アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、Oracle VM VirtualBox (以降 VirtualBox と記載します) 仮想マシンのデータイメージを提供しています。このデータイメージを ATDE(Atmark Techno Development Environment) と呼びます。ATDE の起動には仮想化ソフトウェアである VirtualBox を使用します。
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VirtualBoxには以下の特徴があります。
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4.3.1.1. VirtualBox のインストール
ATDE を使用するために、作業用 PC に VirtualBox をインストールします。VirtualBox の Web ページ(https://www.virtualbox.org/) を参照してインストールしてください。
また、ホスト OS が Linux の場合、デフォルトでは VirtualBox で USB デバイスを使用することができません。ホスト OS(Linux)で以下のコマンドを実行後、ホスト OS を再起動してください。
ホスト OS が Windows の場合はこの操作は必要ありません。
ATDE のアーカイブ(.ova
ファイル)を Armadillo サイト(https://armadillo.atmark-techno.com/resources/software/atde/atde-v10)からダウンロードします。
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アットマークテクノ製品および適用するユーザーランドごとに対応している ATDE のバージョンが異なります。本製品に Debian 12 (bookworm) を適用する場合に対応している ATDE のバージョンは ATDE10 v20241030 以降となります。
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ATDE10はDebian GNU/Linux 12(コードネーム bookworm)をベースに、Armadillo-IoTゲートウェイ G3L のソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-IoTゲートウェイ G3L の動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。
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作業用 PC の動作環境(ハードウェア、VirtualBox、ATDE の対応アーキテクチャなど)により、 ATDE が正常に動作しない可能性があります。VirtualBox の Web ページ(https://www.virtualbox.org/)から、使用している VirtualBox のドキュメントなどを参照して動作環境を確認してください。
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VirtualBox を起動し、[ファイル]-[仮想アプライアンスのインポート]を選択します。
[ソース]の項目で、ダウンロードした ATDE のアーカイブ(.ova
ファイル)を選択します。
[設定]の項目で、[ハードドライブをVDIとしてインポート]のチェックを外します。
[完了]をクリックします。インポートの処理が完了するまで数分程要します。
インポートの処理が完了したら、ホスト OS の環境に合わせた設定に更新するため仮想マシンを選択して[設定]をクリックした後に[OK]をクリックします。
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ATDE に割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、 ATDE をより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VirtualBox の Web ページ(https://www.virtualbox.org/) から、VirtualBox のドキュメントなどを参照してください。
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仮想マシンを選択して[起動]をクリックしてください。
ATDE のログイン画面が表示されます。
ATDE にログイン可能なユーザーを、表4.1「ユーザー名とパスワード」に示します[]。
表4.1 ユーザー名とパスワード
ユーザー名 | パスワード | 権限 |
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atmark | atmark | 一般ユーザー |
root | root | 特権ユーザー |
VirtualBoxは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VirtualBoxを起動しているOS)と ATDE で同時に使用することができません。そのようなデバイスを ATDE で使用するためには、ATDE にデバイスを接続する 図4.8「ATDE にデバイスを接続する」 の操作が必要になります。
Armadillo の動作確認を行うためには、表4.2「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。
表4.2 動作確認に使用する取り外し可能デバイス
デバイス | デバイス名 |
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USBシリアル変換アダプタ | Future Devices FT232R USB UART |
作業用PCの物理シリアルポート | シリアルポート |
4.3.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動
ATDEで、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDEで実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。
GNOME端末を起動するには、図4.9「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のアクティビティから「terminal」と入力し「端末」を選択してください。
図4.10「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。
4.3.4. VirtualBox Guest Additions の再インストール
ATDE は VirtualBox 仮想マシン用ソフトである VirtualBox Guest Additions があらかじめインストールされた状態で配布されています。
Guest Additions のバージョンは VirtualBox 自体のバージョンと連動しているため、お使いの VirtualBox のバージョンと ATDE にインストール済みの Guest Additions のバージョンが異なる場合があります。
VirtualBox と Guest Additions のバージョンが異なることによって問題が起こる可能性は低いですが、これに起因すると思われる不具合(ATDEの画面・共有フォルダー・クリップボード等の不調)が発生した場合は、以下の手順を参考に Guest Additions を再インストールしてください。(実行前に ATDE のスナップショットを作成しておくことを推奨します)
ATDE を起動後、上部バーの[ツール]-[Guest Additions CD イメージの挿入]を選択してください。
お使いの VirtualBox と同じバージョンの VBox_GAs_[VERSION]
が「ファイル」上に表示されます。
VBox_GAs_[VERSION]
をマウントするために、「ファイル」から VBox_GAs_[VERSION]
を押下してください。
インストールする前に、以下のコマンドで既にインストール済みの Guest Additions をアンインストールします。
以下のコマンドでお使いの VirtualBox のバージョンに合った Guest Additions がインストールされます。
ホスト OS と ATDE 間でファイルを受け渡す手段として、共有フォルダーがあると大変便利です。ここでは、ホスト OS と ATDE 間の共有フォルダを作成する手順を紹介しますが、不要な方はこの手順をスキップしてください。
追加した共有フォルダーは、図4.14「「ファイル」に表示される共有フォルダー」のように「ファイル」からアクセスするか、または /media/sf_share
(共有フォルダー名) からアクセスできます。( share
というフォルダー名で作成すると、ATDE上では sf_share
として表示されます。)
4.3.6. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用
シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.3「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomを起動する端末の横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。
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ATDE10 v20241030 以降の ATDE ではデフォルトで 表4.3「シリアル通信設定」 のとおりに既に設定された状態になっています。
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表4.3 シリアル通信設定
項目 | 設定 |
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転送レート | 115,200bps |
