第20章 Howto

本章では、Armadillo-IoT のソフトウェアをカスタマイズをする方法などについて説明します。

20.1. イメージをカスタマイズする

コンフィギュレーションを変更してLinuxカーネルイメージをカスタマイズする方法を説明します。

手順20.1 イメージをカスタマイズ

  1. Linuxカーネルアーカイブの展開

    Linuxカーネルのソースコードアーカイブと、initramfsアーカイブを準備し、Linuxカーネルのソースコードアーカイブを展開します。

    [PC ~]$ ls
    initramfs_x1-[version].cpio.gz linux-6.1-x1-at[version].tar.gz
    [PC ~]$ tar xf linux-6.1-x1-at[version].tar.gz
    [PC ~]$ ls
    initramfs_x1-[version].cpio.gz linux-6.1-x1-at[version]  linux-6.1-x1-at[version].tar.gz
  2. initramfsアーカイブへのシンボリックリンク作成

    Linuxカーネルディレクトリに移動して、initramfsアーカイブへのシンボリックリンク作成します。

    [PC ~]$ cd linux-6.1-x1-at[version]
    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ ln -s ../initramfs_x1-[version].cpio.gz initramfs_x1.cpio.gz
  3. コンフィギュレーション

    コンフィギュレーションをします。

    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- x1_defconfig
    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- menuconfig
  4. カーネルコンフィギュレーションの変更

    カーネルコンフィギュレーションを変更後、"Exit"を選択して「Do you wish to save your new kernel configuration ? <ESC><ESC> to continue.」で"Yes"とし、カーネルコンフィギュレーションを確定します。

     .config - Linux/arm 6.1.107-at1 Kernel Configuration
    ------------------------------------------------------------------------
                  Linux/arm 6.1.107-at1 Kernel Configuration
     Arrow keys navigate the menu.  <Enter> selects submenus ---> (or empty
     submenus ----).  Highlighted letters are hotkeys.  Pressing <Y>  
     includes, <N> excludes, <M> modularizes features.  Press <Esc><Esc> to  
     exit, <?> for Help, </> for Search.  Legend: [*] built-in  [ ]
    ------------------------------------------------------------------------
      
         -*- Patch physical to virtual translations at runtime
             General setup  --->
         [*] Enable loadable module support  --->
         [*] Enable the block layer  --->
             System Type  --->
             Bus support  --->
             Kernel Features  --->
             Boot options  --->
             CPU Power Management  --->
             Floating point emulation  --->
    ------------------------------------------------------------------------
           <Select>    < Exit >    < Help >    < Save >    < Load >
    [ティップ]

    Linux Kernel Configurationメニューで"/"キーを押下すると、カーネルコンフィギュレーションの検索を行うことができます。カーネルコンフィギュレーションのシンボル名(の一部)を入力して"Ok"を選択すると、部分一致するシンボル名を持つカーネルコンフィギュレーションの情報が一覧されます。

  5. ビルド

    ビルドするには、次のようにコマンドを実行します。

    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf-
    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- LOADADDR=0x80008000 uImage
  6. イメージファイルの生成確認

    ビルドが終了すると、arch/arm/boot/ディレクトリとarch/arm/boot/dts/以下に、イメージファイル(LinuxカーネルとDTB)が作成されています。

    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ ls arch/arm/boot/uImage
    uImage
    [PC ~/linux-6.1-x1-at[version]]$ ls arch/arm/boot/dts/armadillo_iotg_g3l.dtb
    armadillo_iotg_g3l.dtb

20.2. dumprootfs を用いた Debian GNU/Linux ルートファイルシステムアーカイブの構築

dumprootfsを使うと、量産やバックアップのために、すでに動作しているArmadilloに加えた変更を別のArmadilloで再現するためのアーカイブをつくることができます。

実行するとDebian/Linuxルートファイルシステムから自動的にデータを抽出するため、不要なファイルが含まれる可能性があります。 コピー対象から外したいファイルは、以下の説明にあります「ルートファイルシステムアーカイブにコピーしないファイルの指定」を参照し設定を行ってください。

dumprootfs コマンドを実行するには、 USBメモリ(またはSDカード)が必要となります。 コマンド実行時、 USBメモリ(またはSDカード)のデータはすべて削除されますので、予めデータを退避させてください。

