Armadillo-IoTゲートウェイG3Lの標準筐体は、大きく分けて、基板等が実装されているブラケットと、実装されている基板等を覆う筐体ケースの2つで構成されています。
基板等が実装されているブラケットに対して、筐体ケースを取り付けます。
筐体ケースとブラケットとは、筐体ケースの突起にブラケットの爪を引っ掛けて外れないようにした後、付属のネジでネジ止めをして固定します。
筐体ケースをブラケットの爪に引っ掛けて固定するための突起は図4.1「筐体ケース内側の突起」に示すように、筐体ケース内側下端左右の角2箇所に有ります。
筐体ケースの突起を引っ掛けて固定するためのブラケットの爪は図4.2「ブラケットの爪」に示すような位置の2箇所に有ります。
標準筐体の組立手順を次に示します。
手順4.1 標準筐体の組立手順
まず図4.3「噛み合わせの確認とネジ止め」に示すように、ブラケットの各種端子実装面から少し離した位置で、筐体ケースをブラケットの上に載せます。
次にブラケットに載せた筐体ケースの下端とブラケットとの間に隙間ができないように注意して、筐体ケースをブラケットの各種端子実装面の側へとスライドさせます。
筐体ケースの突起がブラケットの爪に引っ掛って止るところまでスライドさせて嵌め込みます。
図4.4「筐体ケースの嵌め込み」に示すように、筐体ケースとブラケットの爪が正しく噛み合って、筐体ケースとブラケットとの間に隙間ができていないことを確認します。
さらに筐体ケース上面に2箇所あいている穴とブラケットのネジ穴の位置がずれずに一致していることを確認します。
確認ができたら付属のネジ2本でネジ止めをして、筐体ケースとブラケットを完全に固定します。
| |
---|
ネジを締める前に、筐体ケースとブラケットの爪が正しく噛み合って、筐体ケースとブラケットとの間に隙間ができていないことを必ず確認してください。隙間が有るままでネジを締めるとケースが破損する恐れが有ります。
また、ネジをきつく締め過ぎると、ケースが破損する恐れがありますので、十分にご注意ください。
|
Armadillo-IoTゲートウェイG3L標準筐体への外付けアンテナの取付や、ブラケットに開けられた各種取付用の穴について、図4.5「各種取付」に示します。各種取付用の穴の位置については図18.1「筐体形状図」を参照してください。
| |
---|
外付けアンテナを取り付ける際、無理な力を加えると破損の原因となりますので、十分に注意してください。
|
アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、VMware仮想マシンのデータイメージを提供しています。このVMware仮想マシンのデータイメージをATDE(Atmark Techno Development Environment)と呼びます。ATDEの起動には仮想化ソフトウェアであるVMwareを使用します。ATDEのデータは、tar.xz圧縮されています。環境に合わせたツールで展開してください。
| |
---|
仮想化ソフトウェアとして、VMwareの他にOracle VM VirtualBoxが有名です。Oracle VM VirtualBoxには以下の特徴があります。
Oracle VM VirtualBoxからATDEを起動し、ソフトウェア開発環境として使用することができます。
|
ATDEは、バージョンにより対応するアットマークテクノ製品が異なります。本製品に対応しているATDEは、ATDE7 の v20180621 以降です。
ATDEはDebian GNU/Linux 9(コードネーム stretch)をベースに、Armadillo-IoT ゲートウェイのソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-IoT ゲートウェイの動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。
ATDEを使用するためには、作業用PCにVMwareがインストールされている必要があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)を参照し、利用目的に合うVMware製品をインストールしてください。また、ATDEは tar.xz圧縮されていますので、環境に合せたツールで展開してください。
| |
---|
VMwareは、非商用利用限定で無償のものから、商用利用可能な有償のものまで複数の製品があります。製品ごとに異なるライセンス、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)が存在するため、十分に確認した上で利用目的に合う製品をご利用ください。
|
| |
---|
VMwareやATDEが動作しないことを未然に防ぐため、使用するVMwareのドキュメントから以下の項目についてご確認ください。
ホストシステムのハードウェア要件
ホストシステムのソフトウェア要件
ゲストOSのプロセッサ要件
VMwareのドキュメントは、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から取得することができます。
|
ATDEのアーカイブを展開します。ATDEのアーカイブは、tar.xz形式の圧縮ファイルです。
Windowsでの展開方法を手順4.2「WindowsでATDEのアーカイブ展開する」に、Linuxでの展開方法を手順4.3「Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する」に示します。
手順4.2 WindowsでATDEのアーカイブ展開する
7-Zipのインストール
7-Zipをインストールします。7-Zipは、圧縮解凍ソフト 7-Zip(http://sevenzip.sourceforge.jp)から取得可能です。
7-Zipの起動
7-Zipを起動します。
xz圧縮ファイルの選択
xz圧縮ファイルを展開して、tar形式のファイルを出力します。tar.xz形式のファイルを選択して、「展開」をクリックします。
xz圧縮ファイルの展開先の指定
