| | 本章では、ここまでの内容で紹介しきれなかった、より細かな Armadillo の設定方法や、開発に役立つヒントなどを紹介します。 各トピックを羅列していますので、目次の節タイトルからやりたいことを探して辞書的にご使用ください。 Armadillo BaseOS ではルートファイルシステムに overlayfs を採用しています。 そのため、ファイルを変更した後 Armadillo の電源を切ると変更内容は保持されません。
開発中などに rootfs の変更内容を保持するには、変更したファイルに対して persist_file コマンドを使用します。 開発以外の時は安全のため、ソフトウェアアップデートによる更新を実行してください。
SWUpdate に関しては 「アップデート機能について」 を参照してください。 rootfs の内容を変更しても、ソフトウェアアップデートを実施した際に変更した内容が保持されない可能性があります。
ソフトウェアアップデート実施後も変更内容を保持する手順に関しては 「swupdate_preserve_files について」 を参照してください。 persist_file コマンドの概要を 図6.1「persist_file のヘルプ」 に示します。
ファイルの保存・削除手順例
|
追加・変更したファイルを rootfs へコピーします。
| |
-r を指定すると、ひとつ前の rm -f コマンドで削除したファイルがrootfsからも削除されますのでご注意ください。
| |
すでに rootfs に存在するファイルも一度削除してからコピーするため、このようなメッセージが表示されます。
|
ソフトウェアアップデート後も変更を維持する手順例
|
何らかのファイルの内容を変更します。
| |
-P オプションを付与して persist_file を実行します。
| |
swupdate_preserve_files に追加されたことを確認します。
|
変更ファイルの一覧表示例
|
rootfs のファイルを見せないディレクトリは opaque directory と表示されます。
| |
削除したファイルは whiteout と表示されます。
|
パッケージをインストールする時はapkコマンドを使用してメモリ上にインストールできますが、
persist_file コマンドで rootfs に直接インストールすることも可能です。
|
この例では Armadillo を再起動せずにインストールしたコマンドを使用できましたが、Armadillo の再起動が必要となるパッケージもありますので、その場合は Armadillo を再起動してください。
|
Armadillo Base OS において、ユーザーアプリケーションは基本的にコンテナ内で実行されます。
3章開発編で紹介した開発手順では、基本的に SWUpadate を使用してコンテナを生成・実行していました。 以下では、より自由度の高いコンテナの操作のためにコマンドラインからの操作方法について紹介します。 6.2.1. Podman - コンテナ仮想化ソフトウェアとはコンテナとはホスト OS 上に展開される仮想的なユーザ空間のことです。
コンテナを使用することで複数の Armadillo-640 でも同一の環境がすぐに再現できます。
ゲスト OS を必要としない仮想化であるため、アプリケーションの起動が素早いという特徴があります。 Podman とはこのようなコンテナを管理するためのソフトウェアであり、使用方法は
コンテナ管理ソフトウェアの 1 つである Docker と互換性があります。 この章では、コンテナ仮想化ソフトウェアの 1 つである Podman の基本的な使い方について説明します。
Armadillo-640 で実行させたいアプリケーションとその実行環境自体を 1 つの Podman イメージとして扱うことで、
複数の Armadillo-640 がある場合でも、全てのボード上で同一の環境を再現させることが可能となります。 この章全体を通して、イメージの公開・共有サービスである Docker Hub から取得した、Alpine Linux のイメージを
使って説明します。 イメージからコンテナを作成するためには、podman_start コマンドを実行します。
podman や docker にすでに詳しいかたは podman run コマンドでも実行できますが、ここでは 「コンテナ起動設定ファイルを作成する」 で紹介するコンテナの自動起動の準備も重ねて podman_start を使います。
イメージは Docker Hub から自動的に取得されます。
ここでは、簡単な例として "ls /" コマンドを実行するコンテナを作成します。 |
コンテナのコンフィグを作成します。このファイルでは、コンテナのイメージやコマンド、デバイスへのアクセス権限を設定します。詳しい設定の説明には 「コンテナ起動設定ファイルを作成する」 を参照ください。
| |
コンテナのイメージを取得します。イメージが Armadillo に置いてない場合は「Error: docker.io/alpine: image not known」の様なエラーで失敗します。
| |
コンテナを起動します。これは Armadillo 起動時に自動的に起動されるコンテナと同じものになります。自動起動が不要な場合には set_autostart no で無効化できます。
| |
podman logs コマンドで出力を確認します。
|
"ls /" を実行するだけの "my_container" という名前のコンテナが作成されました。
コンテナが作成されると同時に "ls /" が実行され、その結果がログに残ります。
ここで表示されているのは、コンテナ内部の "/" ディレクトリのフォルダの一覧です。 | |
---|
podman_start でコンテナが正しく起動できない場合は podman_start -v <my_container> で podman run のコマンドを確認し、 podman logs <my_container> で出力を確認してください。
|
コンテナを作成するためのイメージは、イメージ一覧を表示する podman images コマンドで確認できます。 podman images コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 作成済みコンテナ一覧を表示するためには podman ps コマンドを実行します。 一覧表示により、コンテナ名やコンテナ ID を確認することができます。-a オプションを付けない場合は、動作中のコンテナのみ表示されます。
podman ps コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 作成済みのコンテナを起動するためには podman start コマンドを実行します。 -a オプションを与えると、コンテナ内で実行されたアプリケーションの出力を確認できます。 ここで起動している my_container は、起動時に "ls /" を実行するようになっているので、その結果が出力されます。
podman start コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 動作中のコンテナを停止するためには podman stop コマンドを実行します。 podman stop コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 コンテナに対して変更が行われた状態で、そのままコンテナを停止してしまうと変更が失なわれてしまいます。 変更を保存するには二つの方法があります。
podman commit コマンドで保存する。
podman commitで保存する度に、変更が行なわれた差分が保存されます。
繰り返し差分を保存すると、イメージサイズが大きくなってしまいます。
ストレージ容量が不足する場合は、ベースとなるOSのイメージから作り直してください。
「電源を切っても保持されるディレクトリ(ユーザーデータディレクトリ)」を使用する。
podman_start の add_volumes コマンドでコンテナに Armadillo Base OS のディレクトリをコンテナで使うことができます。
保存するデータの性質によって、保存先を選択してください。 -
/var/app/volumes/myvolume : アップデートした場合はコピーされません。
ログやデータベースなど、アプリケーションが作成し続けるようなデータの保存に向いています。
-
myvolume か /var/app/rollback/volumes/myvolume : アップデートの際にコピーしてアップデートを行うので、アップデート中でも安全に使いつづけます。
アプリケーションと一緒にアップデートするようなデータの保存に向いています。
6.2.2.7. コンテナの自動作成やアップデートpodman run, podman commitでコンテナを作成できますが、定期的にアップデートをする際には
コンテナの作成やアップデートを自動化できると便利です。 これを実現するために、Dockerfileとpodman buildを使います。この手順はArmadilloで実行可能です。
イメージを docker.io のイメージから作りなおします
イメージを前のバージョンからアップデートします
この場合、 podman_partial_image コマンドを使って、差分だけをインストールすることもできます。 [armadillo ~/podman-build-update]# podman_partial_image -b my_image:1 \
-o my_image_2_partial.tar my_image:2
[armadillo ~/podman-build-update]# ls -lh
-rw-r--r-- 1 root root 88 Dec 21 15:24 Dockerfile
-rw-r--r-- 1 root root 9.4M Dec 21 15:26 my_image_1.tar
-rw-r--r-- 1 root root 9.4M Dec 21 15:26 my_image_2.tar
-rw-r--r-- 1 root root 51K Dec 21 15:26 my_image_2_partial.tar
作成した .tar アーカイブは 「mkswu の .desc ファイルを編集する」 の swdesc_embed_container と swdesc_usb_container で使えます。 作成済みコンテナを削除する場合は podman rm コマンドを実行します。 podman ps コマンドの出力結果より、コンテナが削除されていることが確認できます。
podman rm コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 [armadillo ~]# podman rm --help podmanのイメージを削除するには podman rmi コマンドを実行します。
イメージを削除するためには、そのイメージから作成したコンテナを先に削除しておく必要があります。
podman rmi コマンドにはイメージ ID を指定する必要があるため、podman images コマンドで確認します。 podman images コマンドの出力結果より、コンテナが削除されていることが確認できます。
podman rmi コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 | |
---|
SWU で転送されたイメージは podman images で Read-Only として表示されますので、
podman rmi を実行するとエラーとなります。
その場合は abos-ctrl podman-rw rmi をご使用ください。 abos-ctrl podman-rw については 「イメージを eMMC に保存する」 を参照してください。
|
実行中のコンテナに接続し、コンテナ内で指定したコマンドを実行するには podman exec コマンドを実行します。
podman exec コマンドでコンテナ内部のシェルを起動すると、コンテナ内部を操作できるようになります。ここでは、sleep infinity コマンドを
実行して待ち続けるだけのコンテナを作成し、そのコンテナに対して podman exec コマンドでシェルを起動する例を示します。 podman_start コマンドでコンテナを作成し、その後作成したコンテナ内で sh を実行しています。
sh を実行すると、コンテナ内のプロンプトが表示されコンテナ内部を操作できるようになります。
上記ではコンテナ内で、ps コマンドを実行しています。コンテナ作成時に実行した sleep と podman exec で実行した
sh がプロセスとして存在していることが確認できます。
コンテナ内のシェルから抜ける時は exit コマンドを実行します。 podman exec コマンドから抜けても、コンテナがまだ実行中です。コンテナを停止したい場合は podman stop sleep_container か podman kill sleep_container で停止して podman rm sleep_container でそのコンテナを削除してください。
podman exec コマンドの詳細は --help オプションで確認できます。 複数のコンテナを実行している環境で、それらのコンテナ間で通信を行う方法を示します。
これにより、例えば SQL サーバを実行しているコンテナに対し別のコンテナから接続するといった
使い方ができます。 コンテナには作成した時点でローカル IP アドレスが割り当てられるので、コンテナの名前かその IP アドレスで通信を行うことができます。 準備として、2 つのコンテナを作成します。 コンテナに割り当てられた IP アドレスを確認するには podman inspect コマンドを実行します。 これらの IP アドレスを使って、一方のコンテナからもう一方のコンテナへ対し ping コマンドで疎通確認を行うことができます。 このように、my_container_1(10.88.0.108) から my_container_2(10.88.0.109) への通信が確認できます。 6.2.2.12. podでコンテナのネットワークネームスペースを共有するpodman_start で pod 機能を使うことができます。
pod を使うことで、複数のコンテナが同じネットワークネームスペースを共有することができます。
同じ pod の中のコンテナが IP の場合 localhost で、 unix socket の場合 abstract path で相互に接続することができます。
コンテナと同じく、 /etc/atmark/containers/[NAME].conf ファイルを作って、 set_type pod を設定することで pod を作成します。 pod を使う時にコンテナの設定ファイルに set_pod [NAME] の設定を追加します。 ネットワークネームスペースは pod を作成するときに必要なため、 ports , network と ip の設定は pod
のコンフィグファイルに入れなければなりません。 必要であれば、他の podman pod create のオプションを add_args で設定することができます。 .conf ファイルで使用できる各種パラメータについては、「コンテナ起動設定ファイルを作成する」を参照してください。
podman_start で podman の network も作成ことができます。
デフォルトの 10.88.0.0/16 が使えない場合、あるいはコンテナ同士で接続できないようにしたい場合は使ってください。 コンテナと同じく、 /etc/atmark/containers/[NAME].conf ファイルを作って、 set_type network を設定することで network を作成します。 そのネットワークを使う時にコンテナの設定ファイルに set_network [NAME] の設定をいれます。 ネットワークのサブネットは set_subnet [SUBNET] で設定します。
この設定は set_type network の後しか使えませんので、set_type はファイルの最初のところに使ってください 他の podman network create のオプションが必要であれば、 add_args で設定することができます。 .conf ファイルで使用できる各種パラメータについては、「コンテナ起動設定ファイルを作成する」を参照してください。
podman では REST API による管理アクセスも可能です。 自分のコンテナから他のコンテナの管理が必要な場合に、ホストの podman サービスを有効にして、
コンテナに /run/podman をボリュームマウントすれば podman --remote で管理できます。 podman_start をインストールすればそちらも --remote で使えます。
このオプションは Armadillo のホスト側の udev rules からコンテナを扱う時にも必要です。 6.2.2.15. リモートリポジトリにコンテナを送信する
イメージをリモートリポジトリに送信する:
[armadillo ~]$ podman image push <localimage> docker://<registry>/<remoteimage>:<tag>
set_pull always を設定しないかぎり、SWUpdateでダウンロードの命令を送らないとアップデートを行いません。
(mkswuについては「Armadillo のソフトウェアをアップデートする」を参考にしてください) [ATDE ~/mkswu]$ cp /usr/share/mkswu/examples/pull_container_nginx.desc .
[ATDE ~/mkswu]$ cp -r /usr/share/mkswu/examples/nginx_start .
[ATDE ~/mkswu]$ cat pull_container_nginx.desc
swdesc_option version=1
swdesc_pull_container "docker.io/nginx:alpine"
swdesc_files --extra-os nginx_start
[ATDE ~/mkswu]$ mkswu pull_container_nginx.desc
Enter pass phrase for /home/atmark/mkswu/swupdate.key:
pull_container_nginx.swu を作成しました。
6.2.2.16. イメージを eMMC に保存するArmadillo Base OS のデフォルトでは、Podman のデータは tmpfs に保存されます。 起動時にコンテナを起動するにはイメージを eMMC に書き込む必要があります。
開発が終わって運用の場合は 「イメージを SWUpdate で転送する」 でコンテナのイメージを転送します。この場合は読み取り専用の app パーティションのサブボリュームに展開します。 開発の時に以下の abos-ctrl podman-rw か abos-ctrl podman-storage --disk のコマンドを使って直接にイメージを編集することができます。 | |
---|
ここで紹介する内容はコンテナのイメージの管理の説明です。データベース等のコンテナから書き込みが必要な場合には 「コンテナの変更を保存する」 にあるボリュームの説明を参照してください。 |
abos-ctrl podman-rw を使えば、read-only になっているイメージを扱う事ができます。
abos-ctrl podman-storage はメモリとディスクの切り替えの他に、読み書きストレージから読み取り専用ストレージへのコピーもできます。
|
イメージを書き込み可能ストレージに取得します。
| |
abos-ctrl podman-storage をオプション無しで実行します。
| |
書き込み可能ストレージにイメージがある場合に対応を聞かれます。今回はコピー(copy)します。
| |
abos-ctrl podman-storage にオプションを指定しなかったので、ストレージが tmpfs のままになります。すでに --disk で切り替えた場合にディスクのままでも可能です。
| |
コピーの確認します。イメージが読み取り専用(R/O, Read only)になりました。
|
| |
---|
podman が壊れやすいので、デフォルトの「abos-ctrl podman-storage --tmpfs」で運用することを推奨しますが、tmpfs の容量が小さくてイメージの操作には向いてません。 開発時には「abos-ctrl podman-storage --disk」の状態で作業を行い、運用時には「abos-ctrl podman-storage --tmpfs」に戻してください。
戻る際に「copy」を選択肢する場合は一時的なストレージをそのまま使いつづけますので、すべての変更が残ります。 |
| |
---|
SWUpdate でアップデートをインストールする際には、/var/lib/containers/storage_readonly ディレクトリの不要になったイメージを自動的に削除します。 自動起動させる予定がなくても、「コンテナ起動設定ファイルを作成する」 を参考にして、 /etc/atmark/containers/*.conf を使ってください。 set_autostart no を設定することで自動実行されません。 |
6.2.2.17. イメージを SWUpdate で転送する
イメージをファイルに保存する:
[armadillo ~]$ podman image save -o <myimage>.tar <localimage>
ファイルをSWUpdateのイメージに入れる。
二つのやり方があります:
swuイメージ内に組み込む
[ATDE ~/mkswu]$ cp /usr/share/mkswu/examples/embed_container_nginx.desc .
[ATDE ~/mkswu]$ cp -r /usr/share/mkswu/examples/nginx_start .
[ATDE ~/mkswu]$ cat embed_container_nginx.desc
swdesc_option version=1
swdesc_embed_container "nginx_alpine.tar"
swdesc_files --extra-os nginx_start
[ATDE ~/mkswu]$ podman pull --arch arm64 docker.io/nginx:alpine
[ATDE ~/mkswu]$ podman run --rm docker.io/nginx:alpine uname -m
aarch64
[ATDE ~/mkswu]$ podman save docker.io/nginx:alpine > nginx_alpine.tar
[ATDE ~/mkswu]$ mkswu embed_container_nginx.desc
Enter pass phrase for /home/atmark/mkswu/swupdate.key:
embed_container_nginx.swu を作成しました
USBドライブに保存する
[ATDE ~/mkswu]$ cp /usr/share/mkswu/examples/usb_container_nginx.desc .
[ATDE ~/mkswu]$ cp -r /usr/share/mkswu/examples/nginx_start .
