第11章 イメージファイルの書き換え方法

本章では、Armadillo-X1の内蔵ストレージ(eMMC及びQSPIフラッシュメモリ)に書き込まれているイメージファイルを書き換える手順について説明します。

本章で使用するブートローダーイメージファイルなどは、評価セット付属の DVD に収録されています。

本章で使用するブートローダーイメージファイルなどは、評価セット付属の DVD に収録されています。最新版のファイルは、"Armadillo サイト"でダウンロードすることができます。新機能の追加や不具合の修正などが行われているため、DVD に収録されているものよりも新しいバージョンがリリースされているかを確認して、最新バージョンを利用することを推奨します。

11.1. インストールディスクを使用する

インストールディスクを使用すると、内蔵ストレージ上のすべてのイメージをまとめて書き換えることができます。 Armadillo がソフトウェアの問題により起動しなくなった場合の復旧方法としてもご使用頂けます。

[警告]

内蔵ストレージに保存されている、すべてのイメージファイルが上書きされるため、既に保存されているデータやアプリケーションなどは削除されます。

特定のイメージのみ書き換えたい場合には 「特定のイメージファイルだけを書き換える」 を参照してください。

インストールディスクはATDEで作成します。インストールディスクの作成に使用するファイルを次に示します。

表11.1 インストールディスク作成に使用するファイル

ファイルファイル名
インストールディスクイメージinstall_disk_sd_[version].img

11.1.1. インストールディスクの作成

  1. 512 MB以上のSDカードを用意してください。

  2. ATDE に SD カードを接続します。詳しくは「取り外し可能デバイスの使用」を参照してください。

  3. SD カードがマウントされている場合、アンマウントします。

    [PC ~]$ mount
    (省略)
    /dev/sdb1 on /media/atmark/B18A-3218 type vfat (rw,nosuid,nodev,relatime,uid=1000,gid=1000,fmask=0022,dmask=0077,codepage=437,iocharset=utf8,shortname=mixed,showexec,utf8,flush,errors=remount-ro,uhelper=udisks2)
    [PC ~]$ sudo umount /dev/sdb1
  4. SD カードにインストールディスクイメージを書き込みます。

    [PC ~]$ sudo dd if=install_disk_sd_[version].img of=/dev/sdb bs=4M
    94+1 レコード入力
    94+1 レコード出力
    397410304 バイト (397 MB) コピーされました、 45.8441 秒、 8.7 MB/秒
    [PC ~]$ sync

11.1.2. インストールの実行

  1. Armadilloの電源が切断されていることを確認します。接続されていた場合は、電源を切断してください。また、「CON9 RTCバックアップインターフェース」 にバッテリーが接続されている場合は、必ず取り外して下さい。

  2. USBシリアル変換アダプタのスライドスイッチを確認します。スライドスイッチが図4.8「スライドスイッチの設定」の 1 側に設定されている事を確認してください。

  3. インストールディスクを使用してSDブートを行います。インストールディスクを接続した、SDスロット拡張ボード接続し、「インターフェース仕様」を参照してSDスロット拡張ボードのSW1を「SD BOOT」に設定してください。

  4. ユーザースイッチを押しながらArmadillo に電源を投入するとSDカードからブートローダーが起動し、次に示すログが表示されます。 ログが表示されたら、ユーザースイッチを離してください。 ユーザースイッチの位置については「Armadillo-X1の外観」を参照してください。

    U-Boot 2016.07-at3 (Sep 16 2016 - 15:29:22 +0900)
    
    CPU:   Freescale i.MX7D rev1.1 996 MHz (running at 792 MHz)
    CPU:   Extended Commercial temperature grade (-20C to 105C) at 45C
    Reset cause: POR
           Watchdog enabled
    I2C:   ready
    DRAM:  512 MiB
    Board Type: Armadillo-X1(0a100000)
    Revison: 0001
    S/N: 12
    DRAM: 00001d05
    XTAL: 00
    X1 Addon EEPROM Detect
    Atmark Techno Ext SD Slot Detect
    MMC:   FSL_SDHC: 0, FSL_SDHC: 1
    SF: Detected N25Q512 with page size 256 Bytes, erase size 64 KiB, total 64 MiB
    In:    serial
    Out:   serial
    Err:   serial
    Found PFUZE300! deviceid 0x30, revid 0x11
    Net:   FEC0
    =>
  5. 次のように"boot"コマンドを実行するとインストールが始まり、自動的にeMMCとQSPIが書き換えられます。

    => boot
    switch to partitions #0, OK
    mmc1(part 0) is current device
    switch to partitions #0, OK
    mmc1(part 0) is current device
    reading boot.scr
    ** Unable to read file boot.scr **
    reading boot.scr
    ** Unable to read file boot.scr **
    reading uImage
    9784016 bytes read in 241 ms (38.7 MiB/s)
    Booting from mmc ...
    reading armadillo_x1.dtb
    50454 bytes read in 17 ms (2.8 MiB/s)
    ## Booting kernel from Legacy Image at 82000000 ...
       Image Name:   Linux-3.14.76-at3
       Image Type:   ARM Linux Kernel Image (uncompressed)
       Data Size:    9783952 Bytes = 9.3 MiB
       Load Address: 80008000
       Entry Point:  80008000
       Verifying Checksum ... OK
    ## Flattened Device Tree blob at 84800000
       Booting using the fdt blob at 0x84800000
       Loading Kernel Image ... OK
       Using Device Tree in place at 84800000, end 8480f515
    
    Starting kernel ...
    : (省略)
    *+*+* Recovery Start!! *+*+*
  6. 以下のようにメッセージが表示され、自動的にhaltするとインストール完了です。

    *+*+* Recovery Completed!! *+*+*
    
    System is going down for system reboot now.
    
