第4章 電源を入れる前に

4.1. 準備するもの

Armadillo-EVA 1500に電源を入れる前に、次のものを必要に応じて準備してください。

作業用PC

LinuxまたはWindowsが動作し、ネットワークインターフェースと 1つ以上のUSBポートを持つPCです。「開発/動作確認環境の構築」を参照して、作業用PC上に開発/動作確認環境を構築してください。

tar.xz形式のファイルを展開するソフトウェア

開発/動作確認環境を構築するために利用します。Linuxでは、tar[4]で展開できます。Windowsでは、7-Zip や Lhazなどが対応しています。7-Zipは、開発用DVDに収録されています。

ネットワーク環境

Armadillo-EVA 1500と作業用PCをネットワーク通信ができるようにしてください。

HDMI対応ディスプレイ

デジタルHD出力の動作を確認する場合に利用します。

SDカード

SDスロットの動作を確認する場合などに利用します。

USBメモリ

USBホストの動作を確認したり、HDMI対応ディスプレイに表示されたアプリケーションを操作する場合などに利用します。

スピーカまたはヘッドホン

サウンドの再生を確認する場合に利用します。スピーカーを利用する場合は、別途ミニプラグケーブルが必要となる場合があります。

マイク

サウンドの録音を確認する場合に利用します。

NTSC対応カメラ

コンポジットビデオ入力の動作を確認する場合に利用します。

シリアルATA対応ハードディスク

シリアルATAの動作を確認する場合に利用します。別途、SATAケーブル、電源ケーブルも必要となります。

シリアルクロスケーブル

RS232Cレベルのシリアル通信を確認する場合に利用します。

[ティップ]

Armadillo-EVA 1500 に搭載されているSATA電源コネクタは、IDE用電源コネクタ4ピン(オス)です。SATA対応ハードディスク等と接続する場合、電源変換ケーブルが必要となります。接続ケーブルの一例は次のとおりです。

  • メーカー: サンワサプライ

  • 型番: TK-PWSATA2

4.2. 開発/動作確認環境の構築

アットマークテクノ製品のソフトウェア開発や動作確認を簡単に行うために、VMware仮想マシンのデータイメージを提供しています。このVMware仮想マシンのデータイメージをATDE(Atmark Techno Development Environment)と呼びます。ATDEの起動には仮想化ソフトウェアであるVMwareを使用します。ATDEのデータは、tar.xz圧縮されています。環境に合わせたツールで展開してください。

[ティップ]

仮想化ソフトウェアとして、VMwareの他にOracle VM VirtualBoxが有名です。Oracle VM VirtualBoxには以下の特徴があります。

  • GPL v2(General Public License version 2)で提供されている[5]

  • VMware形式の仮想ディスク(.vmdk)ファイルに対応している

Oracle VM VirtualBoxからATDEを起動し、ソフトウェア開発環境として使用することができます。

ATDEは、バージョンにより対応するアットマークテクノ製品が異なります。Armadillo-EVA 1500に対応しているATDEは、ATDE5 (ATDEバージョン5)です。

ATDE5はDebian GNU/Linux 7(コードネーム wheezy)をベースに、Armadillo-EVA 1500のソフトウェア開発を行うために必要なクロス開発ツールや、Armadillo-EVA 1500の動作確認を行うために必要なツールが事前にインストールされています。

4.2.1. ATDE5セットアップ

4.2.1.1. VMwareのインストール

ATDE5を使用するためには、作業用PCにVMwareがインストールされている必要があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)を参照し、利用目的に合うVMware製品をインストールしてください。また、ATDE5は tar.xz圧縮されていますので、環境に合せたツールで展開してください。

[警告]

VMwareは、非商用利用限定で無償のものから、商用利用可能な有償のものまで複数の製品があります。製品ごとに異なるライセンス、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)が存在するため、十分に確認した上で利用目的に合う製品をご利用ください。

[警告]

VMwareやATDE5が動作しないことを未然に防ぐため、使用するVMwareのドキュメントから以下の項目についてご確認ください。

  • ホストシステムのハードウェア要件

  • ホストシステムのソフトウェア要件

  • ゲストOSのプロセッサ要件

VMwareのドキュメントは、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から取得することができます。

4.2.1.2. ATDE5アーカイブの取得

表4.1「ATDE5の種類」に示すATDE5のアーカイブのうちいずれか1つを作業用PCにコピーします。ATDE5のアーカイブはArmadilloサイト(http://armadillo.atmark-techno.com)または、評価セット付属のDVDから取得可能です。

表4.1 ATDE5の種類

ATDE5アーカイブベースのDebian GNU/Linux
atde5-[version]-amd64.tar.xz64-bit PC(「amd64」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7
atde5-[version]-i386.tar.xz32-bit PC(「i386」)アーキテクチャ用 Debian GNU/Linux 7

