第5章 シリアル通信

シリアルインターフェースで制御される機器とArmadillo-210を接続すれば、PC等からLAN経由で機器を制御することができます。

Armadillo-210と制御される機器との接続に使用するシリアルケーブルは、機器をPCと接続する場合と同じタイプのケーブルになります。(詳しくは機器のマニュアルを参照して下さい。)

以下にPC等からLAN経由で機器を制御する場合のイメージ図を示します。

シリアル通信イメージ

図5.1 シリアル通信イメージ


他にもArmadillo-210を2台用意して、シリアル制御機器同士をイーサネットでブリッジしたり、ネットワーク通信プログラムを作成して、機器を遠隔自動制御する事が可能です。(プログラムを作成する際に指定するArmadillo-210側のポート番号は、デフォルトでは21347番です。)

[ティップ]

セキュリティ対策は施されていませんので、SSHのポートフォワーディングを利用する等、セキュリティに十分に注意して下さい。SSHに関しては、 7章セキュリティ通信 を参照して下さい。

5.1. シリアル通信の設定方法

はじめにArmadillo-210設定ツールを起動して[検索ボタン]をクリックします。(Armadillo-210設定ツールの起動方法は 「Armadillo-210設定ツールの起動」 を参照して下さい。)

検索されたArmadillo-210のリストから、設定を変更したいArmadillo-210を選択して[シリアル設定]ボタンをクリックすると「シリアル設定ダイアログ」が表示されます。設定対象のArmadillo-210が検索されない場合は、[シリアル設定]ボタンをクリック後、「シリアル設定ダイアログ」でIPアドレスを指定して下さい。

シリアル設定ダイアログ

図5.2 シリアル設定ダイアログ


「シリアル通信ダイアログ」上の[取得]ボタンをクリックすると現在のシリアル設定値が表示されます。

設定を変更する場合は、各設定項目を変更した後に[設定]ボタンをクリックして下さい。ここで設定した項目は、Armadillo-210を再起動しても保持されます。

以下にシリアル設定ダイアログの設定項目を説明します。

IPアドレス

シリアル通信の設定を変更するArmadillo-210のIPアドレスを指定します。

ポート番号

接続を許可するポート番号を指定します。

接続方式

Armadillo-210との接続方式です。以下の3種類があり、用途により使い分けます。

TCPSERVER

接続型の通信方式で、常に接続を待ち受けています。一度接続されると、切断されるまで他の接続を受け付けません。また、接続先IPアドレスが指定されている場合は、そのIPアドレス以外の接続を受け付けません。(0.0.0.0を指定すると、どのIPアドレスからでも接続可能です。)

[ティップ]

データをArmadillo-210に送信後すぐに切断した場合、送信したデータがすべてシリアルに転送されるまでの間再接続できません。

TCPCLIENT

接続型の通信方式で、短い周期で指定された接続先IPアドレスへの接続を試みます。(Armadillo-210をイーサネットのブリッジとして利用する場合、片方のArmadillo-210をこの設定に、もう片方のArmadillo-210をTCPSERVERに設定して下さい。)

UDP

非接続型の通信方式で、複数の端末と同時に通信を行うことができます。ただしデータの到達保障と順序保障はされません。シリアルで受信したデータは指定された接続先IPアドレスに送信されます。

接続先IPアドレス

通信対象となるIPアドレスを指定します。(接続方式の設定により意味が異なります。)

ビットレート

転送レートです。使用可能な転送レートは、600, 1200, 1800, 2400, 4800, 9600, 19200, 38400, 57600, 115200, 230400[bps]です。

データ長

1文字のビット長です。"5ビット"、"6ビット"、"7ビット"、"8ビット"が指定可能です。

ストップビット

ストップビット数です。"1ビット"、"2ビット"が指定可能です。

パリティ

パリティの指定です。"なし"、"奇数"、"偶数"が指定可能です。

フロー制御

フロー制御の指定です。"なし"、"ハードウェア"が指定可能です。

[ティップ]

シリアルの設定はSNMPを利用していますので、MIBブラウザ等からの変更も可能です。Armadillo-210が利用しているMIBの詳細に関しては、付属CDのmibs/armadillo-210.mibを参照して下さい。

5.2. シリアル通信例

ここでは、Windowsに標準で付属されている「ハイパーターミナル」を利用して、Armadillo-210にシリアルで接続されたモデムにATコマンドを発行する例について説明します。

はじめに、 「シリアル通信の設定方法」 を参照して、接続方式をTCPSERVERに、またシリアル通信の各種パラメータを接続されるモデムの設定に合わせて下さい。

次にWindowsの[スタート]-[プログラム]-[アクセサリ]-[通信]-[ハイパーターミナル]の順にメニューをクリックします。ハイパーターミナルが起動すると「接続の設定」が表示されますので、ここで任意の名前を入力して[OK]ボタンをクリックします。

接続の設定画面

図5.3 接続の設定画面


電話番号の情報などを入力する画面が表示されますので、「接続方法」に「TCP/IP(Winsock)」を選択します。「ホストアドレス」にArmadillo-210のIPアドレス、「ポート番号」に21347を入力して、[OK]ボタンをクリックします。

接続の設定

図5.4 接続の設定


接続が開始され、ウインドウ左上にカーソルが点滅した状態になります。ATコマンドを入力するとモデムが応答します。

シリアル通信例

図5.5 シリアル通信例