第4章 Armadilloの電源を入れる前に

4.1. 準備するもの

Armadilloを使用する前に、次のものを必要に応じて準備してください。

作業用PC

LinuxまたはWindowsが動作し、ネットワークインターフェースと 1つ以上のUSBポートを持つPCです。「開発/動作確認環境の構築」を参照して、作業用PC上に開発/動作確認環境を構築してください。

ネットワーク環境

Armadilloと作業用PCをネットワーク通信ができるようにしてください。

microSDカード

SDスロットの動作を確認する 場合などに利用します。

USBメモリ

USBの動作を確認する 場合などに利用します。

microSIM(UIM カード)とAPN情報

LTEの動作を確認する場合に利用します。通信事業者との契約が必要です。SMSの動作を確認する場合は、SMSが利用可能なmicroSIM(UIM カード)が必要です。

tar.xz形式のファイルを展開するソフトウェア

開発/動作確認環境を構築するために利用します。Linuxでは、tar[4]で展開できます。Windowsでは、7-Zip などが対応しています。

4.2. 組み立て手順

4.2.1. 概要

Armadillo-IoTゲートウェイG3Lの筐体は、基板を固定するためのブラケットと、基板を固定したブラケットを覆うケーストップの2つで構成されています。

筐体の構成

1

ケーストップ

2

ブラケット

図4.1 筐体の構成


4.2.2. 筐体の組み立て手順

基板が固定されているブラケットに対してケーストップを取り付け、付属のネジでネジ止めします。 ブラケットにはL字の爪があり、この部分をケーストップ内側の突起に引っ掛けることでブラケットにケーストップを取り付けることができます。

ブラケットの爪とケーストップ内側の突起

図4.2 ブラケットの爪とケーストップ内側の突起


筐体の組み立て手順を次に示します。

手順4.1 筐体の組み立て手順

  1. ケーストップをブラケットの上に載せます。このとき、ブラケットの各種インターフェース実装面側(LANコネクタ、USBコネクタが実装されている面)から少し離した位置にケーストップを配置します。

    ケーストップ配置

    図4.3 ケーストップ配置


  2. ブラケットに載せたケーストップの下端とブラケットとの間に隙間ができないように注意して、ケーストップをブラケットの各種インターフェース実装面の側へとスライドさせます。 ケーストップの内側にある突起がブラケットの爪に引っ掛って止るところまでスライドさせてはめ込みます。

    ケーストップはめ込み

    図4.4 ケーストップはめ込み


  3. ケーストップとブラケットの爪が正しくかみ合い、ケーストップとブラケットとの間に隙間ができていないことを確認します。

    ケーストップかみ合わせ確認

    図4.5 ケーストップかみ合わせ確認


  4. 付属のネジ2本でネジ止めをして、ケーストップとブラケットを完全に固定します。 このとき、ケーストップ上面に2箇所あいている穴とブラケットのネジ穴の位置がずれていないことを確認してネジ止めしてください。

ケーストップのネジ止め

1

バインド小ねじ(M3、L=5mm)x2

図4.6 ケーストップのネジ止め


[警告]

ネジを締める前に、ケーストップとブラケットの爪が正しく噛み合って、ケーストップとブラケットとの間に隙間ができていないことを必ず確認してください。隙間が有るままでネジを締めるとケーストップが破損する恐れがあります。 また、ネジをきつく締め過ぎると、ケーストップが破損する恐れがありますので、十分にご注意ください。

4.2.3. 各種取付

Armadillo-IoTゲートウェイG3L標準筐体への外付けアンテナの取付や、ブラケットに開けられた各種取付用の穴について、図4.7「各種取付」に示します。各種取付用の穴の位置については図18.1「筐体形状図」を参照してください。

各種取付

図4.7 各種取付


[警告]

外付けアンテナを取り付ける際、無理な力を加えると破損の原因となりますので、十分に注意してください。

4.3. 開発/動作確認環境の構築

アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、Oracle VM VirtualBox (以降 VirtualBox と記載します) 仮想マシンのデータイメージを提供しています。このデータイメージを ATDE(Atmark Techno Development Environment) と呼びます。ATDE の起動には仮想化ソフトウェアである VirtualBox を使用します。

