第3章 概要

3.1. ボード概要

Armadillo-400シリーズの主な仕様は次の通りです。

表3.1 「Armadillo-400シリーズ」 ボード仕様

 Armadillo-420Armadillo-440Armadillo-460
プロセッサ Freescale i.MX257 (MCIMX257)
プロセッサ

ARM926EJ-Sコア

命令/データキャッシュ 16KByte/16KByte

内部SRAM 128KByte

Thumb code(16bit命令セット)サポート

システムクロック

CPUコアクロック:400MHz

BUSクロック:133MHz

源発振クロック:32.768kHz, 24MHz

RAM

LPDDR SDRAM:

64MByte(16bit幅)

Micron

MT46H32M16LFBF-6 IT

または

Samsung

K4X51163PG-FGC6

LPDDR SDRAM:

128MByte(16bit幅)

Micron

MT46H64M16LFCK-6 IT

または

Samsung

K4X1G163PE-FGC6

フラッシュメモリ

NOR フラッシュメモリ:

16MByte(16bit幅)

Numonyx

PC28F128P30BF

書き換え可能回数:

100,000回

NOR フラッシュメモリ:

32MByte(16bit幅)

Numonyx

PC28F256P30BF

書き換え可能回数:

100,000回

LAN

(Ethernet)

10BASE-T/100BASE-TX AUTO-MDIX対応

シリアル

(UART)

最大3チャンネル[a]

UART2:

  • RS232Cレベル

  • フロー制御ピン有り

    (CTS,RTS,DTR,

    DSR,DCD,RI)

  • 最大データ

    転送レート

    230.4kbps

UART3[b]/UART5[b]

  • +3.3V CMOS

    レベル

  • フロー制御ピン有り(CTS,RTS)

  • 最大データ

    転送レート

    4Mbps

最大4チャンネル[a]

UART2:

  • RS232Cレベル

  • フロー制御ピン有り

    (CTS,RTS,DTR,

    DSR,DCD,RI)

  • 最大データ

    転送レート

    230.4kbps

UART3[b]/UART4[c]/UART5[b]

  • +3.3V CMOS

    レベル

  • フロー制御ピン有り(CTS,RTS)

  • 最大データ

    転送レート

    4Mbps

最大4チャンネル[a]

UART2/UART4[d]

  • RS232C レベル

  • フロー制御ピン有り

    UART2(CTS,RTS,DTR,

    DSR,DCD,RI)

    UART4(CTS,RTS)

  • 最大データ

    転送レート

    230.4kbps

UART3[b]/UART4[c]/UART5[b]

  • +3.3V CMOS

    レベル

  • フロー制御ピン有り(CTS,RTS)

  • 最大データ

    転送レート

    4Mbps

USB

2チャンネル

(USB2.0, Host)

USBOTG(USBPHY1):

  • High Speed対応

  • TYPE Aコネクタ

    (下段)

USBHOST(USBPHY2):

  • Full Speed対応

  • TYPE Aコネクタ

    (上段)

2チャンネル

(USB2.0, Host)

USBOTG(USBPHY1):

  • High Speed対応

  • TYPE Aコネクタ(CON5)

USBHOST(USBPHY2):

  • Full Speed対応

  • TYPE Aコネクタ(CON17)

SD/MMC

最大2チャンネル[a]

SDHC1:microSDスロット

SDHC2[b]:ピンヘッダ

最大2チャンネル[a]

SDHC1:SDスロット

SDHC2[b]:ピンヘッダ

ビデオ -

LCD拡張 I/F

最大解像度 : SVGA(800×600), 18bpp

コネクタ形状:FFCコネクタ50ピン(0.5mmピッチ)

タッチパネル - 4線抵抗膜方式

オーディオ

I2S

最大1チャンネル[a]

(AUD6[b])

最大2チャンネル[a]

(AUD5[c], AUD6[b])

I2C

最大1チャンネル[a]

(I2C2[e])

最大2チャンネル[a]

(I2C2[e], I2C3[c])

SPI

最大2チャンネル[a]

(CSPI1[b], CSPI3[b])

GPIO

最大24bit[a]

最大35bit[a]

最大35bit[a]

拡張バス -

信号配列 PC/104準拠(16bit)

カレンダー時計 非搭載[f]

リアルタイムクロック × 1

セイコーインスツル社製RTC

「S-35390A」搭載[g]

RTC バックアップ電源 非搭載[f]

300 秒(Typ.)、60 秒(Min.)[h]

RTC 外部バックアップコネクタ

(CON13, CON20)経由で外部バッテリを接続可能

スイッチ

タクトスイッチ × 1

タクトスイッチ × 1

リセットスイッチ × 1

LED

LED(赤色,φ3mm) x 1

LED(緑色,φ3mm) x 1

LED(黄色,面実装) x 1

LED(赤色,面実装) x 1

LED(緑色,面実装) x 1

LED(黄色,面実装) x 1

JTAG 8ピン(2.54mmピッチ)[i]
電源電圧 DC3.1~5.25V[j] [k]

DC4.75V〜5.25V

消費電力 約1.2W[l]