[ATDE ~/mkswu]$ cat usb_container_nginx.desc
swdesc_option version=1
swdesc_usb_container "nginx_alpine.tar"
swdesc_files --extra-os nginx_start
[ATDE ~/mkswu]$ podman pull --arch arm64 docker.io/nginx:alpine
[ATDE ~/mkswu]$ podman run --rm docker.io/nginx:alpine uname -m
aarch64
[ATDE ~/mkswu]$ podman save docker.io/nginx:alpine > nginx_alpine.tar
[ATDE ~/mkswu]$ mkswu -o usb_container_nginx.swu usb_container_nginx.desc
Enter pass phrase for /home/atmark/mkswu/swupdate.key:
以下のファイルをUSBメモリにコピーしてください:
'/home/atmark/mkswu/usb_container_nginx.swu'
'/home/atmark/mkswu/nginx_alpine.tar'
'/home/atmark/mkswu/.usb_container_nginx/nginx_alpine.tar.sig'
usb_container_nginx.swu を作成しました。
6.2.2.18. 開発時に有用な—privilegedオプションコンテナに、全権限と全てのデバイスへのアクセスを許可するオプション --privileged があります。このオプションを利用すると、コンテナに与えるべき最小の権限を洗い出す必要が無いため、開発時に有用です。 実運用の際、このオプションを利用することはセキュリティー上問題がある為、開発時にのみご利用ください。コンテナに必要な最低限の権限を与えることをおすすめします。 6.2.3. コンテナとコンテナに関連するデータを削除する | |
---|
全てのコンテナとコンテナイメージ、コンテナに関するデータが削除されるため、充分に注意して使用してください。 |
VSCode 上で ABOSDE(Armadillo Base OS Development Environment) から、
Armadillo のコンテナイメージを全て削除する SWU イメージを作成することができます。 VSCode の左ペインの [COMMON PROJECT COMMAND] から [Generate Container Clear Swu] を実行すると、SWU イメージが作成されます。
SWU イメージは ~/mkswu/container_clear.swu に保存されます。 この SWU イメージを 「SWU イメージのインストール」 を参照して Armadillo へインストールしてください。 abos-ctrl container-clear を使用すると、コンテナ、コンテナイメージ、コンテナに関するデータを削除することができます。
abos-ctrl container-clear は以下の通り動作します。
Armadillo Base OSでは、/etc/atmark/containers/*.confファイルに指定されているコンテナがブート時に自動的に起動します。
nginx.confの記載例を以下に示します。 .conf ファイルは以下のパラメータを設定できます。
set_image [イメージ名]
イメージの名前を設定できます。 例: set_image docker.io/debian:latest , set_image localhost/myimage イメージをrootfsとして扱う場合に --rootfs オプションで指定できます。 例: set_image --rootfs /var/app/volumes/debian add_ports [ホストポート]:[コンテナポート]
設定したポートで外部からコンテナへのアクセスが可能となります。 デフォルトはTCPで、UDPも /udp を付けて使えます。スペースで分けて複数のポートを設定することができます。 以下の例では、ポート80、443(web)、UDPの69(tftp)にアクセスすることができ、コンテナのポート22(ssh)にはポート2222からアクセスすることができます。 例: add_ports 80:80 443:443 2222:22 69:69/udp | |
---|
pod を使う場合、このオプションはpodの設定にしないと有効になりませんのでご注意ください。 |
add_devices [ホストパス]:[コンテナパス]
コンテナでデバイスを作成して、使用可能となります。 コンテナパスを設定しない場合はホストと同じパスを使います。 複数のデバイスを作成したい場合はスペースで分けて設定してください。 例: add_devices /dev/galcore /dev/v4l/by-id/usb-046d_HD_Pro_Webcam_C920_78DA8CAF-video-index0:/dev/video3 ホストパスに「:」を含む場合は add_device "[ホストパス]" "[コンテナパス]" で追加できます。 例: add_device "/dev/v4l/by-path/platform-xhci-hcd.1.auto-usb-0:1.1:1.0-video-index1" "/dev/video3" コンテナパスに「:」を含むようなパスは設定できません。 add_volumes [ホストパス]:[コンテナパス]:[オプション]
指定するパスをコンテナ内でマウントして、データの保存や共有することができます。 ホストパスは以下のどちらかを指定してください。
/var/app/rollback/volumes/<folder> か <folder> :
アップデートの際に新しくコピー(snapshot)した場合、コピー先のみ変更しますので、
アップデート中でもこのデータを使うことができます。
途中で電源が落ちた場合でも、このデータに影響はありません。 SWUpdateでアップデートするデータに向いています。
/var/app/volumes/<folder> : appパーティションに書きます。
アップデートの際にコピーされませんので、アップデート中の新たな変更は
更新されたコンテナ内のアプリケーションで見れます。 ログやデータベースに向いています。 -
/tmp/<folder> : 複数のコンテナでメモリファイルシステムを共有したい場合に使ってください。
-
/opt/firmware : 学習能力に必要なファムウェアライブラリーのパス。
コンテナパスを設定しない場合はホストパスと同じパスを使います。 オプションは podman run の --volume のオプションになりますので、 ro (read-only), nodev , nosuid , noexec , shared , slave 等を設定できます。 例:add_volumes /var/app/volumes/database:/database : ロールバックされないデータを/databaseで保存します。 例: add_volumes assets:/assets:ro,nodev,nosuid /opt/firmware : アプリケーションのデータを/assetsで読み取り、/opt/firmwareのファームウェアを使えます。 「:」はホスト側のパスとコンテナのパスを別ける意味があるため、ファイル名やデバイス名に「:」を使うことはできません。 | |
---|
複数のコンテナでマウントコマンドを実行することがあれば、shared のフラグで起動後のマウントを共有することができます。
|
マウントを行うコンテナに shared の設定とマウント権限 (SYS_ADMIN ) を与えます。
| |
マウントを使うコンテナに slave だけを設定すれば一方にしか共有されません。
| |
USB デバイスをマウントします。
| |
マウントされたことを確認します。
|
|
add_hotplugs [デバイスタイプ]
コンテナ起動後に挿抜を行なっても認識される(ホットプラグ)デバイスを設定できます。 通常、コンテナ内からデバイスを扱うためには、あらかじめ Armadillo 本体に当該のデバイスを接続した状態で、コンテナを起動する必要がありますが、 add_hotplugs を使用することでホットプラグに対応できます。 例: add_hotplugs input add_hotplugs に指定できる主要な文字列とデバイスファイルの対応について、表6.1「add_hotplugsオプションに指定できる主要な文字列」に示します。
表6.1 add_hotplugsオプションに指定できる主要な文字列 文字列 | 引数の説明 | 対象のデバイスファイル |
---|
input | マウスやキーボードなどの入力デバイス | /dev/input/mouse0, /dev/input/event0 など | video4linux | USB カメラなどの video4linux デバイスファイル | /dev/video0 など | sd | USB メモリなどの SCSI ディスクデバイスファイル | /dev/sda1 など |
表6.1「add_hotplugsオプションに指定できる主要な文字列」に示した文字列の他にも、/proc/devicesの数字から始まる行に記載されている文字列を指定することができます。
図6.37「/proc/devicesの内容例」に示す状態の場合、デバイスタイプを示す文字列としては、各行の先頭の数字を除いた mem や pty などを指定できることがわかります。 デバイスタイプと実際のデバイスファイルの対応については、 カーネルドキュメント: devices.txt(Github) を参照してください。 複数のデバイスタイプを指定したい場合はスペースで分けて設定してください。 例: add_hotplugs input video4linux sd set_network [ネットワーク名]
この設定に「networkの作成」で作成したネットワーク以外に none と host の特殊な設定も選べます。 none の場合、コンテナに localhost しかないネームスペースに入ります。
host の場合はOSのネームスペースをそのまま使います。
例: set_network mynetwork set_ip [アドレス]
コンテナの IP アドレスを設定することができます。 例: set_ip 10.88.0.100 | |
---|
コンテナ間の接続が目的であれば、podを使ってlocalhostかpodの名前でアクセスすることができます。 |
set_readonly yes
コンテナ内からのファイルシステムへの書き込み許可を設定します。 デフォルトで書き込み可能となっています。 コンテナ内からのファイルシステムへの書き込みを禁止することで、
tmpfs として使うメモリの消費を明示的に抑えることができますが、
アプリケーションによっては読み込み専用のファイルシステムでは動作しない可能性もあります。 6.2.4.10. イメージの自動ダウンロード設定set_pull [設定]
この設定を missing にすると、イメージが見つからない場合にイメージを自動的にダウンロードします。 always にすると、イメージがすでにダウンロード済みでも起動前に必ず更新の確認を取ります。
デフォルトでは never で、イメージが見つからない場合にエラーを表示します。 例:set_pull missing か set_pull always set_restart [設定]
コンテナが停止した時にリスタートさせます。 podman kill か podman stop で停止する場合、この設定と関係なくリスタートしません。
デフォルトで on-failure になっています。 例: set_restart always か set_restart no 6.2.4.12. 信号を受信するサービスの無効化set_init no
コンテナのメインプロセスが PID 1 で起動していますが、その場合のデフォルトの信号の扱いが変わります: SIGTERM などのデフォルトハンドラが無効です。 そのため、init 以外のコマンドを set_command で設定する場合は podman-init のプロセスを PID 1 として立ち上げて、設定したコマンドをその子プロセスとして起動します。 例: set_init no set_autostart no
手動かまたは別の手段で操作するコンテナがある場合、Armadillo の起動時に自動起動しないようにします。 その場合、 podman_start <name> で起動させることができます。 | |
---|
コンフィグに記載していないイメージはアップデートの際に削除されますので、そういったイメージに対して設定してください。 |
set_command [コマンド]
コンテナを起動するときのコマンド。設定されなかった場合、コンテナイメージのデフォルトを使います。 例: set_command /bin/sh -c "echo bad example" 6.2.4.15. podman run に引数を渡す設定add_args [引数]
ここまでで説明した設定項目以外の設定を行いたい場合は、この設定で podman run に直接引数を渡すことができます。 例:add_args --cap-add=SYS_TTY_CONFIG --env=XDG_RUNTIME_DIR=/run/xdg_home 6.2.5. アットマークテクノが提供するイメージを使うアットマークテクノは、動作確認環境として使用できる Debian ベースのイメージを提供しています。
ここでは以下の 3 つの手順について説明します。 -
ABOSDE からインストールする方法
-
Docker ファイルからイメージをビルドする方法
-
すでにビルド済みのイメージを使う方法
6.2.5.1. ABOSDE からインストールする「VSCode を使用して Armadillo のセットアップを行う」を参照して、 Armadillo のセットアッププロジェクトを作成しておいてください。 VSCode の左ペインの [my_project] から [Generate at-debian-image container setup swu] を実行してください。 作成した SWU ファイルは container_setup/at-debian-image/at-debian-image.swu に保存されています。
この SWU イメージを 「SWU イメージのインストール」 を参照して Armadillo へインストールしてください。 6.2.5.2. Docker ファイルからイメージをビルドするArmadillo-640 コンテナ から
「Debian [VERSION] サンプル Dockerfile」 ファイル (at-debian-image-dockerfile-[VERSION].tar.gz) をダウンロードします。
その後 podman build コマンドを実行します。 podman images コマンドにより at-debian-image がビルドされたことが確認できます。
library/debian イメージはベースとなっている Debian イメージです。 Armadillo-640 コンテナ から
「Debian [VERSION] サンプルコンテナイメージ」 ファイル (at-debian-image-[VERSION].tar) をダウンロードします。
その後 podman load コマンドを実行します。 podman images コマンドにより at-debian-image がビルドされたことが確認できます。 6.2.6. alpine のコンテナイメージをインストールするalpine のコンテナイメージは、 ABOSDE を用いてインストールすることが可能です。
「VSCode を使用して Armadillo のセットアップを行う」を参照して、 Armadillo のセットアッププロジェクトを作成しておいてください。 VSCode の左ペインの [my_project] から [Generate alpine container setup swu] を実行してください。 作成した SWU ファイルは container_setup/alpine/alpine.swu に保存されています。
この SWU イメージを 「SWU イメージのインストール」 を参照して Armadillo へインストールしてください。 この章では、コンテナ内のネットワークを扱う方法について示します。 6.2.7.1. コンテナの IP アドレスを確認する基本的にコンテナの IP アドレスは Podman イメージからコンテナを作成したときに自動的に割り振られます。
コンテナに割り振られている IP アドレスはホスト OS 側からは podman inspect コマンドを用いて、以下のように確認することができます。 コンテナ内の ip コマンドを用いて確認することもできます。 6.2.7.2. コンテナに固定 IP アドレスを設定する | |
---|
podman はデフォルトで 10.88.0.0/16 を使います。 他に使用しているIPアドレスと被った場合等はコンテナに別のIPアドレスを設定してください。 |
コンテナに固定 IP アドレスを設定するためには、最初にユーザ定義のネットワークを作成する必要があります。
以下に 192.168.1.0/24 にユーザ定義のネットワークを作成する例を示します。 コンテナを作成する際に、上記で作成したネットワークと設定したい IP アドレスを渡すことで、
コンテナの IP アドレスを固定することができます。
以下の例では、IPアドレスを 192.168.1.10 に固定します。 コンテナの IP アドレスが、192.168.1.10 に設定されていることが確認できます。 この章では、コンテナ内で様々なサーバを構築する方法について示します。
この章で取り上げているサーバは alpine の apk コマンドでインストールすることが可能です。 ここでは、HTTP サーバとして Apache と lighttpd の 2 種類を使用する場合について説明します。 alpine イメージからコンテナを作成し、そのコンテナ内に Apache をインストールします。
コンテナ作成の際に、ホスト OS の 8080 番ポートをコンテナ内の 80 番ポートに転送する指定を行っています。 他の PC などの Web ブラウザから、ホスト OS の IP アドレスの 8080 番ポートに接続すると、
動作確認用ページが表示されます。
デフォルトでは、/var/www/localhost/htdocs ディレクトリにファイルを置くことで Web ブラウザから閲覧できます。
Apache の詳細な設定は、/etc/apache2 ディレクトリにある設定ファイルを編集することで変更可能です。 alpine イメージからコンテナを作成し、そのコンテナ内に lighttpd をインストールします。
コンテナ作成の際に、ホスト OS の 8080 番ポートをコンテナ内の 80 番ポートに転送する指定を行っています。 lighttpd はデフォルトでは動作確認用ページが用意されていないため、上記の手順では簡単なページを
/var/www/localhost/htdocs ディレクトリの下に配置しています。
他の PC などの Web ブラウザから、ホスト OS の IP アドレスの 8080 番ポートに接続すると表示されます。
lighttpd の詳細な設定は、/etc/lighttpd ディレクトリにある設定ファイルを編集することで変更可能です。 ここでは、FTP サーバとして vsftp を使用する場合について説明します。
alpine イメージからコンテナを作成し、そのコンテナ内に vsftpd をインストールします。
コンテナ作成の際に、FTP 通信で使用するポートについてホスト OS 側からコンテナ内のポートに転送する指定と、
コンテナ内の環境変数として PASV_ADDRESS にホスト OS 側の IP アドレスの指定を行っています。 コンテナ内にユーザアカウントを作成し、このユーザで ftp ログインできるようにします。 作成したユーザで ftp ログインできるように、vsftpd の設定ファイルを編集します。 編集した設定ファイルを指定して vftpd を起動することにより、ftp 接続可能となります。
ftp ログイン時のアカウントは前述の手順で作成したものを使用します。 ここでは、Samba サーバの構築方法について説明します。
alpine イメージからコンテナを作成し、そのコンテナ内に samba をインストールします。
コンテナ作成の際に、samba で使用するポートについてホスト OS 側からコンテナ内のポートに転送する指定を行っています。 コンテナ内にユーザアカウントを作成し、このユーザで samba にログインできるようにします。 samba を起動すると、前述の手順で作成したユーザアカウントで他の PC などからログインすることができます。 共有するディレクトリの指定などの詳細設定は /etc/samba/smb.conf ファイルを編集することで変更可能です。 ここでは、RDMS として sqlite を使用する場合について説明します。
alpine イメージからコンテナを作成し、そのコンテナ内に sqlite をインストールします。 コンテナ内に入り、sqlite3 コマンドを実行すると sqlite のプロンプトが表示され
データベースの操作ができるようになります。 この章では、コンテナ内で動作するアプリケーションから Armadillo-640 に接続されたディスプレイに
出力を行う方法について示します。 6.2.9.1. X Window System を扱うコンテナ内から、X Window System を起動し画面表示を行う例を示します。
ここではアットマークテクノが提供するイメージからコンテナを作成します。
このイメージに関しては 「アットマークテクノが提供するイメージを使う」 を参照してください。 |
X Window System に必要な tty を設定します。どこからも使われていない tty とします。
| |
画面描画先となるフレームバッファを設定します。
| |
キーボードやマウスなどを使用可能にするためのデバイスを設定します。
| |
ホスト OS 側の /run/udev をコンテナ内からマウントするように設定します。
| |
X Window System の動作に必要な権限を設定します。
|
次に、以下のように X Window System を起動します。
オプションである vt に設定する値は、コンテナ作成時に渡した tty の数字にします。 Armadillo-640 に接続しているディスプレイ上に、デスクトップ画面が表示されます。 コンテナ内で動作するアプリケーションからフレームバッファに直接描画するためには、Podman のイメージからコンテナを作成する際にホスト OS 側の
デバイスファイル /dev/fbN を渡す必要があります。以下は、/dev/fb0 を渡して alpine イメージからコンテナを作成する例です。 コンテナ内に入って、ランダムデータをフレームバッファに描画する例を以下に示します。
