第2章 atmark-distについて

atmark-dist は、uClinux-distをベースにしたアットマークテクノ製品向けのLinuxディストリビューションです。

atmark-distは、アプリケーションとカーネルを統合して開発することを可能にし、カーネルのカスタマイズやアプリケーションの選択が可能なうえ、コマンド一つでコンパイルからフラッシュメモリに書き込むイメージファイルの作成までを行う事ができます。atmark-distを使用すると、Armadillo、SUZAKUシリーズのソフトウェアを容易にカスタマイズすることができます。

2.1. uClinux-dist

uClinux-dist はuClinux.orgが配布する、ソースコードベースのディストリビューションです。

最初uClinux-distはuClinux[1]用に作成されましたが、uClinux専用というわけではありません。uClinuxに対応するために追加変更を行ったもので、設定時に既存のLinuxを選択することでi386やARM、PowerPCのようなMMUをもったCPUにも対応しています。

uClinuxでは既存のLinuxにはない制限がいくつか存在します。そのため、uClinuxを使う場合には、既存のLinuxアプリケーションをuClinuxに対応させる必要がありました。uClinuxに対応させたアプリケーションを、Linuxカーネルのビルドシステムと組み合わせ、フラッシュメモリなどに書き込むためのファイルの生成まで自動で行ってくれるようにしたものが、uClinux-distです。

既存のLinuxディストリビューションは、主にデスクトップやサーバ用に構成されています。このため、組み込み機器のベースとして採用するには、ファイルサイズやメモリ使用量などに問題がありました。uClinux-distでは最初から組み込み機器を想定しているため、コンパイル時に必要な機能だけを選択することが可能になっています。

また、製品別に専用の設定を持つことができ、それを選択することで容易に特定製品向けのイメージファイルを作成できることや、カーネルとユーザーランドの設定を同じメニューから選択でき、一つのイメージファイルとして出力するなど、多くの優れた特長があります。

このためuClinuxを使用する製品に限らず、MMUを搭載しLinuxが動作する組込み製品においても、利用すべきメリットがあります。



[1] uClinuxとはMMUを持たないマイクロコンピュータでも動作するように作成されたLinuxです。通常HDDなどの大型補助記憶装置を持たない製品で利用されます。2.6系のLinuxではuClinuxの成果がマージされています。