約1.2W(Armadillo-440単体)[l]

約2.0W(Armadillo-440+Armadillo-400シリーズLCD拡張ボード)[l]

約1.2W(Armadillo-460単体)[l]

約2.0W(Armadillo-460+Armadillo-400シリーズLCD拡張ボード)[l]

使用温度範囲 -20~70℃(ただし結露なきこと)
基板サイズ 75.0 × 50.0mm (突起部含まず) 90.2 × 95.9mm (突起部含まず)

[a] i.MX257の信号マルチプレクス機能で、他のコントローラより優先的に設定した場合のチャンネル数。

[b] i.MX257の信号マルチプレクス機能で、拡張I/F1(CON9)に配置することが可能。

[c] i.MX257の信号マルチプレクス機能で、LCD I/F(CON11)に配置することが可能。

[d] CPLDレジスタにより、LCDインターフェース(CON11)の信号と排他で使用することが可能。

[e] i.MX257の信号マルチプレクス機能で、拡張I/F2(CON14)に配置することが可能。

[f] Armadillo-400シリーズ RTC オプションモジュールやArmadillo-400シリーズ LCD拡張ボードを接続することで搭載可能。

[g] 平均月差は、周囲温度25℃ で± 30 秒程度(参考値)です。時間精度は、周囲温度に大きく影響を受けますので、ご使用の際は十分に特性の確認をお願いします。

[h] バックアップ時間は、周囲温度、電圧印加時間等に大きく影響を受けますので、ご使用の際は十分に特性の確認をお願いします。

[i] オプション品の「Armadillo-400シリーズ JTAG変換ケーブル」(型番: OP-JC8P25-00)を使用してARM標準20ピンに変換することが可能です。詳しくは付録A Armadillo-400シリーズ JTAG変換ケーブル(OP-JC8P25-00)をご覧ください。

[j] 4.75Vより低い電圧で動作させる場合、USB電源にはPMICで生成する+5Vを選択してください。この条件ではUSBデバイスの供給電流に制限がありますので、詳しくは「CON5、 CON6(USBインターフェース) - 「Armadillo-420/440」」をご覧ください。

[k] USB電源にPMICで生成する+5Vを使用する場合、VIN=DC3.1〜4.8Vの範囲でご使用ください。VIN > 4.8Vで使用する場合のUSB電源には、PMICで生成する+5Vの代わりに、VINをご使用ください。

[l] USBデバイス、SDデバイスの消費電力を除く。


3.2. Armadillo-420/440

3.2.1. ブロック図 -「Armadillo-420/440」

Armadillo-420/440 のブロック図は次の通りです。

Armadillo-420/440 ブロック図

図3.1 Armadillo-420/440 ブロック図


3.2.2. 電源回路の構成 -「Armadillo-420/440」

Armadillo-420/440の電源回路の構成を図3.2「Armadillo-420/440の電源回路構成図」に示します。

Armadillo-420/440の電源回路構成図

図3.2 Armadillo-420/440の電源回路構成図


Armadillo-420/440ではCON12からの電源入力電圧をパワーマネージメントIC(以下PMIC)で各電圧に変換し、各インターフェースおよび内部回路に供給しています。各デバイスの電流容量の制限を超えないように、外部機器の接続や供給電源の設定をおこなってください。

Armadillo-420/440のUSBインターフェースからUSBデバイスに供給する電源は、CON12(またはCON13)の電源入力VINとパワーマネージメントIC(PMIC)で生成される+5V電源のどちらかを選択することが可能です。電源入力を4.75V以下で使用かつUSBデバイスを使用する場合は、PMIC生成+5V電源を選択してください。PMICの+5V電源使用時、供給可能電流は2チャンネル合計で最大300mAとなりますのでご注意ください。 USB電源はi.MX257のNFWE_B(GPIO3_26)ピンを用いて選択することが可能です。NFWE_B(GPIO3_26)ピンがLow状態では電源入力VIN、High状態ではPMIC生成+5Vが供給されます。

PMIC_ONOFF* 信号を 2秒以上 GNDにショートすることでArmadillo-420/440は電源OFFします。電源OFFではパワーマネージメントIC(PMIC)の出力電圧がOFFします。電源OFFの状態で再度 PMIC_ONOFF* 信号をGNDにショートするとPMICは立ち下がりのエッジを検出して電源ONとなり、Armadillo-420/440はブートを開始します。

Armadillo-420/440ではCON12からPMICにかけて、過電圧保護の為にツェナーダイオードが実装されています。

Armadillo-420/440ではCON12からPMICにかけてヒューズなどの過電流保護素子は実装されていませんので、必要に応じてArmadillo-420/440の外部に過電流保護対策をおこなってください。装置の安全設計には万全を期し、信頼性および安全性維持のための十分な措置を講じた上でお使いください。

3.2.3. 電源シーケンス -「Armadillo-420/440」

Armadillo-420/440の電源シーケンスを図3.3「Armadillo-420/440の電源シーケンス」に示します。

I2C経由でパワーマネージメントIC(PMIC)を操作することにより、+3.3V_IOと+5Vの電源は任意のタイミングで立ち上げることが可能です。

図3.3「Armadillo-420/440の電源シーケンス」図3.6「Armadillo-460の電源シーケンス」中のT1 あるいは T2は、任意のタイミングであることを示しています。