これにより、接続しているディスプレイ上の表示が変化します。 タッチパネルが組み込まれているディスプレイを接続している環境で、
コンテナ内からタッチイベントを取得するためには、Podman のイメージからコンテナを作成する際に
ホスト OS 側の /dev/input を渡す必要があります。 X Window System などの GUI 環境と組み合わせて使うことで、タッチパネルを利用した GUI アプリケーションの操作が可能となります。 この章では、コンテナ内からパワーマネジメント機能を使う方法について示します。 パワーマネジメント機能を使ってサスペンド状態にするには、Podman のイメージからコンテナを作成する際に
ホスト OS 側の /sys ディレクトリを渡す必要があります。
以下は、/sys を渡して alpine イメージからコンテナを作成する例です。ここで渡された /sys ディレクトリは
コンテナ内の /sys にマウントされます。 コンテナ内から、/sys/power/state に次の文字列を書き込むことにより、サスペンド状態にすることができます。 表6.2 対応するパワーマネジメント状態 パワーマネジメント状態 | 文字列 | 説明 |
---|
Suspend-to-RAM
| mem
| 最も消費電力を抑えることができる | Power-On Suspend
| standby
| Suspend-to-RAM よりも短時間で復帰することができ、Suspend-to-Idle よりも消費電力を抑えることができる | Suspend-to-Idle
| freeze
| 最も短時間で復帰することができる |
| |
---|
サスペンド状態を128秒以上継続する場合は、Suspend-to-RAM か +Power-On Suspend+を利用してください。 +Suspend-to-Idle+を利用している状態で128秒経過すると再起動してしまいます。 |
サスペンド状態から起床要因として、利用可能なデバイスを以下に示します。 -
UART1 (CON9)
-
起床要因
-
データ受信
-
有効化
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/drivers/imx-uart/2020000.serial/tty/ttymxc0/power/wakeup
-
USB OTG1 (下段)
-
起床要因
-
USBデバイスの挿抜
-
有効化
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/devices/2184000.usb/power/wakeup
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/drivers/ci_hdrc/ci_hdrc.0/power/wakeup
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/drivers/ci_hdrc/ci_hdrc.0/usb1/power/wakeup
-
USB OTG2 (上段)
-
起床要因
-
USBデバイスの挿抜
-
有効化
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/devices/2184200.usb/power/wakeup
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/drivers/ci_hdrc/ci_hdrc.1/power/wakeup
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/drivers/ci_hdrc/ci_hdrc.1/usb2/power/wakeup
-
RTC(i.MX6ULL)
-
起床要因
-
アラーム割り込み
-
有効化
[container ~]# echo enabled > /sys/bus/platform/devices/20cc000.snvs\:snvs-rtc-lp/power/wakeup -
実行例
Armadillo-640のパワーマネジメント機能は、LinuxのSPM(System Power Management)およびDPM(Device Power Management)を利用しています。パワーマネジメント状態を省電力モードに遷移させることにより、Armadillo-640の消費電力を抑えることができます。 パワーマネジメント状態を省電力モードに遷移させると、アプリケーションの実行は一時停止し、Linuxカーネルはサスペンド状態となります。起床要因が発生すると、Linuxカーネルのリジューム処理が行われた後、アプリケーションの実行を再開します。 6.2.11. コンテナからのpoweroff及びrebootArmadillo Base OSはbusybox initでshutdownとrebootを対応します。 busybox initでPID 1にsignalを送ることでshutdownやrebootとなります。
コンテナからsignalを送るように、pid namespaceを共有する必要がありますが、共有されたらkillで実行できます。 この章では、コンテナ内で動作しているアプリケーションに何らかの異常が発生し停止してしまった際に、
ソフトウェアウォッチドックタイマーを使って、システムを再起動する方法について示します。 6.2.12.1. ソフトウェアウォッチドッグタイマーを扱うコンテナ内で動作するアプリケーションからソフトウェアウォッチドックタイマーを扱うためには、Podman のイメージからコンテナを作成する際にホスト OS 側の
デバイスファイル /dev/watchdogN を渡す必要があります。以下は、/dev/watchdog0 を渡して alpine イメージからコンテナを作成する例です。 ソフトウェアウォッチドックタイマーは、プログラム内からデバイスファイル /dev/watchdog0 を open した時点で起動します。
コンテナ内に入ってソフトウェアウォッチドックタイマーを echo コマンドで起動する例を以下に示します。 ソフトウェアウォッチドックタイマーを起動した後、/dev/watchdog0 に任意の文字を書き込むことで
ソフトウェアウォッチドッグタイマーをリセットすることができます。
10 秒間任意の文字の書き込みがない場合は、システムが再起動します。 ソフトウェアウォッチドックタイマーを停止したい場合は、/dev/watchdog0 に V を書き込みます。 6.3. swupdate がエラーする場合の対処SWU イメージのインストール動作は、「SWU イメージとは」で述べたように swupdate が実行します。
mkswu で作成した SWU イメージの内容が適切でなかったり、あるいは、ストレージの空き容量が不足していたりするなど、いくつかの理由で swupdate のインストール動作が失敗することがあります。
インストールに失敗すると、swupdate は /var/log/messages にエラーメッセージのログを残しますので、エラーメッセージを見ると、エラーの内容・原因が分かります。 エラーの原因ごとに、エラーメッセージとエラーの内容および対処方法を記した FAQ ページ (https://armadillo.atmark-techno.com/faq/swupdate-troubleshooting-abos) を公開しています。
SWU イメージのインストールに失敗して対処法が分からないときは、この FAQ ページをご覧ください。 6.4. mkswu の .desc ファイルを編集するmkswu で SWU イメージを生成するためには、 desc ファイルを正しく作成する必要があります。
以下では、 desc ファイルの記法について紹介します。 swdesc_option component=<component>
swdesc_option version=<version>
か
swdesc_xxx --version <component> <version> [options]
<component>は以下のどれかにしてください (デフォルトでは .desc ファイルのファイル名を使います)
base_os : rootfs (Armadillo Base OS)を最初から書き込む時に使います。現在のファイルシステムは保存されていない。
この場合、/etc/swupdate_preserve_filesに載ってるファイルのみをコピーして新しいbase OSを展開します。 このcomponentがないと現在のrootfsのすべてがコピーされます。
extra_os.<文字列> : rootfsの変更を行う時に使います。<文字列> には任意の文字列を指定します。
rootfsを変更を行う時に使います。 swdesc_* コマンドに --extra-os オプションを追加すると、 component に自動的に extra_os. を足します。
<文字列> (コンテナの名前などの任意の文字列): rootfsの変更がないときに使います。
このcomponentを使うとrootfsの変更ができませんのでご注意ください。
アップデートを行う際にこのバージョンと現在のバージョンを比べてアップデートの判断を行います。
<component> がまだインストールされてなかった時や <version> が上がる時にインストールします。 デフォルトではダウングレードはできませんが、 --install-if=different オプションを追加することで <version> が変わる際にインストール可能になります。 アップデートの一部をインストールすることもありますので、複数の component で管理し、いくつかの古いバージョンに対応するアップデートも作成可能です。
6.4.2. Armadillo へファイルを転送する
swdesc_tar と swdesc_files でファイルを転送します。
swdesc_tar [--dest <dest>] <tar_file>
swdesc_files [--dest <dest>] [--basedir <basedir>] \
<file> [<more files>] swdesc_tar の場合、予め用意されてあるtarアーカイブをこのままデバイスで展開します。
--dest <dest> で展開先を選ぶことができます。デフォルトは / (--extra-os を含め、バージョンの component は base_os か extra_os.* の場合)か /var/app/rollback/volumes/ (それ以外のcomponent)。
後者の場合は /var/app/volumes と /var/app/rollback/volumes 以外は書けないので必要な場合に --extra-os を使ってください。
swdesc_files の場合、mkswu がアーカイブを作ってくれますが同じ仕組みです。
--basedir <basedir> でアーカイブ内のパスをどこで切るかを決めます。
-
例えば、
swdesc_files --extra-os --basedir /dir /dir/subdir/file ではデバイスに /subdir/file を作成します。
-
デフォルトは <file> から設定されます。ディレクトリであればそのまま basedir として使います。それ以外であれば親ディレクトリを使います。
6.4.3. Armadillo 上で任意のコマンドを実行する
swdesc_command や swdesc_script でコマンドを実行します。
swdesc_command <command> [<more commands>]
swdesc_script <script> アップデート先の環境でコマンドやスクリプトファイルを実行します。 バージョンの component は base_os と extra_os 以外の場合、 /var/app/volumes と /var/app/rollback/volumes 以外は変更できないのでご注意ください。 コマンドの実行が失敗した場合、アップデートも失敗します。
6.4.4. Armadillo にファイルを転送し、そのファイルをコマンド内で使用する
swdesc_exec でファイルを配り、コマンド内でそのファイルを使用します。
swdesc_exec <file> <command> swdesc_command と同じくコマンドを実行しますが、<file> を先に転送してコマンド内で転送したファイル名を"$1"として使えます。
6.4.5. 起動中の Armadillo で任意のコマンドを実行する
swdesc_command_nochroot , swdesc_script_nochroot , swdesc_exec_nochroot で起動中のシステム上でコマンドを実行します。
このコマンドは nochroot なしのバージョンと同じ使い方で、現在起動中のシステムに変更や確認が必要な場合にのみ使用してください。 | |
---|
nochroot コマンドは確認を一切しないため、Armadillo が起動できない状態になる可能性もあります。充分にご注意ください。
例が必要な場合は /usr/share/mkswu/examples/firmware_update.desc を参考にしてください。 |
6.4.6. Armadillo にコンテナイメージを転送する
swdesc_embed_container , swdesc_usb_container , swdesc_pull_container で予め作成したコンテナを転送します。
swdesc_embed_container <container_archive>
swdesc_usb_container <container_archive>
swdesc_pull_container <container_url> 例は「リモートリポジトリにコンテナを送信する」、「イメージを SWUpdate で転送する」を参考にしてください。
6.4.7. Armadillo のブートローダーを更新するコマンドの他には、設定変数もあります。以下の設定は /home/atmark/mkswu/mkswu.conf に設定できます。 -
DESCRIPTION="<text>" : イメージの説明、ログに残ります。
-
PRIVKEY=<path> , PUBKEY=<path> : 署名鍵と証明書
PRIVKEY_PASS=<val> : 鍵のパスワード(自動用)
openssl のPass Phraseをそのまま使いますので、pass:password , env:var や file:pathname のどれかを使えます。
pass や env の場合他のプロセスに見られる恐れがありますのでfileをおすすめします。
-
ENCRYPT_KEYFILE=<path> : 暗号化の鍵
6.4.9. Armadillo 上のコンテナイメージと自動起動用confファイルを削除する以下のオプションも mkswu.conf に設定できますが、.descファイルにも設定可能です。swdesc_option で指定することで、
誤った使い方をした場合 mkswu の段階でエラーを出力しますので、必要な場合は使用してください。 6.4.10. SWUpdate 実行中/完了後の挙動を指定する以下のオプションは Armadillo 上の /etc/atmark/baseos.conf に、例えば MKSWU_POST_ACTION=xxx として設定することができます。 その場合に swu に設定されなければ /etc の設定で実行されますので、
アットマークテクノが用意している Base OS のアップデートでも動作の変更は可能です。
swu に特定のオプションが設定された場合は設定されたオプションが優先されますので、一時的な変更も可能です。 -
swdesc_option POST_ACTION=container : コンテナのみのアップデート後に再起動を行いません。
コンテナの中身だけをアップデートする場合、Armadillo-640を再起動せずにコンテナだけを再起動させます。
-
swdesc_option POST_ACTION=poweroff : アップデート後にシャットダウンを行います。
-
swdesc_option POST_ACTION=wait : アップデート後に自動的に再起動は行われず、次回起動時にアップデートが適用されます。
-
swdesc_option POST_ACTION=reboot : デフォルトの状態に戻します。アップデートの後に再起動します。
swdesc_option NOTIFY_STARTING_CMD="command" , swdesc_option NOTIFY_SUCCESS_CMD="command" , swdesc_option NOTIFY_FAIL_CMD="command" : アップデートをインストール中、成功した場合と失敗した場合に実行されるコマンドです。
コマンドを実行する事で、アプリケーションやユーザーにアップデートを知らせることができます。 LEDで知らせる例を /usr/share/mkswu/examples/enable_notify_led.desc に用意してあります。
/usr/share/mkswu/examples/enable_sshd.desc を参考にします。
descファイルを編集する必要がありませんが自分の公開鍵を指定された場所に配置してください。 [ATDE ~/mkswu]$ cp -r /usr/share/mkswu/examples/enable_sshd* .
[ATDE ~/mkswu]$ cat enable_sshd.desc
swdesc_option component=extra_os.sshd version=1
# add your public key in enable_sshd/root/.ssh/authorized_keys
if [ -z "$SWDESC_TEST" ]; then
grep -qE '^ssh-' enable_sshd/root/.ssh/authorized_keys \
|| error "Add your keys in enable_sshd/root/.ssh/authorized_keys"
fi
swdesc_files --dest /root enable_sshd/root
swdesc_command "ssh-keygen -A" \
"rc-update add sshd"
[ATDE ~/mkswu]$ cp ~/.ssh/id_rsa.pub \
enable_sshd/root/.ssh/authorized_keys
[ATDE ~/mkswu]$ mkswu enable_sshd.desc
Enter pass phrase for /home/atmark/mkswu/swupdate.key:
enable_sshd.swu を作成しました。 |
自分の公開鍵を転送します。デフォルトのオプションなので enable_sshd/root ディレクトリの中身をこのまま /root に転送されます。
| |
再起動する度に新しいサーバーの鍵が変わらないように、アップデートの時に一回作成します。
| |
サービスを有効にします。
| |
自分の公開鍵を指定された場所に配置します。
| |
イメージを作成します。パスワードは証明鍵のパスワードです。
|
6.4.11.2. 例: Armadillo Base OSアップデートここでは、「Armadilloのソフトウェアをビルドする」でメインシステム向けのビルドで作成したファイルを使用します。 /usr/share/mkswu/examples/OS_update.desc を参考にします。
[ATDE ~/mkswu]$ cp /usr/share/mkswu/examples/OS_update.desc update-[VERSION].desc
[ATDE ~/mkswu]$ vi update-[VERSION].desc
# uboot image can be generated with atmark imx-boot script
swdesc_uboot imx-boot_armadillo_x2
# base OS is a tar that will be extracted on a blank filesystem,
# after copying just a few key config files.
#
# OS updates are only installed if version is greater than previous update
# so if you install your own updates atmark-techno provided Armadillo Base OS
# updates might not get installed
swdesc_tar "baseos-x2-[VERSION].tar.zst" \
--version base_os [VERSION]
[ATDE ~/mkswu]$ mkswu update-[VERSION].desc
Enter pass phrase for /home/atmark/mkswu/swupdate.key:
update-[VERSION].swu を作成しました。 |
imx-bootでビルドしたイメージを使います。
| |
build-rootfsでビルドしたイメージを使います。
| |
バージョンが上がるときにしかインストールされませんので、現在の/etc/sw-versionsを確認して適切に設定してください。
| |
イメージを作成します。パスワードは証明鍵の時のパスワードです。
|
6.4.11.3. 例: swupdate_preserve_files で Linux カーネル以外の Armadillo-640 向けのイメージをインストールする方法Armadillo-640 向けのアップデートイメージに Linux カーネルが含まれています。 swupdate_preserve_files を使って、以下のコマンドでインストール後に現在のカーネルをコピーして更新させないようにします。
[armadillo ~]# echo 'POST /boot' >> /etc/swupdate_preserve_files
[armadillo ~]# echo 'POST /lib/modules' >> /etc/swupdate_preserve_files
[armadillo ~]# persist_file /etc/swupdate_preserve_files |
swupdate_preserve_files に /boot と /lib/modules を保存するように追加します。
| |
変更した設定ファイルを保存します
|
| |
---|
/usr/share/mkswu/examples/kernel_update*.desc のように update_preserve_files.sh のヘルパーで、パスを自動的に /etc/swupdate_preserve_files に追加することができます。
[ATDE ~/mkswu]$ cat example.desc
swdesc_script "$SCRIPT_DIR/examples/update_preserve_files.sh" -- \
"POST /boot" \
"POST /lib/modules" |
