オプション品

目次

18.1. USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)
18.1.1. 概要
18.2. Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)
18.2.1. 概要
18.2.2. 組み立て
18.2.3. 形状図
18.3. Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)
18.3.1. 概要
18.3.2. 組み立て
18.3.3. 形状図
18.4. LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶)
18.4.1. 概要
18.4.2. 組み立て
18.5. Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュール
18.5.1. 概要
18.5.2. ブロック図
18.5.3. インターフェース仕様
18.5.3.1. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)
18.5.3.2. CON3(USBホストインターフェース)
18.5.3.3. CON4、CON5、CON6(RTCバックアップインターフェース)
18.5.3.4. JP1(ONOFFピン接続ジャンパ)
18.5.4. 組み立て
18.5.4.1. Armadillo-640とRTCオプションモジュールの組み立て
18.5.4.2. 電池の取り付け、取り外し
18.5.5. 形状図
18.5.6. 動作確認の前に
18.5.7. 動作確認
18.5.7.1. RTCから時刻を取得する
18.5.7.2. RTCに時刻を設定する
18.5.7.3. RTCのアラーム割り込みを使用する
18.5.7.4. RTCオプションモジュールの USB ポートを使用する
18.6. Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュール
18.6.1. 概要
18.6.2. ブロック図
18.6.3. インターフェース仕様
18.6.3.1. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)
18.6.3.2. CON2(WLANインターフェース)
18.6.3.3. CON4、CON5、CON6(RTCバックアップインターフェース)
18.6.3.4. JP1(ONOFFピン接続ジャンパ)
18.6.4. 組み立て
18.6.4.1. Armadillo-640とWLANオプションモジュールの組み立て
18.6.4.2. 電池の取り付け、取り外し
18.6.5. 形状図
18.6.6. 動作確認の前に
18.6.7. 動作確認
18.6.7.1. AWL13を使用するための準備
18.6.7.2. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントに接続する
18.6.7.3. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントを作成する
18.6.7.4. RTCから時刻を取得する
18.6.7.5. RTCに時刻を設定する
18.6.7.6. RTCのアラーム割り込みを使用する
18.7. Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュール
18.7.1. 概要
18.7.2. ブロック図
18.7.3. インターフェース仕様
18.7.3.1. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)
18.7.3.2. CON2(WLANインターフェース)
18.7.4. 形状図
18.7.5. 組み立ての前に
18.7.6. 組み立て
18.7.7. 接続方法
18.7.8. 動作確認
18.7.8.1. BT機能を利用する
18.7.8.2. LE Long Range機能を利用する
18.7.8.3. Thread機能を利用する
18.7.8.4. AWL13を使用するための準備
18.7.8.5. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントに接続する
18.7.8.6. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントを作成する
18.8. 無線LAN用外付けアンテナセット01
18.8.1. 概要
18.8.2. 組み立て
18.8.2.1. 外付けアンテナの取り付け
18.8.3. 形状図

本章では、Armadillo-640のオプション品について説明します。


18.1. USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)

18.1.1. 概要

FT232RLを搭載したUSB-シリアル変換アダプタです。シリアルの信号レベルは3.3V CMOSです。

images/usb2seri-qi.svg

図18.1 USBシリアル変換アダプタの配線


images/common-images/callouts/1.svg
オープン
images/common-images/callouts/2.svg
GNDショート

Armadillo-640のCON9の「1、3、5、7、9」または「2、4、6、8、10」ピンに接続して使用することが可能です。

各ピンに対応するUARTコントローラは以下のとおりです。

表18.2 各ピンに対応するUARTコントローラ

CON9ピン番号 UART名

1、3、5、7、9

UART1

2、4、6、8、10

UART5


images/a640-uart.svg

図18.2 Armadillo-640のシリアル信号線


ご使用の際は、USBシリアル変換アダプタの5ピンコネクタ(青いケーブル側)をArmadillo-640 CON9の1ピンもしくは2ピンに合わせて接続してください。 UART1側で使用した場合、USBシリアル変換アダプタのスイッチで、電源投入時の起動モードを設定することが可能です。 スライドスイッチの状態に対応した起動モードは以下のとおりです。

表18.3 USBシリアル変換アダプタのスライドスイッチによる起動モードの設定

スライドスイッチ 起動モード

オープン

オートブートモード

GNDショート

保守モード


[警告]

USBシリアル変換アダプタは、Armadillo-640の電源を切断した状態で接続してください。 故障の原因となる可能性があります。

[警告]

USBシリアル変換アダプタは、試作・開発用の製品です。外観や仕様を予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。

18.2. Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)

18.2.1. 概要

Armadillo-640用のプラスチック製小型ケースです。 Armadillo-640の基板を収めた状態で、DCジャック、シリアルインターフェース(D-Sub9ピン)、 USBインターフェース、LANインターフェースにアクセス可能となっています。

取り外しが可能なパーツにより、CON9(拡張インターフェース)等の機能を外部に取り出すための開口部も用意しています。

[ティップ]

Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)はArmadillo-640ベーシックモデル開発セットに付属しています。 樹脂ケースのみ必要なお客様のためにオプション品として別売りもしています。

表18.4 Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)について

商品名

Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)

型番

OP-CASE600-PLA-00

内容

樹脂ケース、ネジ、ゴム足


表18.5 Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)の仕様

材質

難燃ABS樹脂

難燃性

UL94 V-0

使用温度範囲

-10〜50℃


[警告]

最高使用温度よりも高い温度で保管または使用した場合、樹脂ケースが変形する可能性があります。

18.2.2. 組み立て

images/a640-pla-case-assembly.svg

図18.3 Armadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製)の組み立て


images/common-images/callouts/1.svg
タッピングねじ(M2.6、L=20mm) x 3
images/common-images/callouts/2.svg
タッピングねじ(M3、L=12mm) x 1
images/common-images/callouts/3.svg
飾りねじ x 1
[警告]

ネジをきつく締め過ぎると、ケースが破損する恐れがありますので、十分にご注意ください。

[警告]

飾りネジはボンド止めされておりますので、無理に取り外さないで下さい。

18.2.3. 形状図

images/a640-pla-case-dimension.svg

図18.4 樹脂ケース形状図


18.3. Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)

18.3.1. 概要

Armadillo-640用のアルミ製小型ケースです。 Armadillo-640の基板を収めた状態で、DCジャック、シリアルインターフェース(D-Sub9ピン)、 USBインターフェース、LANインターフェースにアクセス可能となっています。 ケース固定ネジを利用して、ACアダプタ固定用パーツおよびアース線を接続することが可能です。

[ティップ]

金属ケースはオプション品として別売りしています。

表18.6 Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)について

商品名

Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)

型番

OP-CASE600-MET-00

内容

アルミケース、ネジ、ゴム足、ACアダプタケーブル固定用パーツ


18.3.2. 組み立て

images/a640-metal-case-assembly.svg

図18.5 Armadillo-600シリーズ オプションケース(金属製)の組み立て


images/common-images/callouts/1.svg
なべ小ネジ、スプリングワッシャ付き(M3、L=5mm) x 4
images/common-images/callouts/2.svg
皿ネジ(M2.6、L=4mm) x 3
images/common-images/callouts/3.svg
トラス小ネジ(M3、L=5mm) x 1

18.3.3. 形状図

images/a640-metal-case-upper-dimension.svg

図18.6 金属ケース(上板)寸法図


images/a640-metal-case-lower-dimension.svg

図18.7 金属ケース(下板)寸法図


18.4. LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶)

18.4.1. 概要

ノリタケ伊勢電子製のタッチパネルLCDとフレキシブルフラットケーブル(FFC)のセットです。 Armadillo-640のCON11(LCD拡張インターフェース)に接続して使用することが可能です。

表18.7 LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶)について

商品名

LCDオプションセット(7インチタッチパネルWVGA液晶)

型番

OP-LCD70EXT-L00

内容

7インチ タッチパネルLCD、FFC


表18.8 LCDの仕様

型番

GT800X480A-1013P

メーカー

ノリタケ伊勢電子

タイプ

TFT-LCD

表示サイズ

7インチ

外形サイズ

164.8 x 99.8 mm

解像度

800 x 480 pixels

表示色数

約1677万色

使用温度範囲

-20〜+70℃

輝度

850cd/m2 (Typ.) 25℃

電源

DC 5V±5%/500mA (Typ.), DC 3.3V±3%/35mA (Typ)

映像入力インターフェース

RGBパラレル(18bit/24bit)[a]

タッチパネルインターフェース

I2C(HID準拠)

タッチ方式

投影型静電容量方式

マルチタッチ

最大10点対応

[a] Armadillo-640は18bit対応です。


[警告]