[ティップ]

VirtualBoxには以下の特徴があります。

  • GPL v2(General Public License version 2)で提供されている[5]

  • VMware形式の仮想ディスク(.vmdk)ファイルに対応している

4.3.1. ATDEセットアップ

4.3.1.1. VirtualBox のインストール

ATDE を使用するために、作業用 PC に VirtualBox をインストールします。VirtualBox の Web ページ(https://www.virtualbox.org/) を参照してインストールしてください。

また、ホスト OS が Linux の場合、デフォルトでは VirtualBox で USB デバイスを使用することができません。ホスト OS(Linux)で以下のコマンドを実行後、ホスト OS を再起動してください。

[PC ~]$ sudo usermod -a -G vboxusers $USER

ホスト OS が Windows の場合はこの操作は必要ありません。

4.3.1.2. ATDEアーカイブの取得

ATDE のアーカイブ(.ova ファイル)を Armadillo サイト(https://armadillo.atmark-techno.com/resources/software/atde/atde-v10)からダウンロードします。

[注記]

アットマークテクノ製品および適用するユーザーランドごとに対応している ATDE のバージョンが異なります。本製品に Debian 12 (bookworm) を適用する場合に対応している ATDE のバージョンは ATDE10 v20241030 以降となります。

ATDE10はDebian GNU/Linux 12(コードネーム bookworm)をベースに、Armadillo-IoTゲートウェイ G3L のソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-IoTゲートウェイ G3L の動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。

[警告]

作業用 PC の動作環境(ハードウェア、VirtualBox、ATDE の対応アーキテクチャなど)により、 ATDE が正常に動作しない可能性があります。VirtualBox の Web ページ(https://www.virtualbox.org/)から、使用している VirtualBox のドキュメントなどを参照して動作環境を確認してください。

4.3.1.3. ATDE のインポート

  1. VirtualBox を起動し、[ファイル]-[仮想アプライアンスのインポート]を選択します。

  2. [ソース]の項目で、ダウンロードした ATDE のアーカイブ(.ova ファイル)を選択します。

  3. [設定]の項目で、[ハードドライブをVDIとしてインポート]のチェックを外します。

  4. [完了]をクリックします。インポートの処理が完了するまで数分程要します。

  5. インポートの処理が完了したら、ホスト OS の環境に合わせた設定に更新するため仮想マシンを選択して[設定]をクリックした後に[OK]をクリックします。

[ティップ]

ATDE に割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、 ATDE をより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VirtualBox の Web ページ(https://www.virtualbox.org/) から、VirtualBox のドキュメントなどを参照してください。

4.3.1.4. ATDE の起動

  1. 仮想マシンを選択して[起動]をクリックしてください。

  2. ATDE のログイン画面が表示されます。

ATDE にログイン可能なユーザーを、表4.1「ユーザー名とパスワード」に示します[6]

表4.1 ユーザー名とパスワード

ユーザー名パスワード権限
atmarkatmark一般ユーザー
rootroot特権ユーザー

4.3.2. 取り外し可能デバイスの使用

VirtualBoxは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VirtualBoxを起動しているOS)と ATDE で同時に使用することができません。そのようなデバイスを ATDE で使用するためには、ATDE にデバイスを接続する 図4.8「ATDE にデバイスを接続する」 の操作が必要になります。

ATDE にデバイスを接続する

図4.8 ATDE にデバイスを接続する


Armadillo の動作確認を行うためには、表4.2「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。

表4.2 動作確認に使用する取り外し可能デバイス

デバイスデバイス名
USBシリアル変換アダプタFuture Devices FT232R USB UART
作業用PCの物理シリアルポートシリアルポート

4.3.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動

ATDEで、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDEで実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。

GNOME端末を起動するには、図4.9「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のアクティビティから「terminal」と入力し「端末」を選択してください。

