第4章 起動までの手順

無線LAN用アンテナの取り付けから、各種デバイスの接続、VGA出力の有効化、そして起動までの一連の作業を説明します。

4.1. 準備する物

Armadillo-300ケースモデルに付属していないもので、必要なものがあります。以下のものを準備してください。

ディスプレイ

VGA入力端子を持つ汎用的なディスプレイです。Armadillo-300からのVGA出力を確認するために必要です。

USBキーボード

USBポートに接続するタイプのキーボードです。USB1.1またはUSB2.0のどちらでも問題ありません。Aramdillo-300のVGA出力をコンソールとして使用する場合に入力デバイスとして使用します。

作業用PC

LinuxもしくはWindowsが動作し、1ポート以上のシリアルインターフェースを持つPCです。

シリアル通信ソフトウェア

minicomやTera Termなどのシリアルインターフェースを使って通信を行うことのできるソフトウェアです。 (Linux用のソフトウェアは付属CD-ROMの「tools」ディレクトリにあります。)

[警告]

現在のソフトウェアでは、デバイスが提供する設定の全てに対応していません。また、Armadillo-300のVGA出力は、VESAなどの規格化されているタイミングを完全に満しているわけではあません。そのため、許容範囲の狭いディスプレイでは同期ずれが起こる場合があります。

4.2. アンテナの取り付け

最初に付属のアンテナを本体に接続します。

  1. アンテナの根本を持って右方向に回転しなくなるまで回し取り付けてください。

  2. アンテナは関節部分から曲げることができます。状況に合わせてご利用ください。

4.3. その他外部デバイスの接続

Armadillo-300に外部デバイスを接続します。ACアダプター、シリアルクロスケーブルはケースモデル付属のものをご使用ください。

Armadillo-300には電源スイッチが無いため、ACアダプターを接続すると起動します。起動については以降の章で説明しますので、ACアダプターはまだ接続しないでください。

4.4. スライドスイッチの設定

スライドスイッチの設定によって、起動モードの変更を行うことができます。このスライドスイッチはJP1と接続されています。スイッチに向かって左にセットするとJP1の1-2ピンがショート、右にセットするとJP1の2-3ピンがショートになります。

向き

短絡されるピン

1番と2番

2番と3番

意味

Linuxを起動

ブートローダーを起動

またJP2はケース内にあり、1-2ピンがショート状態となっています。

起動モードの詳細は付属CD-ROM内のソフトウェアマニュアル「ジャンパピンの設定について」の項を参照してください。

4.5. シリアル通信ソフトウェアの設定

Armadillo-300は、シリアルインターフェースからログインできるように設定されています。Armadillo-300のシリアルインターフェースとPCをシリアルクロスケーブルで接続後、PC上でシリアル通信ソフトウェアを使いArmadillo-300にログインすることができます。

シリアル通信ソフトウェアは以下のように設定してください。

項目設定
転送レート115,200bps
データ長8bit
ストップビット1bit
パリティなし
フロー制御なし

4.6. 電源の投入と起動

付属のACアダプターを接続すると、Armadillo-300が起動します。

ディスプレイ上に画面が表示された後、シリアル通信ソフトウェアにはブートローダーのログとログインプロンプトが、VGAモニターにはカーネルのログとログインプロンプトが表示されます。

シリアル通信プログラムとVGAモニターには、それぞれ以下のように表示されます。

Uncompressing  kernel...........................................................
............................................done.
Uncompressing ramdisk...........................................................
................................................................................
.............................................done
Doing console=tty1
Doing video=ns9750fb:enable,CRT-SVGA

atmark-dist v1.8.0 (AtmarkTechno/Armadillo-300)
Linux 2.6.12.5-at1 [armv5tejl arch]            
                                   
armadillo300 login:

ログインプロンプトでユーザ名とパスワードを入力し、ログインしてください。

ユーザ名パスワード
rootroot

VGAモニターに出力されているログインプロンプトからログインするには、USBキーボードをお使いください。

[ティップ]

まれにUSBキーボードの認識に失敗する場合があります。電源が入った状態でUSBソケットを抜き差ししてみてください。また、USBキーボードの個別の特性によっては、直接認識できない場合やUSBハブを介すことで認識する場合もあります。ご了承ください。

[ティップ]

DHCPを利用する設定になっている場合は、DHCPサーバーからの応答を待つために起動時間がかかる場合があります。LANケーブルが抜けている場合、起動が数秒止まって見える場合があります。この問題は、DHCPサーバーの存在するネットワークに正しく接続するか、ネットワークの設定を固定IPに変更することで解消されます。

4.7. VGA出力の有効化・無効化

Armadillo-300のビデオドライバーはカーネルパラメータと/procの2通りの方法で有効化・無効化することができます。Armadillo-300ケースモデルはカーネルパラメータが指定された状態で出荷されているため、初めて電源を入れた時からビデオ出力されるようになっています。

4.7.1. カーネルパラメータによる変更

HermitのプロンプトからLinuxカーネルにパラメータを渡すことでVGA出力を有効化できます。「スライドスイッチの設定」を参照し、ブートローダーを起動してください。図4.2「VGA出力の無効化」は、解像度800x600 色深度16ビットでVGA出力を有効化する例です。

hermit> setenv console=tty1 video=ns9750fb:CRT-VGA,16bpp,enable

図4.1 VGA出力の有効化


設定可能な解像度は表4.1「解像度一覧」に示す通りです。

表4.1 解像度一覧

指定子色深度(bpp)解像度水平周波数(kHz)垂直周波数(Hz)ドットクロック(MHz)
CRT-VGA8/16/24/32640x48024.88331.49859.995
CRT-SVGA8/16/24/32800x60049.76648.03772.127

VGA出力を無効化するには、図4.2「VGA出力の無効化」のようにコマンドを実行します。

hermit> clearenv

図4.2 VGA出力の無効化


4.7.2. /procによる変更

Linuxの起動後にもビデオ出力を有効化または無効化することができます。

[a300 ~]# echo 1 > /proc/driver/ns9750fb/state
[a300 ~]#

/proc/drivers/ns9750fb/state」というファイルに 「1」を書くことで、有効にすることができます。逆に、「0」を書くことで無効にすることができます。

/proc/drivers/ns9750fb/info」からドライバの設定情報が取得できます。

[a300 ~]# cat /proc/driver/ns9750fb/info
state: enable
mode: CRT-SVGA
bpp: 16
[a300 ~]#