スクリプトの内容確認する場合は /usr/share/mkswu/examples/update_preserve_files.sh を参照してください。
|
|
| |
---|
Armadillo Base OS のカーネルを再び使用したい場合は同じスクリプトの --del オプションで行を削除することができます。 [ATDE ~/mkswu]$ cat example.desc
swdesc_script "$SCRIPT_DIR/examples/update_preserve_files.sh" -- \
--del "POST /boot" "POST /lib/modules" |
6.5. swupdate_preserve_files についてextra_os のアップデートで rootfs にファイルを配置することができますが、次の OS アップデートの際に削除される可能性があります。
デフォルトでは、 /etc/atmark と、 swupdate 、 sshd やネットワークの設定を保存しますがそれ以外はコピーされてません。 そうでないファイルを更新する際には /etc/swupdate_preserve_files に記載します。「例: swupdate_preserve_files で Linux カーネル以外の Armadillo-640 向けのイメージをインストールする方法」 を参考にしてください。 コピーのタイミングによって、以下のどれかを使用してください:
単にファイルを記載する
この場合、アップデートする前にファイルをコピーします。 baseos のイメージと同じ swu にアップデートしたいファイルを記載していても、
このファイルが Armadillo Base OS に含まれないのであれば問題なくアップデートできます。 例: echo "/root/.profile" >> /etc/swupdate_preserve_files
POST のキーワードの後に記載する
この場合、アップデートの最後でコピーします。 Armadillo Base OS に含まれてるファイルであれば、インストール前にコピーしても保存されないのでコピーのタイミングをずらします。 そのコピーが最後に行われるので、同じアップデートでファイルの変更ができません。アップデートを別けて、 baseos のイメージをインストールしてからこのファイルを更新することができます。 例: echo "POST /etc/conf.d/podman-atmark" >> /etc/swupdate_preserve_files
mkswu --show [file.swu] で SWU イメージの内容を確認することができます。
出力は desc ファイルに似ていますが、そのまま desc ファイルとして利用できませんので確認用としてお使いください。 [ATDE ~/mkswu]$ mkswu --show enable_sshd.swu
enable_sshd.swu
# built with mkswu 4.1
swdesc_files --dest /root enable_sshd/root
--version extra_os.sshd 1
(encrypted)
swdesc_command ssh-keygen -A && rc-update add sshd default
--version extra_os.sshd 1 mkswu --init の時に暗号化を有効にする場合は AES でファイルを暗号化します。
現在使われてる SWUpdate の暗号化はコマンドやメタデータを含む sw-description ファイルは暗号化されてません。
そのため、通信の暗号化(HTTPSで送信するなど)を使うことを推奨します。 6.8. Web UI から Armadillo をセットアップする (ABOS Web)ABOS Web は、Web ブラウザから Armadillo の動作設定を行う機能で、ABOS (Armadillo Base OS) を搭載する全ての Armadillo に対応しています。 詳細は、「ABOS Web とは」を参照してください。 ABOS Web は、ABOS の詳細や Linux のコマンドシェルの操作に詳しくない方でも、簡単に Armadillo のセットアップを行なえることを目的にしています。
そのための、Armadillo の動作設定を行う機能ですから、動作設定以外のこと、たとえば、Armadillo の動作状態を監視したりすることは、できません。
さらに、Armadillo をインターネットから設定操作する、リモート操作もできません。
セキュリティの観点から、ABOS Web は、同じ LAN 内からの接続しか受け付けないように実装しています。 ABOS Web でできる Armadillo の設定については、「ABOS Web の設定機能一覧と設定手順」を参照してください。
なお、ABOS Web は OSS で提供していますので、現在の ABOS Web に無い設定機能を、ご自分で実装して機能追加することも可能です。 6.8.2. ABOS Web の設定機能一覧と設定手順現在、ネットワークに関して ABOS Web で設定できるのは以下のものです。 -
WWAN設定
-
WLAN設定
-
各接続設定(各ネットワークインターフェースの設定)
-
DHCPサーバー設定
-
NAT設定
-
VPN設定
これらについては、「ネットワーク設定」で紹介していますので、そちらを参照してください。 ネットワーク以外にも ABOS Web は以下の機能を持っています。 本章では、これらのネットワーク以外の設定項目について紹介します。 ABOS Web から Armadillo 上のコンテナを一覧表示して、コンテナごとに起動・停止を行うことができます。 ABOS Web のトップページから、"コンテナ管理"をクリックすると、図6.71「コンテナ管理」の画面に遷移します。 この画面では、ABOS 上にあるコンテナ全てについて、イメージ名やコンテナ名、現在状態を一覧表示します。
コンテナの一覧表示欄で選択したコンテナに対し、起動と停止、および、コンテナから出力されたログの表示を行うことができます。 | |
---|
「VPN設定」に記載のとおり、VPN 接続を設定すると、abos_web_openvpn のコンテナが作成されます。
VPN 接続中は、このコンテナが動作状態になっており、このコンテナをコンテナ管理画面で停止すると、VPN 接続が切断されます。 |
ABOS Web から PC 上の SWU イメージや HTTP サーバー上の SWU イメージを Armadillo にインストールすることができます。 SWU イメージについては、「SWU イメージとは」を参照してください。 ABOS Web のトップページから、"SWU インストール"をクリックすると、図6.72「SWU インストール」の画面に遷移します。 この画面では、PC 上の SWU イメージファイルまたは、HTTP サーバー上の SWU イメージファイルの URL を指定して、Armadillo にインストールすることができます。
Armadillo のソフトウェアのアップデート用に最初に行う設定で作成する initial_setup.swu が、まだ Armadillo にインストールされていなければ、"mkswu --init で作成した initial_setup.swu をインストールしてください。" というメッセージを画面上部に表示します。 SWU イメージのインストール動作を実行する時には、進行状況を示すログを表示します。
"現在の SWU で管理されているバージョン" 欄には、ABOS の各ソフトウェアコンポーネントの名前とバージョン情報を一覧表示します。 6.9. ssh 経由で Armadillo Base OS にアクセスするArmadillo-640 にはopensshがインストールされていますが、デフォルトではSSHサーバーが起動していません。 SSHサーバーを自動的に起動するようにするためには、以下のコマンドを実行してください。 [armadillo:~]# rc-update add sshd
* service sshd added to runlevel default
[armadillo ~]# persist_file /etc/runlevels/default/sshd
[ 2819.277066] EXT4-fs (mmcblk2p1): re-mounted. Opts: (null)
[armadillo ~]# reboot 上記の例では、再起動後も設定が反映されるように、 persist_file コマンドでeMMCに設定を保存しています。 6.10. コマンドラインからネットワーク設定をする基本的に、 Armadillo-640 のネットワーク設定は、「ネットワーク設定」で紹介したとおり、 ABOS Web で行います。
しかし、 ABOS Webで対応できない複雑なネットワーク設定を行いたい場合などは、コマンドラインからネットワークの設定を行うことも可能です。 ここでは、コマンドラインからネットワークを設定する方法について説明します。 Armadillo-640 は、1つの Ethernet ポートが搭載されています。
Linuxからは、 eth0 に見えます。 表6.3 ネットワークとネットワークデバイス ネットワーク | ネットワークデバイス | 出荷時の設定 |
---|
Ethernet | eth0
| DHCP |
Armadillo-640 の IP アドレスを確認するには、ip addr コマンドを使用します。 inet となっている箇所が IP アドレスです。
特定のインターフェースのみを表示したい場合は、以下のようにします。
Armadillo-640 では、通常の Linux システムと同様、ネットワークインターフェースの設定は NetworkManager を使用します。
NetworkManager はすべてのネットワーク設定をコネクションとして管理します。コネクションには「どのようにネットワークへ接続するか」、
「どのようにネットワークを作成するか」を記述し、 /etc/NetworkManager/system-connections/ に保存します。
また、1つのデバイスに対して複数のコネクションを保存することは可能ですが、1つのデバイスに対して有効化にできるコネクションは1つだけです。 NetworkManager は、従来の /etc/network/interfaces を使った設定方法もサポートしていますが、本書では nmcli を用いた方法を中心に紹介します。 nmcli は NetworkManager を操作するためのコマンドラインツールです。
図6.76「nmcli のコマンド書式」に nmcli の書式を示します。このことから、 nmcli は「オブジェクト (OBJECT) というものが存在し、
それぞれのオブジェクトに対してコマンド (COMMAND) を実行する。」という書式でコマンドを入力することがわかります。
また、オブジェクトそれぞれに help が用意されていることもここから読み取れます。
ここでは nmcli の、基本的な使い方を説明します。 登録されているコネクションの一覧を確認するには、次のようにコマンドを実行します。
[] 表示された NAME については、以降 [ID] として利用することができます。 コネクションを有効化するには、次のようにコマンドを実行します。 コネクションを無効化するには、次のようにコマンドを実行します。 コネクションを作成するには、次のようにコマンドを実行します。 [ID] にはコネクションの名前(任意)、[type] には ethernet、wifi といった接続タイプ、
[interfacename] にはインターフェース名(デバイス)を入力します。
これにより /etc/NetworkManager/system-connections/ に[ID]の名前でコネクション
ファイルが作成されます。このファイルを vi などで編集し、コネクションを修正する
ことも可能です。 Armadillo-640 を再起動したときにコネクションファイルが消えてしまわないように、
persist_file コマンドで永続化する必要があります。
persist_file コマンドに関する詳細は「persist_file について」を参照してください。 | |
---|
別の Armadillo-640 からコネクションファイルをコピーした場合は、コネクションファイルの
パーミッションを 600 に設定してください。
600 に設定後、 nmcli c reload コマンドでコネクションファイルを再読込します。 [armadillo ~]# chmod 600 /etc/NetworkManager/system-connections/<コネクションファイル名>
[armadillo ~]# persist_file /etc/NetworkManager/system-connections/<コネクションファイル名>
[armadillo ~]# nmcli c reload swu イメージを使用してコネクションファイルのアップデートを行う場合は、
swu イメージに含めるコネクションファイルのパーミッションを 600 に設定してから、
swu イメージを作成してください。
アップデート実行時には swu イメージ作成時のパーミッションが維持されるため、
上記のコマンド実行手順は不要です。
swu イメージに関しては 「アップデート機能について」 を参考にしてください。 |
コネクションを削除するには、次のようにコマンドを実行します。 これにより /etc/NetworkManager/system-connections/ のコネクションファイルも同時に削除されます。
コネクションの作成と同様に persist_file コマンドで永続化する必要があります。 DHCP に設定する例を、図6.86「DHCP の設定」に示します。 | |
---|
-ipv4.addresses のように、プロパティ名の先頭に "-" を付けることで設
定したプロパティを削除することができます。反対に "+" を付けることで
プロパティを追加することができます。
|
有効化されているコネクションを修正した場合、かならず修正したコネクションを再
度有効化してください。 デバイスの一覧(デバイス名、タイプ、状態、有効なコネクション)を確認するには、次のようにコマン
ドを実行します。 デバイスを接続するには、次のようにコマンドを実行します。 | |
---|
デバイスを接続するには、接続しようとしているデバイスの有効なコネク
ションが必要です。"Error: neither a valid connection nor device
given" というメッセージが表示された場合には、 nmcli connection など
で有効なコネクションがあるかを確認してください。 |
デバイスを切断するには、次のようにコマンドを実行します。 有線 LAN で正常に通信が可能か確認します。設定を変更した場合、必ず変更したインターフェースを再度有効化してください。 同じネットワーク内にある通信機器と PING 通信を行います。以下の例では、通信機器が「192.0.2.20」という IP アドレスを持っていると想定しています。 |
-I オプションでインターフェースを指定できます。
|
| |
---|
有線 LAN 以外のインターフェースが有効化されている場合、ルーティングの設定などにより、ネットワーク通信に有線 LAN が使用されない場合があります。
設定を必ず確認してください。確実に有線 LAN の接続確認をする場合は、有線 LAN 以外のインターフェースを無効化してください。 |
ここでは、microSDHC カードを接続した場合を例にストレージの使用方法を説明します。
以降の説明では、共通の操作が可能な場合に、microSD/microSDHC/microSDXCカードを microSD カードと表記します。 Linux では、アクセス可能なファイルやディレクトリは、一つの木構造にまとめられています。あるストレージデバイスのファイルシステムを、
この木構造に追加することを、マウントするといいます。マウントを行うコマンドは、 mount です。 mount コマンドの典型的なフォーマットは、次の通りです。
-t オプションに続く fstype には、ファイルシステムタイプを指定します。ファイルシステムタイプの指定は省略可能です。
省略した場合、mount コマンドはファイルシステムタイプを推測します。この推測は必ずしも適切なものとは限りませんので、
事前にファイルシステムタイプが分かっている場合は明示的に指定してください。
FAT32 ファイルシステムの場合は vfat 、EXT3 ファイルシステムの場合は ext3 を指定します。
| |
---|
通常、購入したばかりの microSDHC カードは FAT32 または exFAT ファイルシステムでフォーマットされています。 |
device には、ストレージデバイスのデバイスファイル名を指定します。microSD カードのパーティション1の場合は /dev/mmcblk1p1 、
パーティション2の場合は /dev/mmcblk1p2 となります。
dir には、ストレージデバイスのファイルシステムをマウントするディレクトリを指定します。
SD インターフェース (CON1) に microSD カードを挿入し、以下に示すコマンドを実行すると、
/mnt ディレクトリに microSD カードのファイルシステムをマウントすることができます。
microSDカード内のファイルは、/mnt ディレクトリ以下に見えるようになります。 ストレージを安全に取り外すには、アンマウントという作業が必要です。アンマウントを行うコマンドは、 umount です。
オプションとして、アンマウントしたいデバイスがマウントされているディレクトリを指定します。 6.11.3. ストレージのパーティション変更とフォーマット通常、購入したばかりの microSD カードや USB メモリは、一つのパーティションを持ち、FAT32ファイルシステムでフォーマットされています。 パーティション構成を変更したい場合、 fdisk コマンドを使用します。 fdisk コマンドの使用例として、
一つのパーティションで構成されている microSD カードのパーティションを、2つに分割する例を図6.95「fdiskコマンドによるパーティション変更」に示します。
一度、既存のパーティションを削除してから、新たにプライマリパーティションを二つ作成しています。先頭のパーティションには 100MByte、
二つめのパーティションに残りの容量を割り当てています。先頭のパーティションは /dev/mmcblk1p1 、二つめは /dev/mmcblk1p2 となります。 FAT32 ファイルシステムでストレージデバイスをフォーマットするには、 mkfs.vfat コマンドを使用します。
また、EXT2 や EXT3、EXT4 ファイルシステムでフォーマットするには、mkfs.ext2 や mkfs.ext3 、
mkfs.ext4 コマンドを使用します。
microSD カードのパーティション1を EXT4 ファイルシステムでフォーマットするコマンド例を次に示します buttond サービスを使用することで、ボタンやキー入力をトリガーとする処理を簡単に実装できます。
/etc/atmark/buttond.conf に BUTTOND_ARGS を指定することで、動作を指定することができます:
以下にデフォルトを維持したままで SW1 の短押しと長押しのそれぞれの場合にコマンドを実行させる例を示します。 |
buttond の設定ファイルを編集します。この例では、短押しの場合 /tmp/shotpress に、5 秒以上の長押しの場合 /tmp/longpress に日付を出力します。
| |
設定ファイルを保存します。
| |
buttond サービスを再起動させます。ここでは再起動後短押しを 2 回、長押しを 1 回行ったとします。
| |
押された回数を確認します。
|
| |
---|
Debian 版と ABOS 3.18.4-at.4 以前では、 SW1 の押下を ENTER キーのリリースとして割り当てていました。
ABOS 3.18.4-at.4 以降の ABOS で同じ動作にしたい場合は armadillo-600-button-enter.dtbo を /boot/overlays.txt に追加してください。
詳細は 「DT overlay によるカスタマイズ」 を参照ください。 |
USB キーボードや他の入力デバイスにも対応できます。
デバイスを接続してから、 buttond でデバイス名とキーコードを確認します。
|
buttond を -vvv で冗長出力にして、すべてのデバイスを指定します。
| |
希望のキーを押すと、LEFTCTRL が三つのパスで認識されました。 一番安定する by-id のパスを控えておきます。
|
USB デバイスを外すこともありますので、-i (inotify) で管理されてる入力デバイスとして追加します。
そうしないとデバイスを外したときにbuttondが停止します。
6.12.3. Armadillo 起動時にのみボタンに反応する方法Armadillo 起動時にのみ、例として SW1 の長押しに反応する方法を紹介します。 /etc/local.d/boot_switch.start に稼働期間を指定した buttond を起動させる設定を記載します。
buttond が起動してから 10秒以内に SW1 を一秒以上長押しすると myapp のコンテナの親プロセスに USR1 信号を送ります(アプリケーション側で信号を受信して、デバッグモードなどに切り替える想定です)。
SW1 が Armadillo 起動前に押された場合は、buttond の起動一秒後に実行されます。 |
SW1 の入力を /dev/input/by-path/platform-gpio-keys-event ファイルの PROG1 として認識できます。
| |
buttond 起動後 10 秒経過すると終了します。
| |
SW1 を一度検知した後すぐに終了します。
| |
サービスとして動作させる必要がないため & を付けてバックグラウンド起動します。
|
6.13. 動作中の Armadillo の温度を測定するこの章では、Armadillo Base OS 搭載製品を組み込んだユーザー製品の熱設計時に役立つ温度プロファイラツールである「atmark-thermal-profiler」について紹介します。 Armadillo は製品ごとに動作温度範囲が設定されていますが、それらはあくまでも標準筐体に放熱材と共に取り付けて使用した場合の目安であり、実運用時には自作の筐体の使用や放熱の有無などで記載のスペック通りにならない場合があります。
また、 Armadillo には CPU または SoC が特定の温度以上になると、自動的にシャットダウンするサーマルシャットダウン機能が搭載されています。
そのため、現実的には Armadillo を組み込んだ製品を運用時と同等の環境で動作させつつ、実際に温度を計測して実運用時の CPU 及び SoC 温度がどの程度まで上がるか、サーマルシャットダウンは起こらないかを確かめる必要があります。 Armadillo Base OS 搭載製品では、動作中の Armadillo の各種温度等を取得しCSV形式で出力する atmark-thermal-profiler を利用することができますので、温度測定に役立てることができます。 6.13.2. atmark-thermal-profiler をインストールするatmark-thermal-profiler は apk パッケージで公開されていますので、apk add コマンドでインストールすることが可能です。 | |