GNOME端末の起動

図4.9 GNOME端末の起動


図4.10「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。

GNOME端末のウィンドウ

図4.10 GNOME端末のウィンドウ


4.3.4. VirtualBox Guest Additions の再インストール

ATDE は VirtualBox 仮想マシン用ソフトである VirtualBox Guest Additions があらかじめインストールされた状態で配布されています。

Guest Additions のバージョンは VirtualBox 自体のバージョンと連動しているため、お使いの VirtualBox のバージョンと ATDE にインストール済みの Guest Additions のバージョンが異なる場合があります。

VirtualBox と Guest Additions のバージョンが異なることによって問題が起こる可能性は低いですが、これに起因すると思われる不具合(ATDEの画面・共有フォルダー・クリップボード等の不調)が発生した場合は、以下の手順を参考に Guest Additions を再インストールしてください。(実行前に ATDE のスナップショットを作成しておくことを推奨します)

  1. ATDE を起動後、上部バーの[ツール]-[Guest Additions CD イメージの挿入]を選択してください。

  2. お使いの VirtualBox と同じバージョンの VBox_GAs_[VERSION] が「ファイル」上に表示されます。

  3. VBox_GAs_[VERSION] をマウントするために、「ファイル」から VBox_GAs_[VERSION] を押下してください。

  4. インストールする前に、以下のコマンドで既にインストール済みの Guest Additions をアンインストールします。

    [ATDE ~]$ sudo /opt/VBoxGuestAdditions-[VERSION]/uninstall.sh
  5. 以下のコマンドでお使いの VirtualBox のバージョンに合った Guest Additions がインストールされます。

    [ATDE ~]$ cd /media/cdrom0
    [ATDE ~]$ sudo sh ./autorun.sh

4.3.5. 共有フォルダーの作成

ホスト OS と ATDE 間でファイルを受け渡す手段として、共有フォルダーがあると大変便利です。ここでは、ホスト OS と ATDE 間の共有フォルダを作成する手順を紹介しますが、不要な方はこの手順をスキップしてください。

  1. VirtualBox の上部バーから[デバイス]-[共有フォルダー]-[共有フォルダー設定]を選択します。(図4.11「共有フォルダー設定を開く」

  2. 図4.12「共有フォルダー設定」 の赤枠で示したアイコンをクリックします。

  3. 図4.13「共有フォルダーの追加」 のように、[フォルダーのパス]-[その他]を選択して、共有フォルダーに設定したいホストOS上のフォルダーを選択します。

  4. 図4.13「共有フォルダーの追加」 のように、[自動マウント]と[永続化する]にチェックを入れます。

  5. [OK]をクリックして共有フォルダーを追加します。

共有フォルダー設定を開く

図4.11 共有フォルダー設定を開く


共有フォルダー設定

図4.12 共有フォルダー設定


共有フォルダーの追加

図4.13 共有フォルダーの追加


「ファイル」に表示される共有フォルダー

図4.14 「ファイル」に表示される共有フォルダー


追加した共有フォルダーは、図4.14「「ファイル」に表示される共有フォルダー」のように「ファイル」からアクセスするか、または /media/sf_share(共有フォルダー名) からアクセスできます。( share というフォルダー名で作成すると、ATDE上では sf_share として表示されます。)

4.3.6. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用

シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.3「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomを起動する端末の横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。

[注記]

ATDE10 v20241030 以降の ATDE ではデフォルトで 表4.3「シリアル通信設定」 のとおりに既に設定された状態になっています。

表4.3 シリアル通信設定

項目設定
転送レート115,200bps
データ長8bit
ストップビット1bit
パリティなし
フロー制御なし

minicomの設定を開始するには、図4.15「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。

[PC ~]$ LANG=C minicom --setup

図4.15 minicom設定方法


minicomを起動させるには、図4.16「minicom起動方法」のようにしてください。

[PC ~]$ LANG=C minicom --wrap --device /dev/ttyUSB0

図4.16 minicom起動方法


[注記]

