第4章 作業の前に

4.1. 準備するもの

Armadilloを使用する前に、次のものを準備してください。

作業用PC

LinuxまたはWindowsが動作し、2ポート以上[3]のUSBインターフェースを持つPCです。作業用PCには、「開発/動作確認環境の構築」を参照して開発/動作確認環境を構築してください。

SDカード

SDスロットの動作を確認する場合などに利用します。

USBメモリ

USBホストの動作を確認する場合などに利用します。

シリアルクロスケーブル

D-Sub9 ピン(メス - メス)のクロス接続用ケーブルです。シリアルポートの動作を確認する場合に利用します。

[ティップ]シリアルクロスケーブルの結線

シリアルクロスケーブルには様々な結線のものが存在します。本書ではハードウェアフロー(RTS/CTS)を使用しないため、互いのコネクタのTxDとRxD同士およびGND同士が結線されているケーブルであれば利用可能です。

ハードウェアフローを使用する場合は、以下のようなインタリンク結線のシリアルケーブルをご利用ください。

4.2. 開発/動作確認環境の構築

アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、VMware仮想マシンのデータイメージを提供しています。このVMware仮想マシンのデータイメージをATDE(Atmark Techno Development Environment)と呼びます。ATDEの起動には仮想化ソフトウェアであるVMWareを使用します。

[ティップ]

仮想化ソフトウェアとして、VMwareの他にOracle VM VirtualBoxが有名です。Oracle VM VirtualBoxには以下の特徴があります。

  • GPL v2(General Public License version 2)で提供されている[4]

  • VMware形式の仮想ディスク(.vmdk)ファイルに対応している

Oracle VM VirtualBoxからATDEを起動し、ソフトウェア開発環境として使用することができます。ただし、UVCガジェットの動作確認など、本書に記載されている内容のうち一部について適用できない場合があります。十分ご注意の上で作業してください。

ATDEは、バージョンにより対応するアットマークテクノ製品が異なります。Armadillo-810に対応しているATDEは、ATDE5 (ATDEバージョン5)です。

ATDE5はDebian GNU/Linux 7.0(コードネーム wheezy)をベースに、Armadillo-810のソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-810の動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。

4.2.1. ATDE5セットアップ

4.2.1.1. VMwareのインストール

ATDE5を使用するためには、作業用PCにVMwareがインストールされている必要があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)を参照し、利用目的に合うVMware製品をインストールしてください。

[警告]

VMwareは、非商用利用限定で無償のものから、商用利用可能な有償のものまで複数の製品があります。製品ごとに異なるライセンス、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)が存在するため、十分に確認した上で利用目的に合う製品をご利用ください。

[警告]

VMwareやATDE5が動作しないことを未然に防ぐため、使用するVMwareのドキュメントから以下の項目についてご確認ください。

  • ホストシステムのハードウェア要件

  • ホストシステムのソフトウェア要件

  • ゲストOSのプロセッサ要件

VMwareのドキュメントは、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から取得することができます。

4.2.1.2. ATDE5の取得

表4.1「ATDE5の種類」に示すATDE5のアーカイブのうちいずれか1つを作業用PCにコピーします。ATDE5のアーカイブはArmadilloサイト(http://armadillo.atmark-techno.com)または、開発セット付属のDVDから取得可能です。

表4.1 ATDE5の種類

ATDE5アーカイブベースのDebian GNU/Linux
atde5-[version]-amd64.zip64-bit PC(「amd64」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7.0
atde5-[version]-i386.zip32-bit PC(「i386」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7.0

[警告]

作業用PCの動作環境(ハードウェア、VMware、ATDE5の種類など)により、ATDE5が正常に動作しない可能性があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照して動作環境を確認してください。

4.2.1.3. ATDE5の起動

ATDE5のアーカイブを展開したディレクトリに存在する仮想マシン構成(.vmx)ファイルをVMware上で開くと、ATDE5を起動することができます。ATDE5にログイン可能なユーザーを、表4.2「ユーザー名とパスワード」に示します[5]

