第1部では、Armadilloを使った組み込みシステムを構築する方法の全体像について説明を行いました。第2部では、システムの開発段階で役に立つ、より実践的な事柄について説明します。
まず、開発環境ATDE3について、第1部で説明しきれなかった詳細な設定方法や、パッケージ管理などの運用方法について説明します。また、ATDE3を使わずに開発環境を構築する方法についても言及します。
開発環境を整えた後は、Linuxシステムの仕組みと運用、管理の方法についてに説明します。Linuxシステム特有の用語や様々なコマンドについて、網羅的に紹介します。
プログラミングの話題に入る前に、Armadilloの環境を整えます。開発効率を上げるために、開発中はArmadillo上で動作するディストリビューションとして、Debian GNU/Linuxを使用します。そのため、Armadillo上に Debian GNU/Linuxをインストールする方法について説明します。
プログラミングの最初の話題として、シェルスクリプトプログラミングを取り上げます。Linuxに不慣れなの方でも読めるように、基本的な文法から丁寧に説明をおこないます。
C言語でのプログラミングについては、C言語経験者を対象としているので、基本的なことは説明しません。組み込みシステムでアプリケーションプログラムを開発する際に問題となることにフォーカスして、実践的な実装方法について詳細な説明をおこないます。
最後に、Armadilloを使って組み込みシステムを構築する上での、組み込みまたはArmadillo特有のノウハウについて、まとめました。この章に書いてあることは、他の本には書いていませんが、とても重要な部分です。
本書が主な対象読者としているのは、Armadilloを使って組み込みシステムを開発したいと考えているソフトウェア開発者です。ソフトウェア開発者は、少なくともC言語での開発経験が必要です。LinuxやArmadilloを使用した開発の経験が少ない場合や開発の全体像を把握していない場合は、第1部から読むことをお勧めします。
本書で使用している表記方法について説明します。
フォントは以下のものを使用します。
表1.1 使用するフォント
フォント例 | 使用箇所 |
---|
本文中のフォント | 本文 |
等幅
| コンソールやソースコード |
太字
| ユーザーが入力する文字 |
斜体
| 状況によって置き換えられるもの |
下線 | キー入力 |
コマンド入力例は、以下のように表記します。
「[PC ~/]$」の部分をプロンプトと呼びます。ユーザーは、プロンプトに続けてコマンドを入力します。
「PC」の部分は、コマンドを実行する環境によって使い分けます。実行環境には、以下のものがあります。
表1.2 コマンドの実行環境と対応する表記
表記 | 実行環境
|
---|
PC | 作業用PC |
ATDE | ATDE(Atmark Techno Development Environment[]) |
armadillo | Armadillo(Atmark Distで作成したユーザーランドの場合) |
darmadillo | Armadillo(ユーザーランドがDebian GNU/Linuxの場合) |
「$」の部分は、コマンドを実行するユーザーの種類によって使い分けます。ユーザーの種類には、以下の二種類があります。
プロンプトの表記方法やそれぞれの用語については、本文中で詳しく説明します。
本書では、随所にコラムを記載しています。コラムの内容によって、以下の表記を用います。
| メモ |
---|
用語の説明や補足的な説明は、このアイコンで示します。 |
| ヒント |
---|
知っていると便利な情報は、このアイコンで示します。 |
| 注意 |
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ユーザーの注意が必要な情報は、このアイコンで示します。このアイコンが付いているコラムの内容に従わない場合、以降の作業に支障をきたす場合があります。再度、ご確認ください。 |
| 危険 |
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危険な操作に関する情報は、このアイコンで示します。このアイコンが付いているコラムの内容に従わない場合、ハードウェアやシステムを破壊してしまう場合があります。必ず確認してください。 |
もし、本書を読んで困ったことがあった場合は、ぜひArmadillo 開発者サイト[]で情報を探してください。本書に含まれていない FAQ や How To が掲載されています。
また、Armadillo 開発者サイトでも情報がみつからない場合は、Armadillo シリーズに関した話題を扱っているArmadillo メーリングリスト[]で質問してみてください。同じ問題で困ったことがある人や開発者が参加しているので、情報を集めることができるかもしれません。
| メーリングリストに参加する場合の心構え |
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メーリングリストには数百人の人が参加しています。メーリングリストに送られたメールはメーリングリスト参加者すべてに送られ、アーカイブとして Web 上で誰でも閲覧可能な状態になります。 そのため、通常の対人関係と同様に、受け取り手に対して失礼にならないように配慮する必要があります。 ただし、技術的に簡単なものだからといって、質問することをためらう必要性はまったくありません。 また、適切な質問をすると適切なアドバイスが得られる可能性が高まりますが、その逆もまた然りです。 メーリングリストに不慣れな人は、質問する前に「技術系メーリングリストで質問するときのパターン・ランゲージ」[] などに目を通しておくと良いでしょう。 |
本書に関するご意見やご質問は、Armadillo メーリングリスト[] にご連絡ください。
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Armadilloで使用しているソフトウェアはFree Software/Open Source Software で構成されています。Free Software/Open Source Softwareは世界中の多くの開発者や関係者の貢献によって成り立っています。この場を借りて感謝の意を表します。