ここでは、ソースコードベースのディストリビューションである Atmark-Dist と、Linux カーネルのソースコードから、ユーザーランドとカーネルのイメージを作成する手順について説明します。
7.1.2. デフォルトコンフィギュレーションの適用
ターゲットとなる Armadillo 用に Atmark-Dist をコンフィギュレーションします。Linux カーネルは Atmark-Dist の管理下にあるため、Atmark-Dist を適切に設定すれば、カーネルのコンフィギュレーションも適切に行われるようになっています。
以下の例のようにコマンドを入力し、コンフィギュレーションを開始します[]。
[PC ~/atmark-dist]$
make config
最初に、使用するボードのベンダー名を尋ねられます。「AtmarkTechno」と入力してください。
[PC ~/atmark-dist]$
make config
config/mkconfig > config.in
#
# No defaults found
#
*
* Vendor/Product Selection
*
*
* Select the Vendor you wish to target
*
Vendor (3com, ADI, Akizuki, Apple, Arcturus, Arnewsh, AtmarkTechno, Atmel, Avnet, Cirrus, Cogent, Conexant, Cwlinux, CyberGuard, Cytek, Exys, Feith, Future, GDB, Hitachi, Imt, Insight, Intel, KendinMicrel, LEOX, Mecel, Midas, Motorola, NEC, NetSilicon, Netburner, Nintendo, OPENcores, Promise, SNEHA, SSV, SWARM, Samsung, SecureEdge, Signal, SnapGear, Soekris, Sony, StrawberryLinux, TI, TeleIP, Triscend, Via, Weiss, Xilinx, senTec) [SnapGear] (NEW) AtmarkTechno
次にプロダクト名を尋ねられます。表7.1「プロダクト名一覧」から、使用する製品に対応するプロダクト名を入力してください。
表7.1 プロダクト名一覧
製品 | プロダクト名 | 備考 |
---|
Armadillo-420 ベーシックモデル | Armadillo-420 | 出荷時イメージ |
Armadillo-420 WLANモデル(AWL12対応) | Armadillo-420.WLAN-AWL12 | 出荷時イメージ |
Armadillo-420 WLANモデル(AWL13対応) | Armadillo-420.WLAN-AWL13 | 出荷時イメージ |
Armadillo-440 液晶モデル | Armadillo-440 | 出荷時イメージ |
Armadillo-460 ベーシックモデル | Armadillo-460 | 出荷時イメージ |
以下は、Armadillo-440 の例です。
*
* Select the Product you wish to target
*
AtmarkTechno Products (Armadillo-210.Base, Armadillo-210.Recover, Armadillo-220.Base, Armadillo-220.Recover, Armadillo-230.Base, Armadillo-230.Recover, Armadillo-240.Base, Armadillo-240.Recover, Armadillo-300, Armadillo-420, Armadillo-420.WLAN-AWL12, Armadillo.WLAN-AWL13, Armadillo-440, Armadillo-460, Armadillo-500, Armadillo-500-FX.base, Armadillo-500-FX.dev, Armadillo-9, Armadillo-9.PCMCIA, SUZAKU-V.SZ310, SUZAKU-V.SZ310-SID, SUZAKU-V.SZ310-SIL, SUZAKU-V.SZ310-SIL-GPIO, SUZAKU-V.SZ410, SUZAKU-V.SZ410-SID, SUZAKU-V.SZ410-SIL, SUZAKU-V.SZ410-SIL-GPIO, SUZAKU-V.SZ410-SIV) [Armadillo-210.Base] (NEW)
Armadillo-440
ビルドする開発環境を尋ねられます。「default」と入力してください。Armadillo-400 シリーズでは、「default」と入力すると、armel (EABI)の開発環境が選択されます。
*
* Kernel/Library/Defaults Selection
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*
* Kernel is linux-2.6.x
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Cross-dev (default, arm-vfp, arm, armel, armnommu, common, h8300, host, i386, i960, m68knommu, microblaze, mips, powerpc, sh) [default] (NEW)
default
ビルドする libc を指定します。Armadillo-400 シリーズでは「None」を選択してください。「None」を選択することで、開発環境にインストールされているビルド済みの libc (glibc) を使用します。
Libc Version (None, glibc, uC-libc, uClibc) [uClibc] (NEW)
None
既定の設定にするかどうか質問されます。「y」(Yes)を選択してください。
Default all settings (lose changes) (CONFIG_DEFAULTS_OVERRIDE) [N/y/?] (NEW)
y
最後の3つの質問は「n」(No)と答えてください。
Customize Kernel Settings (CONFIG_DEFAULTS_KERNEL) [N/y/?]