---|
atmark-thermal-profiler はデバッグ(開発)用途で温度情報を収集及び解析するツールです。
atmark-thermal-profiler は、他の apk パッケージと同様に persist_file -a コマンドで永続的にインストールしておくことが可能ですが、
ログの保存のために Armadillo が起動している間 eMMC への書き込みを続けるので、 Armadillo を組み込んだ製品の運用時に動かしたままにしておくことは推奨しません。 atmark-thermal-profiler を永続的にインストールする場合は、運用時には必ず削除してください。 |
6.13.4. atmark-thermal-profiler が出力するログファイルを確認するatmark-thermal-profiler は、インストール直後から自動的に温度やCPU負荷率、Load Averageなどの情報を30秒に1度の周期で集め、/var/log/thermal_profile.csvに追記していきます。 thermal_profile.csv の1行目はヘッダ行です。
各列についての説明を表6.5「thermal_profile.csvの各列の説明」に記載します。 表6.5 thermal_profile.csvの各列の説明 ヘッダ | 説明 |
---|
DATE | その行のデータ取得日時です。 "年-月-日T時:分:秒+タイムゾーン" の形式で出力されます。 | ONESHOT | この列が1の行のデータは、サーマルシャットダウンを含むシャットダウンが実行された時に取得されたことを示します。 | CPU_TEMP | 計測時点の CPU 温度を示します。単位は℃です。 | SOC_TEMP | 計測時点の SoC 温度を示します。単位は℃です。製品よっては非対応で、その場合は空白になります。 | LOAD_AVE | 計測時点から直近1分間のLoad Averageです。 | CPU_1 | 計測時点のCPU使用率1位のプロセスです。 | CPU_2 | 計測時点のCPU使用率2位のプロセスです。 | CPU_3 | 計測時点のCPU使用率3位のプロセスです。 | CPU_4 | 計測時点のCPU使用率4位のプロセスです。 | CPU_5 | 計測時点のCPU使用率5位のプロセスです。 | USE_1 | 計測時点のCPU使用率1位のプロセスのCPU使用率です。 | USE_2 | 計測時点のCPU使用率2位のプロセスのCPU使用率です。 | USE_3 | 計測時点のCPU使用率3位のプロセスのCPU使用率です。 | USE_4 | 計測時点のCPU使用率4位のプロセスのCPU使用率です。 | USE_5 | 計測時点のCPU使用率5位のプロセスのCPU使用率です。 |
atmark-thermal-profiler を使用して得られたログファイルの内容を分析してみます。 6.13.5.1. サーマルシャットダウン温度の確認予め、使用している Armadillo が何℃でサーマルシャットダウンするか確認しておきます。
ここでは、 Armadillo Base OS を搭載している Armadillo-IoT ゲートウェイ G4 を例とします。
他の製品では得られる結果が異なる場合があることに注意してください。 |
CPU のサーマルシャットダウン温度です。ミリ℃で表記されているので、105℃でサーマルシャットダウンすることがわかります。
| |
SoC のサーマルシャットダウン温度です。ミリ℃で表記されているので、105℃でサーマルシャットダウンすることがわかります。
|
atmark-thermal-profiler が出力するログ(thermal_profile.csv)はCSVファイルなので、各種表計算ソフトでインポートしてグラフ化することが可能です。
これにより Armadillo 動作中の温度の変化が可視化され、得られる情報が見やすくなります。 図6.106「Armadillo-IoT ゲートウェイ G4で取得した温度のグラフ」は Armadillo-IoT ゲートウェイ G4上で一定期間 atmark-thermal-profiler を実行して取得した thermal_profile.csv を Google スプレッドシートでグラフ化したものです。
例のために、途中で stress-ng コマンドを実行して CPU に負荷を与えた後、 stress-ng コマンドを停止して CPU と SoC の温度が下がるのを待った際のデータです。 グラフの縦軸は温度(℃)で、横軸は時間です。青い線は CPU の温度、赤い線は SoC の温度を表しています。
このグラフと、「サーマルシャットダウン温度の確認」で得たサーマルシャットダウン温度を見比べると、 CPU に負荷をかけた際であっても SoC の温度は 60℃ 前後ほどまでしか上がらず、 この条件で動く Armadillo が温度的にどれほど余裕を持っているかをひと目で確認できます。 atmark-thermal-profiler は、時間毎の温度だけでなく CPU 使用率と CPU 使用率の高いプロセスについても取得して記録します。
CPU 使用率については thermal_profile.csv の CPU_1〜CPU_5 列と、 USE_1〜USE_5 列を参照してください。
各列について詳しくは表6.5「thermal_profile.csvの各列の説明」にまとまっています。 一般的に CPU 使用率が高くなると、 CPU 周辺の温度も高くなります。
そのため、測定した温度が高い場合は、 CPU 使用率の高いプロセスに注目して、 CPU を無駄に使用している意図しない処理が行なわれていないかなどを確認することをおすすめします。 Armadillo-640の温度センサーは、i.MX6ULLのTEMPMON(Temperature Monitor)を利用しています。 起動直後の設定では、ARMまたはSoCの測定温度が 105°C以上になった場合、Linuxカーネルはシステムを停止します。 -
機能
-
sysfs thermalクラスディレクトリ
-
/sys/class/thermal/thermal_zone0
6.14. Armadillo Base OS をアップデートするArmadillo Base OS は SWUpdate によってアップデートすることができます。 アップデートする際には、rootfs ファイルシステムにインストールされたファイルをすべて消して、アップデートの中身と /etc/swupdate_preserve_files に記載されているファイルで新しい rootfs を作ります。「swupdate_preserve_files について」 を参照してください。 アップデートでファイルを削除してしまった場合に abos-ctrl mount-old で前のシステムを read-only でマウントして、
削除されたファイルをコピーすることもできます。 Armadillo Base OS の ルートファイルシステムが壊れて起動できなくなった場合に自動的に前のバージョンで再起動します。 自分で確認する必要がある場合に abos-ctrl status でロールバックされてるかどうかの確認ができます。 必要な場合(例えば、自分のアプリケーションがアップデート直後に問題があった場合)、 abos-ctrl rollback で手動のロールバックも可能です。ロールバックにエラーがなければ、再起動してロールバックを完了します。 なお、/var/at-log/atlog に切り替えの際に必ずログを書きますので、調査の時に使ってください。 6.16. Armadillo 起動時にコンテナの外でスクリプトを実行する起動時に何かスクリプトを走らせるためにはコンテナとして実行することを推奨します。 「コンテナ起動設定ファイルを作成する」 を参照してください。 コンテナで実行不可能な場合に、「local」サービスを使うことができます: /etc/local.d ディレクトリに
.start ファイルを置いておくと起動時に実行されて、 .stop ファイルは終了時に実行されます。 |
スクリプトを作ります。
| |
スクリプトを実行可能にします。
| |
スクリプトを保存して、再起動します。
| |
実行されたことを確認します。
|
u-boot の環境変数を変更するには /boot/uboot_env.d/ ディレクトリに環境変数が書かれた設定ファイルを配置します。 ファイルの構文は fw_setenv が扱うことができるもので、以下のとおりです: -
# で始まる行はコメントと扱われる為、無視されます。また、 環境変数への代入を示す = がない場合も無視されます。
-
[変数]=[値] で変数を設定します。スペースや引用符を含め他の文字は有効ですので、変数の名前と値に不要な文字を入れないように注意してください。
-
[変数]= で変数を消します。値がない場合に変数が消去されます。
このファイルによるアップデート内容は swupdate でアップデートする際に適用されます。 実行中のシステムに影響がありませんので、設定ファイルを swupdate で転送しない場合はファイル永続化後に fw_setenv -s /boot/uboot_env.d/[ファイル名] で変数を書き込んでください。 swupdate でファイルを転送した場合には、変数はすぐに利用されます。 |
コンフィグファイルを生成します。
| |
ファイルを永続化します。
| |
変数を書き込みます。
| |
書き込んだ変数を確認します。
|
| |
---|
mkswu バージョン 4.4 以降が必要です。必要な場合はアップデートしてください。 [ATDE ~]$ sudo apt update && sudo apt upgrade 書き方は、 /usr/share/mkswu/examples/uboot_env.desc を参考にしてください。 |
| |
---|
「ブートローダーをビルドする」 の際に u-boot のデフォルトを変更した場合や、u-boot のプロンプトで「setenv」や「saveenv」を実行しても、 /boot/uboot_env.d/00_defaults によって変更がアップデートの際にリセットされます。 00_defaults のファイルは Base OS の一部で更新されることもありますので、変更を望む場合は別のファイルを作って設定してください。
ファイルはアルファベット順で処理されます。 00_defaults にある変数を後のファイルにも設定した場合はそのファイルの値だけが残ります。
|
主要なu-bootの環境変数を以下に示します。 表6.6 u-bootの主要な環境変数 環境変数 | 説明 | デフォルト値 |
---|
console | コンソールのデバイスノードと、UARTのボーレート等を指定します。 | ttymxc0,115200 | bootcount | 起動回数を示します。初回起動時に1となり、起動に失敗する度にインクリメントされます。ユーザーランドのbootcountサービスが起動されると、この値はクリアされます。この値が"bootlimit"を越えた場合はロールバックします。ロールバックの詳細については、「ロールバック(リカバリー)」を参照してください。 | 1 | bootlimit | "bootcount"のロールバックを行うしきい値を指定します。 | 3 | bootdelay | 保守モードに遷移するためのキー入力を待つ時間を指定します(単位:秒)。次の値は特別な意味を持ちます。
-
-1: キー入力の有無に関らず保守モードに遷移します。
-
-2: キー入力の有無に関らず保守モードに遷移しません。
| 0 | image | Linuxカーネルイメージファイルのパスです。"mmcdev"で指定されたデバイスの、"mmcpart"で指定されたパーティションのルートディレクトリからの相対パスで指定します。 | boot/Image | fdt_file | DTBファイルのパスです。"mmcdev"で指定されたデバイスの、"mmcpart"で指定されたパーティションのルートディレクトリからの相対パスで指定します。 | boot/armadillo.dtb | overlays_list | DT overlayの設定ファイルのパスです。"mmcdev"で指定されたデバイスの、"mmcpart"で指定されたパーティションのルートディレクトリからの相対パスで指定します。DT overlayの詳細については、「DT overlay によるカスタマイズ」を参照してください。 | boot/overlays.txt | mmcautodetect | mmcデバイスの自動検出機能の有効/無効を指定します。yesを指定した場合のみ、u-bootが起動されたmmcデバイスが自動的にmmcdevとして利用されます。 | yes | mmcdev | "image"や"fdt_file"で指定されたファイルが配置してあるmmcデバイスのインデックスを指定します。インデックスとmmcデバイスの対応は次の通りです。
-
0: eMMC
-
1: microSD/microSDHC/microSDXC カード
"mmcautodetect"にyesが指定されている場合は、u-bootの起動時に上書きされます。 | 0 | mmcpart | "image"や"fdt_file"で指定されたファイルが配置してある、"mmcdev"で指定されたmmcデバイスのパーティション番号を指定します。"mmcautodetect"にyesが指定されている場合は、u-bootの起動時に上書きされます。 | 1 | mmcroot | ルートファイルシステムが配置されているデバイスノードと、マウントオプションを指定します。"mmcautodetect"にyesが指定されている場合は、u-bootの起動時に上書きされます。overlayfsが正しく機能しなくなる場合があるので、roの指定は変更しないでください。 | /dev/mmcblk0p1 rootwait ro | optargs | Linuxカーネル起動時パラメータを指定します。"quiet"を削除すると、コンソールに起動ログが出力されるようになりますが、起動時間が長くなります。nokaslrを削除すると、KASLR(Kernel Adress Space Layout Randomization)が有効となり、Linuxカーネルの仮想アドレス空間がランダム化されます。 | quiet nokaslr | loadaddr | LinuxカーネルがRAMにロードされる物理アドレスを指定します。 | 0x80800000 | fdt_addr | DTBがRAMにロードされる物理アドレスを指定します。 | 0x83500000 | overlay_addr | DT overlayのワーク領域として利用されるRAMの物理アドレスを指定します。 | 0x83520000 |
本章では、microSDカードから直接起動(以降「SDブート」と表記します)する手順を示します。
SDブートを活用すると、microSDカードを取り替えることでシステムイメージを変更することができます。
本章に示す手順を実行するためには、容量が8Gbyte以上のmicroSDカードを必要とします。 | |
---|
SDブートを行った場合、ブートローダーの設定は microSDカード に保存されます。 |
ブートディスクイメージのビルドします
「Alpine Linux ルートファイルシステムをビルドする」 で説明されているソースツリー alpine/build-rootfs にあるスクリプト build_image と 「ブートローダーをビルドする」 でビルドした u-boot-dtb.imx を利用します。 [ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ sudo ./build_image.sh --board a600 \
--boot ~/u-boot-[VERSION]/u-boot-dtb.imx
: (省略)
[ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ ls baseos-640*img
baseos-640-[VERSION].img -
ATDE に microSD カードを接続します。詳しくは「取り外し可能デバイスの使用」を参考にしてください。
microSD カードのデバイス名を確認します
[ATDE ~]$ ls /dev/sd?
/dev/sda /dev/sdb
[ATDE ~]$ sudo fdisk -l /dev/sdb
Disk /dev/sdb: 7.22 GiB, 7751073792 bytes, 15138816 sectors
Disk model: SD/MMC
: (省略)
microSD カードがマウントされている場合、アンマウントします。
ブートディスクイメージの書き込み
[ATDE ~]$ sudo dd if=~/build-rootfs-[VERSION]/baseos-640-[VERSION].img \
of=/dev/sdb bs=1M oflag=direct status=progress microSDカードの性能にもよりますが、書き込みには5分程度かかります。
| |
---|
microSDカードのパーティション構成は次のようになっています。 表6.7 microSDカードのパーティション構成 パーティション | オフセット | サイズ | 説明 |
---|
- | 0 | 10MiB | ブートローダー | 1 | 10MiB | 300MiB | A/B アップデートのA面パーティション | 2 | 310MiB | 300MiB | A/B アップデートのB面パーティション | 3 | 610MiB | 50MiB | ログ用パーティション | 4 | 660MiB | 200MiB | ファームウェア | 5 | 860MiB | 残り | アプリケーション用パーティション |
gdiskで確認すると次のようになります。 [ATDE ~]$ sudo gdisk -l /dev/sdb
GPT fdisk (gdisk) version 1.0.8
Partition table scan:
MBR: protective
BSD: not present
APM: not present
GPT: present
Found valid GPT with protective MBR; using GPT.
Disk /dev/mmcblk1: 15319040 sectors, 7.3 GiB
Sector size (logical/physical): 512/512 bytes
Disk identifier (GUID): 309AD967-470D-4FB2-835E-7963578102A4
Partition table holds up to 128 entries
Main partition table begins at sector 2 and ends at sector 33
First usable sector is 34, last usable sector is 15319006
Partitions will be aligned on 2048-sector boundaries
Total free space is 20446 sectors (10.0 MiB)
Number Start (sector) End (sector) Size Code Name
1 20480 634879 300.0 MiB 8300 rootfs_0
2 634880 1249279 300.0 MiB 8300 rootfs_1
3 1249280 1351679 50.0 MiB 8300 logs
4 1351680 1761279 200.0 MiB 8300 firm
5 1761280 60485632 28.0 GiB 8300 app |
「ブートディスクの作成」で作成したブートディスクから起動する方法を説明します。 -
Armadillo-640に電源を投入する前に、ブートディスクをCON1(microSD スロット)に挿入します。
また、JP1と JP2 を共にジャンパでショートします。
電源を投入します。
U-Boot 2020.04-at15 (Jun 09 2023 - 18:46:32 +0900)
CPU: i.MX6ULL rev1.1 at 396 MHz
Model: Atmark Techno {product}
DRAM: 512 MiB
setup_rtc_disarm_alarm: Can't find bus
WDT: Started with servicing (10s timeout)
PMIC: PFUZE3000 DEV_ID=0x30 REV_ID=0x11
MMC: FSL_SDHC: 0, FSL_SDHC: 1
Loading Environment from MMC... OK
In: mxc_serial
Out: mxc_serial
Err: mxc_serial
switch to partitions #0, OK
mmc1 is current device
flash target is MMC:1
Net: eth0: ethernet@2188000
Fastboot: Normal
Saving Environment to MMC... Writing to MMC(1)... OK
Normal Boot
Hit any key to stop autoboot: 0
switch to partitions #0, OK
mmc1 is current device
Cannot lookup file boot/boot.scr
6859976 bytes read in 1420 ms (4.6 MiB/s)
Booting from mmc ...
37363 bytes read in 93 ms (391.6 KiB/s)
Loading fdt boot/armadillo.dtb
Cannot lookup file boot/overlays.txt
## Booting kernel from Legacy Image at 80800000 ...
Image Name: Linux-5.10.180-2-at
Created: 2023-06-09 9:48:24 UTC
Image Type: ARM Linux Kernel Image (uncompressed)
Data Size: 6859912 Bytes = 6.5 MiB
Load Address: 82000000
Entry Point: 82000000
Verifying Checksum ... OK
## Flattened Device Tree blob at 83500000
Booting using the fdt blob at 0x83500000
Loading Kernel Image
Loading Device Tree to 9ef1d000, end 9ef49fff ... OK
Starting kernel ...
...中略...