データ長 | 8bit |
ストップビット | 1bit |
パリティ | なし |
フロー制御 | なし |
minicomの設定を開始するには、図4.15「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。
minicomを起動させるには、図4.16「minicom起動方法」のようにしてください。
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デバイスファイル名は、環境によって/dev/ttyS0 や/dev/ttyUSB1 など、本書の実行例とは異なる場合があります。
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minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。その後、以下のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。
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minicomがオープンする /dev/ttyS0 や /dev/ttyUSB0 といったデバイスファイルは、 root または dialout グループに属しているユーザーしかアクセスできません。
ユーザーを dialout グループに入れることで、以降、sudoを使わずにminicomで /dev/ttyUSB0 をオープンすることができます。
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Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。
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表4.4 Armadillo-IoT メインユニット インターフェース内容
部品番号 | インターフェース名 | 形状 | 備考 |
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CON2 | LANインターフェース | RJ-45コネクタ | |
CON4 | シリアルインターフェース | 端子台6ピン(3.5mmピッチ) | |
CON5 | デバッグシリアルインターフェース | ピンヘッダ7ピン(1.25mmピッチ) | 挿抜寿命:40回
[a]
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CON8 | 電源入力インターフェース1 | DCジャック |
対応プラグ:内径2.1mm
外径:5.5mm
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CON9[b] | RTCバックアップインターフェース | ピンヘッダ2ピン(1.25mmピッチ) | 挿抜寿命:20回
[]
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CON10 | 電源入力インターフェース2 | ピンヘッダ2ピン(2mmピッチ) | |
CON11 | USBインターフェース | Type Aコネクタ | |
CON12 | microSDインターフェース | microSDスロット | |
CON13 | アンテナインターフェース3 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
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CON14 | アンテナインターフェース4 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
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CON15 | アンテナインターフェース1 | 同軸コネクタ | |
CON16 | アンテナインターフェース2 | 同軸コネクタ | |
SW2 | ユーザースイッチ | タクトスイッチ | |
JP1 | 起動バイス設定ジャンパ | ピンヘッダ2ピン(2.54mmピッチ) | |
表4.5 Armadillo-IoT サブユニット インターフェース内容
部品番号 | インターフェース名 | 形状 | 備考 |
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CON2 | Wi-SUNモジュールインターフェース | 基板間コネクタ20ピン(0.5mmピッチ) | 挿抜寿命:40回
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CON4 | LTEアンテナインターフェース1 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
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CON5 | LTEアンテナインターフェース2 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
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CON6 | microSIMインターフェース | microSIMスロット | |
CON8 | WLANアンテナインターフェース1 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
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CON9 | WLANアンテナインターフェース2 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
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LED3 | ユーザーLED3 | LED(緑色、面実装、導光板有り) | |
LED4 | ユーザーLED4 | LED(緑色、面実装、導光板有り) | |
LED5 | ユーザーLED5 | LED(緑色、面実装、導光板有り) | |
SP1 | Wi-SUNモジュールスタッド | スペーサー(M2, L=3mm) | |
SP2 | Wi-SUNモジュールスタッド | スペーサー(M2, L=3mm) | |
viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。
viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。
本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。
viを起動するには、以下のコマンドを入力します。
file
にファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(file
が存在しない場合は新規作成)を行います。viはコマンドモードの状態で起動します。
文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表4.6「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。
表4.6 入力モードに移行するコマンド
コマンド | 動作 |
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i | カーソルのある場所から文字入力を開始 |
a | カーソルの後ろから文字入力を開始 |
入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードが分からなくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。
| 日本語変換機能をOFFに |
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viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーで行うことができます。 |
「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図4.26「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。
| viでの文字削除 |
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コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。 |
方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表4.7「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。
表4.7 カーソルの移動コマンド
コマンド | 動作 |
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h | 左に1文字移動 |
j | 下に1文字移動 |
k | 上に1文字移動 |
l | 右に1文字移動 |
ファイルの保存、終了を行うコマンドを表4.9「保存・終了コマンド」に示します。
表4.9 保存・終了コマンド
コマンド | 動作 |
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:q! | 変更を保存せずに終了 |
:w [file] | ファイル名をfile に指定して保存 |
:wq | ファイルを上書き保存して終了 |
保存と終了を行うコマンドは「:」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。":"キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。