タッチパネルLCDをご使用になる前に、『GT800X480A-1013P 製品仕様書』にて注意事項、詳細仕様、取扱方法等をご確認ください。

『GT800X480A-1013P 製品仕様書』は「アットマークテクノ Armadilloサイト」の「[オプション] LCDオプションセット (7インチタッチパネルWVGA液晶) 製品仕様書」からダウンロード可能です。

18.4.2. 組み立て

図18.8「LCDの接続方法」を参考にし、タッチパネルLCDのCN4の1ピンとArmadillo-640のCON11の1ピンが対応するように、FFCを接続します。 FFCの向きは、タッチパネルLCD側は電極が下、Armadillo-640側は電極が上になるようにします。

images/noritake-lcd-assembly.svg

図18.8 LCDの接続方法


images/common-images/ffc-cable.svg

図18.9 フレキシブルフラットケーブルの形状


[警告]

必ず1ピンと1ピンが対応するように、接続してください。 1ピンと50ピンが対応するように接続した場合、電源とGNDがショートし、 故障の原因となります。

[警告]

FFCの電極の上下を逆に接続した場合、Armadillo-640の実装部品と電極が接触し、 故障する可能性があります。

18.5. Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュール

18.5.1. 概要

温度補償高精度リアルタイムクロック(RTC)とUSBコネクタを搭載したオプションモジュールです。 時刻データを保持するための電池ホルダも搭載しています。 Armadillo-640のCON9(拡張インターフェース)に接続して使用することが可能です。

[ティップ]

Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュールの回路図、部品表は「アットマークテクノ Armadilloサイト」からダウンロード可能です。

表18.9 Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュールについて

商品名

Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュール

型番

OP-A600-RTCMOD-00

内容

RTCオプションモジュール、ネジ、スペーサ


表18.10 RTCオプションモジュールの仕様

リアルタイムクロック

型番

NR3225SA

メーカー

日本電波工業

バックアップ

電池ホルダ、外部バッテリ接続コネクタ搭載(対応電池: CR2016、CR2032 WK11等)

平均月差(参考値)

約21秒@-20℃、約8秒@25℃、約21秒@70℃

USB

Type Aコネクタ搭載

電源電圧

DC 3.3V±6%(RTC)、DC 2.0〜3.5V(RTCバックアップ)、DC 5V±5%(USB)

使用温度範囲

-20~+70℃(結露なきこと) [a]

外形サイズ

42 x 50 mm

[a] Armadillo-600シリーズ オプションケースセット(樹脂製)を組み合わせた場合、USBデバイスの発熱量によっては、使用温度範囲が狭くなる可能性があります。


[警告]

RTCの時間精度は周囲温度に大きく影響を受けますので、ご使用の際には十分に特性の確認をお願いします。

18.5.2. ブロック図

RTCオプションモジュールのブロック図は次のとおりです。

images/rtc-mod-block.svg

図18.10 RTCオプションモジュールのブロック図


18.5.3. インターフェース仕様

RTCオプションモジュールのインターフェース仕様について説明します。

images/rtc-mod-interface-layout.svg

図18.11 RTCオプションモジュールのインターフェース


表18.11 RTCオプションモジュール インターフェース一覧 [17]

部品番号 インターフェース名 型番 メーカ

CON1

Armadillo-600シリーズ接続インターフェース

PPPC072LFBN-RC

Sullins Connector Solutions

CON3

USBホストインターフェース

SS-52100-001

Stewart Connector

CON4

RTCバックアップインターフェース

DF13A-2P-1.25H(21)

HIROSE ELECTRIC

CON5

B2B-EH(LF)(SN)

J.S.T.Mfg.

CON6

BLP2016SM-G

Memory Protection Devices

[17] 部品の実装、未実装を問わず、搭載可能な部品型番を記載しています。


18.5.3.1. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)

CON1はArmadillo-600シリーズの基板と接続するためのインターフェースです。 Armadillo-640のCON9(拡張インターフェース)の11ピンから24ピンに接続して使用します。

表18.12 CON1 信号配列

ピン番号 ピン名 I/O 説明

1

ONOFF

Out

JP1を経由してRTCの割り込みピンに接続、オープンドレイン出力 [a]

2

NC

-

未接続

3

I2C_SCL

In

RTCのI2Cクロックに接続、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。

4

I2C_SDA

In/Out

RTCのI2Cデータピンに接続、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。

5

Reserved

-

-

6

RTC_INT_B

Out

RTCの割り込みピンに接続、オープンドレイン出力、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。

7

NC

-

未接続

8

USB2_PORT_EN

In

CON1の14ピン(USB2_EN_B)に接続されているバッファのイネーブルピンに接続

(High: USB2_EN_BがHi-Z、Low: USB2_EN_BがLow)

9

GND

Power

電源(GND)

10

VCC_3.3V

Power

電源(VCC_3.3V)

11

USB2_DN

In/Out

USBのマイナス側信号、CON3の2ピン(D-)に接続

12

USB2_DP

In/Out

USBのプラス側信号、CON3の3ピン(D+)に接続

13

USB2_VBUS

Power

電源(VBUS)、CON3の1ピン(VBUS)に接続

14

USB2_EN_B

Out

バッファの出力ピンに接続、CON1の8ピン(USB_PORT_EN)で設定した値が出力されます

[a] 出荷時JP1はオープンですので、使用する場合はJP1をショートする必要があります。


18.5.3.2. CON3(USBホストインターフェース)

CON3はUSBホストインターフェースです。

CON1の8ピン(USB2_PORT_EN)からUSBコントローラ(USB OTG2)の接続先を変更して使用します。 Lowレベルを入力するとRTCオプションモジュールのCON3、Highレベルを入力するとArmadillo-640のCON5の上段にUSB OTG2が接続されます。 詳細については、「CON5(USBホストインターフェース)」および回路図をご確認ください。

[警告]

RTCオプションモジュール CON3とArmadillo-640 CON5上段は 同じUSBコントローラ(USB_OTG2)に接続されており、同時に使用できません。

images/unuse-con5-upper.svg

図18.12 Armadillo-640 CON5上段とRTCオプションモジュール CON3は排他利用


[警告]

CON3は活線挿抜非対応となっております。 ユースケースとして活線挿抜を想定していないため、突入電流に耐えるだけのコンデンサを搭載しておらず、活線挿抜した場合にはArmadillo本体の電圧が降下してしまいます。 そのため、電源を切断した状態でデバイスを挿抜してください。

表18.13 CON3 信号配列

ピン番号 ピン名 I/O 説明

1

VBUS

Power

電源(VBUS)

2

D-

In/Out

USBのマイナス側信号、CON1の11ピンに接続

3

D+

In/Out

USBのプラス側信号、CON1の12ピンに接続

4

GND

Power

電源(GND)


18.5.3.3. CON4、CON5、CON6(RTCバックアップインターフェース)

CON4、CON5、CON6はRTCのバックアップ電源供給用のインターフェースです。 別途バックアップ用のバッテリを接続することで、電源(VCC_3.3V)が切断された場合でも、時刻データを保持することが可能です。 3つの形状のインターフェースがありますので、お使いのバッテリに合わせてご使用ください。

表18.14 対応バッテリ例

部品番号 対応電池 バックアップ時間(参考値)

CON4

CR2032 WK11

6.2年

CON5 [a]

-

-

CON6

CR2016

2.5年

[a] CON5には部品が実装されていません。2.5mmピッチのコネクタを実装してご使用ください。


表18.15 CON4、CON5、CON6 信号配列

ピン番号 ピン名 I/O 説明

1

RTC_BAT

Power

電源(RTC_BAT)、リアルタイムクロックの電源ピンに接続

2

GND

Power

電源(GND)


[警告]

CON4、CON5、CON6は共通の端子に接続されており、同時に使用できません。

[警告]

CON4、CON5、CON6はリチウムコイン電池からの電源供給を想定したインターフェースです。 リチウムコイン電池以外から電源を供給する場合、回路図、部品表にて搭載部品をご確認の上、絶対定格値を超えない範囲でご使用ください。

[警告]

CON6に搭載している電池ホルダは、大変破損しやすい部品となっております。 電池の取り付け、取り外しの手順について、「電池の取り付け、取り外し」をご確認ください。

18.5.3.4. JP1(ONOFFピン接続ジャンパ)

JP1は RTC のアラーム割り込み端子と Armadillo-640 の ONOFF ピン(Armadillo-640 CON9 11ピン)を接続するジャンパです。 JP1をショートすることで、RTC のアラーム割り込みによる i.MX6ULL の電源制御が可能になります。

[ティップ]

JP1は、はんだジャンパになります。 半分に割れたパッドになっておりますので、はんだごてでパッドを熱し、はんだを盛ってショートしてください。

18.5.4. 組み立て

18.5.4.1. Armadillo-640とRTCオプションモジュールの組み立て

RTCオプションモジュールはArmadillo-640のCON9の11ピンから24ピンに接続します。図18.13「RTCオプションモジュールの組み立て」のようにコネクタ接続後、金属スペーサで固定してください。