デバイスファイル名は、環境によって/dev/ttyS0/dev/ttyUSB1など、本書の実行例とは異なる場合があります。

minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。その後、以下のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。

                                   +-----------------------+
                                   | Leave without reset?  |
                                   |     Yes       No      |
                                   +-----------------------+

図4.17 minicom終了確認


[ティップ]

minicomがオープンする /dev/ttyS0 や /dev/ttyUSB0 といったデバイスファイルは、 root または dialout グループに属しているユーザーしかアクセスできません。

ユーザーを dialout グループに入れることで、以降、sudoを使わずにminicomで /dev/ttyUSB0 をオープンすることができます。

[PC ~]$ sudo usermod -aG dialout atmark
[PC ~]$ LANG=C minicom --wrap --device /dev/ttyUSB0
[ティップ]

Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。

4.4. インターフェースレイアウト

Armadillo-IoT メインユニット インターフェースレイアウト(A面)

図4.18 Armadillo-IoT メインユニット インターフェースレイアウト(A面)


Armadillo-IoT メインユニット インターフェースレイアウト(B面)

図4.19 Armadillo-IoT メインユニット インターフェースレイアウト(B面)


表4.4 Armadillo-IoT メインユニット インターフェース内容

部品番号インターフェース名形状備考
CON2LANインターフェースRJ-45コネクタ 
CON4シリアルインターフェース端子台6ピン(3.5mmピッチ) 
CON5デバッグシリアルインターフェースピンヘッダ7ピン(1.25mmピッチ)挿抜寿命:40回 [a]
CON8電源入力インターフェース1DCジャック

対応プラグ:内径2.1mm

外径:5.5mm

CON9[b]RTCバックアップインターフェースピンヘッダ2ピン(1.25mmピッチ)挿抜寿命:20回 [a]
CON10電源入力インターフェース2ピンヘッダ2ピン(2mmピッチ) 
CON11USBインターフェースType Aコネクタ 
CON12microSDインターフェースmicroSDスロット 
CON13アンテナインターフェース3小型同軸コネクタ挿抜寿命:20回 [a]
CON14アンテナインターフェース4小型同軸コネクタ挿抜寿命:20回 [a]
CON15アンテナインターフェース1同軸コネクタ 
CON16アンテナインターフェース2同軸コネクタ 
SW2ユーザースイッチタクトスイッチ 
JP1起動バイス設定ジャンパピンヘッダ2ピン(2.54mmピッチ) 

[a] 挿抜寿命は製品出荷時における目安であり、実際の挿抜可能な回数を保証するものではありません。

[b] 製品リビジョン『E』以降で搭載されています。


Armadillo-IoT サブユニット インターフェースレイアウト(A面)

図4.20 Armadillo-IoT サブユニット インターフェースレイアウト(A面)


Armadillo-IoT サブユニット インターフェースレイアウト(B面)

図4.21 Armadillo-IoT サブユニット インターフェースレイアウト(B面)


表4.5 Armadillo-IoT サブユニット インターフェース内容

部品番号インターフェース名形状備考
CON2Wi-SUNモジュールインターフェース基板間コネクタ20ピン(0.5mmピッチ)挿抜寿命:40回 [a]
CON4LTEアンテナインターフェース1小型同軸コネクタ挿抜寿命:20回 [a]
CON5LTEアンテナインターフェース2小型同軸コネクタ挿抜寿命:20回 [a]
CON6microSIMインターフェースmicroSIMスロット 
CON8WLANアンテナインターフェース1小型同軸コネクタ挿抜寿命:20回 [a]
CON9WLANアンテナインターフェース2小型同軸コネクタ挿抜寿命:20回 [a]
LED3ユーザーLED3LED(緑色、面実装、導光板有り) 
LED4ユーザーLED4LED(緑色、面実装、導光板有り) 
LED5ユーザーLED5LED(緑色、面実装、導光板有り) 
SP1Wi-SUNモジュールスタッドスペーサー(M2, L=3mm) 
SP2Wi-SUNモジュールスタッドスペーサー(M2, L=3mm) 