Welcome to Alpine Linux 3.17
Kernel 5.10.180-2-at on an armv7l (/dev/ttymxc0)
armadillo login:
6.19. Armadilloのソフトウェアをビルドするここでは、Armadillo-640で使用するソフトウェアのビルド方法を説明します。 ここでは、Armadillo-640向けのブートローダーイメージをビルドする方法を説明します。
ソースコードの取得
Armadillo Base OS対応 Armadillo-640 ブートローダー から
「ブートローダー ソース」ファイル (u-boot-[VERSION].tar.gz) を次のようにダウンロードします。 [ATDE ~]$ wgets https://armadillo.atmark-techno.com/files/downloads/armadillo-640/source/u-boot-[VERSION].tar.gz
[ATDE ~]$ tar xf u-boot-[VERSION].tar.gz
[ATDE ~]$ cd u-boot-[VERSION]
デフォルトコンフィギュレーションの適用
図6.111「デフォルトコンフィギュレーションの適用」に示すコマンドを実行します。
ビルド
次のコマンドを実行します。 [ATDE ~/u-boot-[VERSION]]$ make CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf-
:
: (省略)
:
LD u-boot
OBJCOPY u-boot-nodtb.bin
CAT u-boot-dtb.bin
MKIMAGE u-boot-dtb.imx
OBJCOPY u-boot.srec
COPY u-boot.bin
SYM u-boot.sym
CFGCHK u-boot.cfg
インストール
ビルドしたブートローダーは、以下に示すどちらかの方法でインストールしてください。
swupdate でインストールする
mkswu の初期化を行った後に 提供されているスクリプトを使ってSWUイメージを作成してください。 [ATDE ~/u-boot-[VERSION]]$ echo 'swdesc_boot u-boot-dtb.imx' > boot.desc
[ATDE ~/u-boot-[VERSION]]$ mkswu boot.desc
boot.swu を作成しました。 作成された boot.swu のインストールについては 「SWU イメージのインストール」 を参照ください。
「ブートディスクの作成」 でインストールする
手順を参考にして、ビルドされた u-boot-dtb.imx を使ってください。
ここでは、Armadillo-640向けのLinuxカーネルイメージをビルドする方法を説明します。 | |
---|
Armadillo-640では、
基本的にはLinuxカーネルイメージをビルドする必要はありません。
「Alpine Linux ルートファイルシステムをビルドする」の手順を実施することで、
標準のLinuxカーネルイメージがルートファイルシステムに組み込まれます。 標準のLinuxカーネルイメージは、アットマークテクノが提供する
linux-at というAlpine Linux用のパッケージに含まれています。 カスタマイズしたLinuxカーネルイメージを利用する場合は、
以下に示す手順を参照してください。 |
ソースコードの取得
Armadillo Base OS対応 Armadillo-640 Linuxカーネル から
「Linuxカーネル」ファイル (linux-at-a6-[VERSION].tar) をダウンロードして、次のコマンドを実行します。 [ATDE ~]$ tar xf linux-at-a6-[VERSION].tar
[ATDE ~]$ tar xf linux-at-a6-[VERSION]/linux-[VERSION].tar.gz
[ATDE ~]$ cd linux-[VERSION]
デフォルトコンフィギュレーションの適用
次のコマンドを実行します。 [ATDE ~/linux-[VERSION]]$ make ARCH=arm armadillo-640_defconfig
カーネルコンフィギュレーションの変更
次のコマンドを実行します。
カーネルコンフィギュレーションの変更を行わない場合はこの手順は不要です。 [ATDE ~]$ make ARCH=arm menuconfig コマンドを実行するとカーネルコンフィギュレーション設定画面が表示されます。
カーネルコンフィギュレーションを変更後、"Exit"を選択して
「Do you wish to save your new kernel configuration? (Press <ESC><ESC> to continue kernel configuration.)」で"Yes"とし、
カーネルコンフィギュレーションを確定します。 .config - Linux/arm 5.10.145 Kernel Configuration
─────────────────────────────────────────────
┌────────── Linux/arm 5.10.145 Kernel Configuration ──────────┐
│ Arrow keys navigate the menu. <Enter> selects submenus ---> (or empty submenus │
│ ----). Highlighted letters are hotkeys. Pressing <Y> includes, <N> excludes, <M>│
│ modularizes features. Press <Esc><Esc> to exit, <?> for Help, </> for Search. │
│ Legend: [*] built-in [ ] excluded <M> module < > module capable │
│ ┌───────────────────────────────────────┐ │
│ │ General setup ---> │ │
│ │ System Type ---> │ │
│ │ Bus support ---> │ │
│ │ Kernel Features ---> │ │
│ │ Boot options ---> │ │
│ │ CPU Power Management ---> │ │
│ │ Floating point emulation ---> │ │
│ │ Power management options ---> │ │
│ │ Firmware Drivers ---> │ │
│ │ [ ] ARM Accelerated Cryptographic Algorithms ---- │ │
│ │ General architecture-dependent options ---> │ │
│ │ [*] Enable loadable module support ---> │ │
│ │ [*] Enable the block layer ---> │ │
│ │ IO Schedulers ---> │ │
│ │ Executable file formats ---> │ │
│ │ Memory Management options ---> │ │
│ │ [*] Networking support ---> │ │
│ │ Device Drivers ---> │ │
│ │ File systems ---> │ │
│ │ Security options ---> │ │
│ │ -*- Cryptographic API ---> │ │
│ │ Library routines ---> │ │
│ │ Kernel hacking ---> │ │
│ │ │ │
│ └───────────────────────────────────────┘ │
├──────────────────────────────────────────┤
│ <Select> < Exit > < Help > < Save > < Load > │
└──────────────────────────────────────────┘ | |
---|
Linux Kernel Configuration メニューで"/"キーを押下すると、カーネルコンフィギュレーションの検索を行うことができます。
カーネルコンフィギュレーションのシンボル名(の一部)を入力して"Ok"を選択すると、
部分一致するシンボル名を持つカーネルコンフィギュレーションの情報が一覧されます。 |
ビルド
次のコマンドを実行します。 [ATDE ~/linux-[VERSION]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf-
[ATDE ~/linux-[VERSION]]$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- LOADADDR=0x82000000 uImage
インストール
ビルドしたカーネルは、以下に示すどちらかの方法でインストールしてください。
swupdate でインストールする
mkswu の初期化を行った後に 提供されているスクリプトを使ってSWUイメージを作成してください。
作成された kernel.swu のインストールについては 「SWU イメージのインストール」 を参照ください。
build_rootfs で新しいルートファイルシステムをビルドする場合は build_rootfs を展開した後に以下のコマンドでインストールしてください。
|
build_rootfs のディレクトリ名を設定します。これによって、長いディレクトリ名を何度も入力する必要が無くなります。
| |
アットマークテクノが提供するカーネルをインストールしない様に、 linux-at-a6@atmark と記載された行を削除します。
| |
別のカーネルをすでにインストールしている場合は、新しいモジュールをインストールする前に古いモジュールを削除する必要があります。
|
6.19.3. Alpine Linux ルートファイルシステムをビルドするここでは、alpine/build-rootfsを使って、
Alpine Linux ルートファイルシステムを構築する方法を説明します。 alpine/build-rootfs は、ATDE 上で Armadillo-640 用の Alpine Linux ルートファイルシステムを構築することができるツールです。
ルートファイルシステムのビルドに必要な Podman のインストール
次のコマンドを実行します。 [ATDE ~]$ sudo apt install podman btrfs-progs xxhash
alpine/build-rootfsの入手
Armadillo Base OS対応 Armadillo-640 開発用ツール から
「Alpine Linuxルートファイルシステムビルドツール」 ファイル (build-rootfs-[VERSION].tar.gz) を次のようにダウンロードします。 [ATDE ~/]$ wget https://armadillo.atmark-techno.com/files/downloads/armadillo-640/tool/build-rootfs-latest.tar.gz
[ATDE ~/]$ tar xf build-rootfs-latest.tar.gz
[ATDE ~/]$ cd build-rootfs-[VERSION]
Alpine Linux ルートファイルシステムの変更
a600ディレクトリ以下のファイルを変更することで、
ルートファイルシステムをカスタマイズすることができます。 | |
---|
commonとa600 ディレクトリ直下にあるfixupやpackagesなどの同名ファイルは、それぞれのファイルを連結して利用されます。パッケージの削除などを行う場合は、commonディレクトリ以下のファイルも確認してください。 commonとa600内のサブディレクトリにある同名ファイルは、a600のファイルが利用されます。 |
build-rootfsに含まれるファイルの説明は次の通りです。 表6.8 build-rootfsのファイル説明 ファイル | 説明 |
---|
a600/resources/* | 配置したファイルやディレクトリは、そのままルートファイルシステム直下にコピーされます。
ファイルを追加する場合は、このディレクトリに入れてください。 | a600/packages | このファイルに記載されているパッケージはルートファイルシステムにインストールされます。
パッケージを追加する場合はこのファイルに追加してください。 | a600/fixup | このファイルに記載されているコマンドはパッケージのインストールが完了した後に実行されます。 | a600/image_firstboot/* | 配置したファイルやディレクトリは、「ブートディスクの作成」や「初期化インストールディスクの作成」の手順
のようにブートディスクイメージを作成する際、そのままルートファイルシステム直下にコピーされます。 | a600/image_installer/* | 配置したファイルやディレクトリは、「初期化インストールディスクの作成」の手順
のようにインストールディスクイメージを作成する際、
そのままインストーラーにコピーされます。ルートファイルシステムに影響はありません。 | a600/image_common/* | 配置したファイルやディレクトリは、ブートディスクイメージおよびインストールディスクイメージを
作成する際、ルートファイルシステム、インストーラにそれぞれコピーされます。 |
| |
---|
利用可能なパッケージは以下のページで検索することができます。 Alpine Linuxルートファイルシステムを起動している
Armadilloでも検索することができます。 [armadillo ~]# apk update
[armadillo ~]# apk search ruby
ruby-test-unit-rr-1.0.5-r0
ruby-rmagick-5.1.0-r0
ruby-public_suffix-5.0.0-r0
:
: (省略)
:
ruby-mustache-1.1.1-r5
ruby-nokogiri-1.13.10-r0 |
ビルド
次のコマンドを実行します。 パッケージをインターネット上から取得するため回線速度に依存しますが、
ビルドには数分かかります。 [ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ sudo ./build_rootfs.sh -b a600
use default(outdir=/home/atmark/git/build-rootfs)
use default(output=baseos-600-ATVERSION.tar.zst)
:
: (略)
:
> Creating rootfs archive
-rw-r--r-- 1 root root 231700480 Nov 26 07:18 rootfs.tar
ERROR: No such package: .make-alpine-make-rootfs
============================================
footprint[byte] tarball[byte] packages
229904000 74942331 alpine-base coreutils chrony ...(省略)
============================================
done. | |
---|
リリース時にバージョンに日付を含めたくないときは --release を引数に追加してください。 |
| |
---|
任意のパス、ファイル名で結果を出力することもできます。 [ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ ./build_rootfs.sh -b a600 ~/alpine.tar.zst
:
: (略)
:
[ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ ls ~/alpine.tar.zst
~/alpine.tar.zst |
インストール
ビルドしたルートファイルシステムは、以下に示すどちらかの方法でインストールしてください。
swupdate でインストールする
mkswu の初期化を行った後に 提供されているスクリプトを使ってSWUイメージを作成してください。 [ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ vi OS_update.desc
swdesc_tar --version base_os [VERSION] \
--preserve-attributes baseos-600-[VERSION].tar.zst
[ATDE ~/build-rootfs-[VERSION]]$ mkswu OS_update.desc
OS_update.swu を作成しました。 作成された OS_update.swu のインストールについては 「SWU イメージのインストール」 を参照ください。
「ブートディスクの作成」 でインストールする
手順を実行すると、ビルドされた baseos-600-[VERSION].tar.zst が自動的に利用されます。
6.20. eMMC の GPP(General Purpose Partition) を利用するGPP に squashfs イメージを書き込み、Armadillo の起動時に自動的にマウントする方法を紹介します。 6.20.1. squashfs イメージを作成するこの作業は ATDE 上で行います。 squashfs-tools パッケージに含まれている mksquashfs コマンドを使用して squashfs イメージを作成します。 6.20.2. squashfs イメージを書き込む以降の作業は Armadillo 上で行います。 「squashfs イメージを作成する」で作成した squashfs イメージを、USB メモリ利用するなどして Armadillo-640 にコピーし、GPP に書き込みます。 | |
---|
ユーザー領域として使用可能なGPPは /dev/mmcblk0gp3 のみです。 GPPへの書き込みを行う際は、誤って /dev/mmcblk0gp0 などに書き込みを行わないよう、十分に注意してください。 |
[armadillo]# mount /dev/sda1 /mnt
[armadillo]# dd if=/mnt/squashfs.img of=/dev/mmcblk0gp3 conv=fsync
[armadillo]# umount /mnt GPP の全ブロックに対して Temporary Write Protection をかけることにより、GPP への書き込みを制限することができます。
Temporary Write Protection は電源を切断しても解除されません。 Temporary Write Protection をかけるには、mmc-utils パッケージに含まれている mmc コマンドを使用します。 GPP の全ブロックに対して Temporary Write Protection をかけるには、次のようにコマンドを実行します。 |
/dev/mmcblk0gp3 のブロック数を確認します。コマンドの出力を見ると /dev/mmcblk0gp3 が 16384 ブロックあることがわかります。
| |
/dev/mmcblk0gp3 の全ブロックに Temporary Write Protection をかけます。
|
| |
---|
Temporary Write Protection を解除するには、次のコマンド実行します。 [armadillo]# mmc writeprotect user set none 0 16384 /dev/mmcblk0gp3 |
6.20.4. 起動時に squashfs イメージをマウントされるようにする/etc/fstab を変更し、起動時に squashfs イメージがマウントされるようにします。
[armadillo]# mkdir -p /opt/sample
[armadillo]# persist_file /opt/sample/
[armadillo]# vi /etc/fstab
:
:(省略)
:
/dev/mmcblk0gp3 /opt/sample squashfs defaults,nofail 0 0
[armadillo]# persist_file /etc/fstab |
squashfs イメージをマウントするディレクトリを作成します
| |
最終行にこの行を追加します。これで、/dev/mmcblk0gp3 が /opt/sample にマウントされるようになります。
|
Armadillo の再起動後、 /opt/sample/README の内容が正しければ完了です。 [armadillo]# reboot
:
: (省略)
:
[armadillo]# ls /opt/sample
README
[armadillo]# cat /opt/sample/README
complete mounting squashfs on eMMC(GPP) Armadillo-640 ではシステムが出力するログの一部は、
一般的な /var/log ディレクトリではなく、/var/at-log ディレクトリに出力されます。
/var/at-log は、ルートファイルシステムとは別のパーティションになっているので、
ルートファイルシステムに障害が発生した場合でも、/var/at-log のパーティションが無事であれば、
ログファイルを取り出して、不具合等の解析に利用することができます。 | |
---|
通常のログは /var/log/messages に出力されます。 /var/log/messages はファイルサイズが 4MB になるとローテートされ /var/log/messages.0 に移動されます。 /var/log/messages.0 が存在する状態で、更に /var/log/messages のファイルサイズが 4MB になった場合は、 /var/log/messages の内容が /var/log/messages.0 に上書きされます。 /var/log/messages.1 は生成されません。 |
ログファイルは /var/at-log ディレクトリ内に atlog というファイル名で作成されているので、
これを任意のディレクトリにコピーすることで取り出せます。
もし、eMMC 上のルートファイルシステムが壊れてしまい起動できない場合は、
microSD カードから起動することでログファイルを取り出すことができます。 | |
---|
/var/at-log/atlog はファイルサイズが 3MB になるとローテートされ /var/at-log/atlog.1 に移動されます。 /var/at-log/atlog.1 が存在する状態で、更に /var/at-log/atlog のファイルサイズが 3MB になった場合は、 /var/at-log/atlog の内容が /var/at-log/atlog.1 に上書きされます。 /var/at-log/atlog.2 は生成されません。 |
ログファイルの内容はテキストデータであり、以下のようなフォーマットになっています。 atlog には以下の内容が保存されています。 -
インストール状態のバージョン情報
-
swupdate によるアップデートの日付とバージョン変更
-
abos-ctrl / uboot の rollback 日付
-
uboot で wdt による再起動が合った場合にその日付
ログ出力先である /var/at-log ディレクトリには、
GPP である /dev/mmcblk0gp1 パーティションがマウントされています。
このパーティションに論理的な障害が発生した場合は、/dev/mmcblk0gp1 の
データを /dev/mmcblk0gp2 にコピーし、/dev/mmcblk0gp1 は FAT ファイルシステムで
フォーマットされます。
このパーティションの障害チェックはシステム起動時に自動的に実行されます。 viエディタは、Armadilloに標準でインストールされているテキストエディタです。本書では、Armadilloの設定ファイルの編集などにviエディタを使用します。 viエディタは、ATDEにインストールされてるgeditやemacsなどのテキストエディタとは異なり、モードを持っていることが大きな特徴です。viのモードには、コマンドモードと入力モードがあります。コマンドモードの時に入力した文字はすべてコマンドとして扱われます。入力モードでは文字の入力ができます。 本章で示すコマンド例はATDEで実行するよう記載していますが、Armadilloでも同じように実行することができます。 viを起動するには、以下のコマンドを入力します。 file にファイル名のパスを指定すると、ファイルの編集(+file+が存在しない場合は新規作成)を行います。viはコマンドモードの状態で起動します。
文字を入力するにはコマンドモードから入力モードへ移行する必要があります。コマンドモードから入力モードに移行するには、表6.9「入力モードに移行するコマンド」に示すコマンドを入力します。入力モードへ移行後は、キーを入力すればそのまま文字が入力されます。 表6.9 入力モードに移行するコマンド コマンド | 動作 |
---|
i | カーソルのある場所から文字入力を開始 | a | カーソルの後ろから文字入力を開始 |
入力モードからコマンドモードに戻りたい場合は、ESCキーを入力することで戻ることができます。現在のモードが分からなくなった場合は、ESCキーを入力し、一旦コマンドモードへ戻ることにより混乱を防げます。 | |
---|
日本語変換機能をOFFに viのコマンドを入力する時はATDEの日本語入力システム(Mozc)をOFFにしてください。日本語入力システムのON/OFFは、半角/全角キーで行うことができます。 |
「i」、「a」それぞれのコマンドを入力した場合の文字入力の開始位置を図6.119「入力モードに移行するコマンドの説明」に示します。 | |
---|
viでの文字削除 コンソールの環境によってはBS(Backspace)キーで文字が削除できず、「^H」文字が入力される場合があります。その場合は、「文字の削除」で説明するコマンドを使用し、文字を削除してください。 |
方向キーでカーソルの移動ができますが、コマンドモードで表6.10「カーソルの移動コマンド」に示すコマンドを入力することでもカーソルを移動することができます。 表6.10 カーソルの移動コマンド コマンド | 動作 |
---|
h | 左に1文字移動 | j | 下に1文字移動 | k | 上に1文字移動 | l | 右に1文字移動 |
ファイルの保存、終了を行うコマンドを表6.12「保存・終了コマンド」に示します。 表6.12 保存・終了コマンド コマンド | 動作 |
---|
:q!
