第10章 Armadillo-400シリーズ LCD拡張ボード: エラッタ

10.1. 製品リビジョンA

Armadillo-400シリーズ LCD拡張ボード製品リビジョンAに該当する既知のエラッタです。エラッタの詳細については各項目を参照してください。

10.1.1. A400-LCD-Erratum #1: I2Cバスが使用不可能になる

10.1.1.1. 内容

オーディオコーデックとリアルタイムクロックの同時使用時に、FFC(Flexible Flat Cable)のクロストークノイズが原因でI2Cバスのアービトレーションロストが発生する可能性があります。この現象が発生した場合は、以降再起動を行うまでI2Cバスを使用した通信を行うことができなくなります。

10.1.1.2. 状態

製品リビジョンBにて修正済みです。このエラッタの回避方法については「対応」を参照してください。

10.1.1.3. 対応

Armadillo-400シリーズ LCD拡張ボード 製品リビジョンAを参考に拡張ボードを設計する場合には、 クロストークノイズの対応として次の対策を行うことを推奨します。

対象内容
I2C3_SCL - +3.3V間プルアップ抵抗(R18)10kΩを1kΩに変更
I2C3_SDA - +3.3V間プルアップ抵抗(R20)10kΩを1kΩに変更
I2C3_SCL - GND間220pFのコンデンサを追加
クロストークノイズ対策推奨回路

図10.1 クロストークノイズ対策推奨回路


10.1.1.4. 備考

linux-2.6.26-at10(Linuxカーネルイメージファイル: linux-a400-1.03.bin.gz)以降では、I2Cバスのアービトレーションロストを抑制するためにRTCドライバを変更しています。RTCドライバの変更は根本的な対策ではなく、クロストークノイズが原因でI2Cバスのデータ読み書きに失敗する可能性があります。

10.1.2. A400-LCD-Erratum #2: i.MX257のAD入力端子が故障する

10.1.2.1. 内容

タッチスクリーン信号に入力保護回路が無いため、ESD(ElectroStatic Discharge)が印加された場合にタッチスクリーンの入力に使用しているi.MX257のAD入力端子が故障する可能性があります。

10.1.2.2. 状態

製品リビジョンBにて修正済みです。このエラッタの回避方法については「対応」を参照してください。

10.1.2.3. 対応

Armadillo-400シリーズ LCD拡張ボード 製品リビジョンAを参考に拡張ボードを設計する場合には、 ESDが印加された場合の対応として次の対策を行うことを推奨します。この対策により、タッチスクリーンの入力に使用しているi.MX257のAD入力端子が故障する可能性を低減することができます。

対象内容
  • TOUCH_XP - CON2(37番ピン)間

  • TOUCH_XN - CON2(39番ピン)間

  • TOUCH_YP - CON2(38番ピン)間

  • TOUCH_YN - CON2(40番ピン)間

  • ダンピング抵抗(33Ω)を追加

  • 外付け素子(ダイオード等)による入力保護回路を追加

ESD対策推奨回路

図10.2 ESD対策推奨回路


10.1.2.4. 備考

ダンピング抵抗の挿入に伴い、タッチスクリーンの入力に使用しているi.MX257のAD入力端子に入力される値が変化します。そのため、タッチスクリーンのキャリブレーション(位置補正)を行う必要があります。

[ティップ]

atmark-dist-20100916(ユーザランドイメージファイル: romfs-a440-1.03.img.gz)以降では、タッチスクリーンユーティリティー(tslib-utils)が追加され、ts_calibrateによりタッチスクリーンのキャリブレーションを行うことが可能です。以下の手順を参照してキャリブレーションを行ってください。

  1. functesterが起動している場合、終了させます。

    [armadillo ~]# killall functester
  2. ts_calibrateを実行[1]し、キャリブレーションを開始します。TSLIB_TSDEVICEには、タッチスクリーンのデバイスファイルを指定します。

    [armadillo ~]# TSLIB_TSDEVICE=/dev/input/event1 ts_calibrate
  3. 以下のような画面が表示されます。表示されている十字カーソルの中央を押下してください。同様の操作を5回行います。以上でキャリブレーションは完了です。

  4. キャリブレーションの結果を次回起動時にも有効にするためには、以下のコマンドを入力してください。

    [armadillo ~]# flatfsd -s

10.2. 製品リビジョンB

Armadillo-400シリーズ LCD拡張ボード製品リビジョンBに該当する既知のエラッタはありません。



[1] 書面の都合上折り返して表記しています。通常は1行のコマンドとなります。