手順20.2 dumprootfs を用いた Debian GNU/Linux ルートファイルシステムアーカイブの構築

  1. dumprootfs パッケージのインストール

    apt コマンドで dumprootfs パッケージを Armadillo にインストールします。

    [armadillo ~]# apt update
    [armadillo ~]# apt install dumprootfs
  2. 設定ファイル dumprootfs.conf の編集

    /etc/dumprootfs/dumprootfs.conf を必要に応じて編集し、dumprootfsの設定を行います。

    # Destination of dump rootfs
    dstdev=/dev/sda1
    
    # Blink a led while dumping
    #led=/sys/class/leds/green
    #  or
    #led=/sys/class/leds/led1
    
    # Debug information
    #debug
    
    # Format dstdev
    # "yes": exec fdisk and mkfs.vfat before mount dstdev.(default)
    # otherwise: just mount dstdev.
    force_format=yes
  3. ルートファイルシステムアーカイブにコピーしないファイルの指定

    /etc/dumprootfs/excludes.list に ルートファイルシステムアーカイブにコピーしないファイルの指定をすることができます。

    /excludes.list
    /boot/*
    /root/.bashhistory
    /home/*/.bashhistory
    /var/log/*
  4. dumprootfs の実行

    各種設定ファイル記載後、dumprootfs コマンドを実行します。 dumprootfs の実行は rootユーザーで実行してください。

    dumprootfs コマンドは、 設定ファイルを / にコピーした後、reboot コマンドを実行して Armadillo を再起動させます。

    [armadillo ~]# dumprootfs
    now reboot to dump the rootfs. after reboot, dump logs can be seen at
    "/run/initramfs/dump_rootfs.log".
    :
    : (省略)
    :
    [ 1617.782324] reboot: System halted
    :
    : (省略)

    再起動の途中でルートファイルシステムの作成が始まります。 ルートファイルシステムの規模にもよりますが、20分から30分程度かかります。 ルートファイルシステムの作成が終わると Armadillo にログインできるようになります。

    :
    : (省略)
    :
    Starting kernel ...
    :
    : (省略)
    :
    real    24m 37.04s
    user    23m 43.62s
    sys     0m 24.92s
    
    dump_rootfs has succeeded.
    :
    : (省略)
    :

    "dump_rootfs has succeeded." が表示されると、 USBメモリ(またはSDカード)の第1パーティションのトップディレクトリに dump_rootfs.tar.gzdump_rootfs.tar.gz.md5が作成されています。

20.3. ルートファイルシステムへの書き込みと電源断からの保護機能

Armadillo-IoT G3Lのルートファイルシステムは、標準で eMMC に配置されます。 Linux が稼動している間は、ログや、設定ファイル、各種アプリケーション によるファイルへの書き込みが発生します。もし、停電等で終了処理を実行できずに 電源を遮断した場合はRAM上に残ったキャッシュがeMMCに書き込まれずに、 ファイルシステムの破綻やファイルの内容が古いままになる状況が発生します。

また、eMMC内部の NAND Flash Memory には消去回数に上限があるため、書き込み 回数を制限することを検討する必要がある場合もあります。

そこで、Armadillo-IoT G3L では、overlayfs を利用して、eMMCへの書き込み保護を行う機能を提供しています。

20.3.1. 保護機能の使用方法

eMMCへの書き込み保護を使うには、kernelの起動オプションに"overlay=50%" ("=50%" は省略可、"overlay"のみ書くとRAMを256MByte使用)というパラメータを追加するだけです。