| 変更を保存せずに終了 | :w[file]
| ファイルを+file+に指定して保存 | :wq
| ファイルを上書き保存して終了 |
保存と終了を行うコマンドは「 : 」(コロン)からはじまるコマンドを使用します。" : "キーを入力すると画面下部にカーソルが移り入力したコマンドが表示されます。コマンドを入力した後Enterキーを押すことで、コマンドが実行されます。 Armadillo-640 で採用している CPU (i.MX6ULL) には、一度しか書き込むことのできない eFuse が搭載されています。 eFuse には、 CPUがブートする時の設定や MAC アドレスなどが書かれます。Armadillo-640 は組み込み機器を作り込むエンジニアを対象にした製品ですので、 eFuse もユーザーに開放し、細かな制御を可能にしています。しかし eFuse はその性質上、一度書き間違うと直すことができません。十分に注意してください。 | |
---|
eFUSEは一度書き込むと元に戻すことができません。eFUSEの設定によってはArmadillo-640が正常に動作しなくなる可能性がありますので、書き込みを行う際には細心の注意を払うようお願いいたします。eFUSEの設定によって異常が起こった場合は保証対象外となります。 |
MACアドレスは Armadillo-640 の出荷時に書き込まれているので、新たに書き込む必要はありません。この章では U-Boot を使って eFuse の書き換えを行い、ブートモードを制御する方法を説明します。 eFuse を変更する場合は、必ず「i.MX 6ULL Applications Processor Reference Manual」を参照してください。重要な章は、以下の 4つです。 -
Chapter 5: Fusemap
-
Chatper 8: System Boot
-
Chapter 37: On-Chip OTP Controller
-
Chapter 58: Ultra Secured Digital Host Controller
以降、本章では i.MX 6ULL Applications Processor Reference Manual を「リファレンスマニュアル」と呼びます。 | |
---|
章番号や章タイトルは、i.MX 6ULL Applications Processor Reference Manual Rev. 1, 11/2017 現在の情報です。異るリビジョンのリファレンスマニュアルでは、章番号およびタイトルが異なる場合があります。 |
i.MX6ULL にはブートモードを決める BOOT_MODE0 と BOOT_MODE1 というピンがあります。 BOOT_MODE0 は GND になっているので必ず 0 になります。BOOT_MODE1 は JP2 に接続されています。 JP2 がショートされていると BOOT_MODE1 は 1 になり Internal Boot モードになります。開放されていると 0 となり、 Boot From Fuses というモードになります。 Internal Bootモードでは、 on-chip boot ROMに書き込まれているコードが実行し、ブート可能なデバイスを検索します。リファレンスマニュアル「8.5 Boot devices (internal boot)」に、i.MX6ULL がブートできるデバイスの一覧が記載されています。Armadillo-640 では、そのうちオンボードeMMC と microSDカードに対応しています。Internal Bootモードでは、GPIO によって eFuseの設定を上書き (override) できるようになっています。つまり eFuse の設定がどうなっていようと、GPIO のピンでブートデバイスを決めることができます。 Boot From Fusesモードでは、単純に言えば GPIO による override が禁止され eFuse に書き込まれた状態でしかブートしません。この機能を有効にすることで、フィールドに出した製品が悪意ある人によって意図していないブートをし、被害が出ることを防ぐことができます。(もちろん、ブート後に root アカウントを乗っ取られるような作りでは、意味がありませんが…) Internal Bootモードでは、GPIO によって eFuseの設定を上書き (override) できるようになってると紹介しましたが、JP1 はまさにこの機能を使っています。 JP1 は LCD1_DATA05 と LCD1_DATA11 の制御をしていますが、これらのピンはそれぞれ BOOT_CFG1[5] と BOOT_CFG2[3] を override しています。「8.3.2 GPIO boot overrides」の 表「8-3. GPIO override contact assignments」を確認してください。 ややこしい事に、この BOOT_CFG で始まる eFUSE は、リファレンスマニュアルの中では eFuse のアドレスでも表記されています。 BOOT_CFG1 は eFuse のアドレスで言うと 0x450 の下位 8 bit つまり 0x450[7:0] であり、 BOOT_CFG2 は上位 8 bit つまり 0x450[15:8] にあたります。これは「5.1 Boot Fusemap」の表「5-5. SD/eSD Boot Fusemap」または表「5-6. MMC/eMMC Boot Fusemap」を確認することでわかります。 さらにややこしい事に、eFuse を書き込む場合にはこれら全ての値が使えず、On-Chip OTP Controller の bank と word の値が必要になります。これらの値は リファレンスマニュアルの「On-Chip OTP Controller」を参照してください。後で出てきますが Boot From Fuses で使用する BT_FUSE_SEL という eFuse のように GPIO による override ができないものもあります。 表6.13 GPIO override と eFuse 信号名 | eFuse名 | eFuseアドレス | OCOTP名 | Bank | Word |
---|
LCD1_DATA05
| BOOT_CFG1[5]
| 0x450[5]
| OCOTP_CFG4 | 0 | 5 | LCD1_DATA11
| BOOT_CFG2[3]
| 0x450[11]
| OCOTP_CFG4 | 0 | 5 | N/A | BT_FUSE_SEL
| 0x460[4]
| OCOTP_CFG5 | 0 | 6 |
Armadillo-640 ではmicroSDカード または eMMC からのブートになるので、ブートデバイスを選択する eFuse BOOT_CFG1[7:4] は、010x または 011x になります。 リファレンスマニュアル「8.5.3.1 Expansion device eFUSE configuration」には、さらに詳しく SD/MMCデバイスの設定について記載されています。テーブル「8-15. USDHC boot eFUSE descriptions」によれば、eFuse の 0x450[7:6] が 01 の場合に SD/MMC デバイスからブートすることを決めています。さらに 0x450[5] が 0 なら SDが、 0x450[5] が 1 なら MMC が選択されます。つまり、4から 7 bit までの間で 5 bit 目だけが MMC か SD かを決めています。 BOOT_CFG1[5] が 0 の場合はコントローラーは SDデバイスが繋がっている前提で、 BOOT_CFG1[5] が 1 の場合は MMCデバイスが繋っている前提で動作します。 i.MX6ULL には、SD/MMC のコントローラーである uSDHC が 2つ搭載されています。 Armadillo-640では、eMMC が uSDHC1に、 microSDカードが uSDHC2 に接続されています。ブート時にどちらのコントローラーからブートするかを決めている eFuse が 0x450[12:11] です。 0x450[12:11] が 00 であれば uSDHC1 つまりオンボード eMMC から、01 であれば uSDHC2 つまり microSDカードからブートします。言い換えると Armadillo-640 でオンボード eMMC からブートしたい場合は、0x450[5] を 1 に、 0x450[12:11] を 00 にします。逆に microSDカードから起動したい場合は 0x450[5] を 0 に、0x450[12:11] を 01 にします。 表6.14 ブートデバイスと eFuse ブートデバイス | eFuse 0x450[5] | 0x450[12:11] |
---|
オンボード eMMC | 1
| 00
| microSDカード | 0
| 01
|
Armadillo-640 では、U-Boot のコマンドによって eFuseの書き換えをサポートしています。 「スライドスイッチの設定について」 を参照してU-Boot を保守モードで起動してください。 eFuse の書き換えは、 fuse コマンドを使います。 | |
---|
U-Boot の fuse コマンドのソースコードは、以下の 2つです。 -
cmd/fuse.c
-
drivers/misc/mxc_ocotp.c
|
=> help fuse
fuse - Fuse sub-system
Usage:
fuse read <bank> <word> [<cnt>] - read 1 or 'cnt' fuse words,
starting at 'word'
fuse sense <bank> <word> [<cnt>] - sense 1 or 'cnt' fuse words,
starting at 'word'
fuse prog [-y] <bank> <word> <hexval> [<hexval>...] - program 1 or
several fuse words, starting at 'word' (PERMANENT)
fuse override <bank> <word> <hexval> [<hexval>...] - override 1 or
several fuse words, starting at 'word'
=> -
fuse read
-
eFuse の値を Shadow Registerから読み出します。i.MX6ULL の eFuse は、すべて Shadow Register を持ち、起動時に eFuse から Shadow Register に値がコピーされます。詳しくはリファレンスマニュアル「37.3.1.1 Shadow Register Reload」を確認してください。
-
fuse sense
-
eFuse の値を eFuse から読み出します
-
fuse prog
-
eFuse の値を書き換えます
fuse コマンドは、 bank 、 word 、cnt 、 hexval を引数に取ります。
-
bank
-
eFuse のバンク番号
-
word
-
eFuse のワード番号
-
cnt
-
eFuse を読み出す個数
-
hexval
-
書き込む値
6.23.3. Boot From FusesモードBoot From Fuses を有効にするには、 eFuse に書き込んだ値が正しいことを i.MX6ULL に教える必要があります。そのための eFuse が BT_FUSE_SEL (0x460[4] ) です。BOOT_MODE が 00 、つまり JP2 がオープンで、且つこのビットが 1 であれば Boot From Fuses モードになります。 BOOT_MODE が 00 でも このビットが 0 であれば Boot From Fusesモードにはならず、 SD/MMC マニュファクチャリングモードやシリアルダウンロードモードになってしまいます。SD/MMCマニュファクチャリングモードについては 「8.12 SD/MMC manufacture mode」に、シリアルダウンロードモードについては「8.9 Serial Downloader」に記載されています。 | |
---|
Armadillo-640 では BOOT_MODE が 00 で、且つ BT_FUSE_SEL が 0 の場合は SD/MMC マニュファクチャリングモードで eMMC から起動します。Internal Boot モードで起動する場合は、JP2 をショートしてください。 |
オンボード eMMC からだけブートさせたい場合は、ブートデバイスの種類で MMC と、コントローラーで uSDHC1 を選択することで可能です。忘れずに BT_FUSE_SEL を 1 にします。 オンボード eMMC のスペックは、以下の通りです。リファレンスマニュアル 8.5.3 Expansion device および 表「5-6. MMC/eMMC Boot Fusemap」を確認してください。「可変」列が「不」となっている値は、変更しないでください。例えば、オンボード eMMC は 1.8 V に対応していません。 bit 9 の SD Voltage Selection で 1 の 1.8 V では動作しません。 表6.15 オンボード eMMC のスペック 名前 | Bit | eFuse | 値 | bit列 | 可変 |
---|
BOOT_CFG2
| [15:13]
| Bus Width | 8 bit | 010
| 不 | [12:11]
| Port Select | uSDHC1 | 00
| 不 | [10]
| Boot Frequencies | 500 / 400 MHz | 00
| 可 | [9]
| SD Voltage Selection | 3.3 V | 0
| 不 | [8]
| - | - | 0
| - | BOOT_CFG1
| [7:5]
| eMMC | - | 011
| 不 | [4]
| Fast Boot | Regular | 0
| 可 | [3]
| SD/MMC Speed | High | 0
| 不 | [2]
| Fast Boot Acknowledge Disable | Enabled | 0
| 可 | [1]
| SD Power Cycle Enable | Enabled | 1
| 可 | [0]
| SD Loopback Clock Source Sel | SD Pad | 0
| 不 |
値を見易いように、 BOOT_CFG2 を上にしています。 BOOT_CFG1 と BOOT_CFG2 は、OCOTP_CFG4 にマップされており Bank 0 Word 5 です。つまり 010000000 01100010 の 16 bit (0x4062 ) を Bank 0 Word 5 に書き込めば良いことが分ります。 BOOT_CFG3 と BOOT_CFG4 はここでは無視します。 BT_FUSE_SEL は Bank 0 Word 6 の 4 bit 目になるので 0x10 を書き込みます。
=> fuse read 0 5
Reading bank 0:
Word 0x00000005: 00000000
=> fuse prog 0 5 0x4060
Programming bank 0 word 0x00000005 to 0x00004060...
Warning: Programming fuses is an irreversible operation!
This may brick your system.
Use this command only if you are sure of what you are doing!
Really perform this fuse programming? <y/N>
y
=> fuse read 0 6
Reading bank 0:
Word 0x00000006: 00000000
=> fuse prog -y 0 6 0x10
Programming bank 0 word 0x00000006 to 0x00000010...
=> fuse read 0 6
Reading bank 0:
Word 0x00000006: 00000010
(電源入れなおしても、SDからブートしない) | |
---|
fuse prog にオプション -y を付けると 「 Really perform this fuse programming? <y/N> 」と聞かれません。
|
これで eMMC からしか起動しない Armadillo-640 ができあがりました。 | |
---|
eMMC からしか起動しないので、あやまって eMMCに書き込まれている U-Boot を消してしまうと、二度と起動しないようになります。注意してください。 |
| |
---|
eMMC Fast Boot機能を使う場合や Power Cycle を Enable にする場合は、当該ビットを 1 に変更してください。 |
同じ要領で、SDからだけしかブートしないようにすることも可能です。しかし eFuse によるブートデバイスの固定は、意図しないブートを防ぐことが目的です。 Armadillo-640 で microSDからのブートに固定することは可能ですが、別の microSDカードを挿入されてしまうと、その別の microSDカードからブートしてしまうので目的を達成できません。理解してお使いください。 書き込んだ eFuse の値を変更されてしまっては、Boot From Fuseモードにしている意味がありません。i.MX6ULLでは eFuse を変更できなくするビットも用意されています。 リファレンスマニュアル「5.3 Fusemap Descriptions Table」を確認してください。 本章では、Armadillo-640のオプション品について説明します。 表6.16 Armadillo-640関連のオプション品 6.24.1. USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)FT232RLを搭載したUSB-シリアル変換アダプタです。シリアルの信号レベルは3.3V CMOSです。 -
-
オープン
-
-
GNDショート
Armadillo-640のCON9の「1、3、5、7、9」または「2、4、6、8、10」ピンに接続して使用することが可能です。 各ピンに対応するUARTコントローラは以下のとおりです。 表6.17 各ピンに対応するUARTコントローラ CON9ピン番号 | UART名 |
---|
1、3、5、7、9 | UART1 | 2、4、6、8、10 | UART5 |
ご使用の際は、USBシリアル変換アダプタの5ピンコネクタ(青いケーブル側)をArmadillo-640 CON9の1ピンもしくは2ピンに合わせて接続してください。
UART1側で使用した場合、USBシリアル変換アダプタのスイッチで、電源投入時の起動モードを設定することが可能です。
スライドスイッチの状態に対応した起動モードは以下のとおりです。 表6.18 USBシリアル変換アダプタのスライドスイッチによる起動モードの設定 スライドスイッチ | 起動モード |
---|
オープン | オートブートモード | GNDショート | 保守モード |
| |
---|
USBシリアル変換アダプタは、Armadillo-640の電源を切断した状態で接続してください。
故障の原因となる可能性があります。 |
| |
---|
USBシリアル変換アダプタは、試作・開発用の製品です。外観や仕様を予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。 |
6.24.2. Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)Armadillo-640用のプラスチック製小型ケースです。
Armadillo-640の基板を収めた状態で、DCジャック、シリアルインターフェース(D-Sub9ピン)、
USBインターフェース、LANインターフェースにアクセス可能となっています。 取り外しが可能なパーツにより、CON9(拡張インターフェース)等の機能を外部に取り出すための開口部も用意しています。 | |
---|
Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)はArmadillo-640ベーシックモデル開発セットに付属しています。
樹脂ケースのみ必要なお客様のためにオプション品として別売りもしています。 |
表6.19 Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)について 商品名 | Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製) | 型番 | OP-CASE600-PLA-00 | 内容 | 樹脂ケース、ネジ、ゴム足 |
表6.20 Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)の仕様 材質 | 難燃ABS樹脂 | 難燃性 | UL94 V-0 | 色 | 白 | 使用温度範囲 | -10〜50℃ |
| |
---|
最高使用温度よりも高い温度で保管または使用した場合、樹脂ケースが変形する可能性があります。 |
6.24.3. Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)Armadillo-640用のアルミ製小型ケースです。
Armadillo-640の基板を収めた状態で、DCジャック、シリアルインターフェース(D-Sub9ピン)、
USBインターフェース、LANインターフェースにアクセス可能となっています。
ケース固定ネジを利用して、ACアダプタ固定用パーツおよびアース線を接続することが可能です。 | |
---|
金属ケースはオプション品として別売りしています。 |
表6.21 Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)について 商品名 | Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製) | 型番 | OP-CASE600-MET-00 | 内容 | アルミケース、ネジ、ゴム足、ACアダプタケーブル固定用パーツ |
-
-
なべ小ネジ、スプリングワッシャ付き(M3、L=5mm) x 4
-
-
皿ネジ(M2.6、L=4mm) x 3
-
-
トラス小ネジ(M3、L=5mm) x 1
6.24.4. LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶)ノリタケ伊勢電子製のタッチパネルLCDとフレキシブルフラットケーブル(FFC)のセットです。
Armadillo-640のCON11(LCD拡張インターフェース)に接続して使用することが可能です。 ソフトウェアからの利用方法については、「LCD を使用する」を参照してください。 表6.22 LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶)について 商品名 | LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶) | 型番 | OP-LCD70EXT-L00 | 内容 | 7インチ タッチパネルLCD、FFC |
表6.23 LCDの仕様 型番 | GT800X480A-1013P | メーカー | ノリタケ伊勢電子 | タイプ | TFT-LCD | 表示サイズ | 7インチ | 外形サイズ | 164.8 x 99.8 mm | 解像度 | 800 x 480 pixels | 表示色数 | 約1677万色 | 使用温度範囲 | -20〜+70℃ | 輝度 | 850cd/m2 (Typ.) 25℃ | 電源 | DC 5V±5%/500mA (Typ.), DC 3.3V±3%/35mA (Typ) | 映像入力インターフェース | RGBパラレル(18bit/24bit)[] | タッチパネルインターフェース | I2C(HID準拠) | タッチ方式 | 投影型静電容量方式 | マルチタッチ | 最大10点対応 |
| |
---|
タッチパネルLCDをご使用になる前に、『GT800X480A-1013P 製品仕様書』にて注意事項、詳細仕様、取扱方法等をご確認ください。 『GT800X480A-1013P 製品仕様書』は「アットマークテクノ Armadilloサイト」の「[オプション] LCDオプションセット (7インチタッチパネルWVGA液晶) 製品仕様書」からダウンロード可能です。 |
6.24.5. Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュール温度補償高精度リアルタイムクロック(RTC)とUSBコネクタを搭載したオプションモジュールです。
時刻データを保持するための電池ホルダも搭載しています。
Armadillo-640のCON9(拡張インターフェース)に接続して使用することが可能です。 | |
---|
Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュールの回路図、部品表は「アットマークテクノ Armadilloサイト」からダウンロード可能です。 |
表6.24 Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュールについて 商品名 | Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュール | 型番 | OP-A600-RTCMOD-00 | 内容 | RTCオプションモジュール、ネジ、スペーサ |