表4.2 ユーザー名とパスワード

ユーザー名パスワード権限
atmarkatmark一般ユーザー
rootroot特権ユーザー

[ティップ]

ATDEに割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、ATDEをより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。

4.2.2. 取り外し可能デバイスの使用

VMwareは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VMwareを起動しているOS)とゲストOSで同時に使用することができません。そのようなデバイスをゲストOSで使用するためには、ゲストOSにデバイスを接続する操作が必要になります。

[ティップ]

取り外し可能デバイスの使用方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。

Armadillo-810の動作確認をおこなうためには、表4.3「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。

表4.3 動作確認に使用する取り外し可能デバイス

デバイスデバイス名
開発用 USB シリアル変換アダプタ(Armadillo-800 シリーズ対応)Future Devices FT232R USB UART
Armadillo-810 USBインターフェース(CON4)g_uvc_acm_ether
作業用PCの物理シリアルポートシリアルポート

4.2.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動

ATDE5で、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDE5で実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。

GNOME端末を起動するには、図4.1「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のメニューから「端末」を選択してください。

GNOME端末の起動

図4.1 GNOME端末の起動


図4.2「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。

GNOME端末のウィンドウ

図4.2 GNOME端末のウィンドウ


4.2.4. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用

シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.4「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomの横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。

表4.4 シリアル通信設定

項目設定
転送レート115,200bps
データ長8bit
ストップビット1bit
パリティなし
フロー制御なし

minicomの設定を開始するには、図4.3「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。

[ATDE ~]$ LANG=C minicom --setup

図4.3 minicom設定方法


minicomを起動させるには、図4.4「minicom起動方法」のようにしてください。

[ATDE ~]$ LANG=C minicom --noinit --wrap --device /dev/ttyUSB0

図4.4 minicom起動方法


minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。その後、以下のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。

                                   +-----------------------+
                                   | Leave without reset?  |
                                   |     Yes       No      |
                                   +-----------------------+

図4.5 minicom終了確認


[ティップ]

Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。

4.3. インターフェースレイアウト

Armadillo-810及びカメラモデル開発セットに含まれる各基板のインターフェースレイアウトです。各インターフェースの配置場所等を確認してください。

4.3.1. Armadillo-810 CPUボード インターフェースレイアウト

Armadillo-810 CPUボードのインターフェースレイアウト図

図4.6 Armadillo-810 CPUボードのインターフェースレイアウト図


表4.5 Armadillo-810 CPUボードのインターフェース内容

部品番号インターフェース形状備考
CON1拡張インターフェース2 (Bコネクタ)

BtoBコネクタ 60P(0.4mmピッチ)

DF40C-60DP-0.4V(51)/HIROSE

対向コネクタ例: DF40HC(4.0)-60DS-0.4V(51)/HIROSE

挿抜寿命:30回

CON2シリアルインターフェース1

ピンヘッダ 8P(2mmピッチ)

DF3DZ-8P-2H(51)/HIROSE

信号レベル: RS232C

対向コネクタ例: DF3-8S-2C/HIROSE

挿抜寿命:50回

CON3シリアルインターフェース2

ピンヘッダ 7P(1.25mmピッチ)

DF13A-7P-1.25H(51)/HIROSE

信号レベル: 3.3V CMOS

対向コネクタ例: DF13-7S-1.25C/HIROSE

挿抜寿命:50回

CON4USBインターフェース

USB mini Bコネクタ

USB2.0 Device(High Speed対応)
CON5拡張インターフェース1 (Aコネクタ)

BtoBコネクタ 60P(0.5mmピッチ)

DF17(4.0)-60DS-0.5V(57)/HIROSE

対向コネクタ例: DF17(4.0)-60DP-0.5V(57)/HIROSE

挿抜寿命:50回

LED1~LED4ユーザーLED

LED(黄色、面実装)

 

