アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、VMware仮想マシンのデータイメージを提供しています。このVMware仮想マシンのデータイメージをATDE(Atmark Techno Development Environment)と呼びます。ATDEの起動には仮想化ソフトウェアであるVMwareを使用します。ATDEのデータは、tar.xz圧縮されています。環境に合わせたツールで展開してください。
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仮想化ソフトウェアとして、VMwareの他にOracle VM VirtualBoxが有名です。Oracle VM VirtualBoxには以下の特徴があります。
Oracle VM VirtualBoxからATDEを起動し、ソフトウェア開発環境として使用することができます。
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ATDEは、バージョンにより対応するアットマークテクノ製品が異なります。本製品に対応しているATDEは、ATDE7 の v20180621 以降です。
ATDE7はDebian GNU/Linux 9(コードネーム stretch)をベースに、Armadillo-IoT ゲートウェイのソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-IoT ゲートウェイの動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。
ATDEを使用するためには、作業用PCにVMwareがインストールされている必要があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)を参照し、利用目的に合うVMware製品をインストールしてください。また、ATDEは tar.xz圧縮されていますので、環境に合せたツールで展開してください。
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VMwareは、非商用利用限定で無償のものから、商用利用可能な有償のものまで複数の製品があります。製品ごとに異なるライセンス、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)が存在するため、十分に確認した上で利用目的に合う製品をご利用ください。
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VMwareやATDEが動作しないことを未然に防ぐため、使用するVMwareのドキュメントから以下の項目についてご確認ください。
ホストシステムのハードウェア要件
ホストシステムのソフトウェア要件
ゲストOSのプロセッサ要件
VMwareのドキュメントは、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から取得することができます。
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ATDEのアーカイブを展開します。ATDEのアーカイブは、tar.xz形式の圧縮ファイルです。
Windowsでの展開方法を手順4.1「WindowsでATDEのアーカイブ展開する」に、Linuxでの展開方法を手順4.2「Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する」に示します。
手順4.1 WindowsでATDEのアーカイブ展開する
7-Zipのインストール
7-Zipをインストールします。7-Zipは、圧縮解凍ソフト 7-Zip(http://sevenzip.sourceforge.jp)から取得可能です。
7-Zipの起動
7-Zipを起動します。
xz圧縮ファイルの選択
xz圧縮ファイルを展開して、tar形式のファイルを出力します。tar.xz形式のファイルを選択して、「展開」をクリックします。
xz圧縮ファイルの展開先の指定
「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。
xz圧縮ファイルの展開
展開が始まります。
tarアーカイブファイルの選択
xz圧縮ファイルの展開が終了すると、tar形式のファイルが出力されます。
tarアーカイブファイルを出力したのと同様の手順で、tarアーカイブファイルからATDEのデータイメージを出力します。tar形式のファイルを選択して「展開」をクリックし、「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。
展開の完了確認
tarアーカイブファイルの展開が終了すると、ATDEアーカイブの展開は完了です。「展開先」に指定したフォルダにATDEのデータイメージが出力されています。
手順4.2 Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する
tar.xz圧縮ファイルの展開
tarのJxf
オプション使用してtar.xz圧縮ファイルを展開します。
展開の完了確認
tar.xz圧縮ファイルの展開が終了すると、ATDEアーカイブの展開は完了です。atde-i386-[version]
ディレクトリにATDEのデータイメージが出力されています。
ATDEのアーカイブを展開したディレクトリに存在する仮想マシン構成(.vmx)ファイルをVMware上で開くと、ATDEを起動することができます。ATDEにログイン可能なユーザーを、表4.1「ユーザー名とパスワード」に示します[]。
表4.1 ユーザー名とパスワード
ユーザー名 | パスワード | 権限 |
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atmark | atmark | 一般ユーザー |
root | root | 特権ユーザー |
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ATDEに割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、ATDEをより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。
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VMwareは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VMwareを起動しているOS)とゲストOSで同時に使用することができません。そのようなデバイスをゲストOSで使用するためには、ゲストOSにデバイスを接続する操作が必要になります。
Armadillo-IoTの動作確認を行うためには、表4.2「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。
表4.2 動作確認に使用する取り外し可能デバイス
デバイス | デバイス名 |
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USBシリアル変換アダプタ | Future Devices FT232R USB UART |
作業用PCの物理シリアルポート | シリアルポート |
4.2.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動
ATDEで、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDEで実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。
GNOME端末を起動するには、図4.1「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のアクティビティから「terminal」と入力し「端末」を選択してください。
図4.2「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。
4.2.4. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用
シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.3「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomを起動する端末の横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。
表4.3 シリアル通信設定
項目 | 設定 |
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転送レート | 115,200bps |
データ長 | 8bit |
ストップビット | 1bit |
パリティ | なし |
フロー制御 | なし |
minicomの設定を開始するには、図4.3「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。
minicomを起動させるには、図4.4「minicom起動方法」のようにしてください。
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デバイスファイル名は、環境によって/dev/ttyS0 や/dev/ttyUSB1 など、本書の実行例とは異なる場合があります。
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minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。その後、以下のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。
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minicomがオープンする /dev/ttyS0 や /dev/ttyUSB0 といったデバイスファイルは、 root または dialout グループに属しているユーザーしかアクセスできません。
ユーザーを dialout グループに入れることで、以降、sudoを使わずにminicomで /dev/ttyUSB0 をオープンすることができます。
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Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。
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viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。
viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。
本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。
viを起動するには、以下のコマンドを入力します。
file
にファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(file
が存在しない場合は新規作成)を行います。viはコマンドモードの状態で起動します。
文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表4.5「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。
表4.5 入力モードに移行するコマンド
コマンド | 動作 |
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i | カーソルのある場所から文字入力を開始 |
a | カーソルの後ろから文字入力を開始 |
入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードが分からなくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。
| 日本語変換機能をOFFに |
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viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーで行うことができます。 |
「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図4.12「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。
| viでの文字削除 |
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コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。 |
方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表4.6「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。
表4.6 カーソルの移動コマンド
コマンド | 動作 |
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h | 左に1文字移動 |
j | 下に1文字移動 |
k | 上に1文字移動 |
l | 右に1文字移動 |
ファイルの保存、終了を行うコマンドを表4.8「保存・終了コマンド」に示します。
表4.8 保存・終了コマンド
コマンド | 動作 |
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:q! | 変更を保存せずに終了 |
:w [file] | ファイル名をfile に指定して保存 |
:wq | ファイルを上書き保存して終了 |
保存と終了を行うコマンドは「:」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。":"キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。