RTCオプションモジュールの仕様は次のとおりです。 表6.25 RTCオプションモジュールの仕様 リアルタイムクロック | 型番 | NR3225SA | メーカー | 日本電波工業 | バックアップ | 電池ホルダ、外部バッテリ接続コネクタ搭載(対応電池: CR2016、CR2032 WK11等) | 平均月差(参考値) | 約21秒@-20℃、約8秒@25℃、約21秒@70℃ | USB | Type Aコネクタ搭載 | 電源電圧 | DC 3.3V±6%(RTC)、DC 2.0〜3.5V(RTCバックアップ)、DC 5V±5%(USB) | 使用温度範囲 | -20~+70℃(結露なきこと) [] | 外形サイズ | 42 x 50 mm |
| |
---|
RTCの時間精度は周囲温度に大きく影響を受けますので、ご使用の際には十分に特性の確認をお願いします。 |
RTCオプションモジュールのブロック図は次のとおりです。 RTCオプションモジュールのインターフェースについて説明します。 表6.26 RTCオプションモジュール インターフェース一覧 [] 部品番号 | インターフェース名 | 型番 | メーカ |
---|
CON1 | Armadillo-600シリーズ接続インターフェース | PPPC072LFBN-RC | Sullins Connector Solutions | CON3 | USBホストインターフェース | SS-52100-001 | Stewart Connector | CON4 | RTCバックアップインターフェース | DF13A-2P-1.25H(21) | HIROSE ELECTRIC | CON5 | B2B-EH(LF)(SN) | J.S.T.Mfg. | CON6 | BLP2016SM-G | Memory Protection Devices |
6.24.5.5. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)CON1はArmadillo-600シリーズの基板と接続するためのインターフェースです。
Armadillo-640のCON9(拡張インターフェース)の11ピンから24ピンに接続して使用します。 表6.27 CON1 信号配列 ピン番号 | ピン名 | I/O | 説明 |
---|
1 | ONOFF | Out | JP1を経由してRTCの割り込みピンに接続、オープンドレイン出力
[] | 2 | NC | - | 未接続 | 3 | I2C_SCL | In | RTCのI2Cクロックに接続、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。 | 4 | I2C_SDA | In/Out | RTCのI2Cデータピンに接続、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。 | 5 | Reserved | - | - | 6 | RTC_INT_B | Out | RTCの割り込みピンに接続、オープンドレイン出力、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。 | 7 | NC | - | 未接続 | 8 | USB2_PORT_EN | In | CON1の14ピン(USB2_EN_B)に接続されているバッファのイネーブルピンに接続
(High: USB2_EN_BがHi-Z、Low: USB2_EN_BがLow) | 9 | GND | Power | 電源(GND) | 10 | VCC_3.3V | Power | 電源(VCC_3.3V) | 11 | USB2_DN | In/Out | USBのマイナス側信号、CON3の2ピン(D-)に接続 | 12 | USB2_DP | In/Out | USBのプラス側信号、CON3の3ピン(D+)に接続 | 13 | USB2_VBUS | Power | 電源(VBUS)、CON3の1ピン(VBUS)に接続 | 14 | USB2_EN_B | Out | バッファの出力ピンに接続、CON1の8ピン(USB_PORT_EN)で設定した値が出力されます |
6.24.5.6. CON3(USBホストインターフェース)CON3はUSBホストインターフェースです。 CON1の8ピン(USB2_PORT_EN)からUSBコントローラ(USB OTG2)の接続先を変更して使用します。
Lowレベルを入力するとRTCオプションモジュールのCON3、Highレベルを入力するとArmadillo-640のCON5の上段にUSB OTG2が接続されます。
詳細については、「USB デバイスを使用する」および回路図をご確認ください。 | |
---|
RTCオプションモジュール CON3とArmadillo-640 CON5上段は
同じUSBコントローラ(USB_OTG2)に接続されており、同時に使用できません。
|
| |
---|
CON3は活線挿抜非対応となっております。
ユースケースとして活線挿抜を想定していないため、突入電流に耐えるだけのコンデンサを搭載しておらず、活線挿抜した場合にはArmadillo本体の電圧が降下してしまいます。
そのため、電源を切断した状態でデバイスを挿抜してください。 |
表6.28 CON3 信号配列 ピン番号 | ピン名 | I/O | 説明 |
---|
1 | VBUS | Power | 電源(VBUS) | 2 | D- | In/Out | USBのマイナス側信号、CON1の11ピンに接続 | 3 | D+ | In/Out | USBのプラス側信号、CON1の12ピンに接続 | 4 | GND | Power | 電源(GND) |
6.24.5.7. CON4、CON5、CON6(RTCバックアップインターフェース)CON4、CON5、CON6はRTCのバックアップ電源供給用のインターフェースです。
別途バックアップ用のバッテリを接続することで、電源(VCC_3.3V)が切断された場合でも、時刻データを保持することが可能です。
3つの形状のインターフェースがありますので、お使いのバッテリに合わせてご使用ください。 表6.29 対応バッテリ例 部品番号 | 対応電池 | バックアップ時間(参考値) |
---|
CON4 | CR2032 WK11 | 6.2年 | CON5 [] | - | - | CON6 | CR2016 | 2.5年 |
表6.30 CON4、CON5、CON6 信号配列 ピン番号 | ピン名 | I/O | 説明 |
---|
1 | RTC_BAT | Power | 電源(RTC_BAT)、リアルタイムクロックの電源ピンに接続 | 2 | GND | Power | 電源(GND) |
| |
---|
CON4、CON5、CON6は共通の端子に接続されており、同時に使用できません。 |
| |
---|
CON4、CON5、CON6はリチウムコイン電池からの電源供給を想定したインターフェースです。
リチウムコイン電池以外から電源を供給する場合、回路図、部品表にて搭載部品をご確認の上、絶対定格値を超えない範囲でご使用ください。 |
| |
---|
CON6に搭載している電池ホルダは、大変破損しやすい部品となっております。
電池の取り付け、取り外しの手順について、「電池の取り付け、取り外し」をご確認ください。 |
6.24.5.8. JP1(ONOFFピン接続ジャンパ)JP1は RTC のアラーム割り込み端子と Armadillo-640 の ONOFF ピン(Armadillo-640 CON9 11ピン)を接続するジャンパです。
JP1をショートすることで、RTC のアラーム割り込みによる i.MX6ULL の電源制御が可能になります。 | |
---|
JP1は、はんだジャンパになります。
半分に割れたパッドになっておりますので、はんだごてでパッドを熱し、はんだを盛ってショートしてください。 |
6.24.5.9. Armadillo-640とRTCオプションモジュールの組み立てRTCオプションモジュールはArmadillo-640のCON9の11ピンから24ピンに接続します。図6.131「RTCオプションモジュールの組み立て」のようにコネクタ接続後、金属スペーサで固定してください。 | |
---|
Armadillo-640 CON1(microSDスロット)にmicroSDカードを挿抜する際には、RTCオプションモジュールを取り外してください。組み立て後は、RTCオプションモジュールとArmadillo-640の間隔が狭いため、無理に挿抜した場合、microSDカードが正常に挿入されないなどの原因で、動作不良を起こす場合があります。 |
-
-
なべ小ネジ、スプリングワッシャー、小径平ワッシャー付(M2、L=6mm) x 4
-
-
金属スペーサ(M2、L=11mm) x 2
RTCオプションモジュールのCON6(RTCバックアップインターフェース)にはCR2016等のリチウムコイン電池を搭載可能です。電池を取り付ける手順は以下のとおりです。 -
プラス端子側に電池を入れる
-
電池ホルダのツメの下に電池を押し込む
電池を取り外す手順は以下のとおりです。 -
プラスチック製もしくは絶縁テープを巻き付けたマイナスドライバー(2mm)を用意する
-
電池を軽く押さえる
-
電池ホルダの縁の中央部分と電池の間にマイナスドライバーを挿入する
-
マイナスドライバーで電池を持ち上げる
6.24.6. Armadillo-600シリーズ WLANコンボ、BT/THオプションモジュールLaird Connectivity製の無線LAN/BTコンボモジュール Sterling LWB5+、
加賀FEI製のBT/THモジュール EYSKBNZWBの実装/未実装で、3種類のオプションモジュールがあります。 表6.31 Armadillo-640 WLANコンボ、BT/THオプションモジュールの搭載デバイス 名称 | 型番 | 搭載デバイス |
---|
Armadillo-600シリーズ WLANコンボオプションモジュール | OP-A600-AWLMOD-20 | Sterling LWB5+ | Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュール | OP-A600-BTTHMOD-20 | EYSKBNZWB | Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュール WLANコンボ対応 | OP-A600-BTTHMOD-21 | Sterling LWB5+およびEYSKBNZWB |
無線LANおよびBT機能を使用したい場合は、Sterling LWB5+を搭載したオプションモジュール、
BT機能もしくはThread機能を使用したい場合は、
EYSKBNZWBを搭載したオプションモジュールを選択してください。 ソフトウェアからの利用方法については、Sterling LWB5+搭載のオプションモジュールを利用している場合は「WLAN を使用する」を、EYSKBNZWB搭載のオプションモジュールを利用している場合は「BT デバイスを使用する」または、「Thread デバイスを扱う」を参照してください。 WLANコンボ、BT/THオプションモジュールの同梱物は表6.32「WLANコンボ、BT/THオプションモジュールの同梱物」のとおりです。
Sterling LWB5+を使う場合は、外付けアンテナが必須となりますので別途ご用意ください。 表6.32 WLANコンボ、BT/THオプションモジュールの同梱物 内容物 | 個数 | 用途 |
---|
なべ小ネジ、スプリングワッシャー、小径平ワッシャー付(M2、L=6mm) | 4 | Armadillo-640との固定 | 金属スペーサ(M2、L=11mm) | 2 | Armadillo-640との固定 | USBコネクタ用キャップ | 1 | Armadillo-640 CON5上段の穴隠し用 |
表6.33 推奨外付けアンテナ 商品名 | 無線LAN用 外付けアンテナセット 08 | 型番 | OP-ANT-WLAN-08K | セット内容 | アンテナ(WAND2DBI-SMA-2NB/OxfordTEC)、アンテナケーブル(ケーブル長60mm) |
WLANコンボ、BT/THオプションモジュールはArmadillo-640のCON14(拡張インターフェース)、
CON9(拡張インターフェース)に接続して使用します。 WLANコンボ、BT/THオプションモジュールがArmadillo-640のUSBコントローラ(USB OTG2)を使用するため、
Armadillo-640のCON5(USBホストインターフェース)の上段は使用できなくなります。
詳細については、「USB デバイスを使用する」および回路図をご確認ください。 また、「USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)」をCON9に接続することができなくなります。
シリアルコンソールが必要な場合、WLANコンボ、BT/THオプションモジュールのCON2(拡張インターフェース)かArmadillo-640のCON3もしくはCON4(シリアルインターフェース)をご使用ください。
詳細につきましては、「シリアルコンソールの使用方法」をご確認ください。 | |
---|
Armadillo-640は量産向けに、搭載するモジュールやケースの有無、
部品実装の一部変更、ROMイメージの書き込みなどを選択・指定できる
BTOサービスを提供しています。詳細につきましては、
「アットマークテクノ BTOサービス」をご確認ください。 |
WLANコンボ、BT/THオプションモジュールの仕様は次のとおりです。 表6.34 WLANコンボ、BT/THオプションモジュールの仕様 無線LAN/BTコンボモジュール | 型番 | Sterling LWB5+ | メーカー | Laird Connectivity | 無線規格 | IEEE 802.11a/b/g/n/ac and Bluetooth 5.2 | BT/THモジュール | 型番 | EYSKBNZWB | メーカー | 加賀FEI | 無線規格 | Bluetooth 5.0 or IEEE 802.15.4(Thread) [] | 電源電圧 | DC 5V±5% | 使用温度範囲(基板単体) | -20~+70℃(結露なきこと) [] | 外形サイズ | 41 x 49.7 mm |
| |
---|
Laird Connectivity製Sterling LWB5+および加賀FEI製EYSKBNZWBの詳細な仕様については、
デバイスのメーカーサイトにてご確認ください。 |
WLANコンボ、BT/THオプションモジュールのブロック図は次のとおりです。 WLANコンボ、BT/THオプションモジュールのインターフェースについて説明します。 表6.35 WLANコンボ、BT/THオプションモジュール インターフェース一覧 [] 部品番号 | インターフェース名 | 型番 | メーカー |
---|
CON1 | Armadillo-600シリーズ接続インターフェース | PPPC142LFBN-RC | Sullins Connector Solutions | CON2 | 拡張インターフェース | 61300511021 | Wurth Electronics |
6.24.6.5. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)CON1はArmadillo-600シリーズの基板と接続するためのインターフェースです。 表6.36 CON1 信号配列 ピン番号 | ピン名 | I/O | 説明 |
---|
1 | VCC_3.3V | Power | 電源(VCC_3.3V) | 2 | GND | Power | 電源(GND) | 3 | NC | - | 未接続 | 4 | NC | - | 未接続 | 5 | UBOOT_EN_B | In/Out | CON2の1ピンに接続されています。 | 6 | SWDCLK | In | BT/THモジュールのSWDCLKに接続されています。 | 7 | UART1_RX | In/Out | CON2の2ピンに接続されています。 | 8 | SWDIO | In/Out | BT/THモジュールのSWDIOに接続されています。 | 9 | UART1_TX | In/Out | CON2の3ピンに接続されています。 | 10 | HUB_RST_B | In | USB HUBをリセットするための信号です。
(High: リセット解除、Low: リセット) | 11 | VCC_3.3V | Power | 電源(VCC_3.3V) | 12 | VCC_3.3V | Power | 電源(VCC_3.3V) | 13 | GND | Power | 電源(GND) | 14 | GND | Power | 電源(GND) | 15 | NC | - | 未接続 | 16 | NC | - | 未接続 | 17 | WLAN_RST | In | WLAN/BTコンボモジュールのWL_REG_ON信号に接続されています。 | 18 | BT_RST | In | WLAN/BTコンボモジュールのBT_REG_ON信号に接続されています。 | 19 | WLAN_BT_PWREN_B | In | WLAN/BTコンボモジュールの電源をON/OFF制御するための信号です。
(High: 電源切断、Low: 電源供給) | 20 | TH_RST | In | BT/THモジュールをリセットするための信号です。
(High: リセット、Low: リセット解除) | 21 | TH_PWREN_B | In | BT/THモジュールの電源をON/OFF制御するための信号です。
(High: 電源切断、Low: 電源供給) | 22 | NC | - | 未接続 | 23 | GND | Power | 電源(GND) | 24 | VCC_3.3V | Power | 電源(VCC_3.3V) | 25 | USB2_DN | In/Out | USBのマイナス側信号です。 | 26 | USB2_DP | In/Out | USBのプラス側信号です。 | 27 | USB2_VBUS | Power | 電源(VBUS) | 28 | USB2_EN_B | Out | Armadillo-640のUSB OTG2の接続先を切り替えるための信号です。GNDに接続されています。 |
6.24.6.6. CON2(拡張インターフェース)CON2は機能拡張用インターフェースです。
Armadillo-640と接続した場合、UART1の信号線が利用可能です。 表6.37 CON2 信号配列 ピン番号 | ピン名 | I/O | 説明 | Armadillo-640 CON9接続ピン名 |
---|
1 | UBOOT_EN_B | In/Out | 拡張入出力 | GPIO1_IO22 | 2 | UART1_RX | In/Out | 拡張入出力 | GPIO1_IO17 | 3 | UART1_TX | In/Out | 拡張入出力 | GPIO1_IO16 | 4 | VCC_3.3V | Power | 電源(VCC_3.3V) | - | 5 | GND | Power | 電源(GND) | - |
コネクタは実装されておりませんので、必要であればコネクタを実装してください。表6.38「CON2 搭載コネクタ例」に記載したコネクタ等が実装可能です。
61300511021等のピンヘッダを実装すると、「USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)」を接続してシリアルコンソールとして使用することができます。
S5B-XH-A、S5B-EHを使用する場合、実装面によってはArmadillo-600シリーズ オプションケースセット(樹脂製)の
蓋が閉まらなくなりますので、オプションケースへの収納を検討している場合はご注意ください。 表6.38 CON2 搭載コネクタ例 型番 | メーカー |
---|
61300511021 | Wurth Electronics | S5B-XH-A | J.S.T.Mfg. | S5B-EH | J.S.T.Mfg. |
Sterling LWB5+を使用する場合、外付けアンテナが必要になります。
アンテナケーブルコネクタはSterling LWB5+上のコネクタに接続します。 アンテナは外付けアンテナ固定金具 00(OP-MNT-ANT-MET-00)でArmadillo-640のねじ穴に固定することが可能です。 CON3に実装されているD-Sub9ピンコネクタの替わりにオプションケース対応のアンテナ固定金具を装着して、
アンテナを固定することも可能です。 | |
---|
BTOサービスで、オプションケース対応のアンテナ固定金具を、
D-Sub9ピンコネクタの替わりに装着することが可能です。詳細につきましては、
「アットマークテクノ BTOサービス」をご確認ください。 |
6.24.6.11. シリアルコンソールの使用方法シリアルコンソールが必要な場合、WLANコンボ、BT/THオプションモジュールを
Armadillo-640のCON9に接続するため、「USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)」を接続することができません。 これらの信号線はWLANコンボ、BT/THオプションモジュールのCON2(拡張インターフェース)から使用可能です。
CON2に5ピンのピンヘッダを実装することで、「USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)」を接続することができます。 CON3のD-Sub9ピンコネクタの替わりにオプションケース対応のアンテナ固定金具を装着している場合、
CON4(シリアルインターフェース)に10ピンのピンヘッダを実装することで、シリアルコンソールとして使用することができます。
CON4を使用する場合は、シリアルクロスケーブルとD-Sub9/10ピンシリアル変換ケーブルが必要になります。 アンテナの固定が不要な場合は、Armadillo-640のCON3(シリアルインターフェース)をシリアルコンソールとして使用すると
Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)に入れたままでも、
シリアルコンソールを利用することが可能です。
CON3を使用する場合は、シリアルクロスケーブルが必要になります。 6.24.7. 無線LAN用 外付けアンテナセット 08無線LAN用 外付けアンテナセット 08は、
Armadillo-600シリーズ WLANコンボ、BT/THオプションモジュールに搭載している
Laird Connectivity製の無線LAN/BTコンボモジュール Sterling LWB5+対応のアンテナセットです。 表6.39 無線LAN用 外付けアンテナセット 08について 商品名 | 無線LAN用 外付けアンテナセット 08 | 型番 | OP-ANT-WLAN-08K | セット内容 | アンテナ(WAND2DBI-SMA-2NB/OxfordTEC)、アンテナケーブル(ケーブル長100mm) | 対応製品 | OP-A600-AWLMOD-20, OP-A600-BTTHMOD-21 |
| |
---|
BTOサービスで、ケーブル長60mmのアンテナケーブルを選択することが可能です。
オプションケースおよびオプションケース対応のアンテナ固定金具を使用する場合は、
ケーブルの挟み込みによる断線や、意図しないコネクタ外れを防ぐため、
ケーブル長60mmのアンテナケーブルの使用を推奨いたします。
詳細につきましては、
「アットマークテクノ BTOサービス」をご確認ください。 |
6.24.7.2. アンテナケーブルコネクタの嵌合アンテナケーブルコネクタは、Sterling LWB5+上のコネクタに接続します。 アンテナケーブルコネクタは、挿抜治具(90609-0001/IPEX)を使用して嵌合するか、手で直接嵌合します。 挿抜治具による嵌合 アンテナケーブルコネクタのストッパーに当たるまで挿抜治具をスライドさせ、コネクタ全体を抱えるようにします。アンテナケーブルコネクタが基板に対し平行になっていることを確認し、垂直に挿抜治具を押してコネクタを嵌合します。 | |
---|
アンテナケーブルコネクタは基板に対して平行してから嵌合してください。
曲がったまま嵌合すると、コネクタ破損の原因となります。 |
手で直接嵌合 アンテナケーブルを持ち、Sterling LWB5+上のアンテナコネクタにアンテナケーブルのコネクタをセットします。セットしたら前後に軽く動かし、動かないことを確認します。 コネクタのセンターを真上から押し、カチッという音がすると嵌合完了です。 6.24.7.3. アンテナケーブルコネクタの抜去アンテナのケーブルコネクタは、ケーブルコネクタ首部へのストレスを避けるため、挿抜治具(90609-0001/IPEX)を使用して抜去してください。 ケーブルコネクタのストッパーに当たるまで挿抜治具をスライドさせ、ケーブルコネクタ全体を抱えるようにします。基板と垂直に挿抜治具を引き上げてコネクタを抜去します。 | |
---|
挿抜治具は必ず基板と垂直に引き上げてください。
ひねったり、ななめに引き上げたりした場合、コネクタ破損の原因となります。 |
アンテナを固定する金具です。 アンテナ固定金具を使用すると、Armadillo-640のUSBコネクタ横のねじ穴に
アンテナを固定することができます。 表6.40 外付けアンテナ固定金具 00について 商品名 | 外付けアンテナ固定金具 00 | 型番 | OP-MNT-ANT-MET-00 | セット内容 | アンテナ固定金具本体[] |
| |
---|
オプションケース対応のアンテナ固定金具とは違う金具です。
オプションケース対応のアンテナ固定金具が必要な場合は、BTOサービスをご利用ください。 |
| |
| | | |
| |