    Starting local stop scripts.
    Syncing all filesystems: done
    Unmounting all filesystems: done
    The system is going down NOW!
    Sent SIGTERM to all processes
    Sent SIGKILL to all processes
    Requesting system halt
    reboot: System halted
    

11.2. 特定のイメージファイルだけを書き換える

Armadillo-X1が起動した状態であれば、特定のイメージファイルだけを書き換えることができます。

イメージファイルと書き込み先の対応を次に示します。

表11.2 イメージファイルと書き込み先の対応

名称

ファイル名

ストレージ

デバイスファイル

ブートローダーイメージ

u-boot-x1-[version].bin

QSPIフラッシュメモリ

/dev/mtdblock0

Linuxカーネルイメージ

uImage-x1-[version]

eMMC

/dev/mmcblk2p1

Device Tree Blob

armadillo_x1-[version].dtb

/dev/mmcblk2p1

Debian GNU/Linuxルートファイルシステム

debian-jessie-armhf_x1_[version].tar.gz

/dev/mmcblk2p2


11.2.1. ブートローダーイメージの書き換え

ブートローダーイメージの書き換え方法を次に示します。MTDのブロックデバイスに直接イメージファイルを書き込むことで行います。

[armadillo ~]# dd if=u-boot-x1-[version].bin of=/dev/mtdblock0 1
282+1 records in
282+1 records out
288816 bytes (289 kB) copied, 5.4582 s, 52.9 kB/s
[armadillo ~]$ sync

1

MTDのブロックデバイスの先頭からブートローダーイメージを書き込みます。

[警告]

製品アップデートでリリースされた最新のブートローダーイメージに書き換えを行った場合は図9.4「全ての環境変数をデフォルト値に戻す」を参照して環境変数をデフォルト値に戻してください。

新しくリリースされた最新のブートローダーイメージは、環境変数のデフォルト値が更新されることがあります。書き替え前のブートローダーによって生成された環境変数で、最新のブートローダーを動作させると不具合が起こる可能性があります。

11.2.2. Linuxカーネルイメージの書き換え

Linuxカーネルイメージの書き換え方法を次に示します。

[armadillo ~]# mount -t vfat /dev/mmcblk2p1 /mnt  1
[armadillo ~]# cp uImage-x1-[version] /mnt/uImage  2
[armadillo ~]# umount /mnt  3

1

eMMCの第1パーティションを/mnt/ディレクトリにマウントします。

2

Linuxカーネルイメージを/mnt/ディレクトリにコピーします。

3

/mnt/ディレクトリにマウントしたeMMCの第1パーティションをアンマウントします。

11.2.3. DTBの書き換え

DTBの書き換え方法を次に示します。

[armadillo ~]# mount -t vfat /dev/mmcblk2p1 /mnt  1
[armadillo ~]# cp armadillo_x1-[version].dtb /mnt/armadillo_x1.dtb  2
[armadillo ~]# umount /mnt  3

1

eMMCの第1パーティションを/mnt/ディレクトリにマウントします。

2

DTBを/mnt/ディレクトリにコピーします。

3

/mnt/ディレクトリにマウントしたeMMCの第1パーティションをアンマウントします。

11.2.4. ルートファイルシステムの書き換え

eMMC上のルートファイルシステムを書き換える手順を次に示します。

手順11.1 eMMC上のルートファイルシステムを書き換える

  1. eMMC上のルートファイルシステムを書き換えるには、SDブートを行う必要があります。ブートディスクの作成方法やSDブートの実行方法ついては14章SDブートの活用を参照してください。

  2. Debian GNU/Linuxルートファイルシステムアーカイブを準備しておきます。

    [armadillo ~]# ls
    debian-jessie-armhf_x1_[version].tar.gz
  3. ルートファイルシステムをeMMCの第2パーティションに再構築します。

    [armadillo ~]# mkfs.ext4 /dev/mmcblk2p2  1
    mke2fs 1.42.12 (29-Aug-2014)
    /dev/mmcblk2p2 contains a ext4 file system
    ▸-last mounted on /root on Thu Jan  1 09:00:07 1970
    Proceed anyway? (y,n) y  2
    ...[省略]...
                                                                                                                                          
    [armadillo ~]# mount -t ext4 /dev/mmcblk2p2 /mnt  3
    [armadillo ~]# tar zxf debian-jessie-armhf_aiotg-g3l_[version].tar.gz -C /mnt  4
    [armadillo ~]# umount /mnt  5
    ▸-

    1

    eMMCの第2パーティションのファイルシステムを再構築します。

    2

    y に続きENTERを入力します。

    3

    eMMCの第2パーティションを/mnt/ディレクトリにマウントします。

    4

    ルートファイルシステムアーカイブを/mnt/ディレクトリに展開します。

    5

    /mnt/ディレクトリにマウントしたeMMCの第2パーティションをアンマウントします。