Armadillo-420/440の電源シーケンス

図3.3 Armadillo-420/440の電源シーケンス


3.3. Armadillo-460

3.3.1. ブロック図 -「Armadillo-460」

Armadillo-460 のブロック図は次の通りです。

Armadillo-460 ブロック図

図3.4 Armadillo-460 ブロック図


3.3.2. 電源回路の構成 -「Armadillo-460」

Armadillo-460 の電源回路の構成を図3.5「Armadillo-460の電源回路構成図」に示します。

Armadillo-460の電源回路構成図

図3.5 Armadillo-460の電源回路構成図


Armadillo-460ではCON12からの電源入力電圧をパワーマネージメントIC(以下PMIC)で各電圧に変換し、各インターフェースおよび内部回路に供給しています。各デバイスの電流容量の制限を超えないように、外部機器の接続や供給電源の設定をおこなってください。

Armadillo-460にはPMICのほかに降圧レギュレータがあります。降圧レギュレータで生成する+3.3V_EXTはSDインターフェース(CON1)、シリアルインターフェース(CON4,CON19)、LANインターフェース(CON7)および電源出力コネクタ(CON21)に供給されており、供給可能電流は合計で最大1Aとなりますのでご注意ください。

Armadillo-460のUSB インターフェースからUSB デバイスに供給する電源は、CON12の電源入力VIN から供給可能です。USB電源の入切はi.MX257のNFWE_B(GPIO3_26)ピンを用いて選択することが可能です。NFWE_B(GPIO3_26)ピンがLow状態ではUSB電源はUSBデバイスに供給され、High状態では電源供給はされません。

Armadillo-460のJ1/J2およびCON11には、ポリスイッチヒューズが入っておりArmadillo-460と拡張ボードの間での過電流を防止します。

拡張バスインターフェースの電源 V_PC104 には、VIN または +3.3V_EXT を選択することができます。V_PC104の選択は、チップ抵抗(0Ω)の載せ替えによりおこないます。V_PC104の切り替え方法は付録D 抵抗情報 - 「Armadillo-460」を参照してください。

PMIC_ONOFF* 信号を 2秒以上 GNDにショートすることでArmadillo-460は電源OFFします。電源OFFではパワーマネージメントIC(PMIC)の出力電圧がOFFします。電源OFFの状態で再度 PMIC_ONOFF* 信号をGNDにショートするとPMICは立ち下がりのエッジを検出して電源ONとなり、Armadillo-460はブートを開始します。

Armadillo-460はリアルタイムクロック(RTC)を標準搭載しています。RTCのアラーム2割り込み時刻をソフトウェアにより予め設定することで、PMIC_ONOFF* 信号による電源OFF状態から予め設定した時刻で電源ONしてArmadillo-460を復帰させることが可能です。この機能をご使用になる場合には、CON20に別途WK11(日立マクセル)等のRTCバックアップ用電源(+3.3V)を接続することを推奨いたします。Armadillo-460にはRTCのバックアップ用のコンデンサ47uFが標準搭載されており、内部+3.3V_CPUにて十分に充電されていれば上記の電源OFF状態後1分程度はArmadillo-460を復帰させることができますが、それ以上電源OFF状態がつづきコンデンサ47uFの電圧が低下しますとRTCのアラーム2割り込みによりArmadillo-460を復帰させることができなくなりますのでご注意ください。

Armadillo-460ではCON12からPMICにかけて、過電圧保護の為にツェナーダイオードが実装されていますが、CON12からPMICにかけてヒューズなどの過電流保護素子は実装されていませんので、必要に応じてArmadillo-460の外部に過電流保護対策をおこなってください。装置の安全設計には万全を期し、信頼性および安全性維持のための十分な措置を講じた上でお使いください。

[警告]

拡張バスインターフェースをダイレクトCPUバスモードで使用する場合は、V_PC104は必ず +3.3V_EXT を選択してください。V_PC104にVIN(+5V)を選択すると大きな放射ノイズが基板から発生します。

[警告]

Armadillo-460の拡張バスJ1/J2の+5V電源(b3,b29,d16)には最大1.6Aを振り分けることができます。接続するPC/104の拡張ボード全体の消費電流が1.6Aを越えないようにシステム設計をおこなってください。

3.3.3. 電源シーケンス -「Armadillo-460」

Armadillo-460 の電源シーケンスを図3.6「Armadillo-460の電源シーケンス」に示します。

I2C経由でパワーマネージメントIC(PMIC)を操作することにより、+3.3V_IOと+5Vの電源は任意のタイミングで立ち上げることが可能です。

図3.3「Armadillo-420/440の電源シーケンス」図3.6「Armadillo-460の電源シーケンス」中のT1 あるいは T2は、任意のタイミングであることを示しています。

Armadillo-460の電源シーケンス

図3.6 Armadillo-460の電源シーケンス