第5章 開発環境の準備

本章では、Armadillo のソフトウェア開発を行うための開発環境を、作業用 PC に構築する方法について説明します。

Armadillo-400 シリーズのソフトウェア開発には、Debian 系の Linux 環境[10]が必要です。

作業用 PC が Windows の場合、Windows 上に仮想的な Linux 環境を構築する必要があります。

Windows 上に Linux 環境を構築する方法としては、「VMware」を推奨しています。アットマークテクノでは、当社製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、VMware仮想マシンのデータイメージを提供しています。このVMware仮想マシンのデータイメージをATDE(Atmark Techno Development Environment)と呼びます。ATDEの起動には仮想化ソフトウェアであるVMwareを使用します。ATDEのデータは、tar.xz圧縮されています。環境に合わせたツールで展開してください。

5.1. VMwareのインストール

ATDE5を使用するためには、作業用PCにVMwareがインストールされている必要があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)を参照し、利用目的に合うVMware製品をインストールしてください。また、ATDE5は tar.xz圧縮されていますので、環境に合せたツールで展開してください。

[警告]

VMwareは、非商用利用限定で無償のものから、商用利用可能な有償のものまで複数の製品があります。製品ごとに異なるライセンス、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)が存在するため、十分に確認した上で利用目的に合う製品をご利用ください。

[警告]

VMwareやATDE5が動作しないことを未然に防ぐため、使用するVMwareのドキュメントから以下の項目についてご確認ください。

  • ホストシステムのハードウェア要件

  • ホストシステムのソフトウェア要件

  • ゲストOSのプロセッサ要件

VMwareのドキュメントは、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から取得することができます。

5.2. ATDE5アーカイブの取得

表5.1「ATDE5の種類」に示すATDE5のアーカイブのうちいずれか1つを作業用PCにコピーします。ATDE5のアーカイブはArmadilloサイト(http://armadillo.atmark-techno.com)または、開発セット付属のDVDから取得可能です。

表5.1 ATDE5の種類

ATDE5アーカイブベースのDebian GNU/Linux
atde5-amd64-[version].tar.xz64-bit PC(「amd64」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7
atde5-i386-[version].tar.xz32-bit PC(「i386」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7

[注記]

本製品に対応しているATDE5 のバージョンは v20151026 以降です。

[警告]

作業用PCの動作環境(ハードウェア、VMware、ATDE5の対応アーキテクチャなど)により、ATDE5が正常に動作しない可能性があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照して動作環境を確認してください。

5.3. ATDE5アーカイブの展開

ATDE5のアーカイブを展開します。ATDE5のアーカイブは、tar.xz形式の圧縮ファイルです。

Windowsでの展開方法を手順5.1「WindowsでATDE5のアーカイブ展開する」に、Linuxでの展開方法を手順5.2「Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する」に示します。

手順5.1 WindowsでATDE5のアーカイブ展開する

  1. 7-Zipのインストール

    7-Zipをインストールします。7-Zipは、圧縮解凍ソフト 7-Zip(http://sevenzip.sourceforge.jp)または、開発セット付属のDVDから取得可能です。

  2. 7-Zipの起動

    7-Zipを起動します。

  3. xz圧縮ファイルの選択

    xz圧縮ファイルを展開して、tar形式のファイルを出力します。tar.xz形式のファイルを選択して、「展開」をクリックします。

  4. xz圧縮ファイルの展開先の指定

    「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。

  5. xz圧縮ファイルの展開

    展開が始まります。

  6. tarアーカイブファイルの選択

    xz圧縮ファイルの展開が終了すると、tar形式のファイルが出力されます。

    tarアーカイブファイルを出力したのと同様の手順で、tarアーカイブファイルからATDE5のデータイメージを出力します。tar形式のファイルを選択して「展開」をクリックし、「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。

  7. 展開の完了確認

    tarアーカイブファイルの展開が終了すると、ATDE5アーカイブの展開は完了です。「展開先」に指定したフォルダにATDE5のデータイメージが出力されています。

手順5.2 Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する

  1. tar.xz圧縮ファイルの展開

    tarのJxfオプション使用してtar.xz圧縮ファイルを展開します。

    [ATDE ~]$ tar Jxf atde5-i386-[version].tar.xz
  2. 展開の完了確認

    tar.xz圧縮ファイルの展開が終了すると、ATDE5アーカイブの展開は完了です。atde5-i386-[version]ディレクトリにATDE5のデータイメージが出力されています。

    [ATDE ~]$ ls atde5-i386-[version]/
    ATDE5 i386.nvram      atde5-i386-s005.vmdk  atde5-i386-s013.vmdk
    ATDE5 i386.vmsd       atde5-i386-s006.vmdk  atde5-i386-s014.vmdk
    ATDE5 i386.vmx        atde5-i386-s007.vmdk  atde5-i386-s015.vmdk
    ATDE5 i386.vmxf       atde5-i386-s008.vmdk  atde5-i386-s016.vmdk
    atde5-i386-s001.vmdk  atde5-i386-s009.vmdk  atde5-i386-s017.vmdk
    atde5-i386-s002.vmdk  atde5-i386-s010.vmdk  atde5-i386.vmdk
    atde5-i386-s003.vmdk  atde5-i386-s011.vmdk
    atde5-i386-s004.vmdk  atde5-i386-s012.vmdk

5.4. ATDE5の起動

ATDE5のアーカイブを展開したディレクトリに存在する仮想マシン構成(.vmx)ファイルをVMware上で開くと、ATDE5を起動することができます。ATDE5にログイン可能なユーザーを、表5.2「ユーザー名とパスワード」に示します[11]

表5.2 ユーザー名とパスワード

ユーザー名パスワード権限
atmarkatmark一般ユーザー
rootroot特権ユーザー

[ティップ]

ATDEに割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、ATDEをより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。



[10] Debian 系以外の Linux でも開発はできますが、本書記載事項すべてが全く同じように動作するわけではありません。各作業はお使いの Linux 環境に合わせた形で自己責任のもと行ってください。

[11] 特権ユーザーでGUIログインを行うことはできません。