パラメータを追加すると、debian の起動前に initramfs によってルートファイルシステムが upper=RAMディスク(tmpfs)、 lower=eMMC(ext4)としたoverlayfs に切り替えられて、Debianが起動します。

overlayfs の機能によって、起動後のルートファイルシステムに対する差分は、 全てRAMディスク( /overlay/ramdisk にマウント) に記録されるようになりま す。そのため、起動後の情報は保存されませんが、電源を遮断した場合でも、 eMMCは起動前と変らない状態のまま維持されています。

kernelの起動オプションの指定を行うにはArmadillo-IoT G3Lを保守モードで起動し、次のようにコマンドを実行してください。

=> setenv optargs overlay
=> saveenv

20.3.2. 保護機能の無効化方法

eMMC への書き込み保護を無効化するには、「保護機能の使用方法」 にて設定したkernelの起動オプションの"overlay"パラメータを削除します。

kernelの起動オプションは次にように確認することができます。パラメータが設定されている場合は"optargs=overlay"と表示されます。

=> env print optargs
optargs=overlay

パラメータの削除を行うには、次にようにコマンドを実行してください。

=> env delete optargs
=> saveenv

20.3.3. 保護機能を使用する上での注意事項

[警告]

overlayfs は差分を ファイル単位で管理するため、予想以上にRAMディスクを消費する場合があります。 単に、新しいファイルやディレクトリを作れば、その分RAMディスクが消費されるのは想像に難くないと思います。

しかし、「lower=eMMC に既に存在していたファイルの書き換え」をする場合は、upper=RAMディスク に対象のファイル全体をコピーして書き換え」ます。

具体的に、問題になりそうな例を紹介します。 例えば、sqlite はDB毎に1つのファイルでデータ格納します。ここで、1GBのDBを作ってeMMCに保存した後、 overlayfsによる保護を有効にして起動した後に、たった10バイトのレコードを 追加しただけでRAMディスクは 1GB + 10バイト 消費されます。実際には、 Armadilloに1GBもRAMは無いので、追記を開始した時点でRAMディスクが不足します。

[警告]

overlayfsによる、eMMCへの書き込み保護を行う場合、 必ず実際の運用状態でのテストを行い、RAMディスクが不足しないか確認してください。 動作中に書き込むファイルを必要最小限に留めると共に、追記を行う大きなファイルを作らない実装の検討を行ってください。

[警告]

Armadillo-IoT G3L の eMMC の記録方式は出荷時に SLC に設定しており、MLC 方式の eMMC よりも消去回数の上限が高くなっています。 そのため、開発するシステムの構成によってはeMMCへの書き込み保護機能を必要としない可能性があります。

[警告]

eMMCへの書き込み保護機能を有効にすると、eMMCを安全に使用できるというメリットがありますが、その分、使用できるRAMサイズが減る、システム構成が複雑になる、デメリットもあります。 開発・運用したいシステムの構成、eMMCへの書き込み保護機能のメリット・デメリットを十分に考慮・評価したうえで、保護機能を使用する、しないの判断を行ってください。

20.4. RS422/RS485 シリアルポートで通信を行なう

RS422/RS485 シリアルポートを使って、他の機器と通信する手順について説明します。

手順20.3 RS485 シリアルポートを用いた通信

  1. 対向機器と接続

    表17.5「メインユニットCON4 信号配列」を確認し、Armadillo-IoT G3LのCON4と対向機器を接続します。

  2. RS485の通信設定

    保守モードで起動し、Linuxカーネル起動オプションでRS485設定を行います。 例として、RS485設定を全二重通信にします。

    => setenv optargs imx.rs485_uart2=0x13,0,0
    => saveenv
  3. TTYデバイスの設定

    Linux起動後、接続した対向機器に合わせてTTYデバイスファイルを設定します。 例として、sttyコマンドでボーレートを115200bpsに設定します。

    [armadillo ~]# stty -F /dev/ttymxc1 115200
  4. データの送受信

    TTYデバイスファイルに任意のデータを書き込むことで、データを送信することができます。 例として、"hoge"という文字列を送信します。

    [armadillo ~]# echo "hoge" > /dev/ttymxc1

    対向機器からデータを受信するには、TTYデバイスファイルをcatコマンド等でオープンしてください。 例として、受信したデータをrecvdataというファイルに出力します。

