/B アップデートのA面 |
/dev/mmcblk0boot1
| 31.5 MiB | A/B アップデートのB面 |
Armadillo-640のeMMCのGPP(General Purpose Partition)の構成を表2.8「eMMC GPP構成」に示します。
表2.8 eMMC GPP構成
ディスクデバイス | サイズ | 説明 |
---|
/dev/mmcblk0gp0
| 8 MiB | ライセンス情報等の為の予約領域 |
/dev/mmcblk0gp1
| 8 MiB | 動作ログ領域 |
/dev/mmcblk0gp2
| 8 MiB | 動作ログ予備領域[] |
/dev/mmcblk0gp3
| 8 MiB | ユーザー領域 |
Armadillo Base OS に含まれるソフトウェアのライセンスは、 Armadillo にログイン後に特定のコマンドを実行することで参照できます。
手順について、詳細は以下の Howto を参照してください。