[警告]

Armadillo-640 CON1(microSDスロット)にmicroSDカードを挿抜する際には、RTCオプションモジュールを取り外してください。組み立て後は、RTCオプションモジュールとArmadillo-640の間隔が狭いため、無理に挿抜した場合、microSDカードが正常に挿入されないなどの原因で、動作不良を起こす場合があります。

images/rtc-mod-assembly.svg

図18.13 RTCオプションモジュールの組み立て


images/common-images/callouts/1.svg
なべ小ネジ、スプリングワッシャー、小径平ワッシャー付(M2、L=6mm) x 4
images/common-images/callouts/2.svg
金属スペーサ(M2、L=11mm) x 2

18.5.4.2. 電池の取り付け、取り外し

RTCオプションモジュールのCON6(RTCバックアップインターフェース)にはCR2016等のリチウムコイン電池を搭載可能です。電池を取り付ける手順は以下のとおりです。

  1. プラス端子側に電池を入れる
  2. 電池ホルダのツメの下に電池を押し込む
images/rtc-battery-insert.svg

図18.14 電池ホルダに電池を取り付ける


電池を取り外す手順は以下のとおりです。

  1. プラスチック製もしくは絶縁テープを巻き付けたマイナスドライバー(2mm)を用意する
  2. 電池を軽く押さえる
  3. 電池ホルダの縁の中央部分と電池の間にマイナスドライバーを挿入する
  4. マイナスドライバーで電池を持ち上げる
images/rtc-battery-remove.svg

図18.15 電池ホルダから電池を取り外す


18.5.5. 形状図

images/rtc-mod-dimension.svg

図18.16 RTCオプションモジュール形状


18.5.6. 動作確認の前に

Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュールには、次のバージョンのソフトウェアが対応しています。

表18.16 Armadillo-600シリーズ RTCオプションモジュール対応ソフトウェアバージョン

名称対応バージョンイメージファイル名

ブートローダー

at8 以降

u-boot-a600-v2018.03-at[version].imx

Linuxカーネル

at28 以降

uImage-a600-v4.14-at[version]

WLAN/RTCオプションモジュール用 Device Tree Blob

at28 以降

armadillo-640_con9_awl13_rtc-v4.14-at[version].dtb

Debian GNU/Linuxルートファイルシステム

20201224 以降

debian-buster-armhf-a600-[version].tar.gz


対応前のソフトウェアをご利用の場合は、イメージファイルの書き換えを行ってください。イメージファイルの書き換え方法については11章イメージファイルの書き換え方法を参照してください。

18.5.7. 動作確認

ここではArmadillo-600シリーズ RTCオプションモジュールの動作確認を行います。

18.5.7.1. RTCから時刻を取得する

hwclock コマンドでRTCから時刻を取得することができます。

[armadillo ~]# hwclock
2018-11-19 09:51:53.743739+0900
[ティップ]

RTC オプションモジュールに接続した電池残量が少ない状態 (厳密には電源電圧が 1.3V 以上 1.5V 未満の状態) で Armadillo を起動すると、RTC オプションモジュールから時刻を取得できなくなります。

[armadillo ~]# hwclock
[   44.986529] rtc-nr3225sa 5-0032: Voltage low, data is invalid.
hwclock: ioctl(RTC_RD_TIME) to /dev/rtc to read the time failed: Invalid argument

この状態になった場合は、以下のどちらかの方法を実施すると取得可能になります。

  • Armadilloの電源をOFFにして古い電池を取り外し、10 秒以上経過した後に新しい電池を取り付ける。
  • RTC に時刻を再設定する。

18.5.7.2. RTCに時刻を設定する

「RTC」と同様の手順でRTCに時刻を設定することができます。システムクロックの設定方法については「RTC」をご参照ください。

システムクロックを設定後、ハードウェアクロックを hwclock コマンドを用いて設定します。

[armadillo ~]# hwclock  1
2000-01-01 00:00:00.000000+0900
[armadillo ~]# hwclock --utc --systohc  2
[armadillo ~]# hwclock --utc  3
2018-11-19 15:41:00.213911+0900

1

現在のハードウェアクロックを表示します。

2

ハードウェアクロックを協定世界時(UTC)で設定します。

3

ハードウェアクロックが UTC で正しく設定されていることを確認します。

18.5.7.3. RTCのアラーム割り込みを使用する

アラーム割り込みは、sysfs RTC クラスディレクトリ以下の wakealarm ファイルから利用できます。

wakealarm ファイルに UNIX エポックからの経過秒数、または先頭に+を付けて現在時刻からの経過秒数を書き込むと、アラーム割り込み発生時刻を指定できます。

3600 秒後、アラーム割り込みを発生させるには、次のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# echo +3600 > /sys/class/rtc/rtc0/wakealarm

図18.17 アラーム割り込みの設定


[警告]

WLAN/RTC オプションモジュールに搭載されている RTC NR3225SAは、毎分 0 秒にしかアラーム割り込みを発生させることができません。

0時 0分 30秒の時に、1秒後にアラームが鳴るように設定しても、実際にアラーム割り込みが発生するのは 0時 1分 0秒となります。

[警告]

sysfs RTC クラスディレクトリ以下の wakealarm ファイルからアラーム割り込みを発生させるには、Linux カーネル linux-v4.14-at10 以降である必要があります。

[ティップ]

linux-v4.14-at10 以前のLinux カーネルでも、ioctl RTC_ALM_SET, ioctl RTC_AIE_ONを使用してアラーム割り込みを発生させることができます。

詳しくは、RTC の man ページを参照してください。

18.5.7.4. RTCオプションモジュールの USB ポートを使用する

RTCオプションモジュールの利用時には自動的にArmadillo-640のUSB_OTG2の接続先がRTCオプションモジュール CON3に切り替わります。

そのため、RTCオプションモジュール CON3のUSBポートに USB メモリなどを接続し、使用することができます。ただし、Armadillo-640 CON5上段のUSBポートは利用できなくなる点には注意してください。

[armadillo ~]# ls /dev/sd*
/dev/sda  /dev/sda1

図18.18 USBメモリの接続確認


[警告]

RTCオプションモジュール CON3とArmadillo-640 CON5上段は同じUSBコントローラ(USB_OTG2)に接続されており、同時に使用できません。

images/unuse-con5-upper.svg

図18.19 Armadillo-640 CON5上段とRTCオプションモジュール CON3は排他利用


[ティップ]

Armadillo-640 CON5 USBポートを使用したい場合は、Linuxカーネルをカスタマイズする必要があります。

次のようにDTSを修正することで、RTCオプションモジュール利用時にArmadillo-640 CON5 USBポートを使用することができます。

[ATDE ~/linux-v4.14-at[version]]$ vi arch/arm/boot/dts/armadillo-640_con9_awl13_rtc.dts
: (省略)
&gpio3 {
        usb2_port_en {
                pinctrl-names = "default";
                pinctrl-0 = <&pinctrl_usb2_port_en>;

                gpio-hog;
                gpios = <28 GPIO_ACTIVE_HIGH>;
                line-name = "USB2_PORT_EN";
                output-high;     /* low: USB2 via CON9, high: USB2 via CON5 */  1
        };
};
: (省略)

1

output-low から output-high に変更

18.6. Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュール

18.6.1. 概要

Armadillo-WLANモジュール(AWL13)と温度補償高精度リアルタイムクロック(RTC)を搭載したオプションモジュールです。 チップアンテナと外付けアンテナ接続用の同軸コネクタ、時刻データを保持するための電池ホルダも搭載しています。

Armadillo-640のCON9(拡張インターフェース)に接続して使用することが可能です。

[ティップ]

Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュールの回路図、部品表は「アットマークテクノ Armadilloサイト」からダウンロード可能です。

表18.17 Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュールについて

商品名

Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュール

型番

OP-A600-AWLMOD-00

内容

WLANオプションモジュール、ネジ、スペーサ


表18.18 WLANオプションモジュールの仕様

無線LANモジュール

型番

AWL13-U00Z

メーカー

アットマークテクノ

無線LAN規格

IEEE 802.11b/g/n対応(最大通信速度72.2Mbps/理論値)

リアルタイムクロック

型番

NR3225SA

メーカー

日本電波工業

バックアップ

電池ホルダ、外部バッテリ接続コネクタ搭載(対応電池: CR2016、CR2032 WK11等)

平均月差(参考値)

約21秒@-20℃、約8秒@25℃、約21秒@70℃

電源電圧

DC 3.3V±6%(メイン電源)、DC 2.0〜3.5V(RTCバックアップ)

使用温度範囲

-20~+70℃(結露なきこと) [a]

外形サイズ

42 x 50 mm

[a] Armadillo-600シリーズ オプションケースセット(樹脂製)を組み合わせた場合の使用温度範囲は-10℃~+50℃です。(無線LAN送信出力を6dBmに設定した場合)


[ティップ]

Armadillo-WLANモジュール(AWL13)の詳細な仕様については、Armadilloサイトで公開しているArmadillo-WLAN(AWL13)の各種ドキュメントをご参照ください。

[警告]

RTCの時間精度は周囲温度に大きく影響を受けますので、ご使用の際には十分に特性の確認をお願いします。

18.6.2. ブロック図

WLANオプションモジュールのブロック図は次のとおりです。

images/wlan-mod-block.svg

図18.20 WLANオプションモジュールのブロック図


18.6.3. インターフェース仕様

WLANオプションモジュールのインターフェース仕様について説明します。

images/wlan-mod-interface-layout.svg

図18.21 WLANオプションモジュールのインターフェース


表18.19 WLANオプションモジュール インターフェース一覧 [18]

部品番号 インターフェース名 型番 メーカー

CON1

Armadillo-600シリーズ接続インターフェース

PPPC072LFBN-RC

Sullins Connector Solutions

CON2 [a]

WLANインターフェース

AXK6F34347YG

Panasonic

CON4

RTCバックアップインターフェース

DF13A-2P-1.25H(21)

HIROSE ELECTRIC

CON5

B2B-EH(LF)(SN)

J.S.T.Mfg.