「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。
xz圧縮ファイルの展開
展開が始まります。
tarアーカイブファイルの選択
xz圧縮ファイルの展開が終了すると、tar形式のファイルが出力されます。
tarアーカイブファイルを出力したのと同様の手順で、tarアーカイブファイルからATDEのデータイメージを出力します。tar形式のファイルを選択して「展開」をクリックし、「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。
展開の完了確認
tarアーカイブファイルの展開が終了すると、ATDEアーカイブの展開は完了です。「展開先」に指定したフォルダにATDEのデータイメージが出力されています。
手順4.3 Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する
tar.xz圧縮ファイルの展開
tarのJxf
オプション使用してtar.xz圧縮ファイルを展開します。
展開の完了確認
tar.xz圧縮ファイルの展開が終了すると、ATDEアーカイブの展開は完了です。atde-i386-[version]
ディレクトリにATDEのデータイメージが出力されています。
ATDEのアーカイブを展開したディレクトリに存在する仮想マシン構成(.vmx)ファイルをVMware上で開くと、ATDEを起動することができます。ATDEにログイン可能なユーザーを、表4.1「ユーザー名とパスワード」に示します[]。
表4.1 ユーザー名とパスワード
ユーザー名 | パスワード | 権限 |
---|
atmark | atmark | 一般ユーザー |
root | root | 特権ユーザー |
| |
---|
ATDEに割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、ATDEをより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。
|
VMwareは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VMwareを起動しているOS)とゲストOSで同時に使用することができません。そのようなデバイスをゲストOSで使用するためには、ゲストOSにデバイスを接続する操作が必要になります。
Armadillo-IoTの動作確認を行うためには、表4.2「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。
表4.2 動作確認に使用する取り外し可能デバイス
デバイス | デバイス名 |
---|
USBシリアル変換アダプタ | Future Devices FT232R USB UART |
作業用PCの物理シリアルポート | シリアルポート |
4.3.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動
ATDEで、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDEで実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。
GNOME端末を起動するには、図4.6「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のアクティビティから「terminal」と入力し「端末」を選択してください。
図4.7「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。
4.3.4. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用
シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.3「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomを起動する端末の横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。
表4.3 シリアル通信設定
項目 | 設定 |
---|
転送レート | 115,200bps |
データ長 | 8bit |
ストップビット | 1bit |
パリティ | なし |
フロー制御 | なし |
minicomの設定を開始するには、図4.8「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。
minicomを起動させるには、図4.9「minicom起動方法」のようにしてください。
| |
---|
デバイスファイル名は、環境によって/dev/ttyS0 や/dev/ttyUSB1 など、本書の実行例とは異なる場合があります。
|
minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。その後、以下のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。
| |
---|
minicomがオープンする /dev/ttyS0 や /dev/ttyUSB0 といったデバイスファイルは、 root または dialout グループに属しているユーザーしかアクセスできません。
ユーザーを dialout グループに入れることで、以降、sudoを使わずにminicomで /dev/ttyUSB0 をオープンすることができます。
|
| |
---|
Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。
|
表4.4 Armadillo-IoT メインユニット インターフェース内容
部品番号 | インターフェース名 | 形状 | 備考 |
---|
CON2 | LANインターフェース | RJ-45コネクタ | |
CON4 | シリアルインターフェース | 端子台6ピン(3.5mmピッチ) | |