[警告]

作業用PCの動作環境(ハードウェア、VMware、ATDE5の種類など)により、ATDE5が正常に動作しない可能性があります。VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照して動作環境を確認してください。

4.2.1.3. ATDE5アーカイブの展開

ATDE5のアーカイブを展開します。ATDE5のアーカイブは、tar.xz形式の圧縮ファイルです。

Windowsでの展開方法を手順4.1「WindowsでATDE5のアーカイブ展開する」に、Linuxでの展開方法を手順4.2「Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する」に示します。

手順4.1 WindowsでATDE5のアーカイブ展開する

  1. 7-Zipのインストール

    7-Zipをインストールします。7-Zipは、圧縮解凍ソフト 7-Zip(http://sevenzip.sourceforge.jp)または、評価セット付属のDVDから取得可能です。

  2. 7-Zipの起動

    7-Zipを起動します。

  3. xz圧縮ファイルの選択

    xz圧縮ファイルを展開して、tar形式のファイルを出力します。tar.xz形式のファイルを選択して、「展開」をクリックします。

  4. xz圧縮ファイルの展開先の指定

    「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。

  5. xz圧縮ファイルの展開

    展開が始まります。

  6. tarアーカイブファイルの選択

    xz圧縮ファイルの展開が終了すると、tar形式のファイルが出力されます。

    tarアーカイブファイルを出力したのと同様の手順で、tarアーカイブファイルからATDE5のデータイメージを出力します。tar形式のファイルを選択して「展開」をクリックし、「展開先」を指定して、「OK」をクリックします。

  7. 展開の完了確認

    tarアーカイブファイルの展開が終了すると、ATDE5アーカイブの展開は完了です。「展開先」に指定したフォルダにATDE5のデータイメージが出力されています。

手順4.2 Linuxでtar.xz形式のファイルを展開する

  1. tar.xz圧縮ファイルの展開

    tarのJxfオプション使用してtar.xz圧縮ファイルを展開します。

    [PC ~]$ tar Jxf atde5-i386-20130710.tar.xz
  2. 展開の完了確認

    tar.xz圧縮ファイルの展開が終了すると、ATDE5アーカイブの展開は完了です。atde5-i386-[version]ディレクトリにATDE5のデータイメージが出力されています。

    [PC ~]$ ls atde5-i386-[version]/
    ATDE5 i386.nvram      atde5-i386-s005.vmdk  atde5-i386-s013.vmdk
    ATDE5 i386.vmsd       atde5-i386-s006.vmdk  atde5-i386-s014.vmdk
    ATDE5 i386.vmx        atde5-i386-s007.vmdk  atde5-i386-s015.vmdk
    ATDE5 i386.vmxf       atde5-i386-s008.vmdk  atde5-i386-s016.vmdk
    atde5-i386-s001.vmdk  atde5-i386-s009.vmdk  atde5-i386-s017.vmdk
    atde5-i386-s002.vmdk  atde5-i386-s010.vmdk  atde5-i386.vmdk
    atde5-i386-s003.vmdk  atde5-i386-s011.vmdk
    atde5-i386-s004.vmdk  atde5-i386-s012.vmdk

4.2.1.4. ATDE5の起動

ATDE5のアーカイブを展開したディレクトリに存在する仮想マシン構成(.vmx)ファイルをVMware上で開くと、ATDE5を起動することができます。ATDE5にログイン可能なユーザーを、表4.2「ユーザー名とパスワード」に示します[6]

表4.2 ユーザー名とパスワード

ユーザー名パスワード権限
atmarkatmark一般ユーザー
rootroot特権ユーザー

[ティップ]

ATDEに割り当てるメモリおよびプロセッサ数を増やすことで、ATDEをより快適に使用することができます。仮想マシンのハードウェア設定の変更方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。

4.2.2. 取り外し可能デバイスの使用

VMwareは、ゲストOS (ATDE)による取り外し可能デバイス(USBデバイスやDVDなど)の使用をサポートしています。デバイスによっては、ホストOS (VMwareを起動しているOS)とゲストOSで同時に使用することができません。そのようなデバイスをゲストOSで使用するためには、ゲストOSにデバイスを接続する操作が必要になります。

[ティップ]

取り外し可能デバイスの使用方法については、VMware社 Webページ(http://www.vmware.com/)から、使用しているVMwareのドキュメントなどを参照してください。

Armadillo-EVA 1500 の動作確認を行うためには、表4.3「動作確認に使用する取り外し可能デバイス」に示すデバイスをゲストOSに接続する必要があります。

