第7章 Linux ブートオプション

Armadillo-210 では、自動起動するLinux のブートオプションを設定することができます。設定はフラッシュメモリ上に保存され、次回のLinux 起動時から使用されます。

Linux ブートオプションの設定は、Hermit コマンドプロンプトから行います。

[ティップ]

設定するLinux ブートオプションを決定するためには、使用するLinux カーネルについての知識が必要です。オプションの内容と効果については、Linux カーネルについての文献や、ソースファイル付属ドキュメントを参照してください。

[ティップ]Hermit-ATのモード

Hermit-ATには、2つのモードがあります。コマンドプロンプトを表示して対話的に動作する「対話モード」と、Hermit-ATダウンローダと通信するための「バッチモード」です。バッチモードではコマンドプロンプトの表示や入力した文字の表示を行いませんが、コマンドの実行は可能です。

起動直後のHermit-ATは必ず対話モードになっています。対話モードからバッチモードに移行するにはチルダ「~」を、バッチモードから対話モードに移行するにはエクスクラメーションマーク「!」を入力します。

Hermit-ATダウンローダと通信を行った場合は、バッチモードに移行します。これは通信を確立するためにHermit-ATダウンローダがチルダを送信するためです。

対話モードからバッチモードに移行したり、バッチモード中に入力したコマンドが成功した場合などは以下のように表示されます。

+OK

7.1. Hermit コマンドプロンプトの起動

  1. シリアルコンソールソフトの起動

    Armadillo-210 のシリアルインターフェース1 と作業用PC をシリアルケーブルで接続し、シリアルコンソールソフトを起動します。次のように通信設定を行ってください。

    表7.1 シリアル通信設定

    項目設定
    転送レート115,200bps
    データ長8bit
    ストップビット1bit
    パリティなし
    フロー制御なし

  2. ジャンパピンの設定

    Armadillo-210 に電源を投入する前に、ジャンパピンを次のように設定します。

    • JP1:オープン

    • JP2:ショート

    詳しいジャンパピンの設定については、「ジャンパピンの設定について」を参照してください。

  3. Armadillo-210 の起動

    Armadillo-210 に電源を投入すると、Hermit コマンドプロンプトが表示されます。

    Hermit-At v1.0.7 (Armadillo-210C/eth) compiled at 00:00:00, Jan 1 2005
    hermit>

7.2. Linux ブートオプションの設定

Linux ブートオプションを設定するには、Hermit コマンドプロンプトからsetenv コマンドを使用します。setenv に続けて、設定したいLinux ブートオプションを入力します。

hermit> setenv console=ttyAM1,115200
[警告]

Linux ブートオプションが未設定(デフォルト)の場合、ブートローダーはLinux の起動時に自動的にオプション「console=ttyAM1,115200」を使用してシリアルインターフェース2 (ttyAM1)をコンソールにしますが、setenv により任意のブートオプションを設定した場合は、このオプションは自動使用されません。

setenv した場合でもシリアルコンソールを使用する場合、オプションに「console=ttyAM1,115200」を含めてください。

設定したブートオプションを使用してLinux を起動するには、一旦Armadillo-210 の電源を切断し、適切なジャンパ設定を行ってから再度電源を入れ直してください。

7.3. 設定されているLinux ブートオプションの確認

現在設定されているLinux ブートオプションを表示して確認するには、setenv コマンドをパラメータなしで入力します。

hermit> setenv
1: console=ttyAM1,115200

7.4. Linux ブートオプションを初期化する

現在設定されているLinux ブートオプションをクリアし、デフォルトの状態に初期化するには、clearenvコマンドを入力します。

hermit> clearenv
[警告]

ブートローダーを書き換えた場合、Linux ブートオプションの領域が壊れてしまい正常に起動しない場合があります。この場合、一度clearenv を実行し、Linux ブートオプション領域を初期化する必要があります。

7.5. Linux ブートオプションの例

Linux ブートオプションの設定例を紹介します。

シリアルコンソールを使用し、Linux 起動ログをシリアルインターフェース1 (ttyAM0)に表示させる場合

hermit> setenv console=ttyAM0,115200

Linux 起動ログを表示させない場合

hermit> setenv console=null