CON5 | デバッグシリアルインターフェース | ピンヘッダ7ピン(1.25mmピッチ) | 挿抜寿命:40回
[a]
|
CON8 | 電源入力インターフェース1 | DCジャック |
対応プラグ:内径2.1mm
外径:5.5mm
|
CON9[b] | RTCバックアップインターフェース | ピンヘッダ2ピン(1.25mmピッチ) | 挿抜寿命:20回
[]
|
CON10 | 電源入力インターフェース2 | ピンヘッダ2ピン(2mmピッチ) | |
CON11 | USBインターフェース | Type Aコネクタ | |
CON12 | microSDインターフェース | microSDスロット | |
CON13 | アンテナインターフェース3 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
|
CON14 | アンテナインターフェース4 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
|
CON15 | アンテナインターフェース1 | 同軸コネクタ | |
CON16 | アンテナインターフェース2 | 同軸コネクタ | |
SW2 | ユーザースイッチ | タクトスイッチ | |
JP1 | 起動バイス設定ジャンパ | ピンヘッダ2ピン(2.54mmピッチ) | |
表4.5 Armadillo-IoT サブユニット インターフェース内容
部品番号 | インターフェース名 | 形状 | 備考 |
---|
CON2 | Wi-SUNモジュールインターフェース | 基板間コネクタ20ピン(0.5mmピッチ) | 挿抜寿命:40回
[]
|
CON4 | LTEアンテナインターフェース1 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
|
CON5 | LTEアンテナインターフェース2 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
|
CON6 | microSIMインターフェース | microSIMスロット | |
CON8 | WLANアンテナインターフェース1 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
|
CON9 | WLANアンテナインターフェース2 | 小型同軸コネクタ | 挿抜寿命:20回
[]
|
LED3 | ユーザーLED3 | LED(緑色、面実装、導光板有り) | |
LED4 | ユーザーLED4 | LED(緑色、面実装、導光板有り) | |
LED5 | ユーザーLED5 | LED(緑色、面実装、導光板有り) | |
SP1 | Wi-SUNモジュールスタッド | スペーサー(M2, L=3mm) | |
SP2 | Wi-SUNモジュールスタッド | スペーサー(M2, L=3mm) | |
viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。
viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。
本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。
viを起動するには、以下のコマンドを入力します。
file
にファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(file
が存在しない場合は新規作成)を行います。viはコマンドモードの状態で起動します。
文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表4.6「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。
表4.6 入力モードに移行するコマンド
コマンド | 動作 |
---|
i | カーソルのある場所から文字入力を開始 |
a | カーソルの後ろから文字入力を開始 |
入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードが分からなくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。
| 日本語変換機能をOFFに |
---|
viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーで行うことができます。 |
「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図4.18「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。
| viでの文字削除 |
---|
コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。 |
方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表4.7「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。
表4.7 カーソルの移動コマンド
コマンド | 動作 |
---|
h | 左に1文字移動 |
j | 下に1文字移動 |
k | 上に1文字移動 |
l | 右に1文字移動 |
ファイルの保存、終了を行うコマンドを表4.9「保存・終了コマンド」に示します。
表4.9 保存・終了コマンド
コマンド | 動作 |
---|
:q! | 変更を保存せずに終了 |
:w [file] | ファイル名をfile に指定して保存 |
:wq | ファイルを上書き保存して終了 |
保存と終了を行うコマンドは「:」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。":"キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。