表4.3 動作確認に使用する取り外し可能デバイス

デバイスデバイス名
開発用 USB シリアル変換アダプタ(Armadillo-EVA シリーズ対応)Future Devices FT232R USB UART
作業用PCの物理シリアルポートシリアルポート

4.2.3. コマンドライン端末(GNOME端末)の起動

ATDE5で、CUI (Character-based User Interface)環境を提供するコマンドライン端末を起動します。ATDE5で実行する各種コマンドはコマンドライン端末に入力し、実行します。コマンドライン端末にはいくつかの種類がありますが、ここではGNOMEデスクトップ環境に標準インストールされているGNOME端末を起動します。

GNOME端末を起動するには、図4.1「GNOME端末の起動」のようにデスクトップ左上のメニューから「端末」を選択してください。

GNOME端末の起動

図4.1 GNOME端末の起動


図4.2「GNOME端末のウィンドウ」のようにウィンドウが開きます。

GNOME端末のウィンドウ

図4.2 GNOME端末のウィンドウ


4.2.4. シリアル通信ソフトウェア(minicom)の使用

シリアル通信ソフトウェア(minicom)のシリアル通信設定を、表4.4「シリアル通信設定」のように設定します。また、minicomを起動する端末の横幅を80文字以上にしてください。横幅が80文字より小さい場合、コマンド入力中に表示が乱れることがあります。

表4.4 シリアル通信設定

項目設定
転送レート115,200bps
データ長8bit
ストップビット1bit
パリティなし
フロー制御なし

minicomの設定を開始するには、図4.3「minicom設定方法」のようにしてください。設定完了後、デフォルト設定(dfl)に保存して終了します。

[ATDE ~]$ LANG=C minicom --setup

図4.3 minicom設定方法


minicomを起動させるには、図4.4「minicom起動方法」のようにしてください。

[ATDE ~]$ LANG=C minicom --noinit --wrap --device /dev/ttyUSB0

図4.4 minicom起動方法


[注記]

デバイスファイル名は、環境によって/dev/ttyS0/dev/ttyUSB1など、本書の実行例とは異なる場合があります。

minicomを終了させるには、まずCtrl+aに続いてqキーを入力します。図4.5「minicom終了確認」のように表示されたら「Yes」にカーソルを合わせてEnterキーを入力するとminicomが終了します。

                                   +-----------------------+
                                   | Leave without reset?  |
                                   |     Yes       No      |
                                   +-----------------------+

図4.5 minicom終了確認


[ティップ]

Ctrl+aに続いてzキーを入力すると、minicomのコマンドヘルプが表示されます。

4.3. 組み立て

図4.6「Armadillo-EVA 1500の組み立て」を参考に組み立ててください。ヒートシンク、スペーサ、ねじ、ゴム足は、Armadillo-EVA 1500評価セットに同梱されています。

Armadillo-EVA 1500の組み立て

1

ヒートシンク

2

金属スペーサ(M3、L=8mm)×6

3

ゴム足×6

4

なべ小ねじ(M3、L=10mm)×6

図4.6 Armadillo-EVA 1500の組み立て


4.4. 接続方法

図4.7「Armadillo-EVA 1500の接続例」を参考に周辺機器を接続してください。

Armadillo-EVA 1500の接続例

1

Armadillo-EVA 1500

2

ACアダプタ(12V/5A)[7]

3

作業用PC

4

USB 2.0ケーブル(A-Bタイプ)[7]

5

LAN HUB

6

LANケーブル

7

HDMI対応ディスプレイ

8

HDMIケーブル(A-Aタイプ)

9

SDカード(UHS-I SDR104対応)

10

SDカード(UHS-I SDR50対応)

11

USBメモリ(USB 3.0対応)

12

USBメモリ(USB 2.0対応)

13

SATA対応ハードディスク

14

SATAケーブル

15

SATA電源ケーブル

16

スピーカー

17

マイク

18

NTSC対応カメラ

19

シリアルクロスケーブル

図4.7 Armadillo-EVA 1500の接続例


4.5. 機能選択スイッチの設定について

機能選択用のディップスイッチを2つ搭載しています。出荷時の設定は表4.5「機能選択スイッチの設定」のとおりです。選択できる機能の詳細については「機能選択スイッチ」をご確認ください。

表4.5 機能選択スイッチの設定

部品番号12345678
SW1ONONONONONONOFFON
SW2ONONONONONONONOFF

機能選択スイッチの設定

図4.8 機能選択スイッチの設定




[4] tar.xz形式のファイルを展開するにはJxfオプションを指定します。

[5] バージョン3.xまではPUEL(VirtulBox Personal Use and Evaluation License)が適用されている場合があります。

[6] 特権ユーザーでGUIログインを行うことはできません。

[7] Armadillo-EVA 1500 評価セットに同梱されているもの