4.3.2. Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用) インターフェースレイアウト

Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)のインターフェースレイアウト図

図4.7 Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)のインターフェースレイアウト図


表4.6 Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)のインターフェース内容

部品番号インターフェース形状備考
CON1Armadillo-810接続インターフェース

BtoBコネクタ 60P(0.5mmピッチ)

DF17(4.0)-60DP-0.5V(57)/HIROSE

対向コネクタ例:DF17(4.0)-60DS-0.5V(57)/HIROSE

挿抜寿命:50回

Armadillo-810 CPUボードの拡張インターフェース1 (Aコネクタ)と接続

CON2拡張インターフェース

ピンヘッダ 28P(2.54mmピッチ)

コネクタ非搭載(搭載コネクタ例:A1-28PA-2.54DSA(71)/HIROSE)
CON3電源入力1

DCジャック

対応プラグ: EIAJ#2
CON4電源入力2

ピンヘッダ 2P(2.5mmピッチ)

コネクタ非搭載(搭載コネクタ例:B2B-EH/JST)
CON5SDインターフェース

SDスロット

SCDA9A0400/ALPS

信号線はCON7と共通

CON6Reserved

Pad

このインターフェースを使用する場合の動作は保証されていません
CON7JTAGインターフェース

ピンヘッダ(10P)

(2.54mmピッチ)

信号線はCON5と共通

CON8RTC外部バックアップインターフェース

電池ボックス

対応電池: CR2032
CON9USBインターフェース

USB Type Aコネクタ

USB2.0 Host(High Speed 対応)

JP1起動モード設定ジャンパ

ピンヘッダ(2P)

(2.54mmピッチ)

オープン: OS自動起動モード

ショート: 保守モード

JP2SD/JTAG設定ジャンパ

ピンヘッダ(2P)

(2.54mmピッチ)

オープン: SD(CON5)有効/JTAG(CON7)無効

ショート: SD(CON5)無効/JTAG(CON7)有効

JP3起動デバイス設定ジャンパ

ピンヘッダ(2P)

(2.54mmピッチ)

オープン: オンボードフラッシュメモリブート

ショート: SD(CON5)ブート

SW1リセットスイッチ

タクトスイッチ

SKHLACA010/ALPS

 

4.3.3. Armadillo-810 カメラモジュール01 (Bコネクタ用) インターフェースレイアウト

Armadillo-810 カメラモジュール01 (Bコネクタ用)のインターフェースレイアウト図

図4.8 Armadillo-810 カメラモジュール01 (Bコネクタ用)のインターフェースレイアウト図


表4.7 Armadillo-810 カメラモジュール01 (Bコネクタ用)のインターフェース内容

部品番号インターフェース形状備考
CON1Armadillo-810接続インターフェース

ピンソケット 60P(0.4mmピッチ)

DF40HC(4.0)-60DS-0.4V(51)/HIROSE

対向コネクタ例: DF40C-60DP-0.4V(51)/HIROSE

挿抜寿命:30回

Armadillo-810 CPUボードの拡張インターフェース2 (Bコネクタ)と接続


4.4. 組み立て

4.4.1. Armadillo-810 カメラモデルの組み立て

Armadillo-810 カメラモデルの組み立て

図4.9 Armadillo-810 カメラモデルの組み立て


1

なべ小ねじ(M3、L=4mm)

2

金属スペーサ(M3、L=4mm)

3

金属スペーサ(M3、L=8mm)

4

金属スペーサ(M3、L=15mm)

[警告]コネクタ嵌合時の取扱い上の注意

嵌合する際は、コネクタの中心をきっちり合わせてください。

コネクタ嵌合時の取扱い上の注意1

図4.10 コネクタ嵌合時の取扱い上の注意1


位置合わせをする際は、無理な力を加えることなく誘い込み口を探してください。無理な力を加えると、モールドの破損、削れが発生し、接触抵抗の不具合等に繋る場合があります。