CON6

BLP2016SM-G

Memory Protection Devices

[18] 部品の実装、未実装を問わず、搭載可能な部品型番を記載しています。

[a] CON2にはArmadillo-WLANモジュール(AWL13)が接続されています。


18.6.3.1. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)

CON1はArmadillo-600シリーズの基板と接続するためのインターフェースです。 Armadillo-640のCON9(拡張インターフェース)の11ピンから24ピンに接続して使用します。

表18.20 CON1 信号配列

ピン番号 ピン名 I/O 説明

1

ONOFF

Out

JP1を経由してRTCの割り込みピンに接続、オープンドレイン出力 [a]

2

NC

-

未接続

3

I2C_SCL

In

RTCのI2Cクロックに接続、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。

4

I2C_SDA

In/Out

RTCのI2Cデータピンに接続、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。

5

WLAN_PWREN_B

In

WLANモジュールのパワースイッチのイネーブルピンに接続、基板上で2kΩプルダウンされています。 (High: WLANモジュールへの電源切断、Low: WLANモジュールに電源供給)

6

RTC_INT_B

Out

RTCの割り込みピンに接続、オープンドレイン出力、基板上で2kΩプルアップ(VCC_3.3V)されています。

7

NC

-

未接続

8

USB2_PORT_EN

In

CON1の14ピン(USB2_EN_B)に接続されているバッファのイネーブルピンに接続

(High: USB2_EN_BがHi-Z、Low: USB2_EN_BがLow)

9

GND

Power

電源(GND)

10

VCC_3.3V

Power

電源(VCC_3.3V)

11

USB2_DN

In/Out

USBのマイナス側信号、CON3の2ピン(D-)に接続

12

USB2_DP

In/Out

USBのプラス側信号、CON3の3ピン(D+)に接続

13

USB2_VBUS

Power

電源(VBUS)、CON3の1ピン(VBUS)に接続

14

USB2_EN_B

Out

バッファの出力ピンに接続、CON1の8ピン(USB_PORT_EN)で設定した値が出力されます

[a] 出荷時JP1はオープンですので、使用する場合はJP1をショートする必要があります。


18.6.3.2. CON2(WLANインターフェース)

CON2にはArmadillo-WLANモジュール(AWL13)が接続されています。 Armadillo-WLANモジュール(AWL13)は、USB起動モードに設定されています。

CON1の8ピン(USB2_PORT_EN)からUSBコントローラ(USB OTG2)の接続先を変更して使用します。 Lowレベルを入力するとWLANオプションモジュールのCON2、Highレベルを入力するとArmadillo-640のCON5の上段にUSB OTG2が接続されます。

CON1の5ピン(WLAN_PWREN_B)からArmadillo-WLANモジュール(AWL13)への電源のON/OFF制御をすることが可能です。 Lowレベルを入力すると電源が供給され、Highレベルを入力すると電源が切断されます。

詳細については、「CON5(USBホストインターフェース)」および回路図をご確認ください。

[警告]

WLANオプションモジュールのCON2とArmadillo-640 CON5上段は 同じUSBコントローラ(USB_OTG2)に接続されているので、同時に使用できません。

images/unuse-con5-upper.svg

図18.22 Armadillo-640 CON5上段とWLANオプションモジュール CON2は排他利用


18.6.3.3. CON4、CON5、CON6(RTCバックアップインターフェース)

CON4、CON5、CON6はRTCのバックアップ電源供給用のインターフェースです。 別途バックアップ用のバッテリを接続することで、電源(VCC_3.3V)が切断された場合でも、時刻データを保持することが可能です。 3つの形状のインターフェースがありますので、お使いのバッテリに合わせてご使用ください。

表18.21 対応バッテリ例

部品番号 対応電池 バックアップ時間(参考値)

CON4

CR2032 WK11

6.2年

CON5 [a]

-

-

CON6

CR2016

2.5年

[a] CON5には部品が実装されていません。2.5mmピッチのコネクタを実装してご使用ください。


表18.22 CON4、CON5、CON6 信号配列

ピン番号 ピン名 I/O 説明

1

RTC_BAT

Power

電源(RTC_BAT)、リアルタイムクロックの電源ピンに接続

2

GND

Power

電源(GND)


[警告]

CON4、CON5、CON6は共通の端子に接続されており、同時に使用することはできません。

[警告]

CON4、CON5、CON6はリチウムコイン電池からの電源供給を想定したインターフェースです。 リチウムコイン電池以外から電源を供給する場合、回路図、部品表にて搭載部品をご確認の上、絶対定格値を超えない範囲でご使用ください。

[警告]

CON6に搭載している電池ホルダは、大変破損しやすい部品となっております。 電池の取り付け、取り外しの手順について、「電池の取り付け、取り外し」をご確認ください。

18.6.3.4. JP1(ONOFFピン接続ジャンパ)

JP1は RTC のアラーム割り込み端子と Armadillo-640 の ONOFF ピン(Armadillo-640 CON9 11ピン)を接続するジャンパです。 JP1をショートすることで、RTC のアラーム割り込みによる i.MX6ULL の電源制御が可能になります。

[ティップ]

JP1は、はんだジャンパになります。 半分に割れたパッドになっておりますので、はんだごてでパッドを熱し、はんだを盛ってショートしてください。

18.6.4. 組み立て

18.6.4.1. Armadillo-640とWLANオプションモジュールの組み立て

WLANオプションモジュールはArmadillo-640のCON9の11ピンから24ピンに接続します。図18.23「WLANオプションモジュールの組み立て」のように、コネクタ接続後、金属スペーサで固定してください。

[警告]

Armadillo-640 CON1(microSDスロット)にmicroSDカードを挿抜する際には、WLANオプションモジュールを取り外してください。組み立て後は、WLANオプションモジュールとArmadillo-640の間隔が狭いため、無理に挿抜した場合、microSDカードが正常に挿入されないなどの原因で、動作不良を起こす場合があります。

images/wlan-mod-assembly.svg

図18.23 WLANオプションモジュールの組み立て


images/common-images/callouts/1.svg
なべ小ネジ、スプリングワッシャー、小径平ワッシャー付(M2、L=6mm) x 4
images/common-images/callouts/2.svg
金属スペーサ(M2、L=11mm) x 2

18.6.4.2. 電池の取り付け、取り外し

WLANオプションモジュールのCON6(RTCバックアップインターフェース)にはCR2016等のリチウムコイン電池を搭載可能です。電池を取り付ける手順は以下のとおりです。

  1. プラス端子側に電池を入れる
  2. 電池ホルダのツメの下に電池を押し込む
images/rtc-battery-insert.svg

図18.24 電池ホルダに電池を取り付ける


電池を取り外す手順は以下のとおりです。

  1. プラスチック製もしくは絶縁テープを巻き付けたマイナスドライバー(2mm)を用意する
  2. 電池を軽く押さえる
  3. 電池ホルダの縁の中央部分と電池の間にマイナスドライバーを挿入する
  4. マイナスドライバーで電池を持ち上げる
images/rtc-battery-remove.svg

図18.25 電池ホルダから電池を取り外す


18.6.5. 形状図

images/wlan-mod-dimension.svg

図18.26 WLANオプションモジュール形状


18.6.6. 動作確認の前に

Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュールには、次のバージョンのソフトウェアが対応しています。

表18.23 Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュール対応ソフトウェアバージョン

名称対応バージョンイメージファイル名

ブートローダー

at8 以降

u-boot-a600-v2018.03-at[version].imx

Linuxカーネル

at28 以降

uImage-a600-v4.14-at[version]

