第6章 基本ターゲット

atmark-distでビルドする場合に、よく使うターゲットをここで説明します。atmark-distの目的が「ターゲットボードに書き込むためのイメージファイル作成」であることは、すでに説明したとおりです。「デフォルトイメージのビルド」で使用したターゲットについて詳しく説明します。

6.1. 設定(config)

設定用のターゲットには、以下の3種類が用意されています。表示方法が異なるだけで、すべてatmark-distの設定変更を行うためのターゲットです。

6.1.1. テキスト画面での設定 (make config)

make configは、第3章の章で使用した設定方法です。デフォルトのイメージを作成するような簡単な設定をするときに便利です。

例 6.1. テキストベースコンフィグレーション

[PC ~/atmark-dist]$ make config
config/mkconfig > config.in
#
# No defaults found
#
*
* Vendor/Product Selection
*
*
* Select the Vendor you wish to target
*
Vendor (3com, ADI, Akizuki, Apple, Arcturus, Arnewsh, AtmarkTechno, Atmel, Avnet, Cirrus, Cogent, Conexant, Cwlinux, CyberGuard, Cytek, Exys, Feith, Future, GDB, Hitachi, Imt, Insight, Intel, KendinMicrel, LEOX, Mecel, Midas, Motorola, NEC, NetSilicon, Netburner, Nintendo, OPENcores, Promise, SNEHA, SSV, SWARM, Samsung, SecureEdge, Signal, SnapGear, Soekris, Sony, StrawberryLinux, TI, TeleIP, Triscend, Via, Weiss, Xilinx, senTec) [SnapGear] (NEW) AtmarkTechno
  defined CONFIG_DEFAULTS_ATMARKTECHNO
*
* Select the Product you wish to target
*
AtmarkTechno Products (Armadillo, Armadillo-210.Base, Armadillo-210.Recover, Armadillo-220.Base, Armadillo-220.Recover, Armadillo-230.Base, Armadillo-230.Recover, Armadillo-240.Base, Armadillo-240.Recover, Armadillo-300, Armadillo-500, Armadillo-9, Armadillo-9.PCMCIA, Armadillo-J.Base, Armadillo-J.Jffs2, Armadillo-J.Recover,  SUZAKU-V.SZ310,  SUZAKU-V.SZ310-SIL, SUZAKU-V.SZ410, SUZAKU-V.SZ410-SIL) [Armadillo] (NEW) Armadillo-9
  defined CONFIG_DEFAULTS_ATMARKTECHNO_ARMADILLO_9
*
* Kernel/Library/Defaults Selection
*
*
* Kernel is linux-2.6.x
*
Cross-dev (default, arm-vfp, arm, armnommu, common, h8300, host, i386, i960, m68knommu, microblaze, mips, powerpc, sh) [default] (NEW)

6.1.2. メニュー画面での設定 (make menuconfig)

make menuconfigでは、メニュー画面を使って設定を行うことができます。メニュー画面はNcursesを使って描画されます。このターゲットが指定されたときに画面などをコントロールするプログラムをビルドするため、Ncursesのライブラリとヘッダファイルが必要になります。多くのディストリビューションでは、Ncursesの開発用パッケージが用意されていますので、インストールしてください。

例 6.2. メニューベースコンフィグレーションの起動コマンド

[PC ~/atmark-dist]$ make menuconfig

メニューベースコンフィグレーションの画面

図 6.1. メニューベースコンフィグレーションの画面


6.1.3. GUI画面での設定 (make xconfig)

X Window Systemが使える環境であれば、make xconfigターゲットを使用することができます。make xconfigでは、ターミナル中のメニュー画面と違い、マウスで操作することができます。

例 6.3. GUIベースコンフィグレーションの起動コマンド

[PC ~/atmark-dist]$ make xconfig

GUIベースコンフィグレーションの画面

図 6.2. GUIベースコンフィグレーションの画面


6.2. クリーン(clean)

atmark-dist内をきれいにするためのターゲットです。atmark-distには以下の3種類のcleanターゲットが用意されています。

make clean

サブディレクトリをクリーンし、romfsディレクトリおよび、imagesディレクトリ内のファイルを削除します。

make real_clean

ビルドシステムのクリーンを行います。

make distclean

全ての中間ファイルなどを削除して、atmark-distをリリースできる状態にします。

6.3. デフォルト(all)

allターゲットは、atmark-distのデフォルトターゲットです。makeコマンドをオプションなしで実行することで、このターゲットが実行されます。allでは、必要なコード(カーネル、ユーザーランドアプリケーション、ライブラリ)のコンパイルを行い、ターゲットボードに転送できるイメージファイルを生成します。