コネクタ嵌合時の取扱い上の注意2

図4.11 コネクタ嵌合時の取扱い上の注意2


コネクタが誘い込まれると、コネクタ間の距離が近くなり、平行になって前後左右に動かなくなります。この状態からまっすぐに嵌合してください。

コネクタ嵌合時の取扱い上の注意3

図4.12 コネクタ嵌合時の取扱い上の注意3


[警告]コネクタ抜去時の取扱い上の注意

コネクタは平行に抜去してください。

コネクタ抜去時の取扱い上の注意1

図4.13 コネクタ抜去時の取扱い上の注意1


平行に抜去することが困難な場合、コネクタ幅の狭い方向から斜めに抜去してください。

コネクタ抜去時の取扱い上の注意2

図4.14 コネクタ抜去時の取扱い上の注意2


コネクタが損傷する可能性が高いため、コネクタのコーナー方向や幅の広い方向から斜めに抜去しないでください。

コネクタ抜去時の取扱い上の注意3

図4.15 コネクタ抜去時の取扱い上の注意3


[警告]ねじ締め時の注意事項

ねじは図のようにコネクタから遠い箇所から順に締めてください。先にコネクタに近い箇所のねじを締めると、コネクタに無理な力が加わり、コネクタ破損の原因となることがあります。

ねじ締め時の注意事項1

図4.16 ねじ締め時の注意事項1


ねじ締め時の注意事項2

図4.17 ねじ締め時の注意事項2


4.4.2. レンズの交換方法

Armadillo-810 カメラモジュール01 (Bコネクタ用)には出荷時にカメラモジュール用レンズ(水平画角 79°)が取り付けられています。付属のカメラモジュール用レンズ(水平画角 120°)をご使用になりたい場合は、カメラレンズを交換して使用する事が可能です。

交換時には、カメラモジュールを下向きにし、レンズを矢印の方向に回してホルダから外し、交換したいレンズを装着して下さい。

カメラレンズの交換

図4.18 カメラレンズの交換


[警告]カメラレンズ交換時の注意事項

下記の項目に十分留意して作業を行ってください。下記の項目を守らず作業を行った場合、撮像素子やレンズが破損、またはゴミ等が付着し、取得画像にノイズとなって残る可能性があります。

  • レンズに直接触らないで下さい。

  • レンズホルダはカメラモジュールから外さないで下さい。

  • ピント調整する際はカメラの映像を確認しながら行ってください。

  • レンズ交換の際はゴミや埃が撮像素子に付着しないよう注意してください。

  • 埃が立たない場所で作業を行って下さい。

  • レンズ交換は埃やゴミが侵入しないよう短時間で作業を完了させて下さい。

  • 基板からのレンズ先端の高さは18mm以下にしないでください。18mm以下までレンズを入れた場合、レンズがイメージセンサーに接触し、レンズおよびイメージセンサーが故障する恐れがあります。

  • レンズ交換作業による破損または故障につきましては、保証対象外となります。

4.5. 接続方法

Armadillo-810と作業用PCとの接続例を図4.19「接続図」に示します。

接続図

1

Armadillo-810カメラモデル

2

ACアダプタ(5V/2.0A EIAJ#2)[6]

3

作業用PC

4

開発用USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-800シリーズ対応)[6]

5

USB2.0ケーブル(A-miniBタイプ, 1.8m)[6]

6

7ピン シリアルケーブル(Armadillo-800シリーズ対応)[6]

7

シリアルクロスケーブル

8

USBメモリ

9

SDカード

図4.19 接続図


[警告]開発用USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-800シリーズ対応)の取扱い上の注意

USBシリアル変換アダプタには電源投入順序があります。Armadillo-810に接続する際は、以下の手順に従ってご使用ください。接続手順に従わない場合は、USBシリアル変換アダプタが故障する可能性がありますのでご注意ください。

  1. 起動中の作業用PCとUSBシリアル変換アダプタをUSB2.0ケーブルで接続します。

  2. Armadillo-810のシリアルインターフェース2 (CON3)にUSBシリアル変換アダプタを接続します。

  3. 上記接続を確認後、Armadillo-810に電源を投入します。

また、Armadillo-810にUSBシリアル変換アダプタを接続した状態のまま、作業用PCまたはUSBシリアル変換アダプタからUSB2.0ケーブルを抜く場合や作業用PCをシャットダウンする場合は、Armadillo-810の電源が切断されていることを確認してから行ってください。