WLAN/RTCオプションモジュール用 Device Tree Blob

at28 以降

armadillo-640_con9_awl13_rtc-v4.14-at[version].dtb

Debian GNU/Linuxルートファイルシステム

20201224 以降

debian-buster-armhf-a600-[version].tar.gz


対応前のソフトウェアをご利用の場合は、イメージファイルの書き換えを行ってください。イメージファイルの書き換え方法については11章イメージファイルの書き換え方法を参照してください。

18.6.7. 動作確認

ここではArmadillo-600シリーズ WLANオプションモジュールの動作確認を行います。

18.6.7.1. AWL13を使用するための準備

AWL13を使用するためには、AWL13の起動後にファームウェアをロードし、その後で通信設定を行う必要があります。

そのため、次のパッケージをArmadillo-640にインストールします。

表18.24 AWL13に使用する際に必要なパッケージ

パッケージ名説明

awl13-usb-firmwares

AWL13にファームウェアやAWL13の認識時にファームウェアを自動的にロードするスクリプトを含んだパッケージ

wireless-tools

AWL13に無線LANの設定を行うツールを含んだパッケージ


[armadillo ~]# apt-get install awl13-usb-firmwares
[armadillo ~]# apt-get install wireless-tools

18.6.7.2. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントに接続する

AWL13を使用して無線LANアクセスポイントに接続するには、AWL13に"STA"(ステーション用ファームウェア)がロードされている必要があります。

AWL13に"STA"をロードするには、次のように /etc/awlan/awl13.conf を修正し、Armadilloを再起動します。

  1. AWL13に"STA"がロードされるよう設定を変更する

    [armadillo ~]# vi /etc/awlan/awl13.conf
    AWL13_MODE=STA
    #AWL13_MODE=AP
  2. Armadilloを再起動する

    [armadillo ~]# reboot

AWL13に"STA"をロードしたらネットワーク設定を行います。

AWL13のネットワークデバイスは awlan0 となります。設定方法は「ネットワーク」と変わりません。

「固定IPアドレスに設定する」と同じ設定をAWL13で行う場合、 /etc/network/interfaces の末尾に次のように設定を追加します。

[armadillo ~]# vi /etc/network/interfaces
# interfaces(5) file used by ifup(8) and ifdown(8)

auto lo eth0
iface lo inet loopback
iface eth0 inet dhcp

iface awlan0 inet static  1
        address 192.0.2.10
        netmask 255.255.255.0
        network 192.0.2.0
        broadcast 192.0.2.255
        gateway 192.0.2.1
        pre-up iwpriv awlan0 set_psk [passphrase]  2
        pre-up iwpriv awlan0 set_cryptmode WPA2-AES  3
        pre-up iwconfig awlan0 essid [essid]  4
        wireless-mode managed  5

図18.27 無線LAN固定IP設定


1

iface に awlan0 を指定します。

2

PSK を設定します。

3

暗号化方式 WPA2-AES に設定します。

4

ESSID を設定します。

5

無線をアクティブにします。

ネットワークの設定が完了後、インターフェースを有効化することで、無線LANアクセスポイントに接続できます。

[armadillo ~]# ifup awlan0
[armadillo ~]# ping -I awlan0 -c 3 192.0.2.30
PING 192.0.2.30 (192.0.2.30) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 192.0.2.30: icmp_seq=1 ttl=63 time=1.39 ms
64 bytes from 192.0.2.30: icmp_seq=2 ttl=63 time=1.35 ms
64 bytes from 192.0.2.30: icmp_seq=3 ttl=63 time=1.34 ms

--- 192.0.2.30 ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2003ms
rtt min/avg/max/mdev = 1.343/1.365/1.395/0.021 ms

図18.28 インターフェースの有効化と無線LANアクセスポイントのPING確認


[ティップ]

AWL13には、通信レートや出力調整の変更、WPS プッシュボタン(PBC)方式による無線設定機能などもあります。

詳しくはArmadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルをご参照ください。

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルを参照する際には、AWL13のSYSFSインターフェースのパスを読み替えてご利用ください。

  • Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルに記載のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/module/awl13_[mode]/awlan0/

  • Armadillo-640でAWL13利用時のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/class/net/awlan0/awl13/firmware

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルは、Armadilloサイト - Armadillo-WLAN 製品マニュアル・ドキュメントからご利用いただけます。

18.6.7.3. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントを作成する

AWL13を使用して無線LANアクセスポイントを作成するには、AWL13に"AP"(アクセスポイント用ファームウェア)がロードされている必要があります。

AWL13に"AP"をロードするには、次のように /etc/awlan/awl13.conf を修正し、Armadilloを再起動します。

  1. AWL13に"AP"がロードされるよう設定を変更する

    [armadillo ~]# vi /etc/awlan/awl13.conf
    #AWL13_MODE=STA
    AWL13_MODE=AP
  2. Armadilloを再起動する

    [armadillo ~]# reboot

AWL13に"AP"をロードしたらネットワーク設定を行います。

AWL13のネットワークデバイスは awlan0 となります。設定方法は「ネットワーク」と変わりません。

無線LANアクセスポイントの設定例を、以下に示します。

表18.25 無線LANアクセスポイント設定例

項目設定

ESSID

myap

チャンネル

1

PSK パスフレーズ

mypresharedkey

暗号化方式

WPA2-PSK(AES)

IPアドレス

192.0.2.30

ネットマスク

255.255.255.0

ネットワークアドレス

192.0.2.0

ブロードキャストアドレス

192.0.2.255


[armadillo ~]# vi /etc/network/interfaces
# interfaces(5) file used by ifup(8) and ifdown(8)

auto lo eth0
iface lo inet loopback
iface eth0 inet dhcp

iface awlan0 inet static  1
    address 192.0.2.30
    netmask 255.255.255.0
    network 192.0.2.0
    broadcast 192.0.2.255
    pre-up iwpriv awlan0 set_psk mypresharedkey  2
    pre-up iwpriv awlan0 set_cryptmode WPA2-AES  3
    pre-up iwconfig awlan0 essid myap  4
    pre-up iwconfig awlan0 channel 1  5
    wireless-mode master  6

図18.29 無線LANアクセスポイント設定


1

iface に awlan0 を指定します。

2

PSK を設定します。

3

暗号化方式を設定します。

4

ESSID を設定します。

5

チャンネルを設定します。

6

無線をアクティブにします。

ネットワークの設定が完了後、インターフェースを有効化することで、無線LANアクセスポイントを作成できます。

[armadillo ~]# ifup awlan0

図18.30 インターフェースの有効化


[ティップ]

AWL13には、通信レートや出力調整の変更、WPS プッシュボタン(PBC)方式による無線設定機能などもあります。

詳しくはArmadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルをご参照ください。

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルを参照する際には、AWL13のSYSFSインターフェースのパスを読み替えてご利用ください。

  • Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルに記載のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/module/awl13_[mode]/awlan0/

  • Armadillo-640でAWL13利用時のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/class/net/awlan0/awl13/firmware

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルは、Armadilloサイト - Armadillo-WLAN 製品マニュアル・ドキュメントからご利用いただけます。

18.6.7.4. RTCから時刻を取得する

hwclock コマンドでRTCから時刻を取得することができます。

[armadillo ~]# hwclock
2018-11-19 09:51:53.743739+0900
[ティップ]

RTC オプションモジュールに接続した電池残量が少ない状態 (厳密には電源電圧が 1.3V 以上 1.5V 未満の状態) で Armadillo を起動すると、RTC オプションモジュールから時刻を取得できなくなります。

[armadillo ~]# hwclock
[   44.986529] rtc-nr3225sa 5-0032: Voltage low, data is invalid.
hwclock: ioctl(RTC_RD_TIME) to /dev/rtc to read the time failed: Invalid argument

この状態になった場合は、以下のどちらかの方法を実施すると取得可能になります。

  • Armadilloの電源をOFFにして古い電池を取り外し、10 秒以上経過した後に新しい電池を取り付ける。
  • RTC に時刻を再設定する。

18.6.7.5. RTCに時刻を設定する

「RTC」と同様の手順でRTCに時刻を設定することができます。システムクロックの設定方法については「RTC」をご参照ください。

システムクロックを設定後、ハードウェアクロックを hwclock コマンドを用いて設定します。

[armadillo ~]# hwclock  1
2000-01-01 00:00:00.000000+0900
[armadillo ~]# hwclock --utc --systohc  2
[armadillo ~]# hwclock --utc  3
2018-11-19 15:41:00.213911+0900

1

現在のハードウェアクロックを表示します。

2

ハードウェアクロックを協定世界時(UTC)で設定します。

3

ハードウェアクロックが UTC で正しく設定されていることを確認します。

18.6.7.6. RTCのアラーム割り込みを使用する

アラーム割り込みは、sysfs RTC クラスディレクトリ以下の wakealarm ファイルから利用できます。

wakealarm ファイルに UNIX エポックからの経過秒数、または先頭に+を付けて現在時刻からの経過秒数を書き込むと、アラーム割り込み発生時刻を指定できます。

