第4章 開発環境の準備

Armadilloのソフトウェア開発には、Debian/GNU Linux系のOS環境[4](Debian etchを標準とします)が必要です。作業用PCがWindowsの場合、仮想的なLinux環境を構築する必要があります。

Windows上にLinux環境を構築する方法として、「VMware」を推奨しています。VMwareを使用する場合は、開発に必要なソフトウェアがインストールされた状態のOSイメージ「ATDE(Atmark Techno Development Environment)」[5]を提供しています。

Windows上にLinux環境を構築する手順についてのドキュメントは以下のとおりです。詳しくは、こちらを参照してください。

  • ATDE Install Guide
  • coLinux Guide

ATDEをお使いになる場合は、本章で新たにインストールする必要はありません。

4.1. クロス開発環境パッケージのインストール

付属CDのcross-dev/debディレクトリにクロス開発環境パッケージが用意されています。サポートしている開発環境は、表4.1「開発環境一覧」のとおりです。通常は、armクロス開発環境をインストールしてください。cross-dev/deb/クロスターゲットディレクトリ以下のパッケージをすべてインストールしてください。インストールは必ずrootユーザで行ってください。図4.1「インストールコマンド」のようにコマンドを実行します。

表4.1 開発環境一覧

クロスターゲット説明
arm通常のARMクロス開発環境です。

[PC ~]# dpkg --install *.deb

図4.1 インストールコマンド


[警告]

ご使用の開発環境に既に同一のターゲット用クロス開発環境がインストールされている場合、新しいクロス開発環境をインストールする前に必ずアンインストールするようにしてください。

4.2. atmark-distのビルドに必要なパッケージ

atmark-distをビルドするためには、表4.2「atmark-distのビルドに必要なパッケージ一覧」に示すパッケージを作業用PCにインストールされている必要があります。作業用PCの環境に合わせて適切にインストールしてください。

表4.2 atmark-distのビルドに必要なパッケージ一覧

パッケージ名バージョン備考
genext2fs1.3-7.1-cvs20050225付属CDのcross-devディレクトリに収録されています
file4.12-1以降 
sed4.1.2-8以降 
perl5.8.4-8以降 
bison1.875d以降 
flex2.5.31以降 
libncurses5-dev5.4-4以降 

現在インストールされているバージョンを表示するには、図4.2「インストール情報表示コマンド」のようにパッケージ名を指定して実行してください。

--listはパッケージ情報を表示するdpkgのオプションです。fileにはバージョンを表示したいパッケージ名を指定します。

[PC ~]# dpkg --list file

図4.2 インストール情報表示コマンド


4.3. クロス開発用ライブラリパッケージの作成方法

アプリケーション開発を行う際に、付属CDには収録されていないライブラリパッケージが必要になることがあります。ここでは、ARMのクロス開発用ライブラリパッケージの作成方法を紹介します。

まず、作成したいクロス開発用パッケージの元となるライブラリパッケージを取得します。元となるパッケージは、ARM用のパッケージです。例えば、libjpeg6bの場合「libjpeg6b_[version]_arm.deb」というパッケージになります。

次のコマンドで、取得したライブラリパッケージをクロス開発用に変換します。

[PC ~]$ dpkg-cross --build --arch arm libjpeg6b_[version]_arm.deb
[PC ~]$ ls
libjpeg6b-arm-cross_[version]_all.deb libjpeg6b_[version]_arm.deb 

図4.3 クロス開発用ライブラリパッケージの作成


[警告]

Debian etch以外のLinux環境でdpkg-crossを行った場合、インストール可能なパッケージを生成できない場合があります。



[4] debian系以外のLinuxでも開発はできますが、本書記載事項すべてが全く同じように動作するわけではありません。各作業はお使いのLinux環境に合わせた形で自己責任のもと行ってください。

[5] Armadilloの開発環境としては、ATDE v2.0以降を推奨しています。