n
Customize Vendor/User Settings (CONFIG_DEFAULTS_VENDOR) [N/y/?]
n
Update Default Vendor Settings (CONFIG_DEFAULTS_VENDOR_UPDATE) [N/y/?]
n
設定の入力が完了するとビルドシステムに反映されてコンフィギュレーションが行われ、プロンプトに戻ります。
Atmark-Dist には、様々なアプリケーションやライブラリが含まれており、コンフィギュレーションによってそれらをイメージに含めたり、イメージから削除することができます。また、カーネルのコンフィギュレーションの変更を行うこともできます。
Atmark-Dist のコンフィギュレーションを変更するには、make menuconfig コマンドを使用します。
make menuconfigを実行すると、図7.7「menuconfig: Main Menu」に示すMain Menu画面が表示されます。
キーボードの上下キーでフォーカスをKernel/Library/Defaults Selection --->に合わせ、Enterキーを押すと、Kernel/Library/Defaults Selection画面が表示されます。
カーネルコンフィギュレーションを変更するには、Cuntomize Kernel Settingsを選択してください。また、ユーザーランドに含めるアプリケーションやライブラリを変更するには、Customize Vendor/User Settingsを選択してください。ここでいう、"選択する"とは、上下キーで選択したい項目ににフォーカスを合わせ、スペースキーを一度押し、*印を付けることを言います。
項目を選択したら、キーボードの左右キーでExitにフォーカスを合わせ、Enterキーを押してください。そうすることで、Kernel/Library/Defaults Selection画面を抜け、Main Menu画面へ戻ります。
Main Menu画面でも、Exitにフォーカスを合わせ、Enterキーを押してください。すると、Do you wish to save your new kernel configuration?と表示されますので、Yesにフォーカスを合わせたまま、Enterキーを押してください。
Cuntomize Kernel Settingsを選択していた場合は、Linux Kenrel Configuration画面が表示されます。ここで、カーネルコンフィギュレーションを変更することができます。コンフィギュレーションが完了したら、Linux Kernel Configuration画面でExitにフォーカスを当ててEnterキーを押し、画面を抜けてください。
| AWL12またはAWL13を使用するためのカーネルコンフィギュレーション変更について |
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Armadillo-420/440/460のプロダクトを選択した場合に、Armadillo-WLAN(AWL12またはAWL13)をSDIOインターフェースで使用するには、以下のカーネルコンフィギュレーションを有効にします。
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Customize Vendor/User Settingsを選択していた場合は、Userland Configuration画面が表示されます。ここで、ユーザーランドに含めるアプリケーションやライブラリを選択することができます。選択が完了したら、Userland Configuration画面でExitにフォーカスを当ててEnterキーを押し、画面を抜けてください。
| AWL12 または AWL13を使用する場合のユーザーランドコンフィギュレーション変更について |
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Armadillo-WLAN(AWL12 または AWL13)を使用するには、ユーザーランドコンフィギュレーションのVendor SpecificでArmadillo-WLANを選択してください。
Armadillo-WLAN ProductsでAWL13を選択した場合、使用するインターフェースとして SDIO または USBを、接続モードとして STA (ステーション)または AP (アクセスポイント)を選択できます。[]
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再び、Do you wish to save your new kernel configuration?と表示されますので、Yesにフォーカスを合わせたまま、Enterキーを押してください。
以上で、コンフィギュレーションの変更は完了です。
make menuconfig を使用したコンフィギュレーション方法の詳細については、「Atmark-Dist 開発者ガイド」を参照してください。
コンフィギュレーションを行ったあとは、「ビルド」の手順と同様に、make コマンドを実行すると、コンフィギュレーション結果を反映したイメージが作成されます。