3600 秒後、アラーム割り込みを発生させるには、次のようにコマンドを実行します。

[armadillo ~]# echo +3600 > /sys/class/rtc/rtc0/wakealarm

図18.31 アラーム割り込みの設定


[警告]

WLAN/RTC オプションモジュールに搭載されている RTC NR3225SAは、毎分 0 秒にしかアラーム割り込みを発生させることができません。

0時 0分 30秒の時に、1秒後にアラームが鳴るように設定しても、実際にアラーム割り込みが発生するのは 0時 1分 0秒となります。

[警告]

sysfs RTC クラスディレクトリ以下の wakealarm ファイルからアラーム割り込みを発生させるには、Linux カーネル linux-v4.14-at10 以降である必要があります。

[ティップ]

linux-v4.14-at10 以前のLinux カーネルでも、ioctl RTC_ALM_SET, ioctl RTC_AIE_ONを使用してアラーム割り込みを発生させることができます。

詳しくは、RTC の man ページを参照してください。

18.7. Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュール

18.7.1. 概要

加賀FEI製の無線モジュール EYSKBNZWBを搭載したオプションモジュールです。 WLAN対応モデルと非対応モデルをラインアップしており、WLAN対応モデルにはArmadillo-WLANモジュール(AWL13)が搭載されます。

Armadillo-640のCON14(拡張インターフェース)、CON9(拡張インターフェース)に接続して使用します。

[警告]

BT/THオプションモジュールを接続した状態でArmadillo-640と作業用PCを接続するためには、シリアルクロスケーブルが必要となります。 これは、BT/THオプションモジュールがArmadillo-640のCON9を使用しており、「USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-640用)」をCON9に接続することができなくなるためです。

[警告]

BT/THオプションモジュールがArmadillo-640のUSBコントローラ(USB OTG2)を使用するため、 Armadillo-640のCON5の上段は使用できなくなります。 詳細については、「CON5(USBホストインターフェース)」および回路図をご確認ください。

images/unuse-con5-upper.svg

図18.32 BT/THオプションモジュール接続時にArmadillo-640 CON5上段は使用不可


[ティップ]

Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュールの回路図、部品表は 「アットマークテクノ Armadilloサイト」からダウンロード可能です。

表18.26 BT/THオプションモジュールについて

商品名

Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュール

型番

WLAN非対応

OP-A600-BTTHMOD-00

WLAN対応

OP-A600-BTTHMOD-01

内容

BT/THオプションモジュール、ネジ、スペーサ、USBコネクタ用キャップ


表18.27 BT/THオプションモジュールの仕様

搭載モジュール

型番

EYSKBNZWB

メーカー

加賀FEI

無線規格

Bluetooth 5.0/IEEE 802.15.4(Thread)

型番

AWL13-U00Z [a]

メーカー

アットマークテクノ

無線規格

IEEE 802.11b/g/n対応

電源電圧

DC 3.3V±6%、DC 5V±5%

使用温度範囲

-20~+70℃(結露なきこと) [b]

外形サイズ

42 x 50 mm

[a] Armadillo-WLANモジュール(AWL13)は、WLAN対応モデルの場合に搭載されます。

[b] Armadillo-600シリーズ オプションケースセット(樹脂製)を組み合わせた場合の使用温度範囲は-10℃~+40℃です。


[ティップ]

EYSKBNZWBの詳細な仕様につきましては、メーカーサイト にてご確認ください。

Armadillo-WLANモジュール(AWL13)の詳細な仕様につきましては、「Armadillo-WLAN製品ページ」にてご確認ください。

18.7.2. ブロック図

BT/THオプションモジュールのブロック図は次のとおりです。

images/btth-mod-block.svg

図18.33 BT/THオプションモジュールのブロック図


18.7.3. インターフェース仕様

BT/THオプションモジュールのインターフェース仕様について説明します。

images/btth-mod-interface-layout.svg

図18.34 BT/THオプションモジュールのインターフェース


表18.28 BT/THオプションモジュール インターフェース一覧 [19]

部品番号 インターフェース名 型番 メーカー

CON1

Armadillo-600シリーズ接続インターフェース

PPPC142LFBN-RC

Sullins Connector Solutions

CON2 [a]

WLANインターフェース

AXK6F34347YG

Panasonic

[19] 部品の実装、未実装を問わず、搭載可能な部品型番を記載しています。

[a] WLAN対応モデルの場合、CON2にはArmadillo-WLANモジュール(AWL13)が接続されます。


18.7.3.1. CON1(Armadillo-600シリーズ接続インターフェース)

CON1はArmadillo-600シリーズの基板と接続するためのインターフェースです。

表18.29 CON1 信号配列

ピン番号 ピン名 I/O 説明

1

VCC_3.3V

Power

電源(VCC_3.3V)

2

GND

Power

電源(GND)

3

SE_I2C_SCL

In

セキュアエレメントのI2Cクロックに接続されています。

4

SE_I2C_SDA

In/Out

セキュアエレメントのI2Cデータに接続されています。

5

NC

-

未接続

6

SWDCLK

In

EYSKBNZWBのSWDCLKに接続されています。

7

NC

-

未接続

8

SWDIO

In/Out

EYSKBNZWBのSWDIOに接続されています。

9

NC

-

未接続

10

HUB_RESET_B

In

USB HUBをリセットするための信号です。 (High: リセット解除、Low: リセット)

11

VCC_3.3V

Power

電源(VCC_3.3V)

12

VCC_3.3V

Power

電源(VCC_3.3V)

13

GND

Power

電源(GND)

14

GND

Power

電源(GND)

15

NC

-

未接続

16

NC

-

未接続

17

NC

-

未接続

18

NC

-

未接続

19

WLAN_PWREN_B

In

WLANモジュールへの電源をON/OFF制御するための信号です。 (High: 電源切断、Low: 電源供給)

20

TH_RESET

In

EYSKBNZWBをリセットするための信号です。 (High: リセット、Low: リセット解除)

21

TH_PWREN_B

In

EYSKBNZWBの電源をON/OFF制御するための信号です。 (High: 電源切断、Low: 電源供給)

22

SE_RESET_B

In

セキュアエレメントをリセットするための信号です。 (High: リセット解除、Low: リセット)

23

GND

Power

電源(GND)

24

VCC_3.3V

Power

電源(VCC_3.3V)

25

USB2_DN

In/Out

USBのマイナス側信号です。

26

USB2_DP

In/Out

USBのプラス側信号です。

27

USB2_VBUS

Power

電源(VBUS)

28

USB2_EN_B

Out

Armadillo-640のUSB OTG2の接続先を切り替えるための信号です。GNDに接続されています。


18.7.3.2. CON2(WLANインターフェース)

CON2はArmadillo-WLANモジュール(AWL13)を接続するためのインターフェースです。 Armadillo-WLANモジュール(AWL13)は、USB起動モードで接続されます。

18.7.4. 形状図

images/btth-mod-dimension.svg

図18.35 BT/THオプションモジュール形状


18.7.5. 組み立ての前に

[警告]

Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュールを接続すると、Armadillo-640 CON9にUSBシリアル変換アダプタを接続できなくなってしまうため、その前に対応ソフトウェアを書き込む必要があります。

Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュールには、次のバージョンのソフトウェアが対応しています。

表18.30 Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュール対応ソフトウェアバージョン

名称対応バージョンイメージファイル名

ブートローダー

at8 以降

u-boot-a600-console-uart3-v2018.03-at[version].imx

Linuxカーネル

at28 以降

uImage-a600-v4.14-at[version]

BT/THオプションモジュール用 Device Tree Blob

at28 以降

armadillo-640_con9_thread-v4.14-at[version].dtb

Debian GNU/Linuxルートファイルシステム

20201224 以降

debian-buster-armhf-a600-[version].tar.gz


対応ソフトウェア以外をご利用の場合は、イメージファイルの書き換えを行ってください。イメージファイルの書き換え方法については「特定のイメージファイルだけを書き換える」を参照してください。

[警告]

ブートローダー( u-boot-a600-console-uart3-v2018.03-at[version].imx )およびBT/THオプションモジュール用 Device Tree Blob( armadillo-640_con9_thread-v4.14-at[version].dtb )は、CON3(シリアルインターフェース)をコンソールとして利用します。

18.7.6. 組み立て

BT/THオプションモジュールはArmadillo-640のCON14(拡張インターフェース)の1ピンから4ピン、CON9(拡張インターフェース)の1ピンから24ピンに接続します。 電波強度等に影響がでますので、Armadillo-640とBT/THオプションモジュールは、金属スペーサで固定してください。

