Armadillo-400 シリーズでは、標準ではカーネルおよびユーザーランドイメージはフラッシュメモリに配置されており、ブートローダーによってカーネルのブート前に RAM 上に展開されます。
Armadillo-400 シリーズでは、フラッシュメモリ以外の場所にもカーネルおよびユーザーランドを配置することができます。
本章では、イメージの配置方法と、イメージの配置場所を変えたときに必要となるブートオプションの設定方法について説明します。
Hermit-At ブートローダーは、TFTP サーバー上に配置されたカーネルまたはユーザーランドのイメージを取得し RAM 上に展開したあと起動する、tftpboot 機能を有しています。
tftpboot 機能を使用すると、フラッシュメモリにイメージを書くことなく起動できるため、開発の初期段階などイメージの更新が頻繁に行われる際に、効率よく作業することができます。
TFTP サーバーのルートディレクトリに、カーネルイメージとユーザーランドイメージを配置してください。
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ATDE5は、標準状態で TFTP サーバー (atftpd) が動作しています。/var/lib/tftpboot ディレクトリにファイルを置くことで、TFTP によるアクセスが可能になります。 |
ターゲットとなる Armadillo のジャンパを適切に設定し、保守モードで起動してください。
作業用 PC のシリアル通信ソフトウェアを使用して、コマンド[16]を入力します。
カーネルとユーザーランドのイメージは、どちらか一方だけ、もしくは両方指定できます。
TFTP サーバーの IP アドレスが 192.168.10.1、Armadillo の IP アドレスが 192.168.10.10で、カーネルイメージのファイル名が linux.bin.gz
、ユーザーランドのイメージのファイル名が romfs.img.gz
の場合、以下のようになります[]。
setbootdevice コマンドでブートデバイスを TFTP サーバーに設定した場合、設定は保存され、起動時に毎回カーネルもしくはユーザーランドイメージを TFTP サーバーから取得するようになります。
Armadillo-400 シリーズでは、カーネルイメージは microSD/SD に、ユーザーランドのルートファイルシステムは microSD/SD または USB メモリにも配置することができます。
ここでは、例として microSD/SD にカーネルイメージとルートファイルシステム両方を配置する手順を説明します。
まず、microSD/SD に1つのパーティションを作成し、EXT3 ファイルシステムでフォーマットします。そこにルートファイルシステムを構築し、/boot/ ディレクトリにカーネルイメージを配置します。どのデバイスからカーネルイメージをロードするかは、Hermit-At のブートオプションで指定します。また、ルートファイルシステムがどこにあるかは、カーネルパラメーターで指定します。
最初に、microSD/SD に1つのプライマリパーティションを作成します。
microSD/SD をスロットに挿入し[]、図8.3「パーティション作成手順」のようにしてパーティションを構成してください。
| まずは、既存のパーティションを削除します。複数のパーティションがある場合は、全て削除してください。 |
| 新しくプライマリパーティションを作成します。 |
| 開始シリンダにはデフォルト値(1)を使用するので、そのまま改行を入力してください。 |
| 最終シリンダにもデフォルト値(124277)を使用するので、そのまま改行を入力してください。 |
| 変更をmicroSD/SDに書き込みます。 |
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使用する microSD/SD カードによって仕様が異なるため、表示されるシリンダ数は手順通りとはならない場合があります。 |
microSD/SD から起動する場合は、起動パーティションの /boot ディレクトリにカーネルイメージを配置する必要があります。対応しているカーネルイメージは、非圧縮カーネルイメージ(Image, linux.bin)または、圧縮イメージ(Image.gz, linux.bin.gz)のどちらかになります。
ここで説明する例では、カーネルイメージの取得に wget コマンドを使用します。wget コマンドで指定する URL は製品によって異なりますので、以下の表を参照し適宜読み替えてください。
表8.1 カーネルイメージのダウンロード先URL
製品 | URL |
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Armadillo-420 | http://download.atmark-techno.com/armadillo-420/image/linux-a400-[version] .bin.gz |
以下に Armadillo-420 での配置例を示します。
ここでは、microSD/SD にルートファイルシステムを構築する手順について説明します。
ルートファイルシステムは、Debian GNU/Linux もしくは Atmark-Dist で作成したルートファイルシステムを使用できます。
8.2.4.1. Debian GNU/Linuxのルートファイルシステムを構築する
Debian GNU/Linuxルートファイルシステムアーカイブから、ルートファイルシステムを構築する手順を次に示します。
Debian GNU/Linuxルートファイルシステムアーカイブを準備しておきます。
表8.2 Debian GNU/Linuxルートファイルシステムアーカイブのダウンロード先URL
製品 | URL |
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Armadillo-420 | http://download.atmark-techno.com/armadillo-420/image/debian-wheezy-armel_a420_[version] .tar.gz |
ルートファイルシステムを一旦ATDEでマウントしたmicroSD/SDカードに構築します。
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アンマウントが完了する前にSDカードを作業用PCから取り外すと、SDカードのデータが破損する場合があります。 |
8.2.4.2. Atmark-Dist イメージから構築する
Atmark-Dist で作成されるルートファイルシステムと同じルートファイルシステムを microSD/SD 上に構築する方法を説明します。Debian を構築する場合に比べ、容量の少ない microSD/SD へシステムを構築することができます。
ここで説明する例では、Atmark-Dist で作成されるルートファイルシステムの initrd イメージの取得に wget コマンドを使用します。wget コマンドで指定する URL は製品によって異なりますので、以下の表を参照し適宜読み替えてください。
表8.3 Atmark-Dist イメージのダウンロード先URL
製品 | URL |
---|
Armadillo-420 | http://download.atmark-techno.com/armadillo-420/image/romfs-a420-[version] .img.gz |
Atmark-Dist イメージは/etc/fstabの設定がフラッシュメモリ用になっているため、/dev/ram0の行を書き換えて、microSD/SD用に変更する必要があります。
8.2.5. ブートデバイスとカーネルパラメーターの設定
カーネルイメージをロードする場所は、Hermit-At のブートデバイス設定で指定します。また、ユーザーランドの場所は、カーネルパラメーターで指定します。
ジャンパにより起動モードを保守モードに設定し、再起動してください。
microSD/SD のパーティション1に配置したカーネルイメージで起動するためには、図8.8「ブートデバイスの指定」を実行してください。
ルートファイルシステムを microSD/SD のパーティション1にする場合は、図8.9「ルートファイルシステム指定例」を実行してください。
ブートデバイスとカーネルパラメーターの設定を元に戻す方法については、「ブートローダーのパラメータを出荷状態に戻す」を参照してください。