9.1. ABOS Web を使った Armadillo のセットアップ
ABOS Web は、Web ブラウザから Armadillo の動作設定を行う機能で、ABOS (Armadillo Base OS) を搭載する全ての Armadillo に対応しています。
ABOS Web は、バージョン v3.17.4-at.7 以降の ABOS に組み込まれていますので、お手元の Armadillo の ABOS のバージョンが、それより古い場合には、最新のインストールディスクイメージで初期化してください。
以下の説明では、ABOS Web を組み込んだ版の ABOS が、Armadillo の出荷時にインストール済みであるという前提で進めます。
購入直後の、工場出荷状態の Armadillo を使い始める時や、Armadillo を利用した製品の開発を行う時には、ABOS Web を利用して Armadillo をセットアップしてください。
Armadillo と PC を有線 LAN で接続して、Armadillo の電源を入れて PC で Web ブラウザを起動したら、Web ブラウザのアドレスバーに次の URL を入力してください。
https://armadillo.local:58080
ABOS Web に対応した Armadillo が正常に起動していれば、Web ブラウザに ABOS Web の画面が表示されます。最初の接続では、「ABOS Web のパスワード登録」で説明するように、パスワード登録画面が表示されます。
パスワード設定画面でパスワードを登録した後に、ログイン画面で ABOS Web のパスワードを入力して認証されれば、ABOS Web の設定画面に表示が変わり、設定操作を行うことができます。
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ABOS Web が動作する Armadillo が、同じ LAN 上に複数あると、ABOS Web に接続する URL のホスト名部分(armadillo.local)は、2台めでは armadillo-2.local、3台めでは armadillo-3.local のように、違うものが自動的に割り当てられます。
どのホスト名が、どの Armadillo のものなのかを判別するのが難しいので、複数台の Armadillo で同時に ABOS Web を動かすときは、LAN に固定 IP アドレスを設定して、IP アドレスで指定できるようにするのがよいでしょう。 |
まずは、ABOS Web のパスワードを設定して、現在のネットワーク設定状態を見てみましょう。
現在のネットワーク設定状態を見る手順は、「各接続設定(各ネットワークインターフェースの設定)」をご覧ください。
工場出荷状態(インストールディスクでの初期化直後)の Armadillo では、ABOS Web のパスワードが登録されておらず、パスワードを登録しないとログインできません。
最初に ABOS Web に接続した時は、"初回ログイン"のパスワード登録画面が表示されますので、パスワードを設定してください。
"初回ログイン"のパスワード登録画面で、"パスワード" フィールドと "パスワード(確認)" フィールドに、登録したいパスワードを入力してから、"登録" ボタンをクリックしてください。
パスワード登録完了画面が表示されたら、パスワード登録の完了です。
パスワード登録完了画面にある "ログインページ" というリンクをクリックすると、ログイン画面が表示されますので、先ほど登録したパスワードを入力して "ログイン" ボタンをクリックしてください。
ログインに成功すると、ABOS Web のトップページが表示されます。
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複数台の Armadillo を続けてセットアップする場合、URL が同じなために、2台目以降の Armadillo では、初回の接続で"初回ログイン"のパスワード登録画面が表示されず、パスワード入力画面が表示される場合があります。
その場合は、Web ブラウザの更新ボタンを押してみてください。
更新ボタンを何度か押しても"初回ログイン"のパスワード登録画面が表示されない場合は、Web ブラウザのキャッシュをクリアしてから、更新ボタンを押してみてください。 |
ABOS Web で Armadillo の動作設定を行うには、ログイン後に表示されるトップページで、設定したい機能へのリンクをクリックしてください。
リンクをクリックすると、リンク先の設定画面が表示されますので、設定画面で、現在の設定内容の確認や設定変更を行ってください。
現在の設定内容を確認するには、"各接続設定"をクリックしてください。
各機能の設定ページへのリンクは、それぞれの設定ページでも、左端にサイドメニュー形式で表示されます。
以後、サイドメニュー形式で表示されたリンクをクリックすることを、「サイドメニューから xxx を選択する」と表記します。
ログイン後に表示されるトップページと、それぞれの設定ページには、左端のサイドメニューに加え、上端右側に、現在の接続状態が表示されます。
現在の接続状態は、WWAN、WLAN、LAN、のそれぞれについて表示されます。
WWAN と WLAN は、それらの通信モジュールが Armadillo に搭載されていなければ、表示されません。
ABOS Web で必要なセットアップを行なったら、サイドメニューから "ログアウト" を選択してログアウトしてください。
ログアウトすると、ログイン画面が再び表示されますので、ABOS Web をすぐに使わないのであれば、Web ブラウザを閉じてください。