組み立て後でもArmadillo-600シリーズ オプションケース(樹脂製) に収めることが可能です。

[警告]

Armadillo-640 CON1(microSDスロット)にmicroSDカードを挿抜する際には、BT/THオプションモジュールを取り外してください。組み立て後は、BT/THオプションモジュールとArmadillo-640の間隔が狭いため、無理に挿抜した場合、microSDカードが正常に挿入されないなどの原因で、動作不良を起こす可能性があります。

images/btth-mod-assembly.svg

図18.36 BT/THオプションモジュールの組み立て


images/common-images/callouts/1.svg
なべ小ネジ、スプリングワッシャー、小径平ワッシャー付(M2、L=6mm) x 4
images/common-images/callouts/2.svg
金属スペーサ(M2、L=11mm) x 2
images/common-images/callouts/3.svg
USBコネクタキャップ
[警告]

BT/THオプションモジュールに付属のUSBコネクタキャップは一度嵌めると簡単に取り外すことができません。 取り付け箇所に間違いがないか、十分にご確認の上ご使用ください。

18.7.7. 接続方法

シリアルクロスケーブルでのArmadillo-640と作業用PCの接続方法等、Armadillo-640と周辺装置の接続方法については、「接続方法」を参照してください。

18.7.8. 動作確認

ここではArmadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュールの動作確認を行います。

Armadillo-600シリーズ BT/THオプションモジュールは、BTまたはThread機能を選択して利用することができます。初期出荷ではBT機能が利用できます。

18.7.8.1. BT機能を利用する

BT機能を利用するには、以下のコマンドを入力します。

[armadillo ~]# apt-get update && apt-get install firmware-at-bt
:(省略)
Updating firmware...
Updating firmware has been successful!
[armadillo ~]#

図18.37 BT/THオプションモジュールのBT機能を有効化する


[ティップ]

firmware-at-btとfirmware-at-threadを同時にインストールすることはできません。どちらか一方がすでにインストール済みの場合は、インストール時に次のような問い合わせがあります。

Do you want to continue? [Y/n]

Enterキーを押すとインストールが実行されます。

BT機能が有効化されている場合、hciconfigコマンドを実行するとBTデバイスが確認できます。

[armadillo ~]# hciconfig
hci0:   Type: Primary  Bus: USB
        BD Address: FE:E5:86:3B:3A:B2  ACL MTU: 27:7  SCO MTU: 0:0
        UP RUNNING
        RX bytes:233 acl:0 sco:0 events:19 errors:0
        TX bytes:120 acl:0 sco:0 commands:19 errors:0

BlueZに含まれるユーティリティなどからBT機能を利用することができます。

18.7.8.2. LE Long Range機能を利用する

BTのLE Long Range機能を利用することができます。LE Long Range機能を利用すると、データレートの低下 [20] と引き換えに長距離 [21] 通信が可能になります。LE Long Range機能は物理層にLE Coded PHYを利用します [22]

事前に「BT機能を利用する」を参照してBT機能が利用できる状態にしてください。

LE Long Range機能を利用するには、次のバージョンのパッケージがArmadilloにインストールされている必要があります。

表18.31 LE Long Range対応パッケージバージョン

パッケージ名対応バージョン

bluez

5.50-1.2atmark1 以降

firmware-at-bt

2.0.0 以降


パッケージが古い場合は「パッケージ管理」を参照してアップグレードしてください。

表18.31「LE Long Range対応パッケージバージョン」に示すBlueZには、LE Long Range機能を利用したアドバタイズPDU送受信のサンプルを追加しています。

アドバタイズPDU受信のサンプルとして、hcitoolコマンドのサプコマンドにext_lescanを追加しています。LE Coded PHYでスキャンを行い、アドバタイズPDUを送信している機器のBDアドレスとEIR(Extended Inquiry Response)に含まれるLocal Nameを表示します。スキャンを停止するには Ctrl-c を入力してください。

[armadillo ~]# hcitool ext_lescan --passive
01:00:5E:90:10:10 (unknown)

図18.38 LE Coded PHYでスキャンする


[ティップ]

ext_lescanサブコマンドは、LE 1M PHYおよびLE 2M PHYに非対応です。

アドバタイズPDU送信のサンプルとして、hciconfigコマンドのサプコマンドにext_leadvおよびext_noleadvを追加しています。それぞれLE Coded PHYからのアドバタイジングを有効化、無効化します。

[armadillo ~]# hciconfig hci0 ext_leadv
[armadillo ~]#

図18.39 LE Coded PHYからのアドバタイジングを有効化する


[armadillo ~]# hciconfig hci0 ext_noleadv
[armadillo ~]#

図18.40 LE Coded PHYからのアドバタイジングを無効化する


[ティップ]

ext_leadvおよびext_nolescanサブコマンドは、LE 1M PHYおよびLE 2M PHYに非対応です。

[ティップ]

アドバタイジングの有効化と無効化は交互に行う必要があります。連続で実行した場合はエラーになります。

[armadillo ~]# hciconfig hci0 ext_leadv
[armadillo ~]# hciconfig hci0 ext_leadv
LE set advertise enable on hci0 returned status 12
[ティップ]

LE Coded PHYからのアドバタイジングには、LE Advertising Extensions機能を利用します。LE Advertising Extensionsで追加された8種類のPDU Typeのうち、執筆時点で動作確認済みのものは次の通りです。

  • ADV_EXT_IND
  • AUX_ADV_IND

また、データPDUのみにLE Long Range機能を利用することもできます。connect後に次のようにHCIコマンドを発行することで、LE Coded PHYを利用した通信を行うことができます。

[armadillo ~]# hcitool cmd 0x08 0x0031 00 05 05 1
[armadillo ~]# hcitool cmd 0x08 0x0032 00 00 00 04 04 02 00 2

1

HCI_LE_Set_Default_PHY(OCF: 0x0031)で、LE 1M PHYとLE Coded PHYを送受信に使うよう設定します。

2

HCI_LE_Set_PHY(OCF: 0x0032)で、LE Coded PHYを送受信に使うよう設定します。符号化方式にはS=8を設定します。

本書で紹介しないHCIコマンドについても、hcitoolコマンドまたはHCIソケットプログラムを作成することで実行可能です。例えば、アドバタイズPDUに含まれるdataフィールドは次のように変更可能です。

[armadillo]# hcitool -i hci0 cmd 0x08 0x0037 00 03 00 0e 02 01 06 0a 09 41 72 6d 61 64 69 6c 6c 6f

この例では、EIR(Extended Inquiry Response)に含まれるLocal Nameを"Armadillo"に変更しています。

[警告]

執筆時点でのfirmware-at-btでは、LE Coded PHYの符号化方式はS=8のみサポートしています。S=2を指定すると期待通りに動作しない場合があります。

[警告]

いくつかのHCIコマンドのパラメータに制限事項があります。執筆時点で判明している制限は次の通りです。

HCIコマンドOCF制限事項

HCI_LE_Set_PHY

0x0032

TX_PHYS, RX_PHYSに指定可能なPHYはそれぞれ1つのみです。

HCI_LE_Set_Extended_Advertising_Parameters

0x0036

Primary_Advertising_PHY, Secondary_Advertising_PHYに指定可能なPHYはそれぞれ1つのみです。

Advertising_Tx_Powerが無視されます(送信出力は8dBm固定です)。

HCI_LE_Set_Extended_Advertising_Enable

0x0039

Number_of_Setsに0x00(全てのアドバタイジングセットを無効化)を指定できません。

Duration[i], Max_Extended_Advertising_Events[i]が無視されます。

HCI_LE_Set_Extended_Scan_Parameters

0x0041

Scanning_PHYsに指定可能なPHYは1つのみです。

HCI_LE_Set_Extended_Scan_Enable

0x0042

Duration, Periodが無視されます。

18.7.8.3. Thread機能を利用する

Thread機能を利用するには、以下のコマンドを入力します。

[armadillo ~]# apt-get update && apt-get install firmware-at-thread
:(省略)
[armadillo ~]# update-at-thread-firmware -f
Updating firmware...
Updating firmware has been successful!
[armadillo ~]#

図18.41 BT/THオプションモジュールのThread機能を有効化する


[ティップ]

firmware-at-btとfirmware-at-threadを同時にインストールすることはできません。どちらか一方がすでにインストール済みの場合は、インストール時に次のような問い合わせがあります。

Do you want to continue? [Y/n]

Enterキーを押すとインストールが実行されます。

Thread機能が有効化されている場合、TTYとしてThreadデバイスが確認できます。

[armadillo ~]# ls /dev/ttyACM0
/dev/ttyACM0

18.7.8.4. AWL13を使用するための準備

AWL13を使用するためには、AWL13の起動後にファームウェアをロードし、その後で通信設定を行う必要があります。

そのため、次のパッケージをArmadillo-640にインストールします。

表18.32 AWL13に使用する際に必要なパッケージ

パッケージ名説明

awl13-usb-firmwares

AWL13にファームウェアやAWL13の認識時にファームウェアを自動的にロードするスクリプトを含んだパッケージ

wireless-tools

AWL13に無線LANの設定を行うツールを含んだパッケージ


[armadillo ~]# apt-get install awl13-usb-firmwares
[armadillo ~]# apt-get install wireless-tools