    [armadillo ~]# cat /dev/ttymxc1 > recvdata

20.5. WL1837MODモジュールを使って2.4GHz帯で通信する使用例

2つの機器をサンプルにWL1837MODモジュールを使って2.4GHz帯で通信するときの使い方について説明します。

20.5.1. 「BVMCN1101AA」の信号を受信する

Braveridge社製のビーコン「BVMCN1101AA」を例にビーコン信号を受信する方法を説明します。

「BVMCN1101AA」のアドバタイジング・パケットを受信するためには、bluetoothctlコマンドを使います。 [bluetooth]のプロンプトが表示されたら、scan onで信号を受信できます。 ご利用の環境によっては、ほかの機器からの信号も受信されます。

[armadillo ~]# bluetoothctl
[NEW] Controller [AA:AA:AA:AA:AA:AA] armadillo-iotg [default]
[bluetooth]# scan on
Discovery started
[CHG] Controller [AA:AA:AA:AA:AA:AA] Discovering: yes
[NEW] Device [BB:BB:BB:BB:BB:BB] BBAAEdit
[CHG] Device [BB:BB:BB:BB:BB:BB] RSSI: -67
[CHG] Device [BB:BB:BB:BB:BB:BB] RSSI: -72

スキャンを中止するには、scan offを実行します。

[bluetooth]# scan off
Discovery stopped
[CHG] Controller [AA:AA:AA:AA:AA:AA] Discovering: no

bluetoothctlを終了するには、exitを実行します。

[bluetooth]# exit

20.5.2. 「CC2650」を操作する

外部のセンサーからデータを取得する例として、TEXAS INSTRUMENTS社製のセンサータグ「CC2650」を例にセンサータグをgatttoolで操作する方法を説明します。

手順20.4 「CC2650」の操作手順

  1. hcitool lescanを実行して、「CC2650」のMACアドレスを確認します。 ご利用の環境によっては、他の機器も検出されます。

    [armadillo ~]# hcitool lescan
    LE Scan ...
    [CC:CC:CC:CC:CC:CC] (unknown)
    [CC:CC:CC:CC:CC:CC] CC2650 SensorTag # <- このMACアドレスを確認します。
  2. 「CC2650」に接続します。切断するには、Ctrl+c を入力してください。

    [armadillo ~]# gatttool -b [CC:CC:CC:CC:CC:CC] -I
    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> connect
    Attempting to connect to [CC:CC:CC:CC:CC:CC]
    Connection successful
  3. プライマリサービスを確認するには、primaryを実行します。

    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> primary
    attr handle: 0x0001, end grp handle: 0x0007 uuid: 00001800-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    attr handle: 0x0008, end grp handle: 0x000b uuid: 00001801-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    attr handle: 0x000c, end grp handle: 0x001e uuid: 0000180a-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    attr handle: 0x001f, end grp handle: 0x0026 uuid: f000aa00-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x0027, end grp handle: 0x002e uuid: f000aa20-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x002f, end grp handle: 0x0036 uuid: f000aa40-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x0037, end grp handle: 0x003e uuid: f000aa80-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x003f, end grp handle: 0x0046 uuid: f000aa70-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x0047, end grp handle: 0x004b uuid: 0000ffe0-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    attr handle: 0x004c, end grp handle: 0x0050 uuid: f000aa64-0451-4000-b000-000000000000  # <- ここを詳しく調べます
    attr handle: 0x0051, end grp handle: 0x0058 uuid: f000ac00-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x0059, end grp handle: 0x0060 uuid: f000ccc0-0451-4000-b000-000000000000
    attr handle: 0x0061, end grp handle: 0xffff uuid: f000ffc0-0451-4000-b000-000000000000
  4. 0x004c~0x0050でハンドルされているプロファイルのUUIDを確認するには、char-descを実行します。

    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> char-desc 4c 50
    handle: 0x004c, uuid: 00002800-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    handle: 0x004d, uuid: 00002803-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    handle: 0x004e, uuid: f000aa65-0451-4000-b000-000000000000
    handle: 0x004f, uuid: 00002803-0000-1000-8000-00805f9b34fb
    handle: 0x0050, uuid: f000aa66-0451-4000-b000-000000000000
  5. プロファイルの情報を読み取るには、char-read-hndを実行します。

    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> char-read-hnd 50
    Characteristic value/descriptor: 00
  6. プロファイルの情報を設定するには、char-write-cmdを実行します。