ABOS Web は、ABOS の詳細や Linux のコマンドシェルの操作に詳しくない方でも、簡単に Armadillo のセットアップを行なえることを目的にしています。
そのための、Armadillo の動作設定を行う機能ですから、動作設定以外のこと、たとえば、Armadillo の動作状態を監視したり、ABOS をアップデートしたりすることは、できません。
さらに、Armadillo をインターネットから設定操作する、リモート操作もできません。
セキュリティの観点から、ABOS Web は、同じ LAN 内からの接続しか受け付けないように実装しています。
ABOS Web でできる Armadillo の設定については、「ABOS Web の設定機能一覧と設定手順」をご覧ください。
なお、ABOS Web は OSS で提供していますので、現在の ABOS Web に無い設定機能を、ご自分で実装して機能追加することも可能です。
9.3. ABOS Web の設定機能一覧と設定手順
現在の ABOS Web で設定できるのは、ネットワーク動作のうちの以下のものです。
今後のアップデートで設定機能を追加した際に、このマニュアルも更新します。
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WWAN設定
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WLAN設定
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各接続設定(各ネットワークインターフェースの設定)
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DHCPサーバー設定
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NAT設定
これらの設定については、サイドメニューから"状態一覧"を選択して開く画面で、現在の設定状態を見ることができます。
LTE モジュールを搭載した Armadillo をお使いで、LTE モジュールによる WWAN 接続でインターネットをアクセスする場合に、Armadillo に LAN で接続した機器から Armadillo をルーターとして利用したい場合には、NAT設定機能が役に立つでしょう。
LTE モジュールによる WWAN 通信でクラウドサービスに接続し、WLAN や LAN で接続した機器から集めたデータをクラウドサービスに転送したり、それらの機器を、クラウドサービスから Armadillo 経由で遠隔制御するようなシステムを構成する場合にご利用ください。
以下に、それぞれの設定機能を説明します。
LTE をはじめとする WWAN 通信モジュールを搭載した Armadillo の、WWAN 設定を行います。
この設定画面では、WWAN 接続設定の登録と、WWAN 接続の状態(現在のアドレス情報)の表示、登録済み WWAN 接続設定の削除を行うことができます。
設定項目のうち、"MCC/MNC" は、通常は空欄にしてください。
MCC/MNC 以外の項目を正しく設定しても WWAN 通信が動作しない場合、特に SIM カードがマルチキャリア SIM の場合は、ご契約の通信事業者に MCC/MNM を問い合わせ、通信事業者から提示された MCC/MNC の値を設定してください。
それぞれの入力フィールドに設定値を入力して "設定" ボタンをクリックすると、WWAN 接続の設定を登録して、WWAN 接続動作を実行します。
WWAN 通信設定が行われ、ネットワーク接続が確立した状態では、割当たっている IP アドレスなどを "現在のWWAN接続情報" に表示します。
図9.5「WWAN設定画面」に、WWAN 設定を行った状態を示します。
無線 LAN モジュールを搭載した Armadillo の、WLAN(無線 LAN)設定を行います。
この設定画面では、WLAN クライアント(子機)としての設定または、WLAN アクセスポイントとしての設定を行うことができます。
クライアントとアクセスポイントのどちらか一方について、接続設定の登録と接続の状態の表示、登録済み設定の削除を行なえます。
クライアントとアクセスポイントのどちらに設定するかは、"動作モード選択"欄で指定します。
クライアント設定とアクセスポイント設定の、それぞれについて、以下に説明します。
9.3.2.1. WLAN 設定(クライアントとしての設定)
"動作モード選択"欄で"クライアントとして使用する"を選択すると、クライアント設定画面が表示されます。
もしアクセスポイントに設定済みの場合は、アクセスポイントの設定を削除してください。
そうしないと、動作モードをクライアントに切り替えることができません。
設定項目のうち、ネットワーク名(SSID) は、リストから選択してください。
WLAN アクセスポイントを Armadillo が何も検出できない場合は、このリストが空になります。
セキュリティ方式も、リストから選択してください。
DHCP と 固定 は、DHCP を選択すると DHCP サーバーから IP アドレスを取得します。
固定 を選択すると、固定 IP アドレス設定用の入力フィールドを表示します。
それぞれの入力フィールドに設定値を入力して "設定" ボタンをクリックすると、WLAN クライアント設定を登録して、WLAN 接続動作を実行します。
WLAN 接続設定が行われ、WLAN 接続が確立した状態では、割当たっている IP アドレスなどを "現在のWLAN接続情報" に表示します。
図9.6「WLAN クライアント設定画面」に、WLAN クライアント設定を行った状態を示します。
登録済み WLAN クライアント設定を削除して、WLAN アクセスポイントとの接続を切断するには、"設定を削除" ボタンをクリックしてください。
