この章では、Armadilloの起動モードと採用しているブートローダ「Hermit-At」の起動設定機能について説明します。
起動モードには、オートブートモード、保守モード等、システム起動時に最初に動作するソフトウェアを選択することができます。
Hermit-Atでは、Linuxカーネルを起動させる時の起動オプションの設定、クロックの設定等、システム起動時の初期設定を行うことができます。
起動モードの設定は、JP4の設定により決定されます。各起動モードは表 5.1. 「起動モード」のようになります。
表 5.1. 起動モード
モード | JP4 | 説明 |
---|
オートブート | オープン | 電源投入後、自動的にLinuxカーネルを起動させます。 |
保守 | ショート | 各種設定が可能なHermit Atコマンドプロンプトが起動します。 |
Linuxカーネル起動オプションを変更することで、コンソールや、ルートファイルシステム等の様々な種類の設定を変更することができます。ここでは、Armadilloに関係のある代表的なオプションについて説明します。
また、これらの設定は、Hermit-Atのsetenv機能を使用します。setenvで設定されたパラメータはフラッシュメモリに保存され再起動後にも設定が反映されます。
設定されたパラメータをクリアするには、clearenvを使用します。
起動ログの出力コンソールを変更するには、下記のようにconsoleパラメータにコンソール指定子を設定します。
設定によるログの出力先は、表 5.2. 「コンソール指定に伴う出力先」のようになります。
表 5.2. コンソール指定に伴う出力先
コンソール指定子 | 起動ログ出力先 |
---|
ttymxc0 | CON7 |
ttymxc4 | CON8 |
null | なし |
その他(tty1等) | 指定するコンソール |
ルートファイルシステムとしてマウントするファイルシステムイメージの場所や、マウントするファイルシステム等を設定します。各パラメータの意味は以下を参照してください。
-
root
-
使用するルートファイルシステムのパーティションを指定します。
-
rootfs
-
使用するルートファイルシステムのタイプを指定します。
-
rootwait
-
ルートファイルシステムがアクセス可能になるまで待機します。
5.2.2.1. ルートファイルシステムイメージの場所
ファイルシステムイメージの場所を設定する場合は、イメージが存在するパーティションを設定します。各デバイスのパーティションノードの例を、表 5.3. 「ルートファイルシステムデバイス」に示します。指定がない場合(デフォルト)は、RAMディスク(/dev/ram0
)が指定されます。
表 5.3. ルートファイルシステムデバイス
デバイス名 | デバイスノード | 先頭パーティションノード |
---|
RAMディスク | /dev/ram | /dev/ram0 |
USBメモリ(SSDなど) | /dev/sd* | /dev/sd*1 |
MMC/SDカードディスク | /dev/mmcblk* | /dev/mmcblk*p1 |
特異なファイルシステムを使用する場合は、ファイルシステムタイプを指定します。指定がない場合は、ext2、ext3、msdos、vfatのいずれかでマウントされます[]。
Linuxカーネルは、指定するルートファイルシステムが存在するデバイスの認識が完了していなければ、ルートファイルシステムをマウントすることはできません。ドライバのロードタイミングやデバイスに依存する時間等、デバイスの認識時間は様々な要素で変動します。
ここで指定することができるのは、ルートファイルシステムがアクセス可能になるまで待機するオプションとなります。指定がない場合(デフォルト)は、待機なしとなります。
本書で紹介したオプション以外にも様々なオプションがあります。詳しくは、Linuxの解説書や、Linuxカーネルのソースコードに含まれるドキュメント(kernel-source/Documentation/kernel-parameters.txt
)等を参照してください。