    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> char-write-cmd 50 01 # <- 「CC2650」のブザーが鳴り、LEDが光ります
    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> char-write-cmd 50 01 # <- 「CC2650」のブザーが止まり、LEDが消えます
  7. 操作を終了するには、exitを実行します。

    [[CC:CC:CC:CC:CC:CC]][LE]> exit

20.6. sshでArmadillo-IoT G3Lに接続する

  1. ssh-serverをインストールする

    [armadillo ~]# apt-get update
    [armadillo ~]# apt-get install -y ssh
  2. sshでrootのログインを禁止する

    /etc/ssh/sshd_config内のPermitRootLogin をnoに設定します。

    [armadillo ~]# vi /etc/ssh/sshd_config
    ...
    # Authentication:
    LoginGraceTime 120
    PermitRootLogin without-password  # -> no に変更
    StrictModes yes
    ...

20.7. RTCのデバイスファイル名を変更する

linux-3.14-x1-at14以降のArmadillo-IoT G3L用のDTB(armadillo_iotg_g3l.dtb)では、/dev/rtc0にi.MX 7DualのRTC機能を割り当てています。

linux-3.14-x1-at13以前のように、/dev/rtc0にBoard Management ICのRTC機能を割り当てるには、DTBを変更する必用があります。

linux-3.14-x1-at14以降では、arch/arm/boot/dts/armadillo_x1l.dtsでRTCのデバイスファイル名をエイリアスで指定しています。

aliases {
        rtc0 = "/soc/aips-bus@30000000/snvs@30370000/snvs-rtc-lp@34";
        rtc1 = &rtc;
};

次のようにrtc0とrtc1の記述を入れ替えビルドすると、at13以前と同様に/dev/rtc1にi.MX 7DualのRTC機能が割り当てられ、/dev/rtc0にBoard Management ICのRTC機能が割り当てられます。

aliases {
        rtc0 = &rtc;
        rtc1 = "/soc/aips-bus@30000000/snvs@30370000/snvs-rtc-lp@34";
};

20.8. LTE のネットワークデバイス名に ttyACM0 を利用する

通信モジュール Telit 製 ELS31-J 搭載の Armadillo にて、USBコネクタにセンサーなどを接続した状態で起動すると、ネットワークデバイス名が ttyACM0 から変化することがあるため、Debian GNU/Linux 12(コードネーム bookworm) では、デフォルトの LTE ネットワークデバイス名を ttyCommModem としております。

Debian GNU/Linux 10(コードネーム buster) 以前から移植されて ttyACM0 として使用する必要がある場合、以下の手順で LTE のネットワークデバイスを ttyACM0 に設定できます。

[注記]

既に ttyCommModem のコネクション設定が存在する場合、事前にコネクション設定を削除してください。

[armadillo ~]# nmcli connection delete gsm-ttyCommModem

手順20.5 ttyACM0 の利用

  1. /etc/ModemManager/symlink.conf の変更

    /etc/ModemManager/symlink.conf を以下のように変更します。cinterion-els31-symlink をコメントアウトします。

    # cinterion-els31-symlink
  2. 関連するサービスの再起動

    ModemManager サービスと再接続サービスを、以下のように再起動させます。

    [armadillo ~]# service connection-recover restart
    [armadillo ~]# service ModemManager restart
  3. ttyACM0 のコネクション作成

    ネットワークデバイス名に ttyACM0 を指定します。

    [armadillo ~]# nmcli connection add type gsm \
    ifname ttyACM0 apn [apn] user [user] password [password]

    作成したコネクション設定で LTEのデータ通信が行われれば確認完了です。

[注記]

利用するネットワークデバイスを ttyACM0 から ttyCommModem に変更する場合、/etc/ModemManager/symlink.conf の cinterion-els31-symlink の行を以下のように有効化してください。

# cinterion-els31-symlink
[警告]

本機能を有効にする場合、この行には cinterion-els31-symlink のみを記載してください。同じ行にタブ・スペースを含めたこれ以外の文字・記号が存在しますと、本機能が有効になりません。