4.6. ジャンパピンの設定について

ジャンパの設定を変更することで、Armadillo-810の動作を変更することができます。ジャンパの機能を表4.8「ジャンパの機能」に示します。

表4.8 ジャンパの機能

ジャンパ機能動作
JP1起動モード設定

オープン: OSを自動起動します。

ショート: ブートローダーを保守モードにします。

JP2SD/JTAG設定

オープン: SDインターフェースを有効化します。JTAGインターフェースは無効化されます。

ショート: JTAGインターフェースを有効化します。SDインターフェースは無効化されます。

JP3起動デバイス設定

オープン: オンボードフラッシュメモリのブートローダーを起動します。

ショート: SDカードのブートローダーを起動します。


各ジャンパは必要に応じて切り替えの指示があります。ここでは、全てのジャンパをオープンに設定しておきます。

ジャンパピンの位置は図4.7「Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)のインターフェースレイアウト図」で確認することができます。

[ティップ]ジャンパのオープン、ショートとは

「オープン」とはジャンパピンにジャンパソケットを接続していない状態です。

「ショート」とはジャンパピンにジャンパソケットを接続している状態です。

4.7. スライドスイッチの設定について

開発用USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-800シリーズ対応)のスライドスイッチには、Armadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)のJP1と同じ機能が割り当てられています。

スライドスイッチの設定

1

OS自動起動モード

2

保守モード

図4.20 スライドスイッチの設定


[警告]

Armadillo-810にArmadillo-810 拡張ボード01 (Aコネクタ用)を接続している場合は、常に「OS自動起動モード」に設定してください。

4.8. viエディタの使用方法

viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。

viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。

本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。

4.8.1. viの起動

viを起動するには、以下のコマンドを入力します。

[ATDE ~]# vi [file]

図4.21 viの起動


fileにファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(fileが存在しない場合は新規作成)を行ないます。viはコマンドモードの状態で起動します。

4.8.2. 文字の入力

文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表4.9「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。

表4.9 入力モードに移行するコマンド

コマンド動作
iカーソルのある場所から文字入力を開始
aカーソルの後ろから文字入力を開始

入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードがわからくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。

[警告]日本語変換機能をOFFに

viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーまたは、Shift+Spaceキーで行うことができます。

「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図4.22「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。

入力モードに移行するコマンドの説明

図4.22 入力モードに移行するコマンドの説明


[ティップ]viでの文字削除

コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。

4.8.3. カーソルの移動

方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表4.10「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。

表4.10 カーソルの移動コマンド

コマンド動作
h左に1文字移動
j下に1文字移動
k上に1文字移動
l右に1文字移動

4.8.4. 文字の削除

文字を削除する場合は、コマンドモードで表4.11「文字の削除コマンド」に示すコマンドを入力します。

表4.11 文字の削除コマンド

コマンド動作
xカーソル上の文字を削除
dd現在行を削除

「x」コマンド、「dd」コマンドを入力した場合に削除される文字を図4.23「文字を削除するコマンドの説明」に示します。

文字を削除するコマンドの説明

図4.23 文字を削除するコマンドの説明


4.8.5. 保存と終了

ファイルの保存、終了を行うコマンドを表4.12「保存・終了コマンド」に示します。

表4.12 保存・終了コマンド

コマンド動作
:q!変更を保存せずに終了
:w [file]ファイル名をfileに指定して保存
:wqファイルを上書き保存して終了

保存と終了を行うコマンドは「:」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。":"キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。



[3] USB HUBを利用することもできます。

[4] バージョン3.xまではPUEL(VirtulBox Personal Use and Evaluation Licence)が適用されている場合があります。

[5] 特権ユーザーでGUIログインを行うことはできません。

[6] Armadillo-810 カメラモデル開発セット付属品