18.7.8.5. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントに接続する

AWL13を使用して無線LANアクセスポイントに接続するには、AWL13に"STA"(ステーション用ファームウェア)がロードされている必要があります。

AWL13に"STA"をロードするには、次のように /etc/awlan/awl13.conf を修正し、Armadilloを再起動します。

  1. AWL13に"STA"がロードされるよう設定を変更する

    [armadillo ~]# vi /etc/awlan/awl13.conf
    AWL13_MODE=STA
    #AWL13_MODE=AP
  2. Armadilloを再起動する

    [armadillo ~]# reboot

AWL13に"STA"をロードしたらネットワーク設定を行います。

AWL13のネットワークデバイスは awlan0 となります。設定方法は「ネットワーク」と変わりません。

「固定IPアドレスに設定する」と同じ設定をAWL13で行う場合、 /etc/network/interfaces の末尾に次のように設定を追加します。

[armadillo ~]# vi /etc/network/interfaces
# interfaces(5) file used by ifup(8) and ifdown(8)

auto lo eth0
iface lo inet loopback
iface eth0 inet dhcp

iface awlan0 inet static  1
        address 192.0.2.10
        netmask 255.255.255.0
        network 192.0.2.0
        broadcast 192.0.2.255
        gateway 192.0.2.1
        pre-up iwpriv awlan0 set_psk [passphrase]  2
        pre-up iwpriv awlan0 set_cryptmode WPA2-AES  3
        pre-up iwconfig awlan0 essid [essid]  4
        wireless-mode managed  5

図18.42 無線LAN固定IP設定


1

iface に awlan0 を指定します。

2

PSK を設定します。

3

暗号化方式 WPA2-AES に設定します。

4

ESSID を設定します。

5

無線をアクティブにします。

ネットワークの設定が完了後、インターフェースを有効化することで、無線LANアクセスポイントに接続できます。

[armadillo ~]# ifup awlan0
[armadillo ~]# ping -I awlan0 -c 3 192.0.2.30
PING 192.0.2.30 (192.0.2.30) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 192.0.2.30: icmp_seq=1 ttl=63 time=1.39 ms
64 bytes from 192.0.2.30: icmp_seq=2 ttl=63 time=1.35 ms
64 bytes from 192.0.2.30: icmp_seq=3 ttl=63 time=1.34 ms

--- 192.0.2.30 ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2003ms
rtt min/avg/max/mdev = 1.343/1.365/1.395/0.021 ms

図18.43 インターフェースの有効化と無線LANアクセスポイントのPING確認


[ティップ]

AWL13には、通信レートや出力調整の変更、WPS プッシュボタン(PBC)方式による無線設定機能などもあります。

詳しくはArmadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルをご参照ください。

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルを参照する際には、AWL13のSYSFSインターフェースのパスを読み替えてご利用ください。

  • Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルに記載のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/module/awl13_[mode]/awlan0/

  • Armadillo-640でAWL13利用時のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/class/net/awlan0/awl13/firmware

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルは、Armadilloサイト - Armadillo-WLAN 製品マニュアル・ドキュメントからご利用いただけます。

18.7.8.6. AWL13を使用して無線LANアクセスポイントを作成する

AWL13を使用して無線LANアクセスポイントを作成するには、AWL13に"AP"(アクセスポイント用ファームウェア)がロードされている必要があります。

AWL13に"AP"をロードするには、次のように /etc/awlan/awl13.conf を修正し、Armadilloを再起動します。

  1. AWL13に"AP"がロードされるよう設定を変更する

    [armadillo ~]# vi /etc/awlan/awl13.conf
    #AWL13_MODE=STA
    AWL13_MODE=AP
  2. Armadilloを再起動する

    [armadillo ~]# reboot

AWL13に"AP"をロードしたらネットワーク設定を行います。

AWL13のネットワークデバイスは awlan0 となります。設定方法は「ネットワーク」と変わりません。

無線LANアクセスポイントの設定例を、以下に示します。

表18.33 無線LANアクセスポイント設定例

項目設定

ESSID

myap

チャンネル

1

PSK パスフレーズ

mypresharedkey

暗号化方式

WPA2-PSK(AES)

IPアドレス

192.0.2.30

ネットマスク

255.255.255.0

ネットワークアドレス

192.0.2.0

ブロードキャストアドレス

192.0.2.255


[armadillo ~]# vi /etc/network/interfaces
# interfaces(5) file used by ifup(8) and ifdown(8)

auto lo eth0
iface lo inet loopback
iface eth0 inet dhcp

iface awlan0 inet static  1
    address 192.0.2.30
    netmask 255.255.255.0
    network 192.0.2.0
    broadcast 192.0.2.255
    pre-up iwpriv awlan0 set_psk mypresharedkey  2
    pre-up iwpriv awlan0 set_cryptmode WPA2-AES  3
    pre-up iwconfig awlan0 essid myap  4
    pre-up iwconfig awlan0 channel 1  5
    wireless-mode master  6

図18.44 無線LANアクセスポイント設定


1

iface に awlan0 を指定します。

2

PSK を設定します。

3

暗号化方式を設定します。

4

ESSID を設定します。

5

チャンネルを設定します。

6

無線をアクティブにします。

ネットワークの設定が完了後、インターフェースを有効化することで、無線LANアクセスポイントを作成できます。

[armadillo ~]# ifup awlan0

図18.45 インターフェースの有効化


[ティップ]

AWL13には、通信レートや出力調整の変更、WPS プッシュボタン(PBC)方式による無線設定機能などもあります。

詳しくはArmadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルをご参照ください。

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルを参照する際には、AWL13のSYSFSインターフェースのパスを読み替えてご利用ください。

  • Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルに記載のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/module/awl13_[mode]/awlan0/

  • Armadillo-640でAWL13利用時のSYSFSインターフェースのパス

    /sys/class/net/awlan0/awl13/firmware

Armadillo-WLAN(AWL13) ソフトウェアマニュアルは、Armadilloサイト - Armadillo-WLAN 製品マニュアル・ドキュメントからご利用いただけます。

18.8. 無線LAN用外付けアンテナセット01

18.8.1. 概要

Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュール(OP-A600-AWLMOD-00)に接続可能な外付けアンテナセットです。

表18.34 無線LAN用外付けアンテナセット01について

商品名

無線LAN用外付けアンテナセット01

型番

OP-ANT-WLAN-01W

内容

外付けアンテナ、アンテナケーブル


表18.35 無線LAN用外付けアンテナセット01の仕様

名称 指向性 入力インピーダンス VSWR 利得 コネクタタイプ

アンテナ

水平面内無指向性

50Ω

<2.0dBi

2.0dBi

SMA-Pリバース

アンテナケーブル

50Ω

0dBi

SMA-Jリバース、MS-156C-LP-068/HIROSE ELECTRIC


18.8.2. 組み立て

18.8.2.1. 外付けアンテナの取り付け

Armadillo-600シリーズ WLANオプションモジュール(OP-A600-AWLMOD-00)に取り付けることが可能です。アンテナ端子にアンテナケーブルを接続してください。

images/wlan-mod-ant-assembly.svg

図18.46 外付けアンテナの取り付け


[警告]

アンテナ端子に外付けアンテナケーブルを接続する際、無理な力を加えないでください。破損の原因となります。

[警告]

外付けアンテナケーブルは、専用の引き抜き工具(U.FL-LP-N-2/HIROSE ELECTRIC)で引き抜くことを推奨します。 無理な引き抜きはコネクタの変形や断線の原因となります。

images/ufl-lp-n-2.svg

図18.47 外付けアンテナケーブルの引き抜き方法


[警告]

アンテナ端子に外付けアンテナケーブルを長期間接続した場合、同軸コネクタのスイッチ機能が復帰しない場合があります。 復帰しない場合は、チップアンテナが使用できなくなりますのでご注意ください。

18.8.3. 形状図

images/ant-wlan-01w-pole-dimension.svg

図18.48 アンテナの形状図


images/ant-wlan-01w-cable-dimension.svg

図18.49 アンテナケーブルの形状図


images/ant-wlan-01w-hole-dimension.svg

図18.50 アンテナの取り付け穴寸法図




[20] LE Long Range機能を利用しない場合と比較し、1/8倍(符号化方式による)

[21] LE Long Range機能を利用しない場合と比較し、約4倍

[22] LE 1M PHYおよびLE 2M PHYでは、LE Long Range機能を利用することができません。