[a] 挿抜寿命は製品出荷時における目安であり、実際の挿抜可能な回数を保証するものではありません。


4.5. 接続方法

Armadillo-IoTゲートウェイG3Lと周辺装置の接続例を次に示します。

Armadillo-IoTゲートウェイG3Lの接続例

1

Armadillo-IoTゲートウェイ

2

ACアダプタ(12V) [7]

3

作業用PC

4

USBシリアル変換アダプタ [7]

5

USB2.0ケーブル(A-miniBタイプ) [7]

6

LAN HUB

7

LANケーブル

8

USBメモリ

9

microSDカード

10

microSIMカード

11

RS422/RS485ケーブル

12

RS422/RS485-RS232C変換アダプタ

13

RS232Cケーブル

図4.22 Armadillo-IoTゲートウェイG3Lの接続例


[警告]

デバッグシリアルインターフェースへUSBシリアル変換アダプタを接続する際は、ケーブルの根本を軽く握り、指先でコネクタを押すようにして挿入してください。 取り外しの際は、全ケーブルが均等に引きぬかれるようにケーブルをつかみ、引き抜いてください。 また、基板に対して垂直に挿入・抜去してください。30°以上傾けた状態での斜め挿入・抜去は、端子変形、ケース破損の原因となります。

挿抜角度

図4.23 挿抜角度


4.6. スライドスイッチの設定について

USBシリアル変換アダプタのスライドスイッチを操作することで、ブートローダーの起動モードを変更することができます。

スライドスイッチの設定

1

ブートローダーは保守モード[8]になります。

2

ブートローダーはオートブートモード[9]になります。

図4.24 スライドスイッチの設定


4.7. viエディタの使用方法

viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。

viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。

本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。

4.7.1. viの起動

viを起動するには、以下のコマンドを入力します。

[PC ~]# vi [file]

図4.25 viの起動


fileにファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(fileが存在しない場合は新規作成)を行います。viはコマンドモードの状態で起動します。

4.7.2. 文字の入力

文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表4.6「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。

表4.6 入力モードに移行するコマンド

コマンド動作
iカーソルのある場所から文字入力を開始
aカーソルの後ろから文字入力を開始

入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードが分からなくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。

[警告]日本語変換機能をOFFに

viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーで行うことができます。

「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図4.26「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。

入力モードに移行するコマンドの説明

図4.26 入力モードに移行するコマンドの説明


[ティップ]viでの文字削除

コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。

4.7.3. カーソルの移動

方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表4.7「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。

表4.7 カーソルの移動コマンド

コマンド動作
h左に1文字移動
j下に1文字移動
k上に1文字移動
l右に1文字移動

4.7.4. 文字の削除

文字を削除する場合は、コマンドモードで表4.8「文字の削除コマンド」に示すコマンドを入力します。

表4.8 文字の削除コマンド

コマンド動作
xカーソル上の文字を削除
dd現在行を削除

「x」コマンド、「dd」コマンドを入力した場合に削除される文字を図4.27「文字を削除するコマンドの説明」に示します。

文字を削除するコマンドの説明

図4.27 文字を削除するコマンドの説明


4.7.5. 保存と終了

ファイルの保存、終了を行うコマンドを表4.9「保存・終了コマンド」に示します。

表4.9 保存・終了コマンド

コマンド動作
:q!変更を保存せずに終了
:w [file]ファイル名をfileに指定して保存
:wqファイルを上書き保存して終了

保存と終了を行うコマンドは「:」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。":"キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。



[4] tar.xz形式のファイルを展開するにはJxfオプションを指定します。

[5] バージョン3.xまではPUEL(VirtulBox Personal Use and Evaluation License)が適用されている場合があります。

[6] 特権ユーザーで GUI ログインを行うことはできません

[7] Armadillo-IoTゲートウェイ開発セット付属品

[8] ブートローダーのコマンドプロンプトが起動します。

[9] OSを自動起動します。