9.3.2.2. WLAN 設定(アクセスポイントとしての設定)
"動作モード選択"欄で"アクセスポイントとして使用する"を選択すると、アクセスポイント設定画面が表示されます。
もしクライアントに設定済みの場合は、クライアントの設定を削除してください。
そうしないと、動作モードをアクセスポイントに切り替えることができません。
設定項目のうち、ブリッジアドレス は、WLAN アクセスポイントに割り当てる IP アドレスを入力してください。
サブネットマスク は、アクセスポイントのサブネットのものを入力してください。
使用周波数は、5GHz と 2.4GHz のうち使用するものを選択してください。
両方の周波数を同時に使用することはできません。
使用チャンネルは、リストから選択してください。
SSID と パスワード に入力した値は、アクセスポイントに設定した Armadillo に WLAN 子機を接続する際に使用します。
それぞれの入力フィールドに設定値を入力して "設定" ボタンをクリックすると、WLAN アクセスポイント設定を登録して、WLAN アクセスポイント動作を開始します。
WLAN アクセスポイント設定が行われ、アクセスポイント動作中の状態では、"現在のアクセスポイント情報" に設定内容を表示します。
図9.7「WLAN アクセスポイント設定画面」に、WLAN アクセスポイント設定を行った状態を示します。
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アクセスポイントモードのセキュリティ方式は、WPA2 を使用します。 |
9.3.3. 各接続設定(各ネットワークインターフェースの設定)
設定されたネットワーク接続の一覧を表示します。表示した接続のそれぞれについて、接続の有効化(「接続」)や無効化(「切断」)、および接続設定内容の編集や削除を行うことができます。
接続の操作を行う時は、操作したい接続をラジオボタンで選択してください。
ここで、「ネットワーク接続」は、Linux のネットワーク接続管理機能(NetworkManager)が管理するコネクションです。
ネットワーク接続に対する設定項目の詳細は、NetworkManager のリファレンス(https://developer-old.gnome.org/NetworkManager/stable/nmcli.html)をご覧ください。
接続設定内容を編集したい接続を選択して "設定を編集" ボタンをクリックすると、設定内容の編集画面を表示します。
LAN の接続以外、つまり、WWANと WLAN の接続に対する設定は、"WWAN設定" や "WLAN設定" の設定画面をお使いいただくのが簡単です。
それぞれの接続設定画面では、IPv4 と IPv6 のそれぞれについて、IP アドレスを自動割り当てするかまたは固定 IP アドレスにするかを選択して設定できます。
IP アドレスの割り当ては、デフォルトでは自動割り当てです。
Armadillo を接続した LAN や WLAN で、Armadillo を DHCP サーバーとして運用する場合は、それらのネットワーク接続を固定 IP アドレスに設定してください。
LAN 接続の接続名は、デフォルトでは "Wired conneciton 1" です。
LAN ポートを二つ搭載した Armadillo では、二つめの LAN ポートに対応する "Wired connection 2" も有効です。
Armadillo を LAN と WWAN との間で IPv4 ルーターとして運用する場合は、LAN 接続の設定で IPv4 アドレスを固定 IP アドレスに設定して下さい。
図9.9「LAN 接続設定で固定 IP アドレスに設定した画面」に、LAN 接続の設定編集画面で固定 IP アドレスに設定した状態を示します。
WWAN 接続の接続名は、デフォルトでは "abos_web_wwan" です。
WLAN 接続の接続名は、デフォルトでは、クライアントモードが "abos_web_wlan"、アクセスポイントモードが "abos_web_br_ap" です。
ネットワークインターフェースごとに、接続したネットワーク上で Armadillo を DHCP サーバーとして動作させる設定を行うことができます。
接続済みの DHCP サーバー情報を、画面上部の"現在のDHCP情報"に表示します。
DHCPサーバーの設定を登録する場合は、"DHCP情報入力"欄に設定内容を入力して"設定"ボタンをクリックしてください。
図9.10「eth0 に対する DHCP サーバー設定」に、一つめの LAN ポート(eth0)に対する設定を行った状態を示します。
たとえば、LAN ポートが二つある Armadillo で、それぞれの LAN ポートを異なる LAN に接続して、それぞれの LAN 上で Armadillo を DHCP サーバーとして運用する場合は、eth0 と eth1 に対して DHCP サーバー設定を行ってください。
DHCP サーバー設定を削除するには、"現在のDHCP情報"の一覧で削除したい設定を選択して、"削除"ボタンをクリックしてください。
この設定画面では、ルーター機能での宛先インターフェース設定と、Armadillo を接続した LAN 上の機器用のポートフォワーディング設定を行うことができます。
Armadillo を LAN や WLAN と WWAN との間でルーターとして運用する場合は、NAT設定の宛先インターフェースを WWAN のインターフェースに設定してください。
そして、LAN や WLAN 上の機器を、WWAN 接続したインターネットにサーバーとして公開したい場合は、ポートフォワーディング設定を使ってください。
各設定画面で行った設定の現在